建設業許可申請ならKiND行政書士事務所

電話無料相談受付中!0120-698-250メール相談はコチラ
建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京

建設業でアルバイトを採用する時のポイント解説!!

現在も建設業の人手不足は続いています。そのため、仕事はあるけど人手が足りず仕事の受注を見送る中小企業もあります。また、一人で経理や事務作業も行っている一人親方などは現場の工事などの仕事が増えて、経理や事務作業が追い付かないなどの事例もあります。

今回は、特に中小企業において一時的な人の採用のために実施するアルバイト採用について、アルバイトを採用する時の注意点や実際の手続きについてまとめるので、ぜひ参考にしてみてください。

1 建設業のアルバイト事情

建設業のアルバイト事情

突然の仕事の依頼や慢性的な人手不足の場合に、『すぐ人が欲しい』『できれば短期間だけ欲しい』時にはアルバイトの採用が便利です。まずは、アルバイトを採用するメリットを確認してみましょう。

≪アルバイトのメリット≫

アルバイトのメリット

①決まった期間と時間の採用ができる

アルバイトは時給で採用ができるので、必要なタイミングに必要な期間と時間働いてもらうことができます。アルバイトとして働く人の合意が必要ですが、正社員などは雇用し続けることが前提になるため、建設業などの繁忙期と閑散期の幅が大きい業界にはマッチすることが多くあります。

②採用条件に差をつけやすい

時給で採用できる点をうまく活用する方法は時給を他社より上げることです。正社員の採用で給与を他社より上げると、長期間の負担が大きくなります。しかし、アルバイトの時給であれば、期間も時間も限定的であるため、負担も限定的です。
しかも働いてほしい時に働いてもらうように調整が可能であれば、無駄なコストが出ないので、魅力的な時給設定も可能です。

●アルバイトを採用する時に注意点

アルバイトを採用する時に、必ず実施しなければいけないのは、以下の2つです。

労働契約の締結 労働基準法に則って労働契約の締結が必須です。
社会保険への加入 労働保険と雇用保険への加入が必須です。

それぞれ、必須事項について概要を説明します。

1-1 労働契約について

労働契約について

アルバイトでもパートでも従業員を採用しようとする時に必要となるのが、労働契約の締結です。アルバイトだから、短期の仕事だけを頼むつもりであっても労働契約は必須になります。そのため、労働契約書やその流れについての知識は事業主にとって必須になります。

労働契約の締結において必要な流れは以下になります。

  1. ①雇用契約内容と労働条件の決定
  2. ②労働条件通知書兼雇用契約書の作成
  3. ③アルバイト採用候補者への雇用契約内容ならびに労働条件の説明
  4. ④労働条件通知書兼雇用契約書への署名捺印

労働基準法(第15条第1項)で「使用者(=雇用主)は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件の明示」を義務化しています。法律的に、明示が求められているのは以下の事項になります。

1 労働契約期間 雇用しようとする期間、試用期間や契約の更新の有無と更新の要件などについて
2就業場所と業務内容 採用した時点で分かる就業場所や業務内容について(網羅的に将来の就業場所や業務内容を記載することも可能)
3 労働時間 始業時間と終業時間と休憩時間、所定労働時間をこえる労働時間。休日と休暇。もし、労働者が2組以上に分けて就業する場合の就業時点転換について*
4 賃金 賃金の決定と、計算と支払の方法、賃金の締めと支払の時期、昇給について
5 退職 退職ならびに解雇事由について
6 退職手当 退職手当の定めが適用される条件ならびに退職手当の計算と支払の方法と支払時期について
7 臨時賃金 退職手当を除外した、賞与などの臨時に支払われる賃金と最低賃金額について
8 労働者負担 食費や作業用品などの労働者側で負担する費用について
9 安全と衛生 労働基準法と労働安全衛生法に基づく企業の責任となる、就業前の機材点検などの“従業員の安全確保”や年1回の健康診断の実施などの“衛生管理”について
10 職業訓練 業務上必要なスキルや免許に対する職業訓練について
11 災害補償など 業務上の災害に対する補償と業務外の傷病扶助について
12 表彰と制裁 起業への貢献度や勤続年数に応じた表彰制度や、事業への悪影響に対する制裁対象について
13 休職 産休や育休について

*年次有給休暇は、6か月間の継続勤務をおこないかつ全労働した日の8割以上出勤した労働者に与えることが必要です。

労働条件通知書のひな型は厚生労働省Webサイトで確認できます。これらの必須事項を網羅した労働条件を決定します。

1-2 社会保険について

社会保険について

社会保険の加入手続きや負担額のことを考えると、社会保険には加入したくない、加入させたくない、建設業の事業主が多くいるかもしれません。また、この社会保険への加入の思いは建設業に限っての話ではありません。

しかし、社会保険に未加入のままですと大きく以下の2点から建設業の事業継続が難しくなります。そのため、必ず加入義務のある社会保険には必ず加入する必要があります。

≪建設業における社会保険未加入のデメリット≫

建設業における社会保険未加入のデメリット

行政指導の対象 都道府県(場合によっては国)から、建設業の許可取得ならびに更新の際に必要となる経営事項審査を行う際ならびに事業所への立入検査を行った際に加入指導があります。そのため、建設業を営む上で必須である許可取得が受けられない可能性があります。
元請からの加入指導 平成29年度以降、元請は社会保険未加入企業への下請け業務の選定に加えるべきではない方向性が示されています。また、労働者単位でも適切な保険の未加入の状態である場合には現場入場を認めない方向性が示されています。

以上のように、建設業の許可取得・更新の面とその後の元請からの仕事の受注ならびに業務遂行の全ての面で社会保険未加入は支障が出ます。そのため、事業主として加入義務のある社会保険への加入は必須です。

ここまで厳しく進めているのにも訳があります。建設業は平成23年10月調査では、法令上の義務とされている社会保険への未加入が43%ありました。そのため、事業環境の改善に行政・発注者・元請・下請の建設業全体で社会保険加入に取り組んでいる背景があります。参照|国土交通省『建設業における社会保険加入対策について』

●社会保険の加入義務

アルバイト採用でも社会保険の加入が必須です。社会保険は労働者を守るために最低限必要とされている保障となります。社会保険とは、会社で勤務する人が加入する『被用者保険』と自営業者などが加入する『一般国民保険』があります。今回は、アルバイトスタッフの採用がテーマなので、被用者保険についてのみ解説します。

被用者保険は、以下の保険があります。

  • ・健康保険
  • ・厚生年金保険
  • ・介護保険
  • ・労災保険
  • ・雇用保険

この中で、もともと働いてもらっている従業員が5名以下の個人事業主であれば健康保険と厚生年金保険は対象外となる場合があります。(詳細は後述します。)

●社会保険の加入義務対象業者

社会保険は、正社員やアルバイトやパートなどの雇用形態に関わらず加入の義務が事業主にあります。また、以下の事業主にその加入義務が発生します。

  • ・会社が法人(株式会社や合同会社など)であること、または土木建築業などを行う常時5名以上を雇用する個人事業所などは強制適用となります。*
  • ・1週間の労働時間や1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上ある場合には加入させることが求められます。
  • ・常時雇用していることが必要です。

*個人事業主のもとで働く労働者ならびに一人親方自身の保険加入
社会保険の任意加入も可能です。任意加入は、従業員の半数以上が社会保険加入を希望して、かつ会社が申請する社会保険の申請を厚生労働大臣の認可が受けられた場合に実施できます。

また、任意加入をしない場合は常時使用する労働者が5人未満の場合にはその労働者は『雇用保険』と『国民健康保険』と『国民年金』の加入が必須となります。一人親方は『国民健康保険』と『国民年金』の加入が必須となります。整理すると以下のようになります。

≪勤務先毎の加入が必要な保険≫

法人に勤務する労働者
5名以上が働く個人事業主の下で勤務する労働者
雇用保険
健康保険
厚生年金保険
5名未満が働く個人事業主の下で勤務する労働者 雇用保険
国民健康保険
国民年金
一人親方 国民健康保険
国民年金

詳細は後述しますが、労災保険は雇用形態に関わらず全ての事業所に勤務する1名から加入義務が発生します。

●アルバイトで社会保険加入が除外される場合

一方で、アルバイトは1日だけなど繁忙期間だけの限定した働き方のために雇用を行うこともあります。以下であげた事例など常時雇用ではないと判断される場合は社会保険に加入ができません。

≪常時雇用と判断されない≫

1ヶ月以内の期間で雇用する日雇いアルバイト(1ヶ月間をこえて継続的な雇用となった際には、その日から加入が必要です。)
あらかじめ2ヶ月以内の雇用期間で採用するアルバイト(2ヶ月間をこえて継続的な雇用となった際には、その日から加入が必要です。)
所在地が一定ではない事業所で雇用をするアルバイト
あらかじめ4ヶ月以内の季節的業務*で採用するアルバイト(同じ季節的業務でも4ヶ月を超える予定の場合には、雇用時点から加入が必要です。)
予め6ヶ月となる予定の臨時的事業**の事業所で採用されるアルバイト(6ヶ月の期間を超えた雇用を継続する予定で採用する場合には、雇用時点から加入が必要です。)

*季節的業務とは、業務自体が季節や天候など自然現象の影響で一定の時期に偏って行う業務を言います。
**臨時的事業とは、博覧会などの臨時的でかつ短期間で終了し継続する見込みがない事業を言います。

●社会保険(『健康保険』と『介護保険』と『厚生年金保険』)について

社会保険

『健康保険』と『介護保険』と『厚生年金保険』の3つの保険を狭義の社会保険と言います。原則として、社会保険はセットで加入することになります。

・健康保険
健康保険は、雇用する従業員やその扶養する家族が健康上の理由から必要とする医療費の一部を負担する保険です。必要な医療給付や手当金を支給が実施されることで、生活の安定を目的としている社会保険制度となります。健康保険に加入すると、健康保険証がもらえます。社会保険の中で働いているうちに利用する機会が最も多い保険です。健康保険を利用することで、医療費の自己負担額が治療費の3割とすることができます。

健康保険料は、事業主と労働者がそれぞれ50%ずつを負担します。

・厚生年金保険
厚生年金保険は、高齢や病気やケガなどによる身体に障害が残るなどして働くことができなくなった際に保険給付を受けることができる制度です。また、世帯主が死亡した際に残された遺族への保険給付も行っています。

保険料の負担割合は健康保険と同様になります。

・介護保険
介護保険は、少子高齢化が進む日本で介護が必要となる高齢者を社会全体で支えるための制度になります。そのため、介護保険に加入していると、介護が必要となった場合にその介護費用を給付支援する制度になります。介護保険で受けられるサービスは、『居宅介護支援』や『居宅サービス』や『施設サービス』や『福祉用具に関するサービス』や『住宅改修』などがあります。

介護保険は、対象者が40歳になるとその加入が義務付けられて、保険料の支払いが必要となります。介護保険料の支払い方法と保険料は64歳までと65歳以降で大きく異なってきます。

40歳から64歳(第2号被保険者) 健康保険料と一緒に徴収されます。また、保険料の計算方法は加入している各健康保険組合によって異なります。
65歳から(第1号被保険者) 原則は、年金からの天引きを市区町村が実施します。介護需要と介護施設の設備状況などによって自治体ごとに保険料は異なってきます。

なお、介護保険を受給するのは、原則65歳以上の第1号被保険者のみになります。65歳以上の方には、被保険証書が各市区町村から郵送で交付されます。また、第2号被保険者は末期がんや関節リウマチなど特定疾病によって介護認定を受けた場合には受給対象となります。

●労働保険(『労災保険』と『雇用保険』)について

労働保険は労働者災害補償保険=労災保険と雇用保険の総称となります。保険料の納付等はセットとして取り扱われます。なお、保険給付にあたっては両保険制度がそれぞれ行います。

・労災保険
労災保険は、業務を原因とする労働者のケガや病気や死亡など業務災害の場合と、業務を行う場所への通勤中の事故の通勤災害に対して、国が事業主に代わって保障給付を行う制度です。

労働基準法は、労働者の仕事中の病気やケガは使用者の療養費負担を義務としています。また、その病気やケガによって労働者が働くことができなくなる場合にはその働けない期間の休業補償も使用者に義務づけています。(労働基準法第75条と76条)

しかし、個人事業主など事業主の財政基盤がぜい弱な場合であっても、労働者の補償をうけることを確実にする制度が必要です。そのためにあるのが労災保険になります。

労災保険は、アルバイトやパートを含めたすべての労働者を対象とします。また、事業主は対象となる労働者を1名でも採用した場合には、加入が必要となります。

保険料は、全額事業主負担となります。労災保険率については、厚生労働省のホームページで確認することができます。

・雇用保険
雇用保険は、労働者が失業をした場合に生活の補償や再就職の支援を行うための保険制度になります。それ以外にも失業自体を予防することや雇用機会の増大など従業員の福祉増進をはかるなど『雇用の安定』を目的とする制度になります。

平成29年3月に失業給付の拡充や失業給付にかかわる保険料率の時限的な引き下げなどの変更を盛り込んだ雇用保険法の改正が実施されています。詳細は厚生労働省の『雇用保険法等の一部改正する法律の概要』で確認ができます。

保険料は、事業主が3分の2を負担して残りを被保険者が負担します。

1-3 請負契約について

請負契約について

社員やアルバイトとして雇用しない場合には、雇用契約も社会保険加入も不要です。雇用を行わずに、仕事を依頼する方法として行われているのが、請負契約です。請負契約は依頼する仕事を切り出して、その仕事を実施してもらうことに対して報酬を支払う契約です。

請負契約は、独立した事業者間の合意で成立します。そのため、労働者を保護するためにある労働基準法や労働契約法の適用範囲外になります。

●請負契約の要件

お願いしたい業務を切り出して請負契約にすれば採用における面倒な手続きや責任が不要になる、という簡単な話ではありません。請負契約で進める場合にはその要件を充たす必要があります。場合によっては、偽装請負と判断される場合もあります。『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』によって請負契約の要件は以下の2点になります。

請負契約の要件

  1. ①労務管理の独立性
  2. ②事業経営上の独立性

この2つの独立性を確保できて初めて、請負契約として認定されることになります。

①労務管理の独立性

労務間の独立性は、企業が雇用する労働者を直接指揮命令ができて労働者の労働力を自ら直接利用できる状況にあることを言います。具体的には労務管理の独立性や以下の3つの独立性に分けられます。

労務管理上の独立性 作業現場において、請負企業責任者がその必要人数や配置などをスケジュールに基づき調整していきます。請負企業は依頼された仕様書などに基づき、自らの判断で業務を処理する労務管理が独自の判断のもと行えていることが必要です。
労働時間管理上の独立性 請負企業の労働者の就業時間や休息時間を設定・管理し、業務進行状況に応じて残業や休日出勤を指示します。または、欠勤や遅刻や早退などの勤怠管理を独自で行います。
秩序の維持と確保と人事管理上の独立性 請負企業が依頼された業務を完遂させるために規則の策定と実行を指示します。使用者と雇用主の義務である労働基準法や労働者災害補償保険法や雇用保険法等を遵守しなければなりません。請負企業が働かせる労働者の配置、業務場所と内容の指示などは請負企業に独自性が求められます。仕事を依頼した企業が配置や人員の指定することは認められません。

②事業経営上の独立性

事業経営上の独立性は、依頼された請負業務を独立して処理できることを言います。

経理上の独立性 自らで独立した経理機能を持ち、資金調達を行うことができることが必要になります。
法律上の独立性 請負企業の契約違反などが発生した場合に依頼者である企業が法的な責任追及を行えるなど、請負企業が事業に必要な法律知識を有してその義務を果たすことができることが必要になります。
業務上の独立性 請負契約の遂行のための専門的な技術や知識や労働力を有していることが必要になります。また、遂行に必要となる設備や専門的な企画力や経験を有していることも同様になります。一方で、知識も能力も設備も経験も何も請負契約の遂行に必要と思われるものを有していない状況で肉体的な労働力の身を提供している場合には、偽装請負の懸念を持たれます。

●請負契約の留意点

請負契約を締結する場合には、相手側の労務管理の独立性と事業経営上の独立性を守ることが必要です。具体的には、あれこれ指示することができません。当然、請負契約なので業務の完遂を求めることはできますが、業務や人員配置まで指示・命令はできません。

実際に働き方の実態から使用従属性があると認められた場合には、その請負契約は偽装請負の判断になる可能性が高まります。そのため、労働者と判断され、労働基準法などの適応を受けます。実際の業務においてその線引きが曖昧であるため請負契約を締結した相手から訴えられて訴訟で争うことになって結論が出されることになります。

業務委託契約が実質は雇用契約であると裁判所が判断された場合、締結した請負契約が労働基準法等の基準を満たしていない部分があるとその部分の差額を補償することが求められます。問題となってくるのが、社会保険の部分と労働時間に関わる部分です。

社会保険や労働保険が未加入の場合には、遡りで加入することが求められます。また、加入に伴う保険料負担があります。そして、労働時間が超過している場合には、残業代金の支払いが求められます。加えて、労働時間から計算した収入が最低賃金を下回る場合には差額賃金の支払いもあります。そして、半年を超えて継続的に働いている場合には、有給休暇を付与することも必要です。

また、業務委託契約を利用すると下請けの2次受けになることが大半です。そのため、元請への申請や提出書類が必要となります。また、業務委託契約を結んだ相手の仕事の責任は依頼した会社が管理する必要があります。また、社会保険の保険料分は負担することは変わりません。

これらのことから、実態としてアルバイトである業務を請負契約として仕事をさせるメリットはデメリットを大きく下回るものです。また、結局偽装請負自体は訴訟にならなければ白黒つけられるものではありませんが、元請業者など工事現場を共にする業者から見た時に信用を傷つけかねない大きなデメリットもあります。

2 アルバイト雇用手続き

アルバイト雇用手続き

アルバイトを採用するのも、簡単ではありません。しかし、アルバイトも事業に参加してくれる重要な戦力です。採用することは会社と初めて行う作業になります。この時に、適切かつ迅速に進めることは、その後の仕事の進め方に良い影響を与えます。逆に、不適切で遅滞気味な採用手続きでは、せっかく応募してくれた人材を逃がすことや、モチベーションを下げてしまうことになりかねません。

一方で、採用をするタイミングは仕事が忙しい状況が多く、かつ採用した瞬間から仕事を教える新しい仕事も増えます。そのうえで、雇用開始に伴う事務手続きが加わります。重要なのは、仕事を回すことであり、新しい仲間に仕事を理解してもらうことです。そのためには、できるだけ事務手続きは適切かつ迅速に終わらせることが必要です。

ここでは、雇用開始までの手続き全体を間違いなく実施できるように、ポイントをまとめます。手続きは大きく以下の3つになります。

≪手続き≫

雇用開始までの手続き

  1. ①労働条件通知書兼雇用契約書を締結する
  2. ②アルバイトスタッフから必要書類を受け取る
  3. ③社会保険に加入する

2-1 雇用手続きの詳細

雇用手続きの詳細

①労働条件通知書兼雇用契約書を締結する

アルバイトだからという理由から、労働条件や雇用契約の説明プロセスを省略や簡略化するのはお勧めできません。アルバイトスタッフは、一緒に働く以上は正社員同様に貴重な戦力です。建設業では、仕事の取り組み方でその成果が大きく変わる業務も多数あります。これらの仕事の成果物の成果を問われるのは、仕事をさせた雇用主=社長になります。一緒に働く自覚を労働契約の締結のプロセスを通じて持ってもらうことが大事です。

労働条件通知書は、書面交付が法律で義務付けられています。明示は当然として、相手に内容を理解してもらうようにしましょう。一方で、雇用契約については交付が法律で義務付けられているわけではありません。しかし、明示したことと契約内容にも同意したことを保存するために、労働条件通知書兼雇用契約書を作成することが一般的です。労働条件通知書兼雇用契約書は文字通り、『労働条件通知』と『雇用契約』を1つにした書面になります。この書面に採用しようとする方と事業主の双方が署名捺印し合意したことを保存します。

●電子公布

2019年4月より、労働者が希望してかつ特定できる送信方法であることと労働者が印刷できる状況にあるという3つの条件を満たした場合にはFAXまたは電子メールにて電子公布も可能となりました。

②アルバイトスタッフから必要書類を受け取る

アルバイトスタッフからは雇用契約をする時に、提出してもらうべき必要書類があります。採用することを伝える時に、あわせて用意をしてもらうように依頼をします。雇用を開始するまでに書類を用意してもらおうとすると、健康診断書など取得に時間が必要になる書類もあります。

≪必要書類≫

マイナンバー 税金や社会保険手続きや申請にマイナンバーの提出が必要となりました。アルバイトの方に扶養家族がいる場合は扶養家族分のマイナンバーも必要です。マイナンバーの取り扱いには特に注意が必要です。
健康診断書 健康診断書の提出は法律で定められていません。採用する人の健康状態を確認することを目的に、提出を求めることが一般的になっています。
住民票記載事項証明書 採用する人の現住所地を確認することを目的に提出を求めることが一般的になっています。なお、本籍地に記載を求めることがないよう行政指導があるため、本籍地が記載されていない“住民票記載事項証明書“を依頼します。
免許や資格の証明書 運転免許書など、業務上必須な資格を採用の条件としているケースも多くあります。その際には、必要としている免許や資格を持っていることを証明してもらうことを忘れずに実施します。
身元保証書 業務上のトラブルや業務違反などで会社に損害を発生させたときの身元保証人が必要な場合には、提出を依頼します。特に、アルバイトの方が未成年などの場合には必須で身元保証書を提出してもらいます。
給与振り込み口座の登録申請書 給与の支払いは一般的には銀行振り込みになります。その給与振込口座の確認のために登録申請書の提出を依頼します。
源泉徴収票 同じ年に別の会社で勤務していた場合には、以前に勤めていた会社が交付した源泉徴収票を依頼します。

なお、雇用した人に被扶養者がいるかは面接の時に聞いておきましょう。その場合には『健康保険被扶養者異動届』や『国民年金第3号被保険者該当届』など必要となる書類がふえます。

③社会保険に加入する

社会保険はそれぞれ届出先や期限があります。間違いのないよう、初めての際には事前確認に留意します。

保険名称 保険申請先* 期限
雇用保険** ハローワーク 採用の翌月10日まで
健康保険と厚生年金保険 年金事務局 採用後5日以内
労災保険 労働基準監督署 採用後10日以内

*保険申請先は、事業所を管轄する申請先になります。
**雇用保険資格取得手続きには、年金手帳に記載されている被保険者番号が必要です。

3 まとめ

まとめ

建設業の中小企業や個人事業主がアルバイトを雇用しようとする時は、雇用契約と社会保険に関わる手続きがあります。これらの手続きは1度実施してしまえば、2回目からはそれほど難しい作業ではありません。

ただし、初めて実施する時には勝手がわからないため、手戻りなどが発生することも多くなってしまいます。法律に関わる部分や申請に必要な部分などを適切に把握し、事務作業に手間と時間をとられないようにすることが大切です。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京