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建設業と不動産業を兼業するメリットとは?

建設業を営む事業者には、他の事業と兼業していることは珍しくありません。建設業を本業として、不動産業や飲食業などの建設業以外の事業を行うことを兼業といいます。建設業と相性の良い兼業が不動産業であり、不動産業者は住居やビルなどの建物を建てたり、建物や土地を売買する専門家です。

そこで今回の記事では、建設業と不動産業の兼業の基本知識、建業のメリットや注意点について解説するので、参考にしてみてください。

1 建設業と不動産業の兼業は相性が良い

建設業は、兼業ができます。建設業を営む上で兼業に制限はありません。そのため、どんな業種の兼業でもできます。複数ある業種の中で、建設業と相性が良いと言われているのが不動産業です。

不動産業は、全国に約34万事業者います。不動産業は、文字通り家や建物などの不動産を取り扱う事業です。不動産とは、土地とその上に建てられた建物や立ち木などを言います。不動産を「売買」「仲介」「管理」「賃貸」する事業が不動産業です。

不動産業の中で、不動産の売買と仲介を専門に行う事業を『宅建業』と言い、宅建業者は不動産全体の⅓を上回る約12.8万社*います。

建設業は土地に建物などを建設・保善する事業なので、不動産を造る事業とも言い換えられます。そのため、不動産業とは非常に密接な関係と言えます。

*一般財団法人不動産適正取引推進機構『令和 3 年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について』より

●宅建業法

宅建業を業として行うためには、宅地建物取引行法(宅建業法)に則って免許と法律に則った事業運営が必要です。

不動産業者も業として宅建業を含んでいる場合には免許が必要ですが、不動産業者を取り締まる法律はありません。そのため、不動産の管理のみを行う不動産業者などは免許が必要ありません

1−1 本業と兼業とは

建設業者にとって、兼業を正しく理解しておくことは重要です。場合によっては『兼業を実施していない』と認識していた事業者が、実際には兼業による売上があるケースがあるからです。

●建設業の兼業とは

建設業の兼業は、建設業許可ならびに経営事項審査*において兼業は以下のように定義できます。

『兼業』とは、建設業で定められた29業種の工事の請負や施工以外について売上を得る目的で実施する業務を言います。

つまり、建設業として定められた建設工事以外の売上は兼業による売上になります。具体的には、以下の業務で得た売上も兼業による売上です。建設工事の前段階で必須事項でも兼業の取扱いになります。

《建設業における兼業の取扱い事項例》

  1. ・建設物の設計や図面の作成
  2. ・測量
  3. ・建設した建物の庭の樹木の剪定
  4. ・建物内の空調設備の管理や消防設備の点検
  5. ・産業廃棄物の処理

*経営事項審査とは、公共工事を発注者から直接請け負う場合に建設業者が必須で実施する審査になります。

●建設業の本業は建設業

建設業を業とする場合には、建設業許可が必要です。建設業の取得をしている事業者にとって、建設業が本業です。この場合、建設業の売上の大小に関わりません。そのため、兼業の売上が建設工事の売上を上回っている場合でも、建設業が『本業』で建設工事以外の業務はまとめて『兼業』になります。

1−2 建設業と不動産業の兼業とは

建設業を本業として不動産業を兼業すると、建売住宅を自社で工事して販売することや中古住宅を内装工事してリノベーション住宅として転売することなどができます

建設業だけを専業としていると建設工事や内装工事はできますが、住宅の販売や転売はできません。また、不動産業だけを専業としていると住宅の販売や転売はできますが、建設工事や内装工事ができません

●宅地建物取引業

住宅の販売や転売は、宅地建物取引業=宅建業が業として行えます。宅建業を事業として行う場合には、宅地建物取引業免許という通称『宅建業免許』が必要です。

宅建業免許があればできる事業には以下のような業があります。

  1. ・自ら宅地や建物について売買や交換を事業として行うこと
  2. ・他人が宅地や建物について売買や交換もしくは貸借を行う場合、その代理や媒介を事業として行うこと

宅地や建物の貸借の媒介というのは、第3者が所有するマンションやアパートなどを賃貸管理することです。賃貸管理は、マンションやアパートなどの管理物件への入居者の募集や賃貸契約、家賃の収納や建物の共有部分の清掃や管理物件の設備点検や補修などを行います。

建設業と不動産業や宅建業の兼業ができれば、マンションやアパートの新築工事から行い、入居者を集めて賃貸による収益を得ることが継続的に行えます

また、工事から管理までを1社で実施できる場合には、複数社で利益を分けあう必要がなく、1社に収益を独占できます。そのため、複数の事業者が介入している物件よりも安い賃料で貸し出すことができることで消費者満足を強化しながら、建設業と不動産業を兼業する事業者は継続的な収益を得ることができます

1−3 宅建業免許のポイント

宅地建物取引(宅建業)を業として行う場合には、宅地建物取引業免許(宅建業免許)が必要です。免許とは、特定の資格がある人間や事業者に権利や地位を与えるものです。建設業と宅建業を兼業する場合には、建設業許可と宅建業免許が必要になります。

● 宅建業の免許区分

宅建業免許は、建設業許可と同様で「都道府県知事」もしくは「国土交通大臣」が許可します

  1. ・都道府県知事の許可…事務所が1つの都道府県内にある場合
  2. ・国土交通大臣の許可…事務所が2つ以上の都道府県にある場合

例えば、埼玉県内に1つもしくは複数の事務所がある宅建事業者の場合、埼玉県知事の免許を受けます。また、東京都と大阪府にそれぞれ事務所を置く宅建事業者の場合には、国土交通大臣の免許を受けます。

●免許申請の要件

宅建業免許申請にも建設業許可同様に要件があります。宅建業免許を取得するために必要な代表的事項は以下になります。

≪宅建業免許取得に必要な代表的事項≫

  1. 1)事務所ごとに契約を締結できる権限を持つ政令使用人を設置する
  2. 2)事務所ごとに専任の宅地建物取引士を設置する
  3. 3)宅建業を営む上で形態が適合している事務所がある
  4. 4)免許取得後の営業開始までに営業保証金の供託
  5. 5)欠格要件などに該当しない

建設業の許可要件は5つ*ありますが、建設業と宅建業の要件のうち重複しているのは欠格要件のみになります。そのため、宅建業を兼業しようとする場合には、定められた事務所形態を整えることと宅地建物取引士の設置が新たに必要です。

事務所が複数ある場合に事務所は『主たる事務所』『従たる事務所』に区別されます。主たる事務所は、登記上の本店を主たる事務所=本店になります。その他の事務所は全て従たる事務所となります。

注意が必要なのは、宅建業において従たる事務所でのみ不動産業や宅建業を行う場合です。この場合、主たる事務所も宅建業を行う事務所として形態を整える必要があります。 

*建設業の許可要件は国土交通省のWebサイト『許可の要件』で確認できます。

1)事務所ごとに契約を締結できる権限を持つ政令使用人を設置する

宅建業を行う事務所においては、法人の代表者もしくは個人の事業主が常勤することが宅建業法上で求められます

しかし、複数の事務所で宅建業を行う場合や複数の事業を行う場合など法人の代表や個人事業主が必ずしも物理的に常勤できる状況にあるわけではありません。

そこで、宅建業法の要件としては常勤できない場合には政令使用人を常勤させることで要件が満たされるようになっています

政令使用人とは、法人の代表や個人事業主から委任された宅建業に係る契約を締結する権限がある人間です。具体的には、支店長や営業所所長などその事務所を代表して契約が締結できる使用人が該当します

宅建業において、政令使用人の常勤が求められます。もし、本店に代表が常勤できない場合には、本店でも政令使用人を別に設置が必要です。

2)事務所ごとに専任の宅建士を設置する

宅建士は、不動産取引の専門家と言われる国家資格になります。宅地や建物の売買において、消費者が知らなければいけない重要事項を説明できるのが宅地建物取引士(宅建士)です。重要事項説明は宅建士しかできない『独占業務』になります。

宅建士の独占業務は、宅建士以外の従業員は実施できません。具体的な独占業務は、以下の3つになります。

契約締結前における重要事項説明 不動産の購入や賃貸などの契約の前には、物件に関わることや取引条件などの契約に関する重要事項を説明する義務が宅建業側にはあります。この契約前の重要事項説明は宅建士しかできないことが定められています。
重要事項説明資料(35条書面)の記名押印 上記、重要事項は口頭説明だけでなく書面にてお客様に交付する必要があります。この記載内容に責任を持つことと重要事項を説明したという事実の証明になるのが重要事項説明書面になります。この重要事項説明書面に記名と押印も宅建士のみができます。
契約内容が記載された書面(37条書面)の記名押印 契約内容における重要事項が記載されている37条書面も同様に、記名と押印は宅建士のみができます。

事務所ごとに宅建士は必要です。また、宅建業に従事する従業員5人に対して1人の宅建士の設置が必要です。

●宅建士は『専任』と『雇用契約などの継続的な関係』が必要

宅建士は常勤と併せて『専任』『雇用契約などの継続的な関係』が求められます。専任とは、宅建業に専ら従事している状態を指します。雇用契約などの継続的な関係とは、宅建士と宅建業者の間の雇用契約は事務所の業務時間中に従事できる勤務体形であって継続的に雇用されている状態にあることを求められています。

宅建士は、政令使用人と兼業することはできますが、一部の業務においては兼務することに制限があります。例えば、監査役などとの兼務はできません。兼務が可能かどうかは所管する行政庁などに問い合わせをして詳細の条件を確認するようにします。

また、通勤が不可能な場所に住んでいる場合や非常勤などの勤務時間が営業時間より短い場合などはそもそも宅建士になれません。

3)宅建業を営む上で形態が適合している事務所がある

宅建業を営むためには、継続的に宅建業務を行うことができる独立した形態の事務所が必要です。一般的なオフィスや事務所の形態であれば、本要件を満たします。また、『自宅兼事務所』『他の法人との共同利用』も一定の条件を満たすことで例外的に認められるケースがあります*。

しかし、原則宅建事業者が1つの事務所を複数の法人と共同利用することなどは認められていません。また、プレハブや売買しようとする戸建住宅の一室なども認められません。

*例外的な場合になります。レイアウトや出入口が独立して存在することなどの要件があります。自宅兼事務所や共同利用を検討する場合には事前に窓口で相談を行ってください。

4)免許取得後の営業開始までに営業保証金の供託
>宅建業免許がおりたのちに実施しなければいけないのが、営業保証金の供託になります。営業保証金の供託ないしは保証協会への加入をしないと、宅建業免許の交付を受けられない仕組みになっています

宅建業を営むためには、宅建業免許の交付を受ける必要があります。免許がおりても、交付を受ける前に営業を行うことはできません。

宅建業の免許証の交付には、『消費者の保護』を目的とする以下の2つの前提条件のうちどちらかを満たす必要があります。

  1. ・営業保証金の供託
  2. ・保証協会への加入

供託金額は、主たる事務所(本店)が1,000万円で、従たる事務所(支店)が1店につき500万円を主たる事務所所在地を管轄する供託所に供託します。

また、保証協会への加入の場合には「全国宅地建物取引業保証協会」もしくは「不動産保証協会」のいずれかの団体に加入します。保証協会への加入は60万円(主たる事務所)と30万円(従たる事務所)になります。

保証協会に加入するためのコストは60万円で済み、供託金は預けているだけのお金であるものの1,000万円を預ける必要があることから、一般的な宅建業者は保証協会への加入を選択します。

5)欠格要件などに該当しない

建設業許可にもある欠格要件ですが、宅建業も代表者と非常勤を含む取締役などの役員と政令使用人などが対象となります。

対象者が以下の代表的な欠格要件に該当して免許を得ることができません。

  1. ・破産者で復権を得ていないなど能力や信用に問題がある
  2. ・刑事罰などを受けてから5年を経過していない
  3. ・免許申請から5年以内において宅建業法違反や不正な行為を行った過去がある

2 建設業と不動産業の兼業のメリットと注意点

建設業と不動産業の兼業を行う具体的なメリットをここでは確認します。また、建設業と不動産業の兼業を行うことがデメリットになりえる注意点についても解説します。

特に、建設業と不動産業の兼業に限らず、事業領域を広げることはチャンスや経営の安定に寄与する面が多い反面、失敗のリスクもあります。最終的には、自社の持っている人材や資金や強みをどれだけ活かしてメリットを得られるのかを考える必要があります。

2−1 不動産業との兼業のメリット 

建設業と不動産業の兼業のメリットは大きく以下の3つに集約されます。

  1. ①自ら工事の仕事を作り出すことができる
  2. ②経営事項審査でのポイントが上がる
  3. ③ストックモデルの収益によって安定的な経営ができる

● 自ら工事の仕事を作り出すことができる

建設業は、営業力が活かせない業種と言えます。なぜなら、建設業は大手ゼネコンから各工事業者で構成される下請け業者へと広がるピラミッド構造があるためです。

ピラミッド構造での仕事の獲得の流れは、大手や中堅や地方ゼネコンが発注者から仕事を請け負います。そして各ゼネコンが元請業者の立場で各専門工事を一次受けや2次受けの下受け業者に仕事を発注していきます。

そのため、下請け業者には元請業者から仕事を獲得する方法しかなく、工事の発注先が限定されてしまいます。そのため、元請業者の景気が悪くなると下請け業者もその影響を大きく受けてしまう構造とも言えます。

しかし、建設業と不動産業を兼業することで自ら不動産の購入と販売ができるため、仕事を獲得する幅を広げられます

具体的には、不動産業者として土地を購入し、建設業者としてその購入した土地に住宅を建設工事することができます。また、近年で需要の高まりを見せる中古住宅を購入し、内装や外装の工事を行い、リノベーション物件として自ら販売することもできます。

不動産業者として不動産を購入し、自ら工事の仕事を作り出すサイクルは、不動産に新しい付加価値を作るサイクルです。このサイクルによって生み出す不動産の付加価値が高くなれば、手がける物件を増やすことと併せて自ら作り出す工事数を増やすことができます

●経営事項審査でのポイントが上がる

建設業と不動産業の兼業をすることで、法人など事業者としての売上高を増やすことができます

売上高を増やすことは、公共工事の受注を目指す上で重要となる経営事項審査のポイントが上がります。なぜならば、経営事項審査における売上高は、建設業の完成工事高*と兼業事業の売上高の合算で計算されるからです。

売上高自体の規模が大きいこと自体は、直接的な評価項目にはなっていません。しかし、売上高が大きい企業の方が小さい企業よりも安定性が高いと考えられるのは一般的です。

また、経営の健全性を示す以下の数値にも売上高の大きさはプラスの影響をもたらします。

指標 指標の意味 計算方法
純支払利息比率 売上高に対する支払利息の割合 (支払利息−受取利息配当金)÷売上高×100
負債回転期間 平均売上高に対する負債の割合 (流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
総資本売上総利益率 総資本に対する売上総利益の割合 売上総利益**÷総資本(2期平均)×100

計算方法を見てわかるように、純支払利息比率と負債回転期間は売上高を分母に計算をするため、売上高が大きくなれば数値は良化します。

総資本売上総利益率は、売上総利益率が同じで売上高が大きくなれば、数値は良化します。売上が発生するために発生する費用が減価になるので、売上が大きくなれば原価も連動して増加していき売上総利益も大きくなることが一般的です。

一方で、売上高が大きくなることでマイナスの影響が発生する指標もあります。それが売上高経常利益率です。売上高経常利益率は、経常利益÷売上高で計算して、経営の効率性の高さを示す指標です。そのため、売上高が大きくなって、経常利益が変わらないと経営効率が下がっていることになります。

ただし、最終的には4つの計算指標を全体としての評価を見た場合には、売上高が高くなることは経営事項審査にプラスの影響が出てきます。

*完成売上高とは、工事が完成した工事の売上高を言います。

**売上総利益は、売上高−売上原価(完成工事原価+兼業工事売上原価)の計算で求められます。

●自社発注の元請工事は経営事項審査の建設工事実績には加えられない

兼業する不動産業で土地を購入して自社発注する建設工事は経営事項審査における建設工事実績には含めることはできません。

建設業法においては、建設業は「建設工事の完成を請け負う営業」と規定されています。自社発注・自社施工においては、工事の請負契約が成立していないため、建設工事の定義からは外れることになります。

ただし、不動産業で販売した家主から依頼を受けて建設工事を行う場合には、工事の請負契約が成立するために建設工事の実績とすることができます

●ストックモデルの収益によって安定的な経営ができる

建設業のビジネスモデルは、新規の工事の依頼を受注してその工事を完了させる、いわゆるフローモデルが中心です。フローモデルとは、売買契約など一括で比較的大きな売上が上がるビジネスモデルになります。

フローモデルと対照的なビジネスモデルが、ストックモデルです。ストックモデルは、契約後にサービスを継続する代わりに1契約ごとの売上は比較的小さくはなりますが毎月発生します。具体的には、携帯電話の契約などです。携帯電話会社との契約には契約時点ではなく、毎月の携帯電話料金として売上が発生していきます。ストックモデルの契約を複数積み上げていくことで、新規契約がなかったとしても安定した収益が計算できるという点がストックモデルの優位点になります

フローモデルとストックモデルの両方のビジネスを行うことで、一括で得られる大きな売上と継続的に安定して得られる売上の両方が得られます

建設業は前述の通り、工事を完了させて売上を得るフローモデルが中心です。フローモデルは売上が大きいメリットがありますが、新規の工事の受注が途絶えてしまうと売上がなくなってしまうデメリットがあります。

一方で、不動産業はフローモデルとストックモデルの両方があります。不動産売買はフローモデルに該当します。一方で、不動産を賃貸することで得られる賃貸収入はストックモデルです。入居者がいる限り、賃貸料は毎月得ることができます。また、管理費なども同様にストックモデルになります。

建設業と不動産業を兼業することで、建設業の売上と不動産業の売上の両方が得られるだけでなく、フローモデルとストックモデルの売上の両方を得られる工夫をすると安定的な経営が可能になります。

2−2 不動産業の兼業をする際の注意点

建設業事業者が不動産業を兼業する際の注意点は、大きく以下の3つに集約されます。

  1. ①消費者取引に必要なノウハウを習得する
  2. ②宅建業を行うためのコストを抑えておく
  3. ③不動産専業の業者との競争に勝てる強みを持つ

●消費者取引に必要なノウハウを習得する

建設業は、専門職であり納期と予算を守って完成度の高い工事をすることが次の仕事につながっていく世界です。また、ゼネコンでなければ契約は法人間取引になります。

不動産業は主にお客様は消費者=個人になります。消費者向けの事業は、消費者数が法人と比べて圧倒的に多いなどメリットも複数あります。一方で、消費者向けと法人向けでは営業手法も必要なノウハウも異なってきます

買いたいお客様のニーズを中心に考えて、希望やニーズを実現するための設計・構築をしなければなりません。さらに、ただ建築するだけでなく、それを販売するためのノウハウが必要になります。

加えて、必要な知識として宅建業法の習得はもちろん、法人間取引では必要なかった消費者保護法や個人情報保護法などの専門の知識も習得しなければなりません。

●宅建業を行うためのコストを抑えておく

宅建業を行うのは、前述の通り宅建業を行うための事務所や免許の取得や専任の政令使用人や宅建士が必要です。また、建設業と同じく維持をしていくためには更新手続きも必要です。更新の期間は建設業と同じく宅建業の免許も5年になります。

蛇足になりますが、同時に建設業許可と宅建業免許の取得・更新をすると手続きが非常に煩雑になりますので、時期はずらして取得した方が賢明です。

宅建業免許取得に必ず発生するコストは以下のようになっています。(ただし、①と②はいずれのどちらかになります。)

①宅建業免許取得費用(都道府県知事免許)* 3万3千円
②宅建業免許取得費用(大臣免許)* 9万円
③保証協会への加入** 100万円前後

*行政書士などに手続きの代行を依頼する場合には、別途10万円前後の費用が発生します。大臣免許の手続き代行が都道府県知事免許より費用が高くなっているのが一般的です。

**保証協会への加入は、営業供託金(1,000万円〜)を納付しておけば必須ではありません。

上記の他に、多くの不動産業の兼業では宅地建物取引士の資格を持った不動産ノウハウに長けた人材の採用が必要になります。宅地建物取引士の資格は、宅建業を営む社員の5名に1名必要になるため不動産業界においてニーズの高い資格になります。

宅地建物取引士の平均年収は500万円前後となっており、日本の平均年収と比較して1割以上高くなっています。また、建設業と不動産業の兼業を開始するタイミングにおいては不動産業を立ち上げという難しいタイミングを任せる人材になるため、ハイキャリアの人材を採用することを考えると平均的な宅地建物取引士の平均年収より高い人件費がかかってくることを見込むべきです。

宅建士が退職する場合には後任の宅建士が必要です。後任の宅建士が見つけられない場合、宅建業を営むことができなくなってしまいます。

事業の継続を優先すると、宅建士は複数採用しておく方が安全です。特に、立ち上げ期には複数の専門家に任せておく方が成功確率は上がります。逆に一人に任せておくと、良いように言いくるめられてしまうリスクが発生します。

これらのことから、宅建業の兼業で最もコストがかかるのは宅建士など宅建業に必要な専門性やノウハウを持った人材の人件費と言えます。

●不動産専業の業者との競争に勝てる強みを持つ

餅は餅屋というコトワザがあるように、専業の強みはあります。建設業と不動産業の兼業においては、専業で行う不動産業者との競争に勝たなければなりません

不動産業は、チラシや自社ホームページやポータルサイトなど複数の広告媒体を活用して集客や見込み客を集めていき、最適な物件を提案して、売買契約や賃貸契約などの契約まで到達させるノウハウを持ったプロフェッショナルです。

不動産専業の宅建業者は、土地の仕入れについても大きな情報網やノウハウがあります。つまり、不動産を売りたい人や貸したい人についての集客も強化しています。数多く自社で売買物件や賃貸物件を仕入れることで、買いたい人や借りたい人に他の不動産業者にはない物件を提案できるように強化しています。

これらの専業の不動産業者に勝るためには、専業の不動産業者と同じ土俵で勝負することも不可能ではありませんが、建設業が行う不動産業の兼業であることの強みを最大限に活かす戦略が有効です。

建設業で利益が出れば兼業である不動産業の利益は削っても良い、というふうに考えれば同じ品質でもより安価に提供することが可能です。製造業などでよく用いられる設計から製造、納品までを全て自社で行うし“ワンステップ“戦略を建設業と不動産業の兼業で実現することも1つの強みと言えます。

2−3 兼業をする際の建設業の注意点

建設業が建設工事以外の事業を行う場合には、建設工事以外の事業は建業となります。兼業を行う際には、建設業許可に関わる下記①と②の注意事項と、許可に限らず全体に影響する下記③に注意します。

  1. ①各種申請時の兼業による売上などの損益計算方法
  2. ②経営経験や実務経験の対象外となる
  3. ③マイナスの影響を本業に波及させない

●各種申請時の兼業による売上などの損益計算方法

税務申告などにおける損益計算書などの売上から利益を計算していく財務諸表などでは、どの事業から売上や収益を上げたのかを明確に分ける必要はありません。

しかし、建設業許可に関わる「新規許可申請」ならびに「毎年の決算報告書」と「許可更新」においては本業である建設業とその他の兼業について売上高を区別する必要があります*。

そのため、発注者と契約締結時にやりとりする見積書や注文書や請負契約書なども、契約後の代金請求書なども建設工事費とその他の兼業の費用は分けて記載する必要があります。

具体的に建設事業とその他兼業について区別して記載する事項は以下になります。

項目 建設業上の科目 説明
売上高 完成工事高 建設業では工事を完成させた工事の請負代金、その他事業では商品の販売やサービスの提供によって得られる代金が売上高になります。
売上原価 完成工事原価 建設業では工事完成に直接的に必要な経費、その他事業では商品の販売やサービス提供に直接必要な経費が完成工事原価になります。
総利益 完成工事総利益 売上高から原価を引いた利益が総利益になります。
売掛金 完成工事未収入金 建設業では完成工事に対して将来受け取る工事代金で、その他事業では既に実施した商品の販売やサービスの提供に対して将来受け取ることができる代金(債権)になります。
買掛金 工事未払金 建設業では完成工事に対して将来支払う代金で、その他事業では既に実施した商品の販売やサービスの提供に対して将来支払いをしなければいけない代金(債務)になります。
棚卸資産 未成工事支出金・材料貯蔵品 建設業では工事を完成させるために必要な資金や材料で、その他の事業では販売やサービスを行うために必要な資金や材料になります。

これらの項目を分けて記載すること事態は難しくありませんが、一度合算して作成したのちに分けるのだと二度手間になります。そのため、事前に税理士などに相談して建設業とその他兼業をわけて記載するようにします

*前述の説明の通りではありますが、経営事項審査においても売上高は建設業とその他の兼業で分ける必要があります。

●経営経験や実務経験の対象外となる

 建設業を営む上で必要となる『経営業務の管理責任者』や『専任の技術者』の育成に必要なのは、業務経験などです。

経営業務の管理責任者は、『財務管理の業務経験』や『労務管理の業務経験』や『業務運営の経験』などが求められます。専任の技術者も最終学歴に応じて3〜10年の実務経験が求められます。

しかし、1つの法人で建設業と不動産業の兼業をしていたとしても、兼業である不動産業の財務管理の業務経験などの経営業務の管理責任者に求められる実務経験を行なっても、対象外となります。

同じ財務や労務や業務運営の管理経験だとしても、経営業務の管理責任者に求められる経験はあくまで建設業での経験になります。

同様に、専任技術者の実務経験も許可を受ける建設工事における経験になるため、兼業業務の実務経験は対象外となります。

建設業とその他の兼業を行っている場合で、経営業務の管理責任者や専任の技術者を育成している場合には実務を建設業とその他の兼業を分けておくことが必要です。

●マイナスの影響を本業に波及させない

兼業を行うタイミングにおいて、兼業の立ち上げは事業の立ち上げに該当します。事業の立ち上げは経営の最重要事項におかれることが一般的です。

事業の立ち上げは簡単ではありません。安定していた売上を確保するためには事業計画以上に時間がかかることもありますし、広告などの費用も計画以上に必要になることもあります。

事業を立ち上げるためにと、人材や資金など経営資源がどんどん投下される場合があります。その後、事業が想定通りにいかない状況下で継続しておくと最悪のケースでは会社の存続を脅かす可能性も出てきます。

そのため、事業の立ち上げと合わせて建設業の本業を守ることも同時にしなければなりません。仮に、不動産の兼業が想定よりうまくいかず場合によっては廃業となった場合でも、本業が順調であれば立ち直りは早くなります。

一方で、不動産の兼業に経営資源を過剰に投入することで本業である建設業の経営まで悪化させてしまった場合、不動産業を撤退したのちに限定された経営資源で建設業の立て直しをしなければならなくなります

このように新規事業を立ち上げが本業や会社全体の経営に対する影響範囲を決定しておくことに有効なのが『撤退基準』です。

撤退基準とは、事業の撤退を判断するための基準です。事業を開始するタイミングで予め期間と指標を使って撤退の基準を設けておきます。撤退基準があることで、適切なタイミングで撤退を判断することができます

3 建設業者による兼業での不動産業の始め方

建設業者が兼業で不動産業を行うことのメリットや注意点も理解していただき、その上でも兼業で不動産業を始めようとする場合の流れについて紹介します。

3−1 不動産業開始までの大枠の流れ

建設業が不動産業を兼業で営業を開始するまでの大枠の流れと必要なスケジュールをおさえます。スケジュールを押さえることで、事業を開始したい時期から逆算して準備できます

不動産業の営業を開始するためには、大きく分けると宅建業の免許申請準備と免許取得後の保険の加入が必要です。建設業を本業で実施しているため、会社設立や設立後の各種申請は必要ありません。また、事務所の設立も必要ない場合が多くなります。これらの点を総合すると、不動産業をゼロから法人設立するよりは簡単です。

《不動産業の営業開始までの流れ》

  1. 1)定款事項の追加*
  2. 2)宅建業免許の申請準備
  3. 3)宅建業の免許申請
  4. 4)保証協会への加入
  5. 5)免許証受領

上記の1)から5)のプロセスを経て、晴れて不動産業の営業が開始できます。

1)定款事項の追加から2)宅建業免許の申請準備のプロセスは、1〜2ヶ月の期間が必要です。その後、3)宅建業の免許申請から5)免許証受領までで概ね2ヶ月かかるので合計3〜4ヶ月の期間が必要です。

*定款に不動産業を行う旨の記載がある場合には不要です。

3−2 不動産業開始までの詳細説明

大枠の流れの把握後は、詳細について解説していきます。

1)定款の追加

建設業を営む法人は、まずその定款で不動産を業とすることについて記載があるかを確認することから始めます。兼業で行う不動産業の事業範囲が「売買」「管理」「仲介」「賃貸」「鑑定」などどのような事業を行うかで定款に必要な事項が異なってきます。不動産事業について定款で定めがない場合には、定款の目的に追加する必要があるため、記載する事項は不動産業のすべての業務ができるように追加する方が間違いはありません

定款の変更は、株主総会決議事項になります。定款の記載方法が決定した後には、株主総会の手続きを行います。そして、定款変更をおこなった後には、登記申請も必要になります。法務局にて登記申請を行います。

ここまでは一般的な業種を含めて共通の定款変更の手続きになりますが、建設業においては定款の変更も届出事項の1つになっている点に注意をしてください。建設業で定款を変更した場合には、決算変更届と同時に管轄する行政機関に提出を行うことを忘れずに実施します。

2)宅建業免許の申請準備

宅建業免許の申請準備は、大きく申請に必要な要件を整えることと申請するための書面を用意することの2つに分けることができます。

《申請に必要な要件を整える》

申請に必要な要件は前述のとおりです。この要件の中で比較的準備に時間がかかるのは、宅建士の採用です。採用の募集をかけて、応募があってから面接をしていき、採用手続きを行います。

また、実際に稼働するためには、採用時に別の会社で働いている場合には引き継ぎや有休消化などの期間も必要になります。宅建士の採用募集は早めに実施することと、ツテなどを使って事前に採用できる人を探しておくなど完了するまでの期間を短くための工夫が必要です。

《申請するための書面を用意》

宅建業申請に必要な書類は以下になります。

1 免許申請書 事前に申請先窓口で記載方法の案内を受けるようにしてください。
2 重要人名簿 相談役と顧問、株式の5%以上の株主と出資者を記載します。
1 身分証明書 取締役以上と監査役と代表執行役と執行役、専任の宅地建物取引士と政令使用人、相談役、顧問などの身分証明書(写し)を用意します。
3 免許申請書 事前に申請先窓口で記載方法の案内を受けるようにしてください。
4 登記されていないことの証明書 No.3が必要な役職に就く全員分を用意します。
5 略歴書 No.3が必要な役職に就く全員分を用意します。
6 住民票 代表者の住民票を用意します。
7 専任宅地建物取引士設置証明書 No.1の申請書同様にテンプレートがあります。記載方法の案内を申請先窓口で受けるようにしてください。
8 名簿 宅建業に従事する者の名簿を用意します。
9 専任宅地建物取引士の顔写真 宅地建物取引士の顔写真が添付された用紙を用意します。
10 履歴事項全部証明書 申請する法人の履歴事項全部証明書を用意します。(個人事業主の場合には不要です。)
11 宅地建物取引業経歴書 新規申請の場合には記載する事項はありません。書類については案内を申請先窓口で受けるようにしてください。
12 決算書の写し 直近1年分の損益計算書と貸借対照表を用意します。(個人事業主の場合には不要です。)
13 資産に関する調書 個人事業主が貸借対照表の代わりに提出する書類です。
14 納税証明書 直近事業年度分の納税証明書を用意します。ただし、初めての決算がまだ終わっていない場合には納税証明書は不要です。
15 誓約書 テンプレートがあります。記載方法の案内を申請先窓口で受けるようにしてください。
16 事務所使用に関する権限を証明する書る 主たる事務所と従たる事務所の賃貸契約書など継続して使用が可能なことを証明できる書類を用意します。
17 事務所とその付近地図 主たる事務所と従たる事務所とその付近がわかる地図を用意します。
18 事務所写真 それぞれの事務所以下の写真を用意します。

  • ・事務所の全景
  • ・事務所が入っている入口付近
  • ・看板や表札などの外から見てわかるテナント表示
  • ・事務所にはいる入口
  • ・事務所の内観
3)宅建業の免許申請

宅建業の申請は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁の宅地建物取引業担当課を通じて実施します。国土交通大臣免許の申請も申請窓口は同じです。

申請書類は提出用と副本用の2部を用意します。また申請にかかる手数料も必要となります。不備のない申請書類を提出して申請がおりたことを伝える免許通知まで4〜6週間かかります

4)保証協会への加入

宅建業の営業開始を行うために保証協会への加入か保証金の供託が必要です。宅建業の免許申請が完了したら、2つある保証協会のどちらに加入するかを決定して具体的な加入準備を開始します。

5)免許証受領

保証協会への加入が完了したのちに、宅建業の免許証の受領ができます。申請をおこなった窓口に、免許通知に同封されている「免許証受領書」と保証協会で受け取った「供託届出書」を持っていきます。

免許証の受領を持って、不動産業・宅建業の営業を開始することができます

4 まとめ

建設業が兼業として不動産業を行うことについてのメリットを始めとした注意点や実際に開始するために必要な事項などをまとめました。

建設業と不動産業の兼業はフロービジネスとストックビジネスを両方できるなど事業の相性がよく、シナジー効果も期待できます。事業を複数持っておくことは、会社の存続には有効です。

建設業だけでなく事業領域を広げたい経営者は注意点なども考慮した上で、建設業と不動産業の建業を検討してみてください

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