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赤字でも建設業許可は取得できる?

この記事では赤字でも建設業許可を取得できるパターン、一般建設業許可・特定建設業許可でどのように異なるのかなどを、詳しく解説し、赤字であってもできるだけ建設業許可を取得できるようにする方法を解説します。

また、建設業許可要件に関しては、赤字でも大丈夫かという「財産的要件」を踏まえた上で、他の重要な事項である「適正な経営体制」「適切な社会保険加入」「専任技術者」「誠実性」、そして該当すると許可を無条件で得られなくなる「欠格要件」が存在します。以上のような要件に関しても、詳しく解説します。

1 赤字でも建設業が取得できるケースは?

建設業許可の取得においては、一般建設業許可・特定建設業許可ともに、「財産的基礎要件」が定められています。建設業を営む上では、資材の購入、機材の購入、工事着工の準備資金等として、顧客から着手金などまとまったお金を受け取ったり、協力会社や職人さんに諸費用を支払うため、安定した経営を行うに足りる一定の財産があることが求められます。

なぜなら、財産が少ない、もしくはない状態の事業者に許可を出して、結果として途中で事業者が経営破綻すると、依頼者や関連業者、職人等周りの人間が、多くの損害を被る事になるからです。また、元請が小規模ビルの建築を行っていたが、途中で経営破綻をしたために、小規模ビルの建築がストップ、依頼主に迷惑を与える事にもなりかねません。

特に、下請け等で複数の事業者が関与することが多い特定建設業許可は、要件が非常に厳しくなっています。一方、特定建設業許可に比べ、事業者の関与が特定建設業より少ない一般建設業許可は、取得要件についてハードルが低く設定してあります。多くのケースでは、まず一般建設業許可を取得し、実績を積み、財務を安定させた上で、特定建設業許可にステップアップして行くことが想定されています。まず、一般建設業許可・特定建設業許可の要件について確認していきます。

1-1 一般建設業許可なら赤字でも取得可能

一般建設業許可の場合は、赤字決算でも状況によっては建設業許可を取得することができます。

通常、建設業許可を取得する場合は、一般建設業許可・特定建設業許可双方、財産的要件、つまり金銭的な信用があるということを客観的資料で示すことが求められます。

ただし、特定建設業許可に比べ、一般建設業許可は、条件に柔軟性があります。具体的には、自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の預金、もしくは資金調達能力があることのどちらかが要されます。特定建設業許可のように、資本金が2,000万円以上あること他、合計4つの厳しい条件を全て満たす必要があるというわけではありません。

自己資本の基準は、法人においては、申請時直近の確定した貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額を、個人では期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額を指します。

また、500万円の預金を示す預金証明書、もしくは資金調達能力を示す融資可能証明書等に関しては、直前の決算で純資産が500万円未満の場合に必要となります。

申請者名義(法人である場合は当該法人の名義であること)の口座における、取引金融機関発行の500万円以上の「預金残高証明書」又は「融資証明書・融資可能証明書・資本信用証明書」(発行後一ヶ月以内のものが有効、都道府県・金融機関によりそれぞれ名称が異なる)を提出する事が必要になります。

直前の決算で、純資産が500万円未満かつ、口座そのものに残高が500万円なかったという状況であっても、500万円以上の融資証明書・融資可能証明書(金融機関によっては、資本信用証明書という名称の所もある)があれば、口座に500万円なくても条件を満たすことができます。(ただし、そのような厳しい財務状況の会社に融資を行う金融機関がどれくらいあるのかという問題はありますが)

とはいえ、残高証明書と異なり、融資証明書・融資可能証明書・資本信用証明書は、金融機関が発行に際し厳しい条件を付けるケースが多いです。手数料も1金融機関で5千円~1万円などかなりの額がかかります。

そのため、融資証明書・融資可能証明書を用意することは厳しいケースも多く、残高証明書を用いる方式の方が無難と言えます。なお、沖縄県など一部の県では、融資証明書・融資可能証明書ではなく残高証明書のみを求めるところもあります。

例えば、沖縄県であれば、「500万円以上の現金残高を確認する」「新規申請が商業登記の法人設立時から 一ヶ月以内の法人にあっては、開始時貸借対照表の純資産合計額と当該登記における資本金が500万円以上である場合のみ、残高証明書の省略を可とする」など、残高証明書の提出を前提としています。

ただ、500万円以上の残高・融資証明書が存在する場合でも、「このままでは明らかに倒産するのがはっきりした状況」の場合は、基準に適合しないものとして取り扱われる可能性があります。

そのため、500万円の預金証明を用意しても、決算書や各種会計書類等を見て、このままではこの500万円があっても経営破綻は避けられない、という場合は相当厳しいです。

1-2 特定建設業許可は厳しい

一般建設業許可の場合は、自己資本が500万円に満たない場合でも代わりの手段がある一方で、特定建設業許可の場合は条件が非常に厳しいです。

  1. ・欠損の額が資本金の20%を超えないこと
  2. ・流動比率が75%以上であること(流動資産合計 ÷流動負債合計 ) × 100 ≧75
  3. ・資本金が2,000万円以上あること
  4. ・自己資本が4,000万円以上あること

以上4つの条件を全て満たす必要があります。当然、倒産する可能性がはっきりしている場合は、新規・更新とも認められません。特定建設業の場合、破綻してしまうと下請負の事業者にとって、大きな被害が及ぶからです。

資本金2,000万円ということは、資本金1,000万円を超えるため、下請法の適用対象となります。下請法は、資本金3億円~1,000万円超の会社が、資本金1,000万円以下の法人もしくは個人事業主と取引するときに、下記の様々な下請保護の義務を負います。

  1. ・取引にかかる書面の交付義務
  2. ・契約書類の作成・保存義務
  3. ・下請代金の支払いの期日を定める義務
  4. ・遅延利息の支払い義務
  5. ・受領拒否の禁止(納品されたものに、不当に理由を付けて受け取りや代金支払いを拒否することの禁止)
  6. ・下請代金の支払い遅延の禁止
  7. ・下請代金の減額の禁止(納品物が要求に達してない、追加の要請に応じなかったなどの不当な理由で)
  8. ・返品の禁止
  9. ・買い叩きの禁止(うちが優先的に仕事を回すから、工賃をまけろというような不当な代金の減額)
  10. ・購入・利用強制の禁止(自社の特定商品を買え、利用しなさいと強制することの禁止)
  11. ・報復措置の禁止(公正取引委員会に報告したり、各種機関に連絡したことを理由に、取引の停止や各種妨害など、仕返しの禁止)
  12. ・有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
  13. ・不当な経済上の利益の提供要請(リベート・キックバックなど)
  14. ・不当な給付内容の変更・やり直しの禁止(途中で最初の予定になかった設備を追加してくれとか、要求に満たないからやり直しを命じると言うことの禁止)

以上の通り、優越的な立場にあることを利用して、下請に対して問題のある要求をすると、公正取引委員会の調査が入り、50万円以下の罰金や違反行為に関する是正勧告が行われる事があります。

また、万一公正取引委員会の調査が入ると、調査対応に大きなリソースを割く必要が出てきますし、公正取引委員会に入られたと言うことで、信用が毀損され、下請に対して問題のある対応をしているというイメージが作られてしまうおそれがあります。

なお、世間では資本金をちょうど1000万円にしている会社が多いです。切りがいいことは一つの理由でしょうが、それに加え、過去の株式会社の最低資本金が1000万円だったこと、資本金がちょうど1000万円だと、1000万円を超えない、つまり下請法の親事業者に当たらないため、下請法の適用除外になるという隠れたメリット(そして、下請業者としての保護は受けられる)があることもひとつの理由として考えられます。

話を建設業許可に戻すと、赤字で建設業許可を取得、または維持したい場合は、一般建設業許可が唯一の選択肢となります。仮に、特定建設業許可を得ていたが、更新のとき赤字その他の理由で条件を満たせないという場合は、新規で一般建設業の許可を得て、特定→一般に切り替ざるを得なくなります。

1-3 残高証明書・融資証明書の取得・提出は急ぎで

赤字という状況でも、一般建設業許可を取得できる可能性をもたらしてくれる預金残高証明書・融資証明書ですが、残高証明書や融資証明書の発行には、概ね時間がかかり、若干の手数料がかかることは理解しておく必要があります。

一般的な金融機関では残高証明書の発行に一~二週間の期間がかかります。後ほど述べますが、地域によっては預金残高証明書の日付を同一日で発行したものを提出するというローカルルールがある県もありますので、複数の残高証明書を取得する場合は、県の手引きに日にちに関するローカルルールがないか、確認する必要があります。

なお、ネットバンク・金融機関のインターネットバンキングでは、Webベースでの残高証明書は無料で即日閲覧・印刷できるケースが多いです。ただし、通常の残高証明書に比べると、都道府県や国土交通大臣が書類として認めるかは、正直厳しい地域もあるかと思われます。

別の方法としては、ネットバンクで紙ベースの残高証明書・融資証明書の発行を行う必要があります。こちらも当然一週間~二週間の時間がかかります。

また、提出時には原本での提出を明記している自治体(京都府など)と、特に明記していない自治体がありますが、基本的にはコピーではなく原本での提出を行う必要があると考えておく方が望ましいと言えます。

ネットバンク・インターネットバンキングのWeb残高証明書を、財産的要件の証憑書類として認めるかは、都道府県の窓口の運用によりますので、申請前に必ず確認する必要があります。

いずれにせよ、事前に相談することなく提出し、チェックの段階で「ネットバンクの残高証明画面を印刷したものではだめで、金融機関が紙ベースで発行した残高証明書・融資証明書を添付して下さい」と言われてしまうと、せっかく申請を行っても、また一~二週間書類を待つこととなってしまいます。それだけ事業のスタートが遅れ、貴重な時間と、得られるはずだった収益を失うこととなってしまいます。

そのため、ネットバンクを利用している場合や、他の金融機関でインターネットバンキングを利用している場合、書類の様式はどのようなものが認められるかということを都道府県の建設業許可窓口に確認することは不可欠です。

また、残高証明書・融資証明書の有効期間は、東京都を初めてとする大半の自治体で、一ヶ月となっています。残高証明書もですが、特に融資証明書(融資可能証明書)の発行は、銀行が慎重に審査を行うためより期間がかかる可能性があります。そして残高証明書を発行しても、有効期間が一ヶ月ですので、すぐ無効になってしまう恐れがあります。そのため、残高証明書・融資証明書を利用する際は、特に急いで手続を行うことが重要です。

建設業許可取得に通じた行政書士に相談し、「この方法が最適ではないですか」と提案してもらう方がよりスムースに手続ができると言えます。

1-4 残高証明書は、複数の口座の合計でも基本的にOK

都道府県の運用により異なるケースがありますが、一般的には、残高証明書は複数の口座を合計したものでも問題ありません。

人によっては、一つの金融機関に500万円以上の預金が存在するという証明書が必要と思う方もおられるかもしれません。ただ、多くの都道府県では、複数の期間の定期預金・当座預金・普通預金の証明を全て合計し、500万円を超えれば要件を満たすことになります。

ただし、繰り返しになりますが、都道府県に複数の口座の残高証明書の合算証明書で問題ないかということは、窓口に事前にご確認下さい。

加えて、千葉県のように、複数の口座の残高証明書を提出する場合は、残高証明書の証明日が同じ日にちであることを求めているケースもあります。このように、都道府県による細かなローカルルールも存在することにご注意ください。

また、残高証明書に関しては、名義が法人名義のものだと、代表者個人の名義の口座は利用できません。個人事業の場合は、屋号がついているケースとついていないケースがありますので、屋号の口座だけでなく、代表者個人の預金が合算できるケースもあります。こちらも都道府県によりケースバイケースであることは、念頭に置いて下さい。

1-5 建設業許可の継続の場合はどうなるか

ここまでは、建設業許可取得を前提においた話をしてきました。それでは、無事毎年成長し、建設業許可から5年が経ち、継続の手続に入るという場合は、その際も500万円の財産的要件が必要となるのかという疑問があります。

結論から言うと、5年間営業してれば、500万円以上の要件は関係ありません。

一般建設業許可更新の場合、東京都・大阪府などの自治体は、財産要件として下記の条件を設けています。

次のいずれかに該当すること。

  1. ・自己資本が500万円以上あること。
  2. ・500万円以上の資金調達能力があること。
  3. ・直前5年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在東京都知事許可を有していること。

つまり、赤字で500万円以上の自己資本がなくても、直前5年間知事許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在有効な知事許可を有している場合は、自動的に財産要件をクリアすることになります。

そのため、きちんと毎年の報告を都道府県に行い、継続営業の実績を作っていれば、自己資本や預金による500万の証明は不要となります。

1-6 一般建設業許可で、国土交通大臣の許可を得る場合は

建設工事において、1つの都道府県のみで工事を行う場合は、都道府県知事の許可で問題ありません。しかし、2つ以上の都道府県で工事を行う場合は、国土交通大臣の許可を得る必要があります。

実際の手続としては、関東・東北などそれぞれの地方整備局を通して、国土交通大臣に許可申請を行う形となります。(関東であれば、さいたま新都心合同庁舎に所在する、国土交通省 関東地方整備局)

国土交通大臣の一般建設業許可の場合でも、都道府県の一般建設業許可と、資本に関する要件は同一です。

  1. ・自己資本の額が500万円以上であること
  2. ・500万円以上の資金を調達する能力を有すること
  3. ・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

このように、都道府県知事・国土交通大臣許可共に、500万円の自己資本というのが一般建設業許可のボーダーラインとなることを意識する必要があります。

2 財産的要件以外の建設業許可取得要件

一般建設業許可・特定建設業許可を問わず、建設業許可取得には、財産的要件以外にも複数の厳格な要件が存在します。建設業許可は、大きなお金が動き、公衆衛生や人命にも関わる業務も多いので、適格な事業者でないと、建設業許可を与えることで問題が生じるおそれがあります。

まず、該当するだけで建設業許可が取得できなくなる(取り消される)欠格事項について触れ、その上で「適正な経営体制」、「適切な社会保険加入」、「専任技術者」、「誠実性」などについて触れていきます。

2-1  許可を受けることができない欠格事項

許可を受けることができない欠格事項とは、代表者や役員が該当したらその時点で許可を受けることができない(もしくは、取り消される)致命的かつ重大な項目です。

内容としては、「さすがにこれに該当する人が建設業に携わったり、建設事業者として事業を行って言うのは、問題が極めて大きい、実際に問題を起こすおそれが懸念される」という項目ばかりです。

  1. ・許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について、虚偽の記載がある又は重要な事実の記載が欠けている場合(意図・過失を問わない)

また、この事例他複数の事例では、厳しいペナルティーが存在します。

建設業法第四十七条によると、上記の虚偽記載・不実記載を始め、問題のある行為を行った場合、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するという規定があります。

  1. ・第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者
  2. ・第十六条の規定に違反して下請契約を締結した者
  3. ・第二十八条第三項又は第五項の規定による営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者
    二の二 第二十九条の四第一項の規定による営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者
  4. ・虚偽又は不正の事実に基づいて第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)を受けた者
    (前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる)

このように、3年以下の懲役や300万円以下の罰金、さらに他の罪の併科もありうると言うことです。刑の重さや問題発覚時のデメリット、そして業界からの一定期間追放とペナルティが極めて大きいと言えます。

当然ながら、建設業許可を取得する上で、書類に虚偽があったり、重大な事実が書かれていない(例えば、役員の一人が実は執行猶予付きの懲役刑を受け、現在も執行猶予中であるが、それが記載されていないなど)ケースは、重要な事実の記載が欠けているというケースに該当します。人の犯罪に関わる情報というのは、新聞沙汰ならともかく、様々なケースがあり、ほとんど目立たないものもあります。そこで、役員になった後に執行猶予中だった、ということが判明すると大変です。

そうすると、許可取消で事業が出来なくなるだけでなく、代表者や虚偽を書いた人物に対しての刑事事件に発展したり、またまれに、営業停止で工事に影響が出た顧客から対応を求められる可能性があります。

処罰の対象になるほど悪質なものでないケースでも、なお、申請用紙の記入漏れや添付書類の不備があった場合、提出書類が受理されないことがあります。この場合、一度受付し、書類を受け取ってもらった場合でも、取下げや却下処分を行わなくてはならないことがあります。

そして、手数料は返却されません。1つの業種の提出でも数万単位になるため、取下・却下となると、非常にもったいないといえます。提出書類や添付書類に虚偽や不正があった場合は、法律により処罰されますので注意してください。

では、他の欠格事項を見ていきます。

代表取締役・代表社員だけでなく、役員等、支配人又は営業所の長に該当者がある場合も含め、下記の事項に当てはまる場合は欠格事項に該当するため、欠格事項に該当しないように行動することが重要です。

・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

ちなみに、この文章を読むと、自己破産をするとずっと建設業に従事できないと思われる方もおられるかもしれません。意外と誤解されがちですが、破産手続を行い、裁判所が認めると、市区町村の破産者名簿に掲載されますが、その後免責を受ける、つまり借金が0になると、同時に破産者名簿からの消除、加えて復権を得ることになります。復権を得ることで、欠格事項に該当しなくなります。

ただし、役員等が自己破産手続を行うと、手続の中で破産者となり、欠格事項に該当してしまうことには代わりがありません。復権を得るまでは役員から外れるか、任意整理・個人再生手続を行う方法があります。

より望ましいのは、自然災害や今回のコロナ禍のような疫病・自然災害の被害を受けた人のための、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を利用し、自己破産や個人再生によらない債務整理手続をとる(家や車を含めた一定の財産が残せる可能性があり、信用情報機関にも事故情報が登録されない)ことで、欠格事項に該当することを防ぐことができます。

やはり、一時的にでも欠格事項に該当するのは問題があるので、できるだけ自己破産をしない方向で、解決策を考えていくことが重要です。特に、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインは、自己破産や個人再生のように、数十万かかるケースと異なり、基本無料、最小限の実費で対応してくれます。ぜひ、このガイドラインは活用することを強くお勧めします。

・不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取り消されて5年を経過しない者

不正手段により許可を受けたり、営業停止処分が下っているにもかかわらず営業をするなどして、許可を取り消された場合、問題を起こして営業停止処分を受けた上に、さらに命令破りで悪質な行為と言うことで、5年間は欠格事項に該当することになります。

・許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者

許可の取消をされる前に、自主的に廃業してしまえば、許可の取消相手自体がはいぎょうしているため、欠格要件に該当しない、ということはけしてありません。いわゆる処分逃れのための露骨な廃業を行ったケースに関しても、悪質かつ狡猾なものとして欠格事項に該当することとなります。

・許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者

こちらも、経営者だけでなく、役員・使用人等が独立して同じような不適切な行為を繰り返したり、あるいは役員・使用人を名目上の経営者として、処分を受けた元経営者が、実質の経営者として居座るというような処分逃れを塞ぐための措置が取られています。

・営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

営業停止処分が命じられている場合は、当然許可取得・更新は出来ません。また、営業停止処分をうけるということは、指定期間内に営業や工事、事業活動が出来なくなるだけでなく、営業停止の時点で受けていた仕事を手放すことになるケースもあります。

加えて、違反や営業停止などの問題行為は、国土交通省の違反情報に関するデータベースに掲載されるため、非常にイメージが悪くなります。あくまで、営業停止の命令に従う必要があります。

・営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

営業の禁止に関しても同様で、禁止期間が経過しない限りは、許可取得や更新はできません。もし営業を行うと、前述の通り、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金となります。

・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

禁錮以上の刑というのは、禁錮・懲役・無期懲役・死刑になりますが、禁錮・懲役の場合は「執行猶予」がつくパターンがあります。例えば、懲役3年、執行猶予5年という、執行猶予のつく判決の中では一番重い判決が出たケースの場合を想定します。(懲役3年6カ月以上は、執行猶予がありません。懲役3年・執行猶予5年というのは、限りなく実刑と紙一重の判決とも言われています)

仮に懲役で2年や3年が求刑された場合でも、執行猶予がつくと、刑務所へ行くことになるわけではありません。判決が確定してから、執行猶予満了までの5年間、事件・事故を起こさなければ、懲役3年は消え、刑務所に収監されることもなくなります。

この場合、執行猶予期間中は当然欠格事項に該当することになり、建設業許可の必要な仕事に就くことはできません。しかし、執行猶予が満了すると、刑の言い渡し自体が失効しますので、執行猶予が満了した時点で欠格事項に該当しないこととなります。

一方、実刑判決という形で実際に刑務所等に収監された場合は、刑期満了後5年間経過するまでは、欠格事項に該当することになります。

いずれにせよ、禁固刑・懲役刑というのは、執行猶予がついたとしても重い刑ですので、厳しく建設業への関与が制限されます。

・建設業法、又は一定の法令の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

建設業法やその他の関連法規に違反した場合は、罰金刑などの比較的軽い判決であっても、欠格事項に該当することとなります。建設業法や関連法令は、建設業で問題が起こらないようにするために定められている法律ですので、それに違反するということは、例え軽い罪であっても重大な欠格事項と見なされます。

・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

建設業界に限らず、社会全体が反社会的勢力に対して厳しい措置を行っています。暴力団は金融機関口座を作成できない、様々な反社条項に抵触するため、まともな企業と取引できないなどペナルティがあります。建設業においても、暴力団員・暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者に関しては、無条件で欠格事項に該当することとなります。

・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法人である場合においては、その役員等)が上記のいずれかに該当する者

婚姻をしていない未成年者かつ、法定代理人が上記の欠格事項に当てはまる場合は、その未成年者が欠格事項に該当する者の指示下で動く可能性が強いため、これも欠格事項になります。

未成年者は、当然ながら大人に比べ、判断能力が十分ではありません。将来、成年年齢が18歳に引き下げられますが、実務経験・経営判断等様々な点で、未成年者が建設業の主要たるポストを担うことは、極めて厳しいです。

・暴力団員等がその事業活動を支配する者

暴力団員自身が直接役員等でないケースであっても、実質の経営者が暴力団員である場合は、欠格事項に該当します。

暴力団員に関しては、警察で暴力団員のデータベースを有しています。そのため審査の過程で、役員に暴力団の関係者がいないかが国土交通大臣・都道府県知事経由で警察に照会される可能性もあります。

・心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

業務を行うに足る判断能力が、加齢や病気のため衰え、歩けなくなる、認知症が進み被成年後見人・被保佐人等になったり、日常生活や業務への従事が困難になった状態、後遺症の残るケガなどで職務を正常に行える状況でなくなった場合は、欠格事項に該当します。

以上、示してきたとおり、欠格事項に該当するケースというのは思いの他多くあります。役員だけでなく、使用人等も該当してはならないので、注意が必要です。

2-2  適正な経営体制について

建設業許可取得のためには、前述の財産的要件や欠格事項に該当しないことだけでなく、建設業として事業を適切に行える経営体制、そして役員の事業経験が問われます。

まず、前提として、一定の経験を有する者(常勤役員等1人もしくは常勤役員等1人+当該常勤役員等を直接補佐する者)を配置し、適切に業務が運営できる体制を確保する必要があります。

建設業は、特に専門的な技術・知識が要されます。業務経験を現場で一定期間積み重ねた人でないと、円滑な運営は難しいことが想定されます。

具体的に、ポジションに対して求められる経験について挙げます。

  1. ・建設業に関する経営業務の管理責任者:経営業務の管理責任者としての経験(5年以上)
  2. ・建設業に関する経営業務の管理責任者に準ずる地位:執行役員等としての経営管理経験(5年以上)、もしくは経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験(6年以上)
  3. ・建設業の役員又は役員等に次ぐ職制上の地位:役員等に次ぐ職制上の地位の場合は、財務管理・労務管理・業務運営のいずれかの業務5年以上(建設業の役員等の経験2年以上を含む)
  4. ・役員等(建設業以外を含む):役員等に次ぐ職制上の地位の場合は財務管理・労務管理・業務運営のいずれかの業務5年以上(建設業の役員等の経験2年以上を含む)
  5. ・上記の常勤役員等を直接補佐する者:建設業の財務管理・労務管理・業務運営について
    それぞれ業務経験5年以上の者(複数の経験を合算可)

また、財務管理・労務管理・業務運営の経験に関しては、個別に認定を受ける必要があります。建設業許可申請前に、該当者の業務経験に関して、事前の個別認定を受ける必要があるので、注意が必要です。

2-3  適切な社会保険加入について

近年、従業員のために、各種社会保険への加入を促進する動きが強まっています。労災保険は、当然建設業者は加入していますが、他の社会保険には、会社や事業主の金銭的・事務的負担の大きさ等も踏まえ、加入していない業者も少ななくありません。

建設業許可を取得する上では、健康保険法・厚生年金法・雇用保険法の適用事業所に該当する全ての営業所に関し、各法の規定による届書を提出、社会保険に加入することが必須となります。

2-4  専任技術者について

建設工事に関して、請負契約に関する見積、入札、契約締結等の業務は各営業所で行われます。それゆえに、建設業を営む全ての営業所ごとに、1人以上の建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者を専任で配置することが要されます。

また、許可を取得した後に、専任技術者が退職し、後任が不在となった場合は要件の欠如として許可の取消しとなるため、直ちに後任をおく必要があります。

この「専任」という条件は厳密で、いわゆる「名ばかり専任」というのは当然認められません。営業所に常勤し、専ら職務に従事することが必要とされます。

具体的に、専任技術者として見なされないパターンは下記の通りです。

  1. ・技術者の住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者(片道にて車で3~4時間かかるなど)
    常識的に考えて、専任技術者に当たる担当者の住所が、営業所から極端に離れている場合は、転居を行わない限りは毎日の通勤不可能で、専任技術者と見なされないおそれがあります。
  2. ・他の営業所において専任を要する職務を行っている者
    あくまで1つの事業所に張り付いて専任技術者として働く必要があるため、複数の営業所、あるいは他の会社の営業所で専任を要する職務を行っている場合は、専任技術者と見なされません。
  3. ・建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている者(建設業において専任を要する営業所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合を除く)
    他の専任を要する資格者と兼ねることはできません。建築士や宅建士等、専門資格の業務はそれぞれ専門的かつ労力も要するため、専任技術者との兼務は無理があるからです。
  4. ・他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者等他の営業等について専任に近い状態にあると認められる者
    既に個人事業主として営業を行いつつ、同時に会社の専任技術者に就任することはできません。また、他の法人の常勤役員(非常勤の場合はケースバイケース)を始め、他の会社で仕事をしており、専任技術者の仕事に専念できないと想定される場合も対象外となります。
    加えて、営業所における専任技術者は現場の主任技術者又は監理技術者にを兼ねることができないという決まりもあります。

例外的に、営業所の専任技術者が工事現場の主任技術者等を兼ねるためには、次の4つの要件すべてを満たす必要があります。

  1. ・当該営業所で契約締結した建設工事であること。
  2. ・工事現場の職務に従事しながら、実質的に当該営業所の職務を適正に遂行できる程度に近接した工事現場であること。
  3. ・当該営業所と常時連絡をとり得る体制にあること。
  4. ・当該建設工事が、主任技術者等の工事現場への専任を要する工事でないこと。

以上の4つに全て合致しなければいけません。

さらに、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、またその業種により、必要となる技術資格要件の内容が異なります。今回は、一般建設業の要件のみを紹介します。

一般建設業の専任技術者となり得る技術資格要件(いずれかに該当)

  1. ・一定の国家資格等を有する
  2. ・工事現場の職務に従事しながら、実質的に当該営業所の職務を適正に遂行できる程度に近接した工事現場であること。
  3. ・許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、下記のいずれかの実務経験を有する
     大学又は高等専門学校の指定学科を卒業した後3年以上の実務経験
    高等学校又は中等教育学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
     専修学校の専門士又は高度専門士を称する者で指定学科を卒業した後3年以上の実務経験を有する者
     専修学校の指定学科を卒業した後5年以上の実務経験を有する者
     10年以上の実務経験を有する者
     複数業種について一定期間以上の実務経験を有する者
  4. ・海外での工事実務経験を有する者で、当該経験の内容につき、国土交通大臣または都道府県知事の個別審査を受け、一般建設業の営業所専任技術者となり得るとしてその認定を受けた者(こちらも、建設業許可申請前に、事前に都道府県・国土交通省の認定を受ける必要があります)

以上いずれかに該当する必要があります。

2-5  誠実性について

誠実性と言われても、一言ではイメージが湧きにくいかもしれません。

ストレートに言うと、建設業の役員等が、直近で不正な行為や不適切な行為を行っていないということが誠実性の前提になります。

具体的には、「請負契約の締結又は履行の際に、詐欺、脅迫、横領等法律に違反する不正な行為を行っていないこと」、「工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について、請負契約に違反する不誠実な行為を行っていないこと」が前提になります。

一見、それは当たり前ではないかと思われがちですが、一部の強引なリフォーム業者・修理業者が、顧客に不当な請求をして事件になることがあることを考えると、適正な事業をするという当たり前のことを「誠実性」として要件にするのは致し方ないと言えます。

他にも誠実性を満たさない例として、「建築士法、宅地建物取引業法等の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない場合」など、建設業法周辺の関係法令で不誠実な行為を行った場合は「誠実性を満たさない」となります。

この誠実性が求められるのは、下記のポジションに該当する人物です。

  1. 法人:当該法人・非常勤役員を含む役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対して業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者。以下、同じ。)

    個人事業主:本人・支配人・施行令第3条に規定する使用人

このように、経営者や役員等・個人事業主・使用人は、建設業の役員・経営者として、求められる仕事をきちんと行い、誠実に業務に取り組み、問題を起こさないかという点が強く問われます。

3 まとめ

以上、赤字でも建設業許可を得る方法から始まり、一般建設業許可と特定建設業許可の違いや残高証明書等の話、欠格事項の問題、申請書の虚偽記載のペナルティ。業務に求められる誠実性、専任技術者、反社会的勢力との問題など、建設業許可の条件全般も含め触れていきました。

建設業許可、特に一般建設業許可を取得する事は、建設事業者として大きく成長するためのスタートラインと言えます。ただ、建設業許可の手続は煩雑で、これまで建設業許可の仕事一筋で来た人が、建設業許可の申請書類を作成するとなっても容易に書類を作成するのは難しいと言えます。

また、申請書を自分で書くと、コストはタダのように見えますが、調べる手間や労力を考えると、慣れた専門家にお任せしたほうが、結果として申請が通りやすく、時間や労力に対するリターンも高くなると言えます。

ぜひ、建設業許可に通じた行政書士の協力を得ながら、できるだけ早く手続を進め、建設業許可を取得、早く現場に入れるように進めていくことをおすすめします。

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