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【建設業許可】国土交通大臣許可と都道府県知事許可の違いって何?

建設業の許可にはいろいろな種類があり、国土交通大臣許可(大臣許可)と都道府県知事許可(知事許可)、特定建設業許可と一般建設業許可などに分かれています。大臣許可・知事許可は営業所の所在状況により、また、特定建設業許可・一般建設業許可は元請として下請に出す金額により区分されています。

この区分は建設業法によって定められており、それぞれの違いも明らかにされていますが、法律の規定は難しく、誤解されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、大臣許可と知事許可、特定建設業許可と一般建設業許可それぞれの違い大臣許可のメリット・デメリットなどを解説しました。建設業に従事している方は、ぜひ参考にしてください。

1 建設業許可とは

建設業許可は、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に国土交通大臣または都道府県知事から受ける許可をいいます。建設業法では、建設業の許可を行うための基準が定められています。

【一般建設業許可の基準】

  1. ①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力がある者として、国土交通省令で定める基準に適合する者
  2. ②営業所ごとに、一定の要件を満たす専任技術者を置くこと
  3. ③法人・個人、その役員、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  4. ④請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと

【特定建設業許可の基準】

  1. ①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力がある者として、国土交通省令で定める基準に適合する者
  2. ②営業所ごとに、一定の要件を満たす専任技術者を置くこと
  3. ③法人・個人、その役員、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  4. ④発注者との請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること

なお、許可の有効期間は、許可日から5年目を経過する日の前日をもって満了となります。

許可の更新を申請しようとする場合は、有効期間が満了する30日前までに更新の許可申請書を提出する必要があります。

なお、建設業許可を受けなければならないにもかかわらず、無許可で工事を請け負ってしまうと、建設業法違反として行政処分の対象になってしまいます。

1-1 建設業許可が必要な業種

建設業の許可が必要な業種は、次の29業種となります。

【一式工事2業種】

土木一式工事、建築一式工事
(注)一式工事とは、専門工事を複数組み合わせた総合的な工事をいいます。

 

【専門工事27業種】

大工工事、左官工事、とび・土木工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事

1-2 建設業許可が不要な工事

建設業許可を受ける必要がある業種は上で示したとおりですが、上の業種に該当する場合でも、「軽微な工事」は許可が不要となります。

【建設業許可が不要な軽微な工事】

  1. ①建築一式工事

    ・工事1件の請負金額が1,500万円未満の工事
    ・延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

  2.  

  3. ②建築一式工事以外の建設工事

    ・工事1件の請負金額が500万円未満の工事
    (注)金額は、材料費込みの税込金額です。

1-3 建設業許可の種類

建設業許可には、次の2種類の区分があります。

  1. ①国土交通大臣許可
  2. ②都道府県知事許可

また、建設業許可には、次の2種類の区分もあります。

①特定建設業許可

特定建設業許可は、工事の発注者から直接工事を請け負う者が、元請として1件の工事について下請代金合計額4,000万円以上(建築工事一式の場合は、1件の工事につき下請代金合計額6,000万円以上)で下請に出す場合に受ける必要がある許可です。

ただし、請負金額が4,000万円以上であっても、元請業者が自社で工事を施工すれば、特定建設業許可をとる必要はありません。また、下請業者として建設工事を請け負う場合や下請業者が孫請業者に再下請に出す場合は、請負金額がいくらであっても特定建設業許可の対象ではありません。

すなわち、特定建設業許可は、工事の元請として一定金額以上で下請けに発注する場合に受けなければならない許可です。

 

②一般建設業許可

上記の特定建設業許可に該当しない建設業を行う場合は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、一般建設業の許可を取得しなければなりません。

例えば、工事の発注者から直接工事を請け負う業者が、元請として1件の工事について下請代金合計額3,000万円で下請に出す場合は、下請代金合計額が4,000万円に達しないため、特定建設業許可は必要がなく一般建設業許可を受けることになります。

また、工事の発注者から5,000万円で直接工事を請け負う元請業者が、下請けに出さずに自社で工事を施工する場合、あるいは、元請ではなく下請・孫請けとして6,000万円で工事を請け負う業者の場合も、特定建設業ではなく一般建設業許可の対象になります。

この特定建設業許可と一般建設業許可では、以下のような違いがあります。

一般建設業を許可するための基準は建設業法第7条特定建設業を許可するための基準は同法第15条で定められています。

一般建設業許可 特定建設業許可

①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力がある者として、国土交通省令で定める基準に適合する者

 

②営業所ごとに、次のいずれかに該当する専任技術者を置くこと

・一定の国家資格を有する者

・高等学校・中等教育学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後5年以上の実務経験がある者、または、大学・短大・高等専門学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後3年以上の実務経験がある者

・許可を受けようとする建設業の建設工事に関して10年以上の実務経験がある者

・国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識・技術または技能を持っていると認定した者

 

③法人・個人、その役員、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと

 

④請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと

①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力がある者として、国土交通省令で定める基準に適合する者

 

②営業所ごとに、次のいずれかに該当する専任技術者を置くこと

・一定の国家資格を有する者

・一般建設業のいずれかの専任技術者の要件を満たしている者で、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負金額が政令で定める金額以上であるものについて、2年以上の指導監督的な実務経験がある者

・国土交通大臣が上記の者と同等以上の能力を持っていると認定した者

 

③法人・個人、その役員、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと

④発注者との請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること

①建設業者に求める財産的基礎の基準が異なる

上表で、建設業者に求める財産的基礎の基準は④に規定されていますが、両者は表現が異なっています。一般建設業許可では、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこととなっています。

一方、特定建設業許可では、発注者との請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額(8,000万円)以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有することとなっています。

一般建設業許可の基準では、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないことと、財産的基礎や金銭的信用について積極的な表現を用いていません。

それに対して、特定建設業許可の基準では、8,000万円以上の請負契約を履行するに足りる財産的基礎を持つことが条件とされ、一般建設業許可基準より厳しい内容となっています。

 

関東地方整備局の「建設業許可申請・変更の手引き」によると、この財産的基礎は次のような基準となっています。

【一般建設業許可を受ける場合】

次のいずれかに該当すること

  1. ①自己資本の額が500万円以上であること
  2. ②500万円以上の資金を調達する能力を有すること
  3. ③許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること

【特定建設業の許可を受ける場合】

次のすべてに該当すること

  1. ①欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. ②流動比率が75%以上であること
  3. ③資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

これを見ても、一般建設業許可に比べて、特定建設業の許可を受ける場合の方が厳しい基準となっていることがわかります。

②営業所に置く専任技術者の要件が異なる

営業所に置くことになっている専任技術者の要件が、一般建設業許可と特定建設業許可で違います。

一般建設業許可では、

・学校で建設業の指定学科を修め3~5年の実務経験がある者、

または、

・許可を受けようとする建設業の建設工事に関して10年以上の実務経験がある者

となっています。

一方、特定建設業許可では、

・一般建設業の専任技術者の要件を満たしている者で、許可を受けようとする建設業に関して発注者から直接請け負い、その請負金額が政令で定める金額(4,500万円)以上であるものについて2年以上の指導監督的な実務経験がある者

となっています。

一般建設業許可の専任技術者には、どちらかというと、基礎的な知識・技術の習得や実務経験を要件としているのに対し、特定建設業許可の専任技術者には、一般建設業の専任技術者の要件を満たしていることに加えて、さらに、発注者から請け負った4,500万円以上の工事の指導監督的な実務経験を求められています。

両者を比較すると、明らかに、特定建設業許可における専任技術者の要件の方が厳格となっています。

 

2 国土交通大臣許可と都道府県知事許可の違い

建設業には、国土交通大臣許可と都道府県知事許可の2種類があります。次は、大臣許可と知事許可の違いについてみていきましょう。

2-1 国土交通大臣許可・都道府県知事許可が必要な場合

建設業で、大臣許可が必要であるのは、営業所が複数の都道府県にある場合です。一方、知事許可を受けなければならないのは、営業所が一つの都道府県だけにしかないケースです。

この大臣許可と知事許可の要件は、建設業法第3条に定められています。

【建設業法第3条】

建設業を営もうとする者は、…(中略)…二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

例えば、営業所が東京都内と埼玉県内の2か所にあれば、営業所が複数の都道府県にあるため、大臣許可を受けることが必要です。

一方、営業所が10か所あっても、すべての営業所が神奈川県内にあれば、神奈川県知事の許可を受けることになります。

このように、大臣許可が必要になるか、知事許可を受けなければならないかは、その業者の「営業所の所在」で決まります。この場合、営業所が複数の都道府県にあるか否かで大臣許可か知事許可かが決まるのであって、営業所の数は関係ありません。営業所が2か所だけであっても、それぞれが異なる都道府県に所在していれば大臣許可、営業所が100か所あったとしても、すべてが同一の都道府県内にあれば知事許可を受ければよいことになります。

また、営業所の所在以外の要素である企業規模、財務内容、工事の施工範囲、施工能力なども、大臣許可と知事許可の区分とは関係がありません。

参照:関東地方整備局 建設業許可申請・変更の手引き

2-2 国土交通大臣許可と都道府県知事許可の違い

上で説明したように、大臣許可と知事許可の違いは、営業所の所在だけです。「大臣許可は、知事許可よりレベルが高い」、「大臣許可の業者は、知事許可の業者より企業規模が大きい、工事施工能力が高い」などということはありません。

また、知事許可業者は許可を受けた都道府県の区域内の工事しか施工できず、大臣許可業者は全国の工事ができるという解釈も誤りです。大臣許可と知事許可、どちらの業者も日本全国の工事を請け負い、施工することができます

例えば、静岡県知事の許可を受けた建設業者が、北海道や九州の工事を請け負い、施工することは何ら問題がありません。

 

3 国土交通大臣許可のメリット

次に、大臣許可のメリットをみていきましょう。大臣許可のメリットは、知事許可にとってはデメリットとなるものです。ただし、大臣許可の要件を満たしていないにもかかわらず、大臣許可にメリットがあるとの理由だけで大臣許可の申請を行うことはできません。

3-1 有利な事業展開ができる

大臣許可の業者も知事許可の業者も、等しく全国どこの地域の工事も行うことができます。

しかし、大臣許可を持っている業者が複数の都道府県に営業所を構えているのに対し、知事許可の業者は、一つの都道府県だけにしか営業所がありません。工事を受注しようとする場合は、発注者の所在地や施工場所に近いエリアに営業所がある方が有利です。

例えば、東京のみに営業所がある都知事許可の業者が、北海道や九州方面の工事を受注・施工するのは、大変な努力と費用を要します。それに対して、その方面に営業所がある大臣許可の業者であれば、工事情報の収集や入札・契約手続きなどの面で非常に有利です。

また、工事受注後の施工段階に入っても、施工場所の近くに営業所があると、職人・機械・車両・材料の確保・配分などが円滑かつ効率的に行えます。

3-2 入札で有利となる場合がある

地方自治体によっては、その地域に所在する企業を優遇して公共工事を発注する場合があります。例えば、A県の県道補修工事の受注について、A県内に本店または営業所がある業者が優遇される場合などです。このため、複数の都道府県に営業所を持っている方が、営業上有利となる場合があります。

3-3 法令を遵守できる

建設業法では、複数の都道府県に営業所を設置して営業しようとする建設業者は、国土交通大臣の許可を受けなければならないと規定されています。すなわち、建設業許可は、一定の要件に該当する場合には必ず許可を受けなければならない法律上の義務があります。

しかし、大臣許可を受けるには手続きの手間や費用がかかるため、大臣許可を受ける義務があるにもかかわらず、知事許可のままで営業している業者も見受けられます。複数の都道府県に営業所を設置した場合は、きちんと大臣許可を受けることにより、法令を遵守することができます。

3-4 社会的な信頼が向上する

大臣許可と知事許可は営業所の所在で決まるもので、企業規模や工事の施工範囲、施工能力などによって区分されているわけではありません。しかし、一般的に、大臣許可の方が知事許可より格上であるという風潮があり、そのように誤解している人も少なくありません。

このため、大臣許可を取得しておけば、「大臣許可業者はレベルが高いから信頼が置ける」と一般的に思われやすいのは事実です。

 

4 国土交通大臣許可のデメリット

次は、大臣許可のデメリットをみていきましょう。大臣許可のデメリットは、知事許可のメリットに繋がります。

ただし、大臣許可の要件に該当するにもかかわらず、大臣許可にデメリットがあるとの理由から、知事許可のままで建設工事を請け負うことはできません。

4-1 複数の営業所を設置する必要がある

大臣許可を受けるには、複数の都道府県に営業所を設置しなければなりません。複数の都道府県に営業所を設置するには、最低でも本店に加えて他県に1つの営業所がなければなりません。この場合の営業所は、「本店、支店、その他常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とされており、以下の要件を満たす必要があります。

①請負契約の見積り・入札・契約締結などの業務を行っている

本店・支店は、常時請負契約を締結する事務所ではない場合でも、他の営業所に対し、請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業の営業に実質的に関与するものであれば営業所に該当します。許可を受けた業種については、届出をしている営業所でなければ営業行為はできません。

②経営業務の管理責任者または建設業法施行令第3条に規定する使用人が常勤している

建設業法施行令第3条に規定する使用人は、支店や支店に準じる営業所の代表者のことで、建設工事の請負契約の締結・履行にあたり一定の権限を有すると判断される者をいいます。

建設業法施行令第3条に規定する使用人になるための要件は、次のとおりです。

  • ・建設工事にかかる見積りや契約締結の権限が与えられている
  • ・常勤で営業所に勤務している
  • ・欠格要件に該当していない(不正に建設業許可を取得した人や破産者など)

わかりやすく言うと、建設会社の支店長や営業所長が、建設業法施行令第3条に規定する使用人に該当します(個人の場合は支配人も含む)。

③専任技術者が常勤している

建設業の許可を得るためには、営業所に専任の技術者を置く必要があります。専任の技術者は、営業所の営業時間帯にその営業所に常駐して、専らその職務に従事する人をいいます。

一般建設業許可と特定建設業許可の違いで説明したように、専任技術者の要件も以下のとおり決まっています。

【一般建設業許可】

  • ・一定の国家資格を有する者
  • ・高等学校・中等教育学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後5年以上の実務経験がある者、または、大学・短大・高等専門学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後3年以上の実務経験がある者
  • ・許可を受けようとする建設業の建設工事に関して10年以上の実務経験がある者
  • ・国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識・技術または技能を持っていると認定した者

 

【特定建設業許可】

  • ・一定の国家資格を有する者
  • ・一般建設業のいずれかの専任技術者の要件を満たしている者で、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負金額が4,500万円以上であるものについて、2年以上の指導監督的な実務経験がある者
  • ・国土交通大臣が上記の者と同等以上の能力を持っていると認定した者

④電話・机・各種事務台帳などを備え、居住部分等とは明確に区分された事務室が設けられている

⑤常時使用する権原を有している

このように、建設業法上の営業所は定義が定められており、以下のように、請負契約の見積り・入札・契約締結などの業務を行わない場所は、営業所に該当しません。

  1. ①登記上だけの本店・支店
  2. ②建設業の業務と関連がない本店・支店
  3. ③連絡事務所・工事事務所・現場事務所・作業所

例えば、大阪府に請負契約業務を行う本店があり、兵庫県に工事施工のための工事事務所、京都府に建設用機械・車両の格納倉庫がある業者の場合は、請負契約業務を行う営業所は大阪府内にしかないため、大阪府知事の許可を受けることになります。

4-2 手続に費用がかかる

大臣許可を受けるには、費用がかかります。新規許可の場合は15万円の登録免許税を払う必要があり、更新・業種追加許可では5万円の手数料がかかります。

一方、知事許可の場合は、新規で9万円の手数料、更新・業種追加で5万円の手数料となっています。

また、そのほかに、行政書士への依頼手数料が新規で10~20万円、更新・業種追加で5~10万円必要となります。

4-3 審査期間が長い

大臣許可は、申請してから許可がされるまで3月程度の期間がかかります。この期間は国の審査に要する期間ですが、新規申請の場合は、この許可がされるまでの約3月間は建設業の無許可期間となるため、注意が必要です。

これに対して、知事許可の場合は、申請から許可がされるまで1月間程度となっています。

4-4 営業所の廃止で手続きが必要となる場合がある

大臣許可の業者が営業所を閉鎖したことによって、所在する営業所が1つの都道府県のみになった場合は、大臣許可の要件が欠けることとなり、新たに知事許可を受けなければなりません。建設業法上の営業所は、その要件が厳格に定められているため、営業所としての要件を満たすことができなくなった場合も同様です。この場合は、事務所自体は存続しても、建設業法上の営業所とは認められなくなり、その結果、大臣許可の要件を欠くことになるからです。

 

5 国土交通大臣許可の申請手順

次に、大臣許可の申請方法をみていきましょう。

5-1 国土交通大臣許可申請の手順

大臣許可の申請手順は、以下のとおりです。

①建設業許可申請書の提出

建設業許可申請書は、国土交通省各地方整備局に持参または郵送します。

ただし、山梨県内に主たる営業所を置く許可業者は、山梨県庁建設業対策室に提出します。

従来は、申請書を都道府県担当課経由で提出していましたが、令和2年4月1日から、都道府県を経由することなく、直接国土交通省(関東地方整備局、四国地方整備局など)に提出するよう変更されました。

②国の審査

国の審査期間は90日程度ですが、山梨県内に主たる営業所を置く許可業者は120日程度かかります。

③許可通知または許可の拒否通知の送付

国土交通省各地方整備局から、許可通知または許可の拒否通知が送付されます。

【関東地方整備局管内における申請手続きの流れ】

参照:関東地方整備局 建設業許可申請・変更の手引き

5-2 申請の費用

建設業許可の申請手続きに要する費用は、以下のとおりです。

【建設業許可にかかる費用】

区分 大臣許可 知事許可
新規 登録免許税15万円 許可手数料9万円
更新 許可手数料5万円 許可手数料5万円
業種追加 許可手数料5万円 許可手数料5万円

一般建設業許可と特定建設業許可を同時に申請する場合は、2倍の費用がかかります。

また、上記のほか、行政書士への依頼手数料が新規で10~20万円、更新・業種追加で5~10万円必要となります。

 

6 まとめ

建設業の大臣許可と知事許可のどちらを受ける必要があるかは、営業所が複数の都道府県にあるか否かで決まります。

この点で、以下のような理解不測や誤解が見受けられます。

  1. ①大臣許可は全国で営業・工事施工ができるが、知事許可は許可を受けた都道府県内でのみ営業・工事施工ができる
  2. ②営業所の数が多いため、大臣許可を受ける必要がある
  3. ③大臣許可は、知事許可より取得難易度が高い
  4. ④大臣許可業者は、信頼性や工事の施工能力が高い

上の解釈は、いずれも誤りです。

すなわち、営業所が複数の都道府県にある場合は大臣許可1つの都道府県に収まっている場合は知事許可の対象になります。この場合、営業所の数は関係なく、営業所がいくつあっても、それぞれが異なる都道府県に所在していれば大臣許可、すべてが同一の都道府県内にあれば知事許可を受けることになります。

許可取得の難易度は、大臣許可と知事許可で差はありません。また、企業規模、財務内容、工事の施工範囲、施工能力なども、大臣許可と知事許可の区分とは関係がありません。大臣許可と知事許可ともに日本全国で営業ができ、工事も施工することができます。ただし、大臣許可を受ける建設業者は、建設法上の要件を満たす営業所を複数所有することから、その点での難しさはあるといえるでしょう。

また、大臣許可と知事許可には、それぞれのメリットやデメリットがありますが、だからといって、メリットやデメリットのみを理由として許可の申請を行うことは認められません。大臣許可と知事許可ともに、それぞれの要件に該当して初めて申請ができます。逆に、それぞれの要件に該当する場合には、各々の許可を受けなければならない法律上の義務があることに注意が必要です。

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