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建設業許可を個人事業主が取得する方法は?

建設に関わり、独立しようとする一人親方(個人事業主)にとって、「建設業許可の取得」というのは重要なテーマです。建設業許可を取得しなくても、小規模な工事を請け負うことはできます。しかし、一定規模の受注を受け、事業を拡大していく上では建設業許可取得は必須となります。

個人事業主が建設業許可を取得するための手順は煩雑です。特に書類作成に関しては、準備を要する書類の多さに加え、書類を順番通り綴じ紐で結ぶなど、細かい作業も多いため、現場で仕事をしている人に取っては、大きな負担となる可能性があります。

そこで今回の記事では、複雑な建設業許可取得の流れについて詳しく解説するので、ご参考ください。

1 建設業許可を個人事業主が取得する方法

建設業許可を個人事業主が取得する上では、自身の職歴や事務所の用意、財産状況等が建設業許可取得条件にあてはまるかを確認する必要があります。また、建設業許可には、一般・特定の二種類が存在します。

個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得する場合は、多くのケースで一般建設業の許可を取得し、業容が大きくなってから特定建設業許可にシフトするという流れが一般的です。

1-1 建設業許可を個人事業主が取得するべき理由

建設業許可を個人事業主が取得するべき理由

建設業というと、何をするにも建設業の許可が必要というイメージをお持ちの方もおられるでしょう。しかし、建設業許可を取得しなくても、小規模な工事などに関わることは可能です。具体的に可能な工事は、下記の通りです。

建設業許可を個人事業主が取得するべき理由

  • ・建築一式工事以外で、材料費・消費税も含め、一件の請負代金が500万円以下の工事
  • ・建築一式工事で、一件の請負代金が1,500万円未満の工事
  • ・建築一式工事で、請負代金にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150平方メートル未満の工事(木造・延べ面積の2分の1以上を居住の用に供する)
  • ・前述の通り、建設業法以外で建設業許可取得が義務づけられている工事

このように、建設業許可を有しなくても工事は可能ですが、建設業許可を取得している事業者に比べ、大きく取り扱える業務が制限されることとなります。そのため、大半の建設に携わる法人・個人事業主は、建設業許可取得を行うことが必須となります。

建設業許可を取得した場合、一般建設業・特定建設業の免許を取得していることで、以下の工事が可能となります。

一般建設業 特定建設業
下請としての工事を請け負い全般 元請であり、1回の工事全体で4,000万円以上の工事を下請けに出す場合(建築一式工事の場合は6,000万円以上)
自社で全てを請け負う工事全般
元請であり、下請に4,000万円以下の工事を出す(建築一式工事の場合は6,000万円以下)

下請の立場で問題ないという場合、一般建設業だけでも問題ありませんが、元請として大きな工事に携わる場合、特定建設業の取得を検討する必要があります。

なお、建設業許可を取得するためには、財務の健全性・従事する職人の経歴や技術、過去に問題を生じさせていないかなどが問われます。それゆえに、許可を得ていない事業者と比べ、建設業許可を取得している事業者は「一定の信頼がおける事業者である」と判断されます。

ちなみに、建設業許可を受けた法人・個人事業主は、事務所入口等に「建設業の許可票」のプレートを取り付ける義務があります。建設業の許可票には、代表者氏名・許可を受けた業種および一般、特定の区別・許可番号・店舗で営業している建設業などが全て記載されるため、事業者の規模や取り扱える工事・一般や特定の区別が、建設業の許可票プレートで一目瞭然となります。

1-2 建設業許可を個人事業主が受けるための条件

建設業許可を個人事業主が受ける上での前提条件(一般・都道府県知事許可)を整理します。

建設業許可の要件 具体例
経営業務の管理責任者が、常勤で存在すること 個人事業主自身か、支配人として登記した支配人が、許可を受けようとする業種に関し、下記のいずれかの条件に当てはまることが必要。
・許可を受けようとする業種に関し、5年以上経営業務としての管理責任者の経験を有する。
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する。
・許可を受けようとする建設業に関し、6年以上経営業務を補佐した経験を有する。
建設業に関する経営体制を有する者(aおよびbをともに置く者)
・建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者。
・建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者。
上記を直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者。
・その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき上記と同等以上の経営体制を有すると認めた者
専任技術者をそれぞれの営業所に置くこと 個人事業主としてスタートする場合は、複数の事業所が存在するというケースは考えにくいが、念のため注意する必要がある。
一般許可における専任技術者の要件としては、下記の条件が求められる。
・許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関し、大学・高専等の指定学科卒業後、許可を受けようとする業種について3年以上、高校については5年以上の実務経験を有する。
・許可を受けようとする業種にかかる建設工事について、10年以上の実務経験を有する。
・その他資格保有等
誠実性の存在(建設事業者として、問題なく業務を遂行してきたか、今後もできるか) 個人事業主本人・支配人(実質支配人)が、建設業法・宅建業法・建築士法など建設に関わる事業で、不正行為・不誠実な行為を行っていないこと。
不正行為:請負契約の締結・履行に関し、詐欺・強迫・横領などを行っていない
不誠実な行為:工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為を行ったり、個人に対して契約書を交付しないなど、常識で考えて問題がある行為
以上の行為を行ったことで、免許の取消処分、営業停止処分を受けて5年を経過しない者は、誠実性のないものとして扱われる。
欠格要件に該当しないか 個人事業主本人・支配人が、下記のように、「明らかに建設業を営む上で不適切な状況の場合は、許可を受けられない。
・許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽記載がある
・申請書等に本来書くべき重要な事実の記載が欠けている
・破産手続の開始を受けて、復権を受けていない(復権を受けた場合は問題ない)
・被成年後見人・被保佐人もしくは精神等の病気等で、建設業を営む上で要される認知能力を有せず、意思疎通ができない状態
・不正な手段で許可・認可を受け、許認可取消後5年を経過していない
・不正に該当するとして聴聞の届出を受け、処分が行われる前に廃業を届出し、5年を経過していない
・建設工事を適切に施工せず公衆に危害を及ぼしたり、及ぼすおそれが大である
・請負契約に関し不適切な行為を行った等で営業停止を命じられ、その停止の期間が経過していない者
・建設業法・建築基準法・宅建業法・労働基準法等建設工事に関する法令のうち政令で定めるものや、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者(実刑という、実際に刑務所に行くケースの場合。執行猶予の場合は、執行猶予満了の時点で欠格要件に該当しなくなる)
・暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・実質的に暴力団員等反社会的勢力が事業活動を支配していること
社会保険への加入 事業者が、健康保険・厚生年金・雇用保険に関し、適用される事業所である場合は、上記などの社会保険に加入していることが確認できること
財産的基礎等に関する要件 一般建設業の場合は、次のいずれかに該当する必要がある。
1 自己資本が500万円以上あること。
2 500万円以上の資金調達能力があること。
3 直前5年間都道府県許可もしくは国土交通大臣許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在許可を有していること(更新の場合のみ)。
独立した営業所が存在すること 請負契約の締結に関する実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所が必要。
外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っている
こと
1 電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他法人または他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている必要がある
・個人の住宅でも可能だが、居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれている
・本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ないが、明らかに支店と分かるように看板等を掲示し、営業形態も別とすることが要される
2 常勤役員等または建設業法施行令第3条の使用人が常勤していること(パートタイム・名義貸しなどは厳禁)
3 専任技術者が常勤していること(同上)
4 営業用事務所としての使用権原を有していること
自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(一般のアパートやマンションの場合、住居専用契約となっているケースもあるため、賃貸借契約の内容に注意すること)
5 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること

このように、建設業許可取得に際しては、実務経験や財産、経営者等の適格性など様々な条件が存在します。要件に合致するかという点に関し少しでも疑問がある場合は、都道府県における建設業許可の窓口や、建設業取得に通じた行政書士に相談し、「確実に要件に合致することを確認する」ことが重要です。

1-3 個人事業主の建設業許可取得手続の流れ

個人事業主の建設業許可取得手続の流れ

個人事業主が建設業許可を取得する上での流れは、下記の通りです。

手続き 詳細
建設業許可申請書類の取得 都道府県の建設業課の窓口かホームページで、建設業許可申請の手引きを受け取る(年度毎に内容が変わるため、最新のものを利用すること)
ただし、令和3年2月現在は感染症の関係で、原則郵送の受付としている都道府県が大半
建設業許可取得申請に必要な書類を収集・作成し順番に綴じる 手引きに示された順番通りに、必要書類を綴じる。
個人事業主の新規申請の場合は、上記の通り(東京都・令和3年2月現在)
本冊(正本1部・副本1部)
・建設業許可申請書
・(代理人申請の場合)委任状
・役員等の一覧表
・営業所一覧表
・専任技術者一覧表
・工事経歴書
・直前3年の工事施工金額表
・使用人数
・誓約書
・営業所が複数の場合は令3条の使用人の一覧表
・財務諸表(新規の場合は、開始貸借対照表を作成・添付)
・営業の沿革(不要なケースも。賞罰の欄には、刑事処分だけでなく、行政処分についても記載。)
・所属建設業者団体
・健康保険等の加入状況
・主要取引金融機関名
別綴じ(正本1部・副本1部)
・表紙
・事業主の証明書
・事業主の略歴書
・専任技術者証明書
・卒業、資格証明書
・指導監督的実務経験証明書
・管理技術者資格者証
・許可申請者の調書
・令3条の使用人の調書
・納税証明書
確認資料等(正本1部・副本任意)
・印鑑証明書
・預金残高証明書(一般建設業申請で、純資産合計が500万円未満の場合に提出。発行後1ヶ月以内のもの)
・(被成年後見人・被保佐人として)登記されていないことの証明書(東京法務局に郵送申請するか、地方法務局本局の戸籍課で取得、支局・出張所では取得できない)もしくは医師の診断書
・身分証明書
・事業主の常勤資料
・事業主の経験資料
・専任技術者の常勤資料
・専任技術者の経験資料
・指導監督的実務経験資料
・営業所資料
・使用人をおく場合は、使用人の常勤資料
・健康保険の加入状況の資料(加入書類の写し等)
・郵便番号等確認資料(名刺・封筒など)
電算入力用(正本のコピー1部を綴る)
・建設業許可申請書
・営業所一覧
・個人事業主に関する証明書
・専任技術者の証明書
・健康保険の加入状況
役員等氏名一覧表
以上の書類を、手引きに示された順番通りに綴る必要あり
申請書提出(郵送) 申請書提出(郵送時)に、基本的な窓口審査(書類のヌケ・モレがないか、記入ミスがないかなど)が行われる
手数料納入 一般建設業の新規申請の場合、9万円(都道府県知事許可申請の場合。)
本審査 正式な審査が行われる。営業所の調査が行われるケースがある。内容に問題がある場合は、追加資料や補正を求められたり、登録の拒否処分を受けることもあり、その場合登録免許税は返還されるが、印紙代は戻らない
許可 審査通過後、問題がなければ建設業許可の取得ができる。標準処理期間として、都道府県知事許可の場合は、30日から~60日が標準だが、令和3年2月現在は、感染症等の関係で標準処理期間より時間がかかる事を想定しておく
通知書の送付 許可後、許可通知書が届く

また、現在は感染症等の関係で、窓口での受付が制限・もしくは行われていないケースもあるため、これから建設業許可申請をしようとする個人事業主が独自で申請書を作成するのは、大きな負担になります。

建設業許可取得を視野に入れるほど技能を持った職人であれば、作成に掛かる時間や労力と、職人として得られる報酬を考えると、行政書士等専門家に一任することがおすすめです。

1-4 個人事業主の建設業許可取得におけるポイント

個人事業主が建設業許可を取得する上で、数年前・1年前・申請直前・申請時などに注意するポイントがあります。将来建設業許可取得申請を行う予定の方は、ぜひ留意してください。

ポイント 理由
直近1年の工事経歴書を作成しておくとともに、直前3年の各事業年度における工事施工金額も記載できるようにする 工事経歴書には、申請日から直前1年間に着工した工事を工種毎に作成する必要があるため(未完成のものも含む)、下記の事項を記録しておく。
・注文者
・請負形態(元請・下請)
・請負代金
・工事場所
・着工年月日、工期
・配置技術者
また、直前3年の各事業年度における工事施工金額についても、記入できるよう過去の帳簿を整備しておく
個人事業主自身が、「様々な意味で」行動に注意する 刑事事件を起こさないことは当然として、行政処分・行政罰(スピード違反など)を受ける行為を起こさないように、注意する必要がある
交友関係に注意する 暴力団関係者および反社会的勢力と一切関与しない、また関与が疑われる行為をしない。近年は特に暴力団・その他反社会的勢力に対する措置が厳しくなっている。また、知人などから「出資するので一緒にやらないか」と誘われたとしても、相手が暴力団・反社会的勢力と関与のない、クリーンな人であることを反社チェックサービス他様々な角度で確認する。もし暴力団の実質的支配化にあると見なされてしまうと、建設業許可取得はできない。判断に迷う場合、各都道府県の警察・暴力団追放センターへ確認するのも一つの手段
日本政策金融公庫・金融機関などから融資を受けられるように、引き落とし漏れやクレジットヒストリーの構築に注意する 建設業許可取得に際し、日本政策金融公庫や金融機関などから融資を受けるケースは多いと想定されるが、融資を確実に満額受けるために、下記の点に注意すること。
・日本政策金融公庫からお金を借りる場合は、直近半年~1年分の通帳チェックをされるものと考えておく。自己資金の出所が説明できるようにすることも重要で、通帳に突然大きなお金の入金があった場合、出所を詳しく問われる。電気・ガス・水道・携帯電話など公共料金の引き落とし漏れがないようにすることも重要。
また、税金・ローン・クレジットの延滞があると審査が極めて厳しくなるので、滞納をしないように注意する。携帯電話を分割で購入している場合に延滞を起こすと、ローン・クレジットでの延滞と同様に厳しく見られる。
加えて、融資を受ける際に日本政策金融公庫・金融機関・信用保証協会などでは、全国銀行協会・CICなどに借り入れ内容の照会をおこなう。その際に消費者金融の借入があるとマイナスになるケースも
手続前に、行政書士など建設業許可取得の専門家に相談する 費用はかかるが、行政書士等に申請前の事前相談を行い、許可が下りる見込みがあるか相談する。許可の見込みがないのに依頼しても、双方にとってもったいない

上記の通り、建設業許可取得を行う場合は、普段から様々な点に注意する必要があります。

1-5 建設業許可取得前の法人化も一案

建設業許可取得前の法人化も一案

建設業許可に関しては、組織変更の際に、一から新規申請の手続を行う必要があるケースが存在します。代表的なものが、個人事業の法人化です。個人事業主として行っていた建設業許可を法人に移行するには、新規に申請する必要があります。そのため、最初は個人事業主と建設業許可を取得し、その後また法人化後に建設業許可を再度取得するというのは、時間やお金を無駄にすることにもなります。

そこで、既に有力業者から内々に依頼を受けているなど、当初から事業を拡大できる見込みがある場合、会社設立→建設業許可取得という流れを検討する前提で、司法書士・行政書士など会社設立を行う専門家に依頼、法人を設立してから建設業許可の取得を行うのが望ましいでしょう。

他のケースでも、新規申請が必要になるケース(非常に手間がかかり、申請手数料もかかる)と、変更届出書で処理できるケース(簡易な書面を提出するだけ)があるため、それぞれのケースを整理します。

新規申請が必要なケース

  • ・「特例有限会社・株式会社」→「事業協同組合・企業組合・協業組合」に変更
  • ・「事業協同組合・企業組合・協業組合」 ⇔ 「合同会社・合資会社・合名会社(持分会社)」 に変更した場合
  • ・「社団・財団法人」 ⇔ 「株式会社」に変更
  • ・個人間の相続 (30日以内に相続認可申請をした場合の例外あり)
  • ・法人成り・法人から個人事業への変更 (事業譲渡の事前認可申請に関する例外あり)

変更届出書で手続をできるケース

  • ・「特例有限会社」 ⇒ 「株式会社」に商号変更
  • ・「持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)」 ⇔ 「株式会社」に変更
  • ・「持分会社の種類を変更した場合」(例)合名会社 ⇒ 合資会社 等
  • ・「事業協同組合・企業組合・協業組合」 ⇒ 「株式会社」に変更

上記のような、会社の種別の変更の場合は、変更届出書の提出で足りるケースがあります。

しかし、よくある個人事業主の法人成りの場合は、新規の申請が必要です。書類提出や費用も再度かかることとなります。そのため、当面個人事業主として事業を行うと最初から決めている場合は別として、個人事業主としてスタートするか、法人としてスタートするかで迷っている場合は、会社設立を行ってから建設業許可取得手続を行うほうが効率的です。

1-6 個人事業主から法人へ建設業許可を引き継ぐ、法人成りとは

個人事業主として建設業を始めてから法人化するより、最初のうちから法人化した方が、建設業許可取得申請で二度手間になりません。しかし、当初個人事業主として始め、法人化は視野に入れていなかったが、想定外のケースが発生する可能性はあります。

例えば事業が想像以上に拡大した、節税のために法人化したい、取引先の「法人でないと取引ができない」という要請などにより、様々な内部要因・外部要因により、法人成りをする必要性が生じるケースがあります。具体的に法人成りを行う場合に注意するべきケースを整理します。

注意点 理由
法人設立後速やかに、再度建設業許可を申請し、空白を作らない 個人事業を法人化する際に、法人としての建設業許可取得が遅くなったり、間違った手続をしてしまうと、結果として空白期間ができるおそれがある。そうすると、意図せずして「無許可営業」と見なされ、始末書を提出することになったり、処分を受けるケースがある。
特に、融資を受ける場合や、公共事業に入札する際は大きなトラブルに発展する可能性があるので、専門家・都道府県の窓口や関係者等と十分に相談して決める

設立時の資本金 設立時の資本金が許可要件を満たしていないと、法人化した際に許可がされなくなる。そのため、資本金要件の確認、資本金を手厚くする手段を検討するためにも、会社設立時に専門家と相談すること。
また、現物出資という形で、機具・自動車・パソコンなどの「現物」で出資できるが、税理士になど第三者の証明・アドバイスが必須
法人の目的 会社設立時には、定款や法務局に登記する内容に、法人の事業目的を記載する必要がある。この際、建設業に関する事業目的の記載がないと、再度目的を登記し直すこととなる。会社設立時には、目的の内容に注意すること、専門家に依頼する場合は「建設業の法人成りで、今後建設業許可取得申請を法人として行う」ということを明確に伝え、適切な目的を記載してもらう必要がある

1-7 個人事業主が建設業許可取得を行った後の注意

個人事業主が建設業許可取得を行った後の注意

個人事業主が建設業許可取得を行い、無事取得した後でも安心はできません。様々な理由で、建設業者への国や都道府県からの指導監督、営業停止処分、建設業許可の取消処分が行われるケースがあるからです。

各種処分が行われた事例を、国土交通省のデータベースである、建設業者の不正行為等に関する情報交換コラボレーションシステムからピックアップします。

・株式会社○○は、営業所の所在地を確知できないため、県公報にて公告したが、30日を経過しても当該建設業者から申出がなかったため、許可を取り消し

・○○株式会社およびその役員が、○○簡易裁判所において、労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律第4条第1項2号および第59条第1号違反により罰金30万円の略式命令を受けたため、許可を取り消し

建設業許可に関して、様々な不利益処分を受けるケース・デメリットに関し、整理します。

事例 詳細
不正行為として指導を受ける典型的な事例 下記の不正行為を行うと、指示処分、営業停止処分、許可取消処分を受けるおそれがある。
・使用人または個人事業主が業務に関して法律に違反し、刑に処せられた場合
・独占禁止法に基づく排除勧告の応諾等があった場合
・経営事項審査申請、入札参加資格申請等において虚偽申請を行った場合
・一括下請負(「丸投げ」、「丸請け」)を行った場合
・主任技術者または監理技術者を現場に配置しなかった場合
・虚偽の施工体制台帳、施工体系図の作成等を行った場合
・労災隠しをした場合
・公衆または工事関係者に対して事故を起こした場合
・建設工事の施工等に関し建設業法以外の他法令違反を行った場合
なお、不正行為が複数にわたる場合は、より重い処分となる
処分内容は、国土交通省のデータベースで公開される 建設業で監督処分を受けると、下記の情報が国土交通省のデータベース(建設業者の不正行為等に関する情報交換コラボレーションシステム・国土交通省ネガティブ情報等検索サイト (事業者の過去の行政処分歴を検索するサイト))に過去1年~過去5年分掲載される。(都道府県により異なり、大阪府は過去1年・兵庫県は過去2年だが、それ以外は過去5年分)
建設業者の不正行為等に関する情報交換コラボレーションシステムに関して、掲載内容は下記の通り。
・商号、代表者名
・主たる営業所の所在地
・許可番号
・処分年月日
・処分を行った者(国土交通大臣もしくは都道府県知事)
・処分年月日
・根拠法令
・処分の内容
・処分の原因となった事実(例:○○は、○○の罪により○○裁判所から懲役3年執行猶予5年の判決を受け、令和○年○月○日にその罪が確定した、このことが、建設業法第○条第○項第○号に該当すると認められる。)
以上のように、どういう問題があり、どのような処分を受けたかが詳細に公表される。脱税などケースによっては、個人名が掲載される場合もある)
建設業の指導監督を受けるのは、許可を有する業者だけでなく、無許可業者も対象になる 許可業者・無許可業者を問わず、建設業法、その他関連業法違反が生じた場合、建設業許可の有無を問わず指導監督・それに伴う処分を受ける
下請の不正行為が生じた際、元請にも監督責任が生じることがある 元請が下請に対し十分な指導をせず、下請業者が不正行為を行った場合、元請も指導監督・処分の対象になるケースがある
問題が生じた場合、事後措置を適切に取ったか否かで、処分が厳しくなるケース、軽くなるケースがある 処分が厳しくなるケース
・契約の相手方の意向にもかかわらず、損害賠償、和解、瑕疵補修等を行わない
・一括下請負に(丸投げ)おいて、丸投げを行った側に、丸投げ以外にも問題がある場合
・公共工事にかかるものであることなど社会的影響が大きい場合等
処分が軽くなるケース
・契約の相手方の意向に基づき、損害賠償、和解、瑕疵補修等を行った場合、つまり、きちんと誠意を持った対処をし、相手方の納得を得られた場合
・一括下請負(丸投げ)において、受けた側について、会社や事業主同士の力関係などで受けざるを得なかったなど、一方的に受けた側を責めることができない、軽減すべき情状がある場合
・違反状態の是正を速やかに行った場合
結論として、誠意ある対応を素早く行ったか否か、対応に相手が納得しているか否かで処分の軽重が変わる可能性がありますので、問題に対しては徹底的に誠意を持ち対処し、原状回復・被害回復に努めることが重要
労災隠しはしない 労働災害が生じた場合、処分や新聞沙汰を恐れたり、労働保険料負担の増加を避けるために、労災が起こったこと自体を隠すケース、事実関係報告に関して虚偽を行うケースがある。
問題がある場合や労災隠しなど悪質な場合、建設業(国土交通省側)のペナルティだけでなく、厚生労働省側の労働基準関係法令違反による公表事案となり、いわゆる「労働基準法違反のブラックリスト企業」に載せられる。
ここで企業や屋号・所在地・違反の内容が掲載されるだけでなく、検察庁に企業・代表者が書類送検され、刑事罰・罰金などを受けることもある
変更届の提出は迅速に行う 建設業許可を取得している場合、下記の事項に変更が生じた場合、変更届を提出する必要がある。変更届の提出が遅滞すると、監督処分の対象になるおそれもある。
・商号の変更
・営業所の名称変更
・営業所の所在地、電話番号、郵便番号の変更
・営業所の新設
・営業所の廃止
・営業所の業種追加
・資本金額の増減
・事業主や支配人の就任・辞任時
・使用人の変更時
・経営業務の管理責任者の変更時
・専任技術者の変更時
事業年度終了後4ヶ月以内に決算報告等を行う 事業年度終了後4ヶ月以内に各種決算報告を行う。また、国家資格者・管理技術者の変更があった場合は報告を行う

1-8 請負契約書の重要性

建設業という業態では、多くのケースで、元請と下請という関係が存在します。個人事業主の場合は、規模の問題もあり、下請となるケースが大半と想定されます。この元請・下請を問わず、請負契約に際しては、「請負契約書」を作成・締結しておくことが重要となります。

なぜ請負契約書が重要になるのかというと、万一何かのトラブルがあった場合、契約書をベースに全ての物事が進んでいくからです。

そのため、契約書の作成・締結だけでなく、内容が自身に過度に不利になっていないかを確認することが、非常に重要です。もし自社にとって過度に不利であれば、内容に関し交渉をしていく必要があります。また、契約書の内容で不明確な部分がある場合は、相手に詳しく確認したり、弁護士などの専門家にリーガルチェックを依頼する事が望ましいでしょう。

どのような内容であれ、公序良俗に反するものでない限り、契約書が存在する以上は、両者が納得した上で署名・捺印をしているものと外形的には見なされます。調停・裁判など法的な争いに発展した場合でも、契約書をベースに「このような契約をしていますよね」ということで話は進んでいきます。いくら契約書が自身に不利な内容であったとしても、一度契約した以上は、基本的に覆すことができません。いずれにせよ、契約書作成だけでなく、内容の精査も念頭に置いてください。

なお、通常のビジネスにおいても、言うまでもなく契約書は重要ですが、業界によっては今でも口頭での約束などが慣習になっているところも存在すると言われています。しかし、建設業の請負においては、国土交通省が用意する「建設工事請負契約書」のひな形が存在します。このひな形を元に、下記の重要事項および個別で必要な事項を定め、契約を行うことが国土交通省により推奨されています。請負契約の内容において、特に重要な事項を整理します。

記載事項 具体例
工事内容 どこからどこまでを下請が行うのか、具体的に明文化しておく
請負代金の額 材料費・消費税その他雑費も含め、請負代金の額を明確に定める必要がある
工期 着工予定日・完成予定日を定める必要
前払金・出来高支払金の支払時期・方法 前払金・出来高支払金など、早めに支払うことが求められるお金をいつ支払うのか、明確にする
損害負担金について 工期等の変更や不可抗力による変更が生じた場合に、損害負担金をどう計算するか
検査と引き渡しの時期 建物などの検査・引き渡しの時期の明確化
完成後の支払い 完成後の請負代金の支払い方法(一定期間後に振込・手形など)
その他紛争が生じた場合の解決方法 多くの場合、当事者の話し合いを原則とし、解決しない場合は指定した裁判所

1-9 個人事業主の親方として、現場の一線にいるという考え

個人事業主の親方として、現場の一線にいるという考え

ここまで、個人事業主の建設業許可取得手続や注意点に加え、法人化も視野に入れることの重要さを解説しましたが、建設業に従事する人の中には、やはり一生現場での最前線にいたいという考えを持つ方もおられると思います。

法人化し、規模を拡大していく上では、「職人の指導」だけでなく、「会社組織のマネジメント」など、親方に加え「経営者」として動くことが必然的に多くなります。そうすると、必然的に現場からは離れ、経営・人を管理するということが仕事になり、これまでとは相当方向性の異なる業務と向き合うことになります。

「自分は親方として、建設の職人として現場の道を究めていきたい」という考えの方も多くおられると思います。会社組織として拡大し「経営者」に変化していくか、あくまで親方として「自身で職人として現場に携わり、職人として現場の一線で活躍していくか」は、個人の自由とはいえ、悩ましいところでしょう。

年齢を重ねると無理がきかなくなるケースもあるため、後の世代に技術を継承できるよう、組織化なり、後を継ぐ職人を入れるなりを考えるというのも一つの考え方です。一方で、元気な限り一生現場においてみんなで作業し、建物の完成や仕事で汗をかいた後の一杯を楽しみに、職人人生を全うするというのも、職業人としての生き方の一つと言えます。

職人の道を続けるのも一生の勉強、法人化し、経営者・プレイングマネジャーの道を選ぶのもまた新しい一生の勉強です。結局自分はどちらが好きなのか、それは職人として働いているときの自分、弟子・部下に教えているときの自分がやはりしっくりくるというのであれば、個人事業主の親方として生きていくというのも、一つのあり方と言えます。自分がどうありたいか、というのは、個人事業主としてやって行くか、法人化するかの一つの基準です。

1-10 建設業許可取得・更新は、年々変化している

建設業許可の取得・更新に関しては、法改正ごとに厳しくなる面と柔軟になる面が存在することを念頭に置く必要があります。令和2年10月の改正でも、以下のような変更がありました。

建設業許可取得・更新は、年々変化している

・各種社会保険への加入が許可の要件となった

これまでは、費用負担も大きいため、曖昧にされ見逃されてきた面もある社会保険への加入ですが、改正をもって必要な社会保険への加入が義務化されました。個人事業主であっても、社会保険への加入の義務化は変わりません。

・郵送許可の主流化と営業所の現地確認の明記

これまでは、建設業許可に関する窓口で相談しながら書類を提出する事が可能で、わからない部分を直接聞きながら確認することができましたが、現在は原則窓口ではなく郵送許可となり、専門家以外の人が申請することがより難しくなっていると言えます。また、許可通知を、営業所の所在確認も兼ねて転送不要郵便で送付する自治体もあります。東京都で言えば、返送された場合は営業所の実態調査や申請拒否などの措置もありうることが明記されています。

・事業承継にかかる事前認可制度

事業承継に関し、建設業の譲渡および譲受け並びに合併および分割に関して、これまでは新たに許可を取り直す必要がありました。しかし、(必ず事前に)認可を受けることで、建設業の許可を承継することが可能となりました。許可にかかる建設業の全部の承継を行う場合に対象となり、一部のみの承継を受けることはできません。

また、承継元と承継先がともに許可業者である場合、同一の建設業に関し、一方が特定建設業、一方が一般建設業であるときは、承継の対象外となることに注意する必要があります。

相続についても、建設業者の死亡後 30日以内に申請し認可を受けたときは、建設業の許可を承継することが可能となりました。こちらも、許可にかかる建設業の全部の相続を行う場合に対象となり、一部のみの承継は不可となります。事業承継同様、相続人も許可業者である場合、同一の建設業に関し、一方が特定建設業、一方が一般建設業であるときは、承継の対象外となります。

また、承継制度を利用しない場合は、従来通り、従前の許可の廃業届および新たな許可の新規申請の同時提出を行うことが可能です(この場合は、廃業日から新規申請の許可日までは、建設業許可を有さない状態となります)。“

つまり、書類上は承継予定日より前となっているが、実務上は30日前、さらに事前相談はそれより前と、できるだけ早くやっておいて欲しいということを示しています。この点は、都道府県により体制が異なるため、自身が申請する都道府県の手引きを確認する必要があると言えます。

2 まとめ

まとめ

ここまで、個人事業主が建設業許可取得を行う方法、取得時や取得後の注意点等について解説してきました。建設業許可に関する法令は、数年に一度改正があり、令和2年10月の社会保険加入義務化など大きな改正が行われることがあります。また、公共工事入札へ参加する際に重要になる、経営事項審査(経審)についても、毎年手続が必要となりますが、建設業に従事する個人事業主が経審の手続を行ったり、建設業許可に関する知識を得るために労力を使うのは負担です。

建設業の本分は、建設および建設にかかる事業であり、行政手続を行うことで余計な時間・労力を費やすより、本業に力を入れた方がずっと生産的と言えます。建設業に関する知識のアップデートや書類の手続は専門家に任せ、わからないことは専門家にわかりやすく説明してもらう。そして、事業者自身は、向き合うべき仕事そのものに打ち込むことが、望ましいでしょう。

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