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建設業界の談合とは? そもそも目的は?何が悪い?

建設業界の談合とは? そもそも目的は?何が悪い?

建設業の不正行為と言えば『談合』と思われる方も多いかもしれません。談合は、数が少ないものの発生を続けており、経済規模の大きさから社会的注目が大きい不正です。直近においても建設業会の談合として東海リニアモータの建設における談合が裁判で争われており、社会の注目を受けました。

今回の記事では、建設業の談合の特徴、談合の目的や発生する背景、デメリットと併せて押さえておきたい独占禁止法や万が一談合に巻きこまれた場合の対応策などについても解説するので、参考にしてみてください。

1 建設業の談合とは

建設業の談合は、建設業における不正行為の1つです。過去から建設業では談合は禁止されています。また、談合が発生しないように対策も取られています。それでも、詳細は後述しますが上場している大手ゼネコンでの談合が発覚するなど、談合は建設業では必要悪のように存在が継続しています。

ここでは談合とは何かなどの基本的知識と談合が生まれる背景などを解説します。

1-1 談合とは

建設業の談合は、入札談合とも言います。建設業の入札談合とは、公共工事などで実施される競争入札での本来競争すべき事業者間の事前の協議や合意を言います。事前の協議によって事業者間で工事の受注金額や誰が受注するかなどを決めてしまう不正な行為になります。

本来、建設業で行われる競争入札は公正な価格競争を促進し、その結果建設工事費を適正かつ公正な発注を行うための仕組みです。しかし、入札談合が行われることで不当な価格かつ不正な行為によって建設業者が工事を受注する結果となります。

なお、談合は公共工事の受注時に発生するわけではありません。物資の調達や物品の売却においても入札が行われる取引全てで談合の可能性があります

ここでは、談合に関わる受注者と発注者に分けてその不正行為を解説します。

●受注者の不正行為

談合で、受注者が関わらないケースはありません。取引を受注しようとする事業者は公正に競争を行うためにも知らぬ間に談合行為に関わらないためにも理解が必要です。談合を疑われる行為は『入札価格や技術などの重要情報の交換』『受注業者調整』の2つがあります。

不正行為を疑われないように、事業者は代表自身がその知識を身に着けることは当然として従業員を含めて社内教育の徹底が必要です。

●入札価格や技術などの重要情報の交換

工事を受注しようとする建設業者同士で、入札に関わる情報を交換すると談合に該当する可能性があります

情報交換自体が不正行為に該当するわけではありません。しかし、競合すべき事業者間で入札に関する情報を交換すると談合に該当する可能性があります。

特に、入札価格や工事に活用する技術情報や納期などは受注者を決定する上で重要な要素になります。これらの重要情報を入札事業者間で交換すると実質的に入札を受注者側でコントロールできます。そのため、不正行為であり、談合を疑われる可能性が高くなります

●受注業者調整

受注業者調整とは、入札を行う事業者間で年間発注規模などから各社で受注額の割り振り計画を策定して実際に振り分ける調整を言います。

具体的には、入札ごとに受注する事業者を事前に決定して、決定した事業者が受注できるように入札価格を最低金額にするなどの事前調整を行います

●発注者の不正行為

談合は工事を受注する建設事業者のみではなく工事を発注する事業者などもその不正に関与する場合も多くあります。その中でも、公共工事は国や都道府県などの地方公共団体が発注元になります。発注元である公務員などが談合に関与するものを『官製談合』と言います。

入札談合等関与行為防止法は、官製談合を防止するために平成15年から施行されています。しかし、施行後も新潟県や日本道路公団の入札談合事件など複数の発注者側が摘発されたことを受けて発注機関職員への刑事罰の導入に加えて入札談合等関与行為の拡大と対象となる発注機関の拡大などの改正が平成19年3月に施行されました。

入札談合等関与行為防止法で発注者側の禁止行為を定めており、以下の4つの機関が発注する入札を対象としています。

  1. ・国
  2. ・地方公共団体
  3. ・国または地方公共団体が資本金の1/2以上を出資する法人
  4. ・特別な法律によって設立された法人の中で、国または地方公共団体が常時発行済み株式総数または総株式の議決権の1/3以上の株式保有が義務となっている株式会社

さらに入札談合に該当する行為を以下の4つの入札談合の典型事例として定めています。

《入札談合の典型事例4種》

典型事例 定義と具体例
一談合の明示的な指示 発注者が入札参加事業者へ入札談合などを行う指示を出す。
(例)発注を行う担当者が入札を行う前のタイミングで事業者の会合へ参加して事業者毎の受注目標額を提示して調整を指示するなど
受注者に関する意向の表示 契約事業者を入札以前に指名または希望する意向の教示や示唆を行う。
(例)発注担当者が入札以前に受注をしてほしい事業者を指定する、など
発注に関わる秘密事項の漏洩 入札事業者が知ると入札談合を行う上で容易になる秘密として管理されている情報を、特定の対象に開示を行う。
(例1)事業者が希望していたため、本来は非開示な情報である予定価格を特定の事業者に漏洩した。
(例2)入札事業者と異なる第3者の希望に応じる形で、本来非開示な予定価格を漏洩した、など
特定の入札談合の幇助(ほうじょ) 特定の入札談合などを容易にする目的を持って、職務に反して入札参加者について特定の事業者を指名するなどして入札談合などを幇助する。
(例1)指名競争入札において、事業者の意向に沿って入札参加者を指名する
(例2)分割発注を実施する、あるいは発注基準を変更するなどして、入札談合を幇助した、など

1-2 談合の背景

建設業の談合は、建設業全体のイメージアップのためにも廃絶しなければいけませんが、完全になくなることがありません。建設業の談合には、特有の事情があります。特有の事情があるからといって不正行為が許されるわけではありません。しかし、事情を理解することで構造が分かります。

●入札に参加するためのコストが大きい

入札に参加する場合には見積もりを作る必要があります。見積もりは、必要な専門技術や工事作業人数や資材を工事規模や依頼内容から概算しなければなりません。

日常的に実施している小規模な工事なら1日程度あれば見積もり作成が可能です。しかし、国や地方公共団体が発注する工事は工事規模が大きく見積もり金額も数百億円規模のものもあります。

数百億円規模の工事の見積もりを作成するには、多くの専門知識を持つスタッフによる時間と労力が必要になります。結果、見積もりを出すコストが大きくなります。

入札の結果、受注になれば見積もりを作成するコストも受注金額に含まれているため、回収できます。しかし、受注にならなければ見積もり作成コストも入札に参加するために費やした営業コストも回収できません

できるだけ受注できる可能性が高い、つまり他社より優位性が高い工事のみに専念する方が収益性をあげられます。また、常に他の公示スケジュールの関係で受注のバランスをとらなければならなければいけないケースも発生します。

つまり、入札者からすると都合の良い内容やタイミングの仕事を入札したい、ニーズが発生します。そのため、長い期間の中で欲しい仕事を選ぶことができる受注業者調整は都合をあわせることに有効になります

●公共工事などは単価が大きいが依頼件数は少ない

大手ゼネコンなどが取り扱う公共工事は、単価が非常に大きいモノになります。一方で、その工事件数はそれほど多くありません。

そのため、入札参加者が公正かつ公平に入札をすると1件も受注できない事業者も発生します。そのような状態になると、優秀な一部の大手企業のみが残り、他の建設業者は淘汰される状態が容易に発生します。

優秀な一部の大手企業のみが残った状態では日本の社会インフラを担う建設事業者が不十分な状態になってしまいます。また、1社のみが受注を独占することもそれはそれで健全な市場をゆがませてしまう要因にもなります。

建設業界において建設業者が生き残るために談合が絶対的に必要ではありません。しかし、競争だけでは割り切れない問題が公共工事と建設業の間にはあります。“談合を必要悪“とする風潮が建設業界に残っている面があるのも事実です。

1-3 直近の事例

実際に談合はどのように行われているのか、直近の談合と判断された事例を見ていきます。

●大手ゼネコン4社によるリニア中央新幹線建設工事に関わる談合

リニア中央新幹線は日本政府が進める整備計画になり、正式名称は『中央新幹線』になります。中央新幹線は新幹線で初めて超電動リニアを活用する路線になり、JR東海などが紹介する際には『リニア中央新幹線』と呼ばれています。

リニア中央新幹線の駅新設工事をめぐって、大林組・鹿島・清水建設・大成建設の大手ゼネコン4社が2015年2月以降に談合をおこなったとされています。

談合は、品川駅と名古屋駅の建設工事の入札において、受注価格の下落を防ぐために受注業者を事前に決定し、見積価格などの情報を交換していたと言われています。

これらの談合事件によって、公正取引委員会は2020年12月に関連した大手ゼネコン4社に対して排除措置命令を出しました。

●旧日本道路公団による橋梁(きょうりょう)談合事件

旧日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁工事の入札において、工事を発注者側の旧日本道路公団の副総裁(内田道雄氏)やその関係者と受注入札に関わった8社が刑事告訴され、12名の有罪判決が確定しています。

橋梁談合事件では、鋼鉄製橋梁工事において2つのグループ(「紅葉会」と「東会」)に属する47社において入札談合が行われました

行われた談合は、工事の施工実績などから受注業社の割り振りを行った上で価格を事前に決定し、見積価格などの情報を実施していました。そして、橋梁談合事件においては旧日本道路公団の経営層の一部が受注業社の割り振りが容易になるように、工事を分割して発注する行為を繰り返していました。

その規模は、2000年から2004年までの旧日本道路公団が発注した工事の約8割を独占する規模となっていました。

旧日本道路公団の談合への協力の背景には、鋼鉄製橋梁は主流工事の立ち位置を失い不況に陥っていました。また、入札談合に関わった紅葉会と東会に属する企業が旧日本道路公団関係者の天下り先になっていたと指摘がされています。

2 契約時に注意が必要!独占禁止法とは

談合は入札時に行われる不正行為になります。談合を規制している法律が独占禁止法です。独占禁止法は正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」と言います。

独占禁止法で定められた規制内容を理解した上で、契約取引を行わない場合には予期せぬ事態になる可能性があります。そのため、自身だけでなく従業員を含めて建設業者にとっては独占禁止法の理解は必須となります。

2-1 独占禁止法の概要

独占禁止法は、こう生活自由な競争を促進して事業者が自主的かつ自由に活動するための法律です。つまり、市場のメカニズムが正しく機能するための法律と言えます。

市場のメカニズムが正しく機能すれば、事業者は創意工夫を発揮できて売上や利益を成長させることができます。創意工夫によって市場で活躍できる事業者が増えれば消費者のニーズを満たすことができて、結果的に消費者の利益も増大します。

独占禁止法の規制内容は、以下の6つがあります。

  1. ・私的独占の禁止
  2. ・不当な取引制限
  3. ・事業者団体の規制
  4. ・企業結合の規制
  5. ・独占的状態の規制
  6. ・不公正な取引方法への規制

また、上記6つの規制と合わせて独占禁止法の補完法として『下請法』に基づく規制があります。

●私的独占の禁止

私的独占は、排除型と支配型の2つの方法によって事業者が単独もしくは共同する集団として市場を独占・支配する行為になります。私的独占は独占禁止法第3条で禁止されています。

排他的私的独占は、市場を独占しようとする事業者などが不当な低価格販売などの方法によって競争相手を市場から排除するのと同時に市場への新規参入を妨害する行為になります。

支配型私的独占は、市場を独占しようとする事業者などが株式取得などの方法で市場での活動する他の事業者の事業活動を制限するなどして市場自体を支配しようとする行為になります。

●不当な取引制限

不当な取引制限に該当する行為は今まで解説してきた談合の他に「カルテル」があります。

カルテルは、複数の事業者が相互に情報交換を行い、各事業者が独自で決定すべき価格や販売量などを共同で取り決める行為です。

カルテルと談合の大きな違いは、カルテルは市場にいる消費者や複数の事業者に販売する商品価格などを取り決めてしまう行為になります。一方で、入札談合などは価格を決定するのは複数ではなく単独の発注者に対してです。

●事業者団体の規制

事業者団体とは、事業者の共通利益を増進する目的で2つ以上の事業者の結合や連合を言います。具体的には、社団や財団などがあります。

独占禁止法の対象は、事業者だけでなく複数の事業者で構成される社団や財団などの事業者団体も含んでいます。事業者団体の禁止されている行為は「事業者団体による競争の実質的な規制」「事業者数の制限」「会員事業者・組合員などの機能や活動に対する不当な制限」「事業者への不公正な取引方法をさせる行為」などがありますは(独占禁止法第8条)。

●独占的状態の規制

カルテルなどの禁止行為無くして、市場に対するシェア50%を超える企業などがあり、需要やコスト変動があるにも関わらずサービスや商品価格が下がらないなどの価格が硬直している市場や消費者への悪影響が認められる場合に、トップシェアの企業を分割するよう命じるなど命令を行います。

●不公正な取引方法への規制

不公正な取引方法とは、以下の観点から公正な競争を阻害するあるいはその恐れがある場合に禁止されます(独占禁止法第19条)

  1. ・自由な競争が制限されるあるいはその恐れがある
  2. ・競争手段が公正ではない
  3. ・自由競争の基盤を侵害する恐れがある

不公正な取引方法は、独占禁止法の規定以外でも公正取引委員会が内容を全ての業種に適用される「一般指定」と特定業種に適用される「特殊指定」があります。

一般指定では、「取引拒絶」「排他条件付取引」「拘束条件付取引」「再販価格維持行為」「欺まん的顧客誘引」「不当廉売」などがあります。特殊指定は、大規模小売業者と特定荷主、新聞業の3業界に指定がなされています。

●下請法に基づく規制

下請法とは、下請代金支払遅延等防止法の略になります。発注者から仕事を受注する事業者(親事業者)から仕事を引き受ける下請事業者との間の取引の公正さを保ち、下請事業者の利益保護を目的としています。具体的には、親事業者による受領拒否や下受代金の支払遅延や減額や買いたたきなどを規制しています

下請法については、ピラミッド構造を持つ建設業界においても度々問題視される内容となっています。詳細を確認したい場合には、公正取引委員会のウェブサイト「法令・ガイドライン等(下請法)」で確認できます。

2-3 談合の防止方法

独占禁止法の中の1部を構成する「不当な取引制限」の1つである談合は明確な禁止行為です。しかし、その禁止行為は防止できていません。それでも談合の防止に対して無策と言うわけではありません。

談合の防止対策として実施されてきた施策は、大きく以下の2つに分けられます。

  1. ・課徴金減免制度の導入
  2. ・独占禁止法の改正

この二つはそれぞれ連動しており、独占禁止法の改正において課徴金減免制度の内容も変更されています。

それぞれの防止策の解説は以下になります。

●課徴金減免制度の導入

課税金減免制度は、談合に関与した事業者や個人が自主的に談合の事実を公正取引委員会に報告すると課徴金が減免される制度です。

課徴金とは、談合やカルテルなどの独占禁止法に違反行為があった場合に行政庁が違反事業者に課すいわゆる罰金です。課徴金額は、違反行為に係る期間中*の対象サービスや商品の売上金額や購入金額に対して違反を実施した事業者規模に応じて算定率を乗じて計算します。課徴金額は規模の大きい事業者ほど大きくなる仕組みになっています。

課徴金の算定率は、以下のようになっています。

典型事例 定義と具体例 典型事例 定義と具体例 典型事例
10% 10% 6% 3% 1%

公正取引委員会が調査開始する以前に他の事業者に先んじて報告を実施した事業者は課徴金の減額幅が大きくなっていきます。ただし、全ての自主的な報告事業者に課徴金が適用されるわけではありません。

課徴金の減額が行われる事業者は、1つの談合で最大5社までになります。また、公正取引委員会の調査開始後に報告を実施した事業者は最大3社までになります。

そのため、公正取引委員会の調査実施の状況にかかわらず、1つの談合に関わる事業者で、公正取引委員会への談合の報告を合計6社目に実施した事業者は課徴金の減額は無くなります。そのため、気づかないうちに談合に酸化などをしていた場合などは、隠すことなく先んじて談合があった事実を公正取引委員会に報告をする方が課徴金を軽くできます。

課徴金減免制度は、談合の当事者が調査に先んじて報告にくる制度であるため談合の発見や調査効率の改善に寄与する制度になります。また、課徴金減免制度は談合を実施した企業からしても、自社内で発生したカルテルや談合などの不正行為を発見・報告するメリットが生まれ、ガバナンスを強化する一因になります。

*期間の開始は、調査開始日を基点として最長10年前まで遡り対象となります。

**不当な取引制限を中小企業が実施した場合の算定率は4%になります。

また、カルテルや談合などの不当な取引制限の違反行為を繰り返した場合や主導的な立場で違反行為を実施した場合は算出された課徴金に1.5倍の加算がされます。また、違反行為を繰り返しかつ主導的立場で違反行為を実施した場合には算出された課徴金に2倍の加算がされます。

●独占禁止法の改正

令和元年6月に「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律」が成立して、翌年の令和2年12月から施行されました。

過去の独占禁止法の制度上の課題は、グローバル化が進む現代においてカルテルの対象事業者が国内での売上や仕入れがない場合に適切な課徴金を課せませんでした。また、課徴金の減免の方法なども硬直規定であったため協力の重要度などに応じた減免ができないと言った課題がありました。

そのため、令和2年の改正では以下の5つを柱とした改正が行われました。

課徴金減免制度の変更 課徴金減免制度の変更では、新規の制度として調査協力減算制度が加えられました。調査協力減算制度は、申請順位に応じた固定の減免率に加えて事件解明への協力貢献度合いに応じて公正取引委員会が減免の割合を追加できる制度となりました。

協力減算制度の導入によって、公正取引委員会へ事件解明への協力するインセンティブが追加されることが期待されています。また、協力度合いに応じるため、課徴金減免制度の上限5社の上限も撤廃され、事業者全てに対して公正取引委員会への自発的な協力を行うインセンティブが与えられました。

課徴金の算定方法の見直し 課徴金の算定方法の見直しは算定の基礎において以下の3点が見直しされました。

  • ・算定期間の延長
  • ・算定基礎の追加
  • ・違反事業の承継子会社等への課徴金賦課

算定基礎の追加は、既存の違反事業者の対象商品または役務の売上額に加えて、
「違反事業者の指示や情報提供を受けた完全子会社の売上」
「対象商品や役務に関連した業務の対価」
「談合金などの商品や役務を提供しないなどの行為によって得た利益」

違反事業の承継子会社等への課徴金賦課 改正前は、公正取引委員会の調査開始日以降に承継された場合に承継会社へ課徴金が賦課されていましたが、改正後は調査開始日以前の承継においても課徴金賦課の対象となりました。
罰則規定の見直し 公正取引委員会の調査における強制処分に違反する罰金上限を20万円から300万円へ増加させ、行為者と法人を罰することができるようになりました。さらに、検査妨害などへの罰金の上限が2億円となりました。
弁護士や依頼者間秘匿特権の導入 秘匿特権は、公正取引委員会へ不当な取引について報告を行う事業者が外部の弁護士と行なった相談に関わる秘密を一定の条件のもとに実質的に保護されます。

3 談合が発覚した場合の対応

談合をした建設業者は、独占禁止法違反と刑法条の談合罪に問われる可能性があります。談合が発覚した場合には、独占禁止法違反として「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」が課されます。また、社員が入札談合をしたとしても、法人にも罰則の可能性があります。法人の場合には5億円以下の罰金が課される可能性があります。

また、警報にも談合罪(公契約関係談合罪)があり、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくはその両方が課されることになります。

加えて、建設業などの営業に許認可が必要な業種においては営業停止などの行政処分を受ける場合があります。これらのことから、談合などは発生させない取り組みが必要になります。

3-1 建設業許可への影響

建設業者が談合に関与した事実が発覚した場合には、監督官庁から営業停止処分が下される可能性が高くなります

一般的には、営業停止などの事業存続にリスクが発生する処分を行う場合には、指示処分などの改善命令などが実施されますが、独占禁止法などに明確な違反が認められる場合には指示処分を省略されて営業停止処分が実施される場合があります。

実際に前述のリニア談合事件においては、大手ゼネコンの大林組と清水建設には、それぞれ2億円と1.8億円の罰金と合わせて120日間の営業停止処分が下されています。

営業停止処分中は、建設業においては新規の建設工事の請負契約ができなくなります。それだけでなく、新規契約受注に向けた入札や見積もりなどを含めた営業活動を行えません。

3-2 発覚後の対処の仕方

談合に関与してしまった、社内の調査の結果談合を持ちかけられていた事実が発覚した、などは建設業を行っている上では絶対にないと言い切れる事態ではありません。

談合に関与した、あるいはその疑いがある場合には弁護士などへの相談を実施すべきです。前述の通り、刑事罰や公正取引委員会からの課徴金納付命令などが出されます。

そして、その後の経営に影響するのは世間的なイメージです。談合などの事件を起こしてしまうと、社会的な信用は一気に失います。事業者や消費者などのその後の取引には大きく影響が出るのは間違いありません。

世間的なイメージの悪化を最小化するためには、発覚段階もしくはその前の段階から弁護士などに相談をすることと合わせて、公正取引委員会へ早期に報告を実施します

公正取引委員会への報告の結果、談合とその関与が認められた場合でも課徴金については減免される可能性が高くなります。また、世間的なイメージは社内で問題自体は発生したが、問題の早期発見と問題解決については適切に実施できたことを印象付けられます

4 まとめ

建設業で断続的に発覚する談合についてまとめました。談合は独占禁止法の不当な取引制限に該当する禁止事項になります。建設業で談合に関与した場合には、罰金や懲役になる可能性があるのに加えて営業停止処分となり、社会的な信用を失います

このような事態にならないように、談合などの独占禁止法を社員全員に周知して公正な取引を実施するように社内のガバナンスを強化した上で、不当な取引を実施しないだけでなく、関与しないなどの行動規則を決定しておくなどの対応が必要です。

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