建設業許可申請ならKiND行政書士事務所

電話無料相談受付中!0120-698-250メール相談はコチラ
建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京

建設業許可に必要な「営業所」の要件とは?

建設業許可を取得する上で注意すべきポイントに、「営業所の設置」という問題があります。
営業所は、「請負契約を締結するに至る事務所」と定義されていますが、具体的にどのようなケースだと営業所として認められ、どのようなケースだと認められないかに関しては、様々なケースが存在します。さらに、営業所は場所の要件だけでなく「人の要件」も求められ、適正な役員・使用人および専任技術者の配置も必須となります。

今回の記事では、「建設業許可における営業所の定義」を踏まえ、営業所として認められるケース・認められないケースに関して検討するので、ぜひご参考ください。

1 建設業許可における営業所とは

一般的な営業所のイメージといえば建物や作業場となりますが、建設業許可における「営業所」の定義はかなり細かく、様々な条件が存在します。また、ビジネスの拠点としての物理的な営業所の存在だけでなく、営業所に常駐する人員も重要になります。

加えて、営業所の増設・移転・主要人員変更等各種変更時には、変更届の手続が必要となります。加えて、免許更新や法人成りの際も、営業所に関して届出を行う必要があります。営業所の要件を満たすことは、免許取得や更新・法人成りの際の必須事項となります。

なお、建設業許可取得に関しては行政書士が申請代行を行う権限を有しています。そのため、建設業許可取得の手続に関しては、行政書士に一括してお任せし、事業者は複雑な書類手続よりも本業に取り組むことが望ましいと言えます。

ハコ・ヒトの面で営業所の要件を満たす基本的なポイントや、事業所として認められないケースなどの注意点は以下の通りです。

1-1 営業所として認められる基本的な条件

営業所として認められる基本的な条件

建設業に関わる重要な法律である、建設業法の第3条では、下記の通り定義されています。

“建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店または支店もしくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ)を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない“

つまり、建設業を行う上では、「建設業法に定める営業所の設置」が必須で、営業所が1都道府県のみに存在する場合は都道府県知事の許可、2都道府県以上に存在する場合は国土交通大臣の許可が必要となります。

実際の手続上は、都道府県知事許可・国土交通大臣許可ともに、都道府県の建設業許可担当課が窓口になることには変わりません。ただし、後ほど述べますが、都道府県の場合は特に、都道府県ごとに微妙に書類が異なる、その他細かなローカルルールがあるなど注意する必要があります。

それでは、営業を行い、契約を締結する拠点としての「営業所」として認められるためには、どのような条件を満たすことが必要なのかを表にまとめると、以下の通りです。

営業を行い、契約を締結する拠点としての「営業所」として認められるために

請負契約の締結に足る事務所であること 請負契約の締結に関する実体的な行為、例えば見積や入札、契約等の作業を行える事務所であることが要される。
・登記上の本店に過ぎず、実際の事務所が存在しない、もしくは実際の営業活動を別の場所で行っている
・建設業と無関係な支店(店舗)であり、別の業務を行っている
・請求や入金等の事務作業のみを行う事務所となっており、契約作業や見積
・入札の作業は行えない
・単なる事務連絡所に過ぎない
・工事作業員の詰める工事事務所や作業所等である以上のケースの場合は営業所には該当しない。
ただし、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば営業所として該当するケースもある
実体的な業務ができること 外からお客様に来てもらい、請負契約の見積り、入札契約締結等、実体的な業務を行えるスペースがあること
独立性 電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備えていること。(もちろん、台帳は電子データでも原則問題ない)
契約の締結等ができるスペースを有することも必要。複数の法人や個人事業主が存在するスペースの場合、他法人または他の個人事業主の事務室等とは間仕切り・パーティション等で明確に区分されている必要がある。
地域によるが、個人の一戸建て住宅を営業所とする場合でも、問題はないケースが多い。(ただし、賃貸物件で、居住専用での物件は不可)個人住宅や、営業可能な集合住宅の場合、居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれていることが前提となる。加えて、本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ない。ただし、第三者が見て明らかに営業所と分かるように看板等を掲示する必要がある。営業形態も別とし、本店と営業所が区別され、営業所としてのスペースが存在することが求められる
使用人の常勤 常勤役員等または建設業法施行令第3条の使用人が常勤していることは必須となっている。名義貸しなどはもっての他というのは当然として、非常勤の役員・使用人も不可であり、常勤であることが求められる。なお、常勤の定義は、「原則として本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していること」とされる。
その他にも条件があるが、後ほど述べる
専任技術者の常勤 専任技術者の常勤が求められる。こちらも非常勤の専任技術者は認められない
営業用事務所としての使用権原を有していること 自己所有の建物か、営業物件として契約を結んでいるビルなど、「ビジネスとして使って良いスペース」であることが要される。住宅専用物件として契約しているマンション・アパートは不可で、契約書類で確認される
建設業事務所としてのわかりやすい表示 看板・標識等で、外から見て建設業の営業所であることが容易に分かる表示があること。まt、建設業許可取得後は、玄関などに様式に沿った営業許可証を掲示することが必要。

以上の要件を全て満たす必要があります。事務所の実態が申請書上で把握できない場合に加え、申請書の受付後でも、営業所の要件を満たしているか否かが不明な場合などには、立入り調査が行われる可能性があります。

その際に、「やはり営業所としての要件を満たしていない」とされると、免許取消等の処分がされる可能性もあります。営業所や使用人・専任技術者の常勤などの条件を満たしていても、後から使用人・専任技術者の死亡・病気・退職・欠格事項該当などで、使用人・専任技術者が欠けた状態になった場合は、2週間以内に人員補充をし、届出書により届け出る必要があります。日にちに関しては、登記日・社会保険の加入日なども厳しく確認されるため、早急な手続が必要です。

1-2 営業所に該当しないケースとは

一方、営業として認められないケースは以下の通りです。

そもそも事務所としての実態が存在しない、またシェアオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスなどの業態である シェアオフィス・バーチャルオフィス・コワーキングスペースについては原則不可と考える必要がある。建設業の場合は独立した事務所であることが原則。バーチャルオフィスの場合、住所・電話番号などの所在地名義貸しのため、認められない。また、シェアオフィス・コワーキングスペースの場合は、入り口に看板・標識を掲げる規定があるため、こちらも非常に厳しい
役員か使用人および専任技術者が常駐していないか、他の営業所を掛け持ちしている 役員・使用人および専任技術者に関しては、常勤の事務所1カ所に常駐している必要がある。営業所が複数存在する場合は、役員・使用人や専任技術者が両方を掛け持ちすることは認められず、それぞれの事務所に常勤の役員・使用人および専任技術者を配置する必要がある
契約等に必要な独立スペースが存在しない 請負契約を行う上では、商談用のイス・机などの応接セットが必要。また、他の事業所も入っている場合は、パーティションなど仕切りで独立したスペースを設ける必要がある
看板・標識などが設置されていない、設置できない 営業所として認められるためには、入り口や周辺に看板が設置され、明確に建設業の事務所と外からわかるようにする必要がある。また、建設業許可取得後は入り口の周囲に建設業許可票を掲示する必要があり、許可票を設置できる場所であることも重要
常勤役員・使用人および専任技術者が常勤であると認められない条件に該当する 一般的には、週5日・終日勤務であれば問題がないようにも思われるが、下記のケースの場合は「他との兼務」と見なされ、条件に当てはまらないケースがある。
・住所が勤務を要する営業所から著しく遠く、一般的に考えて毎日の通勤は不可能だろうというケース(東京都の場合は、おおむね通勤時間として片道2時間以上が該当し、この場合は定期やETC記録の提出など通勤確認のできる資料を求められる可能性がある)
・登録予定者が、既に個人事業を行っているケース
・同じ建設業で、他社の技術者・経営管理責任者・常勤役員等および常勤役員等を直接に補佐するなど、他の会社に対し関与している
・他社の常勤役員・代表取締役・清算人等を行っている
・他の法令により専任性を要するとされる、管理建築士、宅地建物取引士等として既に登録し、業務を行っている。
以上の通り、常勤役員・使用人の常駐および一事業所に必ず一人以上の専任技術者が常駐する必要があり、様々な意味での兼務は認められない

1-3 営業所に備え付けるものとは

営業所に備え付けるものとは

営業所には、建設業務にかかる帳簿の備付および保存の義務があると共に、許可が下りた後は、事務所に許可標識を掲示する義務があります。一般的には、事務所の入り口に掲示するケースが大半と言えます。許可標識を通して、第三者からも建設業者の各種情報や取り扱える建設業務の種類が容易に判別できます。

1-4 営業所の代表者は、欠格要件に該当してはならない

それぞれの営業所の代表者が「欠格要件」という、「建設業の仕事を行うことが能力的に難しい、もしくは代表者として不適格」な状況になった場合は、新しい役員を選任するか、事業所を廃止するなど適切な措置を速やかに取る必要があります。

欠格要件は下記の通りです。

破産手続の開始を受け、復権を得ていない者 破産手続の開始を受け、免責などが行われるまでは「破産者」という扱いになるため、欠格要件に該当する。ただし、免責を受けるなど復権した場合は、再度代表者となることが可能。なお、個人再生や任意整理の場合は問題ない
精神他認知機能に問題があり、業務を正常に行えない者 精神の機能の障害他認知機能の障害により、建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことができない場合は、欠格要件に該当する。書類として、成年被後見人または被保佐人として後見登記されていないことの証明書(各都道府県の法務局本局窓口か、東京法務局の郵送窓口で取得)が必要となる。なお、被補助人の場合は該当しない。
成年被後見人または被保佐人(もしくは昔の禁治産者)にあたるケースの場合、必ずしも成年被後見人・被保佐人であるから、業務を正常に行えないという扱いを受けるわけではない。
成年被後見人・被保佐人の場合、契約の締結およびその履行にあたり必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことができる能力を有する旨を記載した医師の診断書を添付することが要される。
被成年後見人・被保佐人の場合でも、契約締結や履行を行うにたる認知能力があれば、欠格要件に該当しなくなる可能性もある
不正手段で許認可を受けるなど、不適切な行為があった場合 不正の手段で許可または認可を受けたこと等により、その許可を取り消されてから5年を経過しない者
不適切な行為を行った可能性があるが、聴聞逃れのため廃業した場合 不適切な行為を行い、聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、聴聞逃れと見なされる。当該廃業の届出から5年を経過しない者
不適切施行で公衆に危害を与えるほか不誠実な行為を行った場合 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき、あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
禁固刑以上の刑を受け、5年を経過しない場合 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(執行猶予が付与されている場合は、執行猶予期間中が対象となる。執行猶予満了後5年ということではない)
大幅なスピード違反や事故、危険運転、飲酒・酒気帯び運転など重大な違反行為で、懲役刑・禁固刑になる恐れもあるため、十分に注意する
建設業関連の法律や反社会的勢力に対する法律で罰金刑以上の刑に処せられ、5年を経過しない場合 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、もしくは暴力団員に
よる不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者。建設業関連や暴力団関連の法律に関する刑の場合は、罰金刑という軽い種類の刑でも5年間は登録できない
暴力団員・脱退後5年経過しない元暴力団員 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日か5年を経過しない者

このように、事業を適切に運営できるか、問題のある行為を個人として行っていないか、反社会的勢力に属していないか(反社会的勢力脱退後5年が経過したか)などの点が問われます。

1-5 営業所の確認調査とは

営業所の確認調査とは

営業所の確認調査とは、営業所そのものの実態確認の他、経営業務の管理責任者・営業所毎の専任技術者が法律の規定に適合するかを各種必要書類、場合によっては実地調査で確認するものです。都道府県により、確認資料・実地確認は異なりますが、一般的には下記の確認資料を求められることとなります。具体的な提出書類に関しては、必ず都道府県の手引き等を参照して下さい。

営業所の確認資料 ・営業所の所在地付近の地図(大手地図製作会社の地図を利用する場合は、著作権の関係上正本に許可証を貼り付ける必要あり。ある大手地図製作会社の場合、営業所にて1枚税別200円で購入可能。また、オンラインショップの場合は25枚単位で購入可能となっている)
・営業所の写真(外観・営業所内を複数の角度で)
・建物の所有状況を確認できる書類の写し
(自社所有物件の場合は登記簿謄本、賃貸借契約物件の場合は、建物の賃貸借契約書など。なお、賃貸借契約書に居住専用物件である旨が記されている場合は、営業所として利用できない)
経営業務管理責任者に関する確認資料 ・住民票、健康保険証の写し(これ以降も含め、都道府県によっては、職権で県などが住民基本台帳ネットワークで確認するため不要なケースも)
・役員経験を証明する書類(登記事項証明書等、客観的に役員経験があることが立証できる書類)
・登記されていないことの証明書・診断書・身分証明書
・その他都道府県等が求める資料
営業所におく専任技術者に関する確認資料 ・住民票、健康保険証の写し
(東京都のように、個人の場合は保険証の写しに併せて、他の事業者の社会保険へ加入していないことの証明のために、直近決算の個人確定申告書の写し(第一表、第二表)が必要になるケースも。
また、法人で保険証に事業所名が印字されていない場合は、別途申請者への所属のわかる資料として、健康保険・厚生年金被保険者に関する標準報酬決定通知書などの原本提示もしくは提出が必要になる)
・技術者の資格証明書等
・実務経験を証明する書類
・登記されていないことの証明書・診断書・身分証明書
・その他都道府県等が求める資料
営業所長・営業所代表者(政令3条の使用人)に関する確認資料 ・住民票、健康保険証の写し
・登記されていないことの証明書・診断書・身分証明書
・見積もりや契約締結などの権限を証明する書類(委任状など)

1-6 営業所の「人」にかかるポイント

営業所には、前にも述べたとおり、常勤役員・使用人および専任技術者を配置する必要があります。常勤役員・使用人および常勤の専任技術者としてみなされるためには、前に述べた欠格要件に該当しないほか、建設事業従事者として各種の要件を備えている必要があります。表にして整理します。

常勤役員・使用人は、「経営業務の管理責任者」または建設業に関する「経営体制(常勤役員等およびこれを直接に補佐する者)」として、下記の要件を満たす必要があります。

常勤役員等のうち一人がいずれかに該当(実務経験) ・建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
・建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
・建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
建設業に関する経営体制を有する者として、常勤役員のうち一人がいずれかに該当(実務経験) ・建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者
・建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者
・役員を直接補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者(財務管理・労務管理・業務運営のそれぞれについて、建設業に関して5年以上、申請者における業務経験を有する)を、直属する者として置く必要がある。他社での業務経験は認められない。

以上のように、文章のみで読むと複雑ですが、要は「建設業管理者としての実務経験が豊富にあるか」を求めていると言えます。建設業というのは、時には人災や物理的な災害に繋がりかねないケースもあります。実務経験を有し、一定の期間業務を遂行したということは、非常に重要な要件と言えます。

次に専任技術者に関する要件を整理します。

許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、次に掲げるいずれかの実務要件に該当すること ・学校教育法による高校(旧実業学校を含む。)指定学科卒業後5年以上、大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)指定学科卒業後3年以上の実務経験を有する者
・10年以上の実務経験を有する者(学歴・資格問わず)
・ 上記に掲げる者と同等以上の知識・技術・技能を有すると認められた者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、次に掲げるいずれかの資格・実務要件に該当する者 ・建設業許可取得の資格区分◎に該当する者
・建設業法第7条第2号イ・ロ・ハに該当し、かつ、元請として消費税を含み4,500万円以上の工事(平成6年12月28日前にあっては消費税を含み3,000万円、さらに、昭和59年10月1日前にあっては1,500万円以上)に関し、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
・国土交通大臣が、上記に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
同一営業所における専任技術者の兼務に関する注意 ・複数の業種の許可を申請する時に、それぞれの業種について、技術者の資格表の各基準を1人ですべて満たす者がいる場合は、同一営業所内であれば、その者1人単独で、当該業種の「専任技術者」を兼ねることが可能。
・同一営業所内で、同一業種につき複数の専任技術者を登録することは不可
同一営業所における専任技術者と常勤役員等の兼務に関する注意 ・同一営業所における専任技術者と常勤役員等の兼務については、「経営業務の管理責任者・常勤役員等・常勤役員等を直接に補佐する者・令3条の使用人」と「専任技術者」との双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、両者を1人で兼ねることが可能。
・「経営業務の管理責任者」と「常勤役員等を直接に補佐する者」は兼務することはできない

このように、営業所の「人」にかかる要件は、非常に複雑です。事前に行政書士や許可申請窓口に相談し、人の要件が当てはまるかは厳密に確認する必要があります。

1-7 主たる営業所と従たる営業所

主たる営業所と従たる営業所

会社に本店と支店があるように、建設業の営業所には、営業所を統括・指導監督する「主たる営業所」と支店に当たる「従たる営業所」が存在します。2カ所以上営業所を構える場合は、いずれかが従たる営業所になります。主たる営業所・従たる営業所ともに、別々の常勤役員・使用人および専任技術者の常駐が必要となる点は注意する必要があります。

特に公共工事においては、営業所が管轄区域内に存在することが入札参加の条件となる場合もありますので、公共工事への参加を考えている場合は、営業所の新設や増設の際に、公共事業が活発な地域を選択ことも一つの考えと言えます。

1-8 営業所を「申請」する場合の注意点

営業所の新設・移転・名称変更・廃止・業種追加・業種廃止を行った場合は、「変更届」「従たる営業所の変更に係る変更届出書」などを速やかに提出する必要があります。「速やかに」と書かれているため、何日以内に提出しなければならない、という明確な規定はありませんが、営業所に関して何らかの変更がある場合は、都道府県の手引きに目を通したり、行政書士や都道府県における建設業許可担当課に確認し、どのような手続を取る必要があるかを確認することが必要です。

なお、意外と失念されがちなことですが、通常の本社・営業所の移転に加え、法人で「登記上の所在地の変更」を行った場合でも変更届の提出が必要です。最初は自宅兼事務所を登記上の所在地として、その後事務所を新たに借り受け、登記上の所在地変更を法務局に申請したあとは、忘れずに変更届を提出する必要があります。

1-9 免許更新・法人成りの際にも事業所の確認がある

免許更新・法人成りの際にも事業所の確認がある

建設業許可に関しては、免許取得時に事業所の確認が行われるだけでなく、免許更新や法人成りの際にも、事業所の確認があることを念頭に置く必要があります。免許更新や法人成りの際に、「事務所として認められる体制になっていなかった・人が欠けていた」となると、免許の更新や切り替えの可否に関わる大きな問題になりかねません。場合によってはペナルティを受ける可能性もあります。

そのため、免許更新や法人成りの際は、事務所としての実態の他、現存する役員・スタッフが適切に営業所に存在するかを改めて確認することが重要です。

基本的には、免許更新や法人成りするケースで、事務所として要件を満たす状況になっていないというのは考えにくいケースではあります。ただ、日々の業務に追われて、事務所・人の要件に関するチェックが欠けていたばかりに、免許の更新や切り替えができなかったとなる可能性もあり9ます。免許更新や法人成りの際も、事前に行政書士・都道府県の建設業許可取得の窓口となる部署などに確認し、事業所として、物的・人的な問題がないかを相談する事が望ましいでしょう。

2 まとめ

まとめ

以上の通り、建設業の「営業所」は、一般企業における営業所と定義が大きく異なります。契約を締結する施設としての営業所だけでなく、営業所に設置された人材の実務経験や従事者としての適切さ(欠格要件に該当しないか)に関しても、非常に細かな規定があります。また、ここまでで例示した提出書類は、あくまで一般的なケースであることにご注意下さい。都道府県および国土交通省の管轄により、それぞれ細かな提出書類等の違いがあります。

いずれにせよ、建設事業をこれから始めようとする人が建設業許可取得を行うことは、大変な作業になります。建設業許可取得申請を行う際には、申請を行う都道府県もしくは国土交通省の手引きを参考にするほか、建設業許可を管轄する窓口への相談および建設業許可取得に通じた行政書士への依頼が確実と言えます。また、都道府県許可の場合は都道府県ごとのローカルルールが存在する可能性もありますので、行政書士に依頼する場合は、手続に通じた地元の専門家に依頼するか、全国の事例を幅広く扱う行政書士に依頼することをお勧めします。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京