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建設業が取り組むデジタル化とは?また、何が変わるの?

最近メディアでよく使われている言葉として“DX”が注目されています。DXとはデジタルトランスフォーメーション「Digital Transformation」の略で、テクノロジー(技術)を導入・活用しビジネスモデルや仕事のやり方を再構築・改革することです。具体的には、今までは人手や時間が必要だったプロセスを機械化や自動化することになります。人手を使うと時間が掛かりすぎる大量のデータと計算を一瞬で行えるAIの活用などがその例です。

“人の手でやっていたことを、機械やコンピュータが代わる”ということは様々な業界で継続的に行われています。これを総合的にICT(Information and Communication Technology)化と言います。ICTに取り組むことで、『顧客』『企業価値』『社員』など業界や企業に関わる全体の価値や満足が向上します。そんな社会全体の流れともいえるICT化に、建設業も取り組んでいます。

今回の記事では、建設業が取り組んでいる”i‐Construction”の概要と課題、その他のICT活用ポイントなどを紹介します。

1 建設業のデジタル化

建設業のデジタル化

少子高齢化が進む現在の日本においては、デジタル化による限られた人手で業務生産性を向上させていくことは必須と言えます。このデジタル化の必要性は、現在の就業者が高齢化しながら若い就業者の流入が少ない建設業界にとってはより緊急性が高い課題となっています。

建設業は、もともと3K(きつい・汚い・危険)のイメージや賃金が易い印象がある業界でした。そのため、若い従業者が希望しにくい業界となった結果、他の業界とくらべても急速な就業者の高齢化と減少が進みました。建設業就業者はピークから200万人(約3割)の減少となっています*。

一方、建設業の市場規模は16兆円を超えています。東日本大震災などからの復興や東京オリンピックの建設需要など建設業の需要面は近年高止まりの状況が続いています。2011年(平成23年)移行で建設投資額は継続的に拡大を続けています**。また、震災対策やこれからピークを迎える道路や施設などの生活インフラのメンテナンス需要など建設業への需要は今後も継続することが予想されています。国内需要に加えて、近年スーパーゼネコンといわれる建設業最大手を中心に海外事業にも力を入れています。

これらのことから、従業者の減少と需要の拡大というアンバランスが発生しています。そのため、建設業は継続的な重要課題としてこのアンバランスの解消が求められています。建設業が取組んでいることは、大きく『労働環境の改善』と『生産性向上』です。

『労働環境の改善』と『生産性向上』

労働環境の改善は、『健康管理』『労務管理』『賃金アップ』などを柱として改善を進めています。建設業のイメージを前述の3Kから新3K(給料が高い・休暇が多い・希望がある)へ一新することを目指しています。労働環境を改善することで若い就業者が希望する業界となることが期待できます。また、現在の建設業従業者の他の業種への流出を抑えることが期待できます。

建設業の生産性向上のためには、国土交通省が2016年からデジタル化を推し進めることを目的に”i-Construction”という新たな取り組みを導入します。i-Constructionは、建設業界全体の生産性向上を目指す取り組みです。この取り組みによって人材不足の中で需要が高いアンバランスを解消することが期待されています。生産性が向上すれば、これまでと同じ人数であってもより多くの工事量に対応することができます。

また、生産性が向上すれば1名あたりで対応できる工事量が増加します。1名当たりの工事量の増加は、事業の売上や利益向上につながります。1名あたりの利益が向上すれば、企業としても従業員への賃金増加につながることが期待できます。

*総務省統計局『労働力調査』より
**国土交通省『令和元年度 建設投資見通し』より

1-1 i- Constructionとは

i- Constructionを建設業で浸透させることで建設業の生産性は約2倍へと向上し、賃金水準の増加や働き方改革を進めることが見込めます。2018年9月に、当時の総理大臣である安倍総理が開催した第1回未来会議では、建設業の未来投資と課題について議論されました。その中で、2025年までに建設現場の生産性を20%向上させるという数値目標が設定されました。

この数値目標を実現させるため、3年以内に新たな建設手法の導入を行う戦略が提言されています。新たな建設手法とは公共工事現場の測量にドローンなどを投入し、調査・測量から設計、施工、検査、意思管理・更新まで全ての建設生産プロセスにICTなどを活用することです。

i-Constructionには以下の『ICTの全面的な活用(ICT土工)』以外にも以下の2つのトップランナー施策が盛り込まれています。

施策内容

  • ・全体最適の導入(コンクリート項の規格の標準化など)
  • ・施工時期の平準化

*首相官邸「2018年9月12日未来投資会議」より

〇ICTの全面的活用

3次元データを活用するために15の新基準や積算基準を整備し、『ICT土工』が実現できる体制を実現しています。また、国が発注者となる大規模土工工事はICT活用を指定しています。加えて、中小規模土工工事についても発注者が希望することでICT土工を実施することができます。建設業者への負担を軽減するために必要な費用は計上できるようにし、工事成績表店も加点評価対象としました。

これらの促進策の結果、ICT土木は施策が開始された2016年には584件が実施されました。2019年の実施数は1799件となり3年で3倍まで増えています*。

ICT土木の導入効果は、工期短縮『起工測量日数が大幅に短縮できたこと』や安全性向上『手元作業員の配置が必要なくなり、重機との接触などの危険性が大幅に軽減できた』という現場の声が拾われています。

*国土交通省『i-Constructionの取組について』より

〇全体最適の導入

i-Constructionのトップランナーの残る2つが『全体最適の導入』と『施工時期の平準化』です。このどちらの施策も、現場の生産性向上につながるものとなっています。

全体最適の導入は、コンクリート工の規格を統一が代表例となっています。具体的には、過去は現場ごとにコンクリート工の規格が異なっていることに起因して、原材料メーカーや建材メーカーなどのサプライヤーが工期や品質に有利な技術を導入することを困難にしていました。コンクリート工の規格を統一することで、サプライヤーはより工期を短くかつ品質を向上させる技術を練磨することを実現でき、かつサプライヤー同士の競争が生まれます。

そのため、設計・発注・材料調達・加工・組立などの一連の生産プロセス全体の最適化を考慮し、 部材の規格などの標準化を行いプレキャスト製品やプレハブ鉄筋といった工場製作化を促進し、コスト削減・生産性向上を目指しています。

また、現場打ちやプレキャストの生産向上につながるスキルを建設業全体に普及することを目指して平成28年7月に機械式鉄筋定着工法の配筋設計ガイドラインを整備しました。この機械式鉄筋定着工法の採用で、鉄筋工数と工期が従来比でおよそ10%の生産性向上に寄与することとなりました。また、平成29年には土木工構造物設計ガイドラインも改訂されました。

〇施工時期の平準化

公共工事の特性上、4月から6月に工事量が少なくなるという偏りが生まれていました。そのため、繁忙期と閑散期が生まれてしまい、繁忙期には工期に追われて休みなどが取りにくい状況も生まれる一方で、閑散期には仕事自体が少なくなり賃金が減る事態が発生していました。人材を効率的に活用するためには、工事量の波を解消して平準化・安定化させるために施工時期の平準化が必要でした。

施工時期の平準化に向けた動きは、早期発注の活用があります。早期発注とは、新年度に発注する予定の工事を債務負担行為の設定をして前年度中など早々に工事着工を可能にするものです。また、令和元年6月の品確法改正時に、公共工事の施工時期の平準化は発注者の責務となることが明文化されています。同様に、入契法でも公共工事の発注者は同様の施工時期の平準化のための方策を実施することを努力義務化されています*。

*国土交通省『公共工事の施工時期の平準化に向けた取組について』

1-2 取り組むべきメリットと課題

取り組むべきメリットと課題

i-ConstructionにおけるICT活用は、測量と施工と検査の3つで主に活用されます。それぞれICT活用が大きなメリットとなっています。

〇測量におけるメリット

ICT活用以前は、測量の多くは人の手で実施することが必要でした。そのため、施工前の測量と施工後の検査や確認について、現場に技術者を派遣して状況把握を行っていました。しかし、ICT活用を実施できると、人が実施していた工程をドローンなどの機械が代用することができます。

ドローンは三次元測量や空撮などを行うことができます。従来は二次元の測量であったため、問題が発生した場合にはデータだけで問題を把握することが難しい状況でした。そのため、技術者による現場検証が必要でした。

しかし、三次元測量と映像があることで、社内で現場検証と同様の正確性で把握することができます。同様に、空撮を取り入れることでも検査や確認を人が作業することと比較すると大きく時間や精度を改善させることができます。

〇施工におけるメリット

施工にICTを取り入れる具体例は、パソコン操作による遠隔自動操縦のユンボなど重機があります。重機の操作は、免許が必要であったためスキルが特定の個人に紐づき集約されている実態がありました。しかし、遠隔で自動操作が実現することで、個人がもつ経験やスキルによらない操作を実現することができます。

自動操縦が実現するもう一つのメリットは、女性の活躍です。かつては重機の操作は男性の仕事ではありましたが、遠隔によってオペレーション化しているため、自動操縦が進めば女性の活躍を後押しすることに繋がります。

そして、人が入ることが危険な震災などの現場でもICT機器は大きく活躍できる点もあります。人が入れない場所での工事をしようとすると、まずは人が入れるようにする安全確保の作業が必要になっていました。そのため、人が入る必要のないICT機器の活用は緊急時の工事着手を早めることができます。

〇検査におけるメリット

三次元測量は必要なデータを集計して図面化することができます。そのため、今までは人が実際に測量を実施しなければいけなかったことを、図面から計算・確認することができます。また、データは取得後に別の用途にも利用することができるため、事前の計画に入ってはいなかったため検査をし直すといった手戻りの手間が発生しません。

測量、施工、検査ともにいえることではありますが、人の手で実施するということは間違いが発生する可能性も否めません。もちろん、機械を通して実施してもエラーなどはありますが、人のスキルに依存することに比較すれば正確性が担保されています。そのため、間違いによるやり直しが抑えられることと、人のスキルに依存することによるコストの増加を抑えることがICTによって実現できます。

1-3 導入の課題

i-Constructionを導入することは、メリットは大きいことはすでに実証済みと言えます。それでも、導入に課題もあります。i-Constructionに関わらず、デジタル化ならびにIT化を進める上での課題としても共通の課題言えます。その課題は、以下の3つに集約されています。

導入の課題

  1. ①導入には費用負担が発生する。(特に導入時のキャッシュアウトが大きい)
  2. ②ITスキルやリテラシーの習得が必要
  3. ③導入判断をどうしたらよいのか分からない

①導入には費用負担が発生する。(特に導入時のキャッシュアウトが大きい)

i-Constructionに関わらず、ICTの導入には費用が発生します。事業規模の大きい企業であれば、その費用を吸収することは容易であるかもしれません。しかし、導入費用の負担が出来ないことからICT導入を避ける中小企業がいるのも事実です。

建設業も他の業界も中小企業とそこに従事している従業員が多くいます。また、建設業においては、大手は仕事の受注と監理を行い、実際の建設工事は中小企業の下請が行う構造になっています。これらのことからより効果的なICT導入を実現するためには今後も費用負担面の課題は残っていると言えます。

②ITスキルやリテラシーの習得が必要

ICT技術を効果的に活用するためには、セットでITスキルやITリテラシーが必要になります。これは、今までの建設現場で求められていたスキルやリテラシーと異なってきます。

具体例として、三次元測量をするためにドローンを活用する場合には、ドローンの操作が必要になります。ドローンを安全かつ正確に飛行させ、必要な情報を撮影する技術です。また、撮影したデータを利用して測量・設計図作成についても画像処理やソフト操作が必要になります。

ICT導入の際には、その期待される効果が大きいと特に効果にのみ目が奪われがちです。そのため、実際に導入した時に誰が操作・管理するのかそもそもできるのかという確認をおろそかにしがちです。その結果、必要なITスキルやリテラシーを獲得せずに、ICT導入だけを行うと『使えない』『使わない』ということになってしまいます。

そのため、ICT導入には必ず誰がどのように取り扱うのか、そのためにはどのようなことを理解・学ぶ必要があるのかを事前に確認しておく必要があります。一般的には、ITスキルなど新しい技術を扱うのは年齢が若い人に任せることが多くなります。ITについては、若い人材ほど新しいことへの吸収が早い点と、若手にとっては新しいスキルや活躍の場につながるのでプラス面が多くなります。積極的に研修などに参加させ、学習の場と目的を理解させたうえで実践の場を提供します。

一方で、今までの測量方法で活躍していたベテラン測量士の生産性を維持・改善していくかという課題もあります。どうしても50代など定年や引退が見えてきている年齢層は新しい変化を敬遠しがちです。しかし、ICT化は熟練技術者のノウハウをITの力を借りて組織全体に定着させていく側面があります。あくまでITやICTの機器はツールであるため、それらのツールを使ってどんな成果をだすかはどんな運用でどう使うかによって大きく差が出てくることになります。ここに熟練技術者の意見ややり方を上手く取り入れることが必要です。

③ 導入判断をどうしたらよいのか分からない

ICT導入すべきかどうかの判断は、簡単ではありません。特に、前述のとおり費用は大きく導入企業は中小企業では決して多くありません。その中でも、導入すべきかどうかを判断しなければいけません。

この判断をする時に実施するのが、費用対効果検証です。導入することによって発生するコストと効果のバランスを見ます。コストは導入する際に発生するコストと毎月など継続的に発生するランニングコストを計算します。これは導入業者に見積もりを依頼すれば計算してくれます。

また、導入による効果はできるだけコストと比較が簡単にできるように金額換算します。生産性が向上できるのであれば、それにより人手を減らすことができるので1時間当たりの人件費換算などをしていきます。そのうえで、コストと比較して利益が多いのであれば導入という判断にはなります。

しかし、あくまでシミュレーションである点とどれだけ事業にとってプラスになるのかということを考えることは簡単ではありません。また、シミュレーションと実際が大きく乖離するなどもあるため、判断すること自体が難しいと言えます。

『導入費用』『導入後のスキル・リテラシー』『導入判断』など、課題が多いと感じるかもしれません。しかし、新しく事業の中に組み込んでいく時には必ず発生する課題です。また、建設業界の従事者の減少という課題を解決するための生産性向上であるため、変化は必須です。その中で、何をするにしても同様の課題はあります。時間をかけても生産性向上を達成しなければ生き残ることが難しくなることを前提に答えを探すことが求められます。

2 ICT化のポイント

ICT化のポイント

2000年以降、日本全体の少子高齢化への対策ならびにICT技術の発展が重なって、働き方は大きく様変わりをしてきました。その結果、生産性が向上してきました。それは建設業も同様です。営業や管理や経理などの仕事は効率化されてきました。

しかし、中小企業や個人事業主がその大半を占める建設工事現場の効率化が思うように進んでいませんでした。その理由が、前述の課題としてあげたICT技術を導入するための設備投資の費用やスキルを修得することが進まなかった結果です。また、年齢が高い人が多く若年層の就業者が流入していなかったため過去からの働き方がそのまま継続されやすい環境となっていました。

このような建設業界であるからこそ、ICT技術の導入は効果を発揮することができる、とも言えます。また、年齢が高くなった技術者や労働者だけでは建設業の需要や社会的使命を支えきれなくなっている今、変化は必須です。そのためには、i-Constructionを含めてICT導入は必須と言えます。あとは、ICT化をどのように進めていくかが課題となります。ICT化を進める上でのポイントと、具体的なソリューションをここでは紹介します。

2-1 安全管理

建設業では、建設現場で働く作業員の安全管理は必須です。全産業に占める建設業の死亡者数の割合は平成元年以降継続的に30~40%の高い割合を推移し続けています。平成26年の業種別死亡者数割合は、建設業で36%となっていて、全産業のワースト1位になっているだけでなく、2位の製造業の17%と比較して2倍以上の数値であり、断トツの数値です*。

当然、過去から安全性の確保のための工夫や声掛けなどは実施していました。しかし、ICTを導入することで、状況を改善することが期待できます。スマートフォンやセンサーといったIoTデバイスの活用によって作業者がどこにいるか、また稼働中の重機に接近した処などの危険な場所にいないかを本人とその現場監督者などにオンタイムに通知することやスマートフォンに警告音を鳴らすことなどが可能です。

これは、近年人材不足解消のために導入が進むAGV(無人搬送車)や自動運転の重機などを活用する現場も増えてきているため、より一層安全面の確保のために活躍することが期待されています。

また、位置情報だけではなく、映像と音声でコミュニケーションをとることや、万が一トラブル発生の際には遠隔地からでも現場の映像を見ることで正確な状況把握を実施できたうえで的確かつ素早い対処ができます。また、映像や位置情報のログも残すことができるので、それらを使って事故が発生した状態を再現・検証ができて、事故原因の追究や再発防止策の策定にも役立てることができます。

さらに、近年話題になることが多いAI技術の発展による画像判定技術の活用も広がっています。過去には画像判定は、製造業の出荷検品作業の際に製品の傷や凹みなどを確認するために活用されていました。現在の画像判定技術では、作業者の不安全行動監視や安全装備の装着確認などに適用され始めています。

具体例としては、各箇所に設置した定点カメラを設置することで高所からの転落防止に活用する安全帯フックの2丁掛けなどの徹底状況の判定などをAIによる画像判定ができます。AI画像解析でフックと安全バーの位置関係から、適切にフックが安全バーにかかっているかを判断していきます。また、ヘルメットやハーネス型安全帯の装着などの安全装備状況をチェックすることもできます。

これらのAI活用により、作業者は常に見られている意識を持つことができ、より安全を意識した行動をとることを促進でき、自己を事前に防止する効果が期待できます。また、安全に反する行動を発見した際には注意喚起のためのアラートや、管理者や本人にオンタイムにメールなどで知らせが行くことで即時に指導を実施できます。

*参照|北陸地方整備局企画部『工事事故の発生状況と安全管理について』

2-2 情報共有

情報共有

社内や部署の情報の共有は、ICT化の導入が比較的簡単に進められる部分です。そのため、多くの企業でICT導入の足掛かりにしています。具体的には、勤怠情報のペーパーレス化などが身近な例と言えます。スマートフォンを利用し勤怠管理を行えば、情報の集計・計算までも自動で出来るため管理コストの削減ができます。

それ以外でも、台帳や図面も紙媒体管理が主流でしたが、電子データで保管することで連携・共有が簡単になっただけでなく、保管やインクや紙などのコスト削減も同時に実現できます。

〇作業のシステム化とスマートグラス

情報共有で重要でかつICT活用により生産性が向上するものの1つが、作業のシステム化です。

従来は作業を正確に実施するためのマニュアルや手順書は紙のマニュアルや手順書が作成されていました。しかし、経験の浅い作業者や近年増加している外国人労働者などが増えているため、マニュアルや手順書の誤理解や忘れなどが発生することもあります。しかし、点検作業などで誤りや手順を飛ばしたりすると出来上がった建築物や建設物に重大な影響が出る恐れがあります。

そのために進められているのが、点検作業などの手順が決まった作業のシステム化です。作業内容を映像と文字で1手順ずつ登録しておくことで、作業者は現場でスマートフォンを利用してその内容を確認しながら、手順に沿った正確な作業を実現できます。また、一つ一つの手順は完了ボタンを押すことで次の画面が表示される仕組みにすることで誤って手順を飛ばすことも抑止できます。さらに、画面にチェックボタンをつけて、そのチェックを実施すれば作業が終了するため、事務作業自体の軽減にもつなげることができます。

さらに、その操作速度を確認することで業務の理解度や習熟度を測ることができるため、サポートがまだいる作業なのか一人でも間違いなく実施できる作業なのかなど、数値から判断することもできます。

同様に、情報共有で重要でかつICT活用により生産性が向上するのが、故障や事故などのトラブル対応になります。スマートグラスなどを活用して現場の画像を集積しておくことで、管理者や監督者は現場の映像を作業者の目線で確認することができます。そのため、遠隔地からでも状況を把握した上で的確な指示や命令を出すことができます。今までは、作業者が口頭で現状を報告することに頼るか、自身が現場に行くかしないと状況を把握することができない状況からは大きく改善が期待できます。

スマートグラスを活用することで、両手で作業をしながらマニュアルや設計図などを確認しながら管理者や上司の指示を仰ぐことができるため、熟練者不足の解消の一助になると期待されています。また、過去は作業者からの報告に頼るほかなかった確認が映像を見ることで確認できるようになったことは正確性と報告書作成と報告自体の作業削減に寄与しています。

2-3 移動時間の削減

移動時間の削減

建設業において移動時間の削減は、重要な生産性向上に寄与します。管理者は工事現場の中を行き来するだけでなく、打ち合わせなどのために工事現場と会社間の行き来もたびたび発生していました。工事現場は広く、会社とも離れていることが多くあるため、移動時間が生産性の足枷になっている場合もありました。

しかし、テレビ会議システムやスマートグラスなどの導入によって会議室や現場に集まることなく打ち合わせや会議を実現できます。特に、近年はZOOMやSKYPEなど高画質・高音質の会議システムが無償や安価で活用できるため、移動時間の削減に大きく寄与しています。

3 まとめ

まとめ

今回は、建設業における生産性向上を目的としたプロジェクトであるi-Constructionの背景や概要や、ICT活用のポイントについてまとめました。今までは、ICT導入について中小企業が活用することで建設業全体の生産性向上や環境改善にプラスの影響が出てきます。

そのためには、ICT導入コストを抑えることや効果を分かりやすくするなど課題はまだありますが、それでもICTツールは日々進化を続けています。そのため、より良いサービスが無償や低価格で実現できるようにもなっています。

少しずつでも生産性を向上させ、建設業が職場や現場の環境改善を行い『新3K 』や生産性20%改善が実現できるように、小さいものでもICT導入を行い、生産性向上の手ごたえを得ることが必要とされています。

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