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2023年改正の建設業法のポイントは?

建設業は、生活を豊かにする重要な産業です。しかしながら、近年では少子高齢化や人手不足等の課題に直面しています。2024年には「働き方改革関連法」が建設業でも施行されるため、大きな影響を受けます。これからの建設業の経営には、それらの問題と向き合い解決に取り組むことが重要なので、今回の記事では、建設業の2024年の課題とどのように対処すべきかを解説します。建設業の問題点やその対応策である法改正に関心のある方は、参考にしてみてください。

1 建設業の問題点と現状

建設業は、橋や道路等の社会インフラや災害時の復旧工事等を担う重要な産業ですが、幾つかの問題を抱えています。まず初めに、建設業の抱える問題や現状を「高齢化と人手不足」「長時間労働」「給料と社会保険加入状況」「許可制度」の4つをキーワードとして見ていきましょう。

1-1 高齢化と人手不足

建設業の抱える大きな問題には就業者の高齢化人手不足があります。

【建設業就業者数】

  1. ○建設業就業者
    685万人(平成9年)→492万人(令和2年)
  2. ○技術者
    41万人(平成9年)→37万人(令和2年)
  3. ○技能者
    455万人(平成9年)→318万人(令和2年)

国土交通省による資料「建設産業の現状と課題」によると(以下、この章で取り上げる参考数値は当資料によります)、2016年時点の建設業就業者の年代別の割合は、55歳以上が33.9%、29歳以下が11.4%となっています。

全産業の2016年の年代別割合では55歳以上が29.3%、29歳以下は16.4%であることから、建設業ではより高齢化が進んでいることが分かります。

また、建設業の就業者数はピークである平成9年の685万人から年々減少し、2016年には492万人となっています。

そして、2016年の建設業就業者492万人のうち50歳以上の就業者数は143万人であることから、今後大規模な定年退職者の時代を迎えることになり、より一層建設業界の人手不足に拍車がかかることでしょう。また、2016年時点の29歳以下の就業者数は37万人と、若年層の少なさも建設業の負の特徴です。

なお、建設業許可業者数においても、ピーク時である平成11年には600千業者だったものが、2016年には465千業者となっています。以上のことから、建設業は高齢化が進み、縮小傾向にある産業といえます。

1-2 長時間労働

就労時間が長いことも建設業の大きな問題です。建設業は他の業種と比較して労働時間が長い傾向があります。厚生労働省が実施している毎月勤労統計調査によると、下記の結果がでています。

○年間実労働時間(2020年度)

  1. ・建設業:1985時間
  2. ・製造業:1838時間(建設業との差:147時間)
  3. ・調査産業(全産業):1621時間(建設業との差:364時間)

○年間出勤日数(2020年度)

  1. ・建設業:244日
  2. ・製造業:224日(建設業との差:20日)
  3. ・調査産業(全産業):212日(建設業との差:32日)

上記の結果をみると、建設業があらゆる産業の中でも長時間労働が多いことがわかります。この傾向は過去の統計をみてもほぼ同様で、建設業はいかに長時間労働が多いことを証明しています。また、国土交通省が公表している資料の中に、建設業の休日の状況が掲載されています。日建協の組合員のアンケート調査になりますが、建築工事では技術者の約4割が4週4休以下で就業している状況となっています。

建設業における2020年の年間実労働時間は1985時間であり、他産業の1621時間に比べると、約364時間も労働時間が多いことになります。

また、年間の出勤日数の他産業が224日であるのに対して、建設業では244日と、建設業が他産業よりも休みが少なく労働時間が長い産業となっています。

このほか、建設業における2016年の残業時間は現場部門(外勤建築と外勤土木)が月間約70時間であり、事務部門を含めた全体でも約50時間です。これは、2012年の現場部門の残業時間である約90時間に比べると減少はしていますが、それでも昨今の残業時間を減らそうとする社会的な取り組みや意識に反する高い数字となります。

1-3 給料と社会保険加入状況

建設業の2016年の年収平均額は418万円です。対して製造業の年収平均額は468万円です。建設業の方が就労時間や出金日数は製造業よりも多いのに、年収は製造業よりも少ないというのが実情です。

給料面について更に詳しく見ていくと、2016年の大規模企業における男性の建設業の平均年収は672万円で、製造業のそれは572万円と建設業の方が高額となっています。一方、大規模企業の割合は建設業が6%で製造業は31%と、建設業よりも製造業の方が多くなっています。

社会保険加入状況を見ていきます。建設業の社会保険加入割合は、地方によって差がありますが、最も低い関東地方では、企業別に見ると2011年の加入率は70.3%で、2016年では93.2%と上昇しています。

加入割合の高い四国地方では2011年に92.4%で、2016年では99.3%です。全体的にどの地域も過去に比べると社会保険の加入割合は上昇していますが、それでも100%には届いていません

なお、この加入割合の数値は元請けと下請けという区分で見ると明確に差がつきます。2016年時点の元請けの加入割合は98.0%ですが、3次下請けの場合は90.1%です。

3次下請けの加入割合は2011年時点の66.3%に比べると大幅に改善されてはいるのですが、まだ加入していない事業者が一定数あることも確かです。これは一つには、社会保険の会社負担の大きさが要因であると考えられます。

なお、以上の「高齢化と人手不足」「長時間労働」「給料面と社会保険加入状況」は、建設業だけが抱える問題ではありません。建設業にその問題がより多いことは事実ですが、少子高齢化と労働環境は現代が抱える社会全体の問題として、政府によって改善へ向けた「働き方改革」が始まっています。

具体的な働き方改革としては、一部の業種を除いて2020年4月から始まった「長時間労働の是正」があります。その除かれている一部の業種には建設業があります。

何故建設業が除かれているのかというと、長時間労働や休日不足というのは建設業界の体質であり、体質はそう簡単に変えられるものではないからです。そのため、他の業界と同じ時期に改善に取りかかることができず、開始まで猶予期間が設けられていることになります。

その猶予期間が明ける時期について、また建設業に対する働き方改革のポイントについては次の章で詳しく見るとして、先に4つ目の建設業のキーワードである「許可制度」について見ておきましょう。

1-4 許可や技術者の専任配置要件

建設業ではある基準以上の工事を請負う場合には「建設業許可」が必要となります。そのある基準とは、「建築一式工事の場合は1,500万円以上」「それ以外の専門工事の場合は500万円以上」「延べ面積150㎡以上の木造住宅工事」のいずれかです。

建設業許可には2種類あり、上記で見たものを「一般建設業許可」、もう一つを「特定建設業許可」と呼びます。特定建設業許可の場合は、「発注者からの1件当たりの元請工事の合計額が4,000万円以上」、または「建築一式工事の場合は6,000万円以上」である工事を下請に出すことが基準となります。

特定建設業許可を取得するための条件に、配置技術者(主任技術者または監理技術者)を配置しなければならないというものがあります。また、財産的基盤も特定建設業許可の方が一般建設業許可よりも多くのものを求められています。

一般建設業許可も特定建設業許可も、先に見た基準の工事を行う場合には取得をする必要があり、取得をせずに工事を行った場合は法律違反となります。

しかしながら、先の基準が定まった当時よりも物価の上昇等によって工事費は上昇しています。過去と同じ基準を、状況が変わった現代にも適用するのは適正なのかということです。

なお、許可の取得に関わらず請負金額が3,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)である場合には、主任技術者または監理技術者を専任配置する必要があります。こちらの金額基準も、現代の工事費や物価の水準とは乖離しているところです。

1-5 新卒者の離職率の高止まり

厚生労働省の新規高校卒業就職者の産業別離職状況、新規大学卒業就職者の産業別離職状況調査によると、建設業の高卒の離職率は他の産業より高いことが分かります。特に卒業後1年目だけをみると全産業平均よりも離職率が高い傾向にあります。

○高卒離職率

【建設業】

  1. 【建設業】

    1年目離職者率:22.9%

    2年目離職者率:13.5%

    3年目離職者率:10.2%

    合計:46.6%

  2. 【製造業】

    1年目離職者率:11.6%(建設業との差:▲11.3%)

    2年目離職者率:8.3%(建設業との差:▲5.2%)

    3年目離職者率:8.1%(建設業との差:▲2.1%)

    合計:28.0%(建設業との差:▲18.6%)

  3. 【全産業】

    1年目離職者率:18.0%(建設業との差:▲4.9%)

    2年目離職者率:11.6%(建設業との差:▲1.9%)

    3年目離職者率:9.7%(建設業との差:▲0.5%)

    合計:39.3%(建設業との差:▲7.3%)

○大卒離職率

  1. 【建設業】

    1年目離職者率:12.2%

    2年目離職者率:8.9%

    3年目離職者率:7.8%

    合計:28.9%

  2. 【製造業】

    1年目離職者率:5.8%(建設業との差:▲6.4%)

    2年目離職者率:6.4%(建設業との差:▲2.5%)

    3年目離職者率:7.3%(建設業との差:▲0.5%)

    合計:19.5%(建設業との差:▲9.4%)

  3. 【全産業】

    1年目離職者率:11.8%(建設業との差:▲0.4%)

    2年目離職者率:10.5%(建設業との差:1.6%)

    3年目離職者率:9.6%(建設業との差:1.8%)

    合計:31.9%(建設業との差:3.0%)

1-6 若年層が定着しない理由

厚生労働省の雇用管理現状把握実態調査(平成26年度)で離職者に対して建設業を辞めた理由を公表しています。結果をみると、労働環境についていけないこと将来性の見通しが立たないことが主な理由です。建設業がこれから若年層の人材確保をする上で、これらの結果を真摯に受け止め対応していく必要があります

○建設業での仕事を辞めた一番の理由(厚生労働省:雇用管理現状把握実態調査)

  1. ・雇用が不安定である:9.6%
  2. ・遠方の作業場が多い:9.0%
  3. ・休みがとりづらい:8.4%
  4. ・労働に対して賃金が低い:7.9%
  5. ・作業に危険が伴う:6.7%
  6. ・将来のキャリアアップの道筋が描けない:6.2%
  7. ・ひと月の仕事量によって賃金額が変動する:6.2%
  8. ・労働時間が他の産業に比べて長い:5.6%
  9. ・現場での人間関係が難しい:5.6%
  10. ・作業がきつい:5.1%
  11. ・作業環境が悪い:3.9%
  12. ・技能・技術の習得が乏しい:1.1%
  13. ・入職前のイメージとのギャップがある:1.1%

2 建設業における2024年の課題

建設業における2024年の課題とは、働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)に起因するものです。働き方改革関連法は、大企業で2019年4月から施行、中小企業では2020年4月から施行となっていますが、建設業では2024年4月まで猶予されていました。建設業において、働き方改革関連法が本格施行されることで、時間外労働の上限規制や割増賃金の上昇等といった労働環境が大きく変わります。建設業は少子高齢化による人手不足等の理由からこれらの環境変化への対応が難しいといった課題があり、他の業種と違い、5年間の猶予がありました。

2-1 時間外労働の上限規制の実施

働き方改革では、ワークライフバランスの実現多様で柔軟な働き方が求められています。働き方改革関連法が施行されることにより、罰則付きの時間外労働の上限規制が実施されます。

【時間外労働時間の上限】

  1. ○月45時間
  2. ○年間360時間
  3. ・やむを得ない事情がある場合(※年間6月まで)

  4. ○月100時間
  5. ○複数月平均80時間(災害復興の場合は適用しなくてよい)
  6. ○年間720時間

働き方改革関連法が施行されるまでは、労使合意に基づく「36協定」を締結し、労働基準監督署へ届け出をすれば時間外労働に上限はありませんでした。働き方改革関連法が施行されれば、罰則付きの時間外労働の上限が定められるため、常に人手不足である建設業にとっては、人材の確保が急務となります。

また、やむを得ない事情がある場合かつ労使合意がとれれば、特別条項が適用できます。特別条項は年間6月まで認められます。特別条項における時間外労働の上限は月100時間未満、複数月平均80時間、年間720時間までとなっています。災害からの復旧・復興の場合に限り、複数月平均80時間の要件は適用しなくてよいこととなっています。さらに、働き方関連法が施行されれば、時間外労働における上限規制に反した場合、罰則が与えられます

【罰則】

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

2-2 割増賃金引上げの実施

この課題は2024年からではありませんが、2023年4月より労働基準法の改正により、法定時間外労働の割増賃金が引き上げられました。引き上げ内容としては、法定外労働の割増賃金率が25%であったものが50%に引き上げられました。大企業では、2010年から引き上げられていましたが、今回の改正で企業の大小に関係なく全ての企業での適用となりました。建設業では時間外労働が発生しやすい業種であるため、この改正は大きな影響を与えています

○中小企業:資本金3億円以下、社員数300人以下

上記の定義より企業規模が大きければ大企業です。

3 建設業法改正等のポイント

今後の法改正では、これらの問題点を改善すること、そして現代の水準に即することが求められます。それでは2023年の、そして今後予定されている法改正のポイントを見ていきましょう。

3-1 特定建設業許可や技術者の専任配置要件の見直し

2023年1月1日に建設業法に見出しの改正が施行されました。すなわち、特定建設業許可における今までの4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の基準が、4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)に改められました

また、これまでは元請け業者が下請け業者に出す工事金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる場合には施工体制台帳が必要となっていましたが、こちらについても今回の法改正によって、4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)という基準に改まりました

そして、請負金額が3,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)の場合に必要となっていた主任技術者または監理技術者の専任配置についても、今回の法改正により4,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)に見直されています

他にもこの法改正によって、「特定専門工事」(型枠工事または鉄筋工事)の下請けの主任技術者の配置を必要としない場合の下請金額が、3,500万円未満から4,000万円未満へと変更されています

3-2 中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ

前項は建設業法の2023年改正のポイントでしたが、それ以外にも建設業に対して、あるいは全産業を対象として、働き方改革を実現するための法改正が実施されているか、あるいは今後予定をしています。

その一つが、中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げを、2023年4月1日から適用するというものです。これは「働き方改革関連法」により定められたもので、建設業を含む全産業の中小企業が対象となっているものです。

ここでいう建設業の中小企業とは、資本金額または出資額が3億円以下か、常時使用する労働者数が300人以下の企業を指します。

この法律の施行前より、月60時間を超える残業の場合は、中小企業では25%の割増賃金、大企業の場合は50%の割増賃金とすることが定まっていましたが、この働き方改革関連法の施行によって、中小企業においても大企業と同じように、月60時間超の時間外労働の割増賃金割合が50%となりました。

なお、もし時間外労働が月60時間を超えた場合に深夜労働(22時~翌5時の就労)を行わせる場合には、時間外割増賃金率50%+深夜割増賃金率25%=75%となります。また、時間外労働時間の月60時間の算定には法定休日中の労働時間は含まれません。ただし、法定休日以外の休日中の労働時間は含まれます

3-3 時間外労働の上限の規制

前章にて、建設業等の一部の業種を除いて2020年4月から長時間労働の是正のための取り組みが始まっていることに触れました。なお、建設業の大企業に対しては既に2019年4月から同様の是正が適用されていましたが、建設業の中小企業に対しては、前章で見たように猶予期間が設けられています

この猶予期間は2024年4月までとなっており、2024年4月以降は、建設業の中小企業にも時間外労働の上限の規制が適用されることになります。

適用後は、36協定を結んだ場合でも「時間外労働は原則月45時間、年360時間以内(特別条項付き36協定を結んだ場合は年720時間以内)」、「時間外労働と休日労働が合計月100時間未満」「時間外労働と休日労働の2~6ヶ月の平均が月80時間未満」となります。

これに違反した場合には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則が設けられていますが、建設業には社会のインフラを支えるという重要な使命があるため、例外規定もまた設けられています。

それは、災害時の復旧・復興に従事する場合は「時間外労働と休日労働が合計月100時間未満」「時間外労働と休日労働の2~6ヶ月の平均が月80時間未満」の2項目を適用除外とするというものです。

しかし、この例外に関しても今後は見直し対象となる可能性があるため、それを見据えた体制づくりをする必要があるといえるでしょう。

なお、これらの割増賃金の実施を必要とする法改正に対応するためにはそのための資金が必要となりますが、中小企業の中には資金を工面するのが困難な企業もあります。そこで行政では、働き方改革が実現するための助成金等や相談窓口を用意することでバックアップを行っています。

助成金には、生産性の向上と労働時間の縮減等に取り組む中小企業を対象としたその実施に要する費用の一部を助成するための「働き方改革推進支援助成金」や、生産性向上の設備投資や企業の最低賃金を一定以上引き上げた場合の費用を助成する「業務改善助成金」があります。

相談窓口としては、労働基準監督署や労働時間相談・支援コーナー、都道府県労働局、ハローワーク、働き方改革推進支援センター等が設けられています。法改正への対応が困難な場合はとにかく一度相談してみると良いでしょう。

4 2024年の課題に向けての対処方法

建設業は2024年に働き方改革関連法が改正されることで、時間外労働の上限規制や割増賃金の上昇等の影響を受け、苦しい状況に陥ります。しかしながら、これは経営者の視点であって、労働者の視点からすると、今までの建設業における労働環境が悪かったことから若年層が敬遠する・離れるといった状況となっています。人材不足は現時点で深刻な問題であり、建設業の発展を阻害するものとなっています。働き方改革関連法が改正されることをきっかけに労働環境改善に取り組み、建設業をより良い方向に進めていく必要があります

国土交通省では、建設業の労働環境改善に向けて、「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定して公表しています。

○建設業働き方改革加速化プログラム

【主な内容】

  1. (1)長時間労働の是正に関する取組
  2. (2)給与・社会保険に関する取組
  3. (3)生産性向上に関する取組

4-1 長時間労働の是正に関する取組

建設業界は長時間労働が状態化しています。そこで、国土交通省の建設業働き方改革加速化プログラムでは、長時間労働の是正に関する取組で大きく2本の柱を打ち出しています。

【長時間労働の是正に関する取組】
(1)週休2日制の導入を後押しする

建設業では前述しましたが、週1休で働いている労働者が約4割います。その労働環境では、人手不足が続く要因となります。そこで、国土交通省では週休2日を後押しする取組として、公共工事において週休2日工事の件数を拡大する取組を実施しています。この取組が民間工事でも広がれば、建設業でも週休2日が浸透することになります。人材を確保するためにも休日はしっかりとれる労働条件を設定することが大切です。

(2)各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進する

長時間労働を防ぐためには、極端に短い工期の発注を受けないようにしなくてはなりません。そこで国土交通省では、「適正な工期設定等のためのガイドライン」を各発注工事の実情を踏まえて改訂しています。適正な工事期間なのかを確認するために国土交通省では、「工期設定支援システム」も公表しています。適正な工期を設定するよう心がけていきましょう。

4-2 給与・社会保険に関する取組

建設業で働く技術者が辞める理由として、将来のキャリアアップの道筋が描けない、労働に対して賃金が低いという理由が多くあります。そこで、国土交通省では、給与・社会保険の面で、下記の取組を推進しています。こちらを参考に給与・社会保険に関しての改善を行っていきましょう。

(1)技能や経験にふさわしい処遇(給与)を実現する

国土交通省では「建設キャリアアップシステム」の加入を推進しています。建設キャリアアップシステムは事業者とそれぞれの技能者ごとに登録して、毎回、工事現場に入るごとに、その情報を記録する仕組みとなっています。技能者の能力と経験が適正に管理されるもので、適正な給与を支払うために便利なシステムとなっています

また、建設業キャリアアップシステムは現在任意での登録となりますが、今後義務化される可能性が高いです。さらには公共工事の受注の面では、建設業キャリアアップシステムが評価の対象となる可能性もあります。

今後、建設業では適正な給与が求められています。建設キャリアップシステムは、それに約立つものとなっているため、登録をしておきましょう

(2)社会保険への加入をミニマム・スタンダードにする

国土交通省では、社会保険未加入の事業所に対して、建設業許可の更新を認めない方針を出しています。建設業において建設業許可がなければ事業の実施にかなりの制限が発生します。社会保険加入は、建設業を営む上で今後必須となります。

4-3 生産性向上に関する取組

国土交通省では、生産性向上の取組として、ICTやIoTを活用して、少ない労力で生産性向上を図る取組を後押ししています。書類の電子化での作業効率化やICT建機の導入など、建設業でもデジタル化が進んでいます。デジタル化を推進することで、仕事の効率化と省力化を図ることができます

5 まとめ

今回は建設業の2024年の課題、どのように対処すべきなのか、さらに法改正のポイントを解説しました。建設業は、日本の経済成長を支える重要な産業です。しかしながら、建設業は人手不足が状態化しており、若年層から敬遠される傾向にあります。この課題を克服するためにも働き方改革関連法が施行されたことをきっかけに労働環境を良くしていく必要があります。また、この問題は建設業全体のイメージの問題でもあるため、建設業全体で取り組むことが大切です。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京