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建設業許可における「500万円」のラインとは?

建設業許可においては、様々な意味で重要な「500万円」のラインが存在します。この500万円は、「建設業の許可を受ける上で必要な、500万円の資本金か自己資本」のことを示しており、500万円は非常に大きな区切りになります。

そこでこの記事では、建設業許可全般の基本的な部分をふまえ、一般建設業を取得するのに必要な500万円のラインおよび融資・人的要件などの建設業許可関係の事項に関して、様々な角度からご紹介するので参考にしてみてください。

1 建設業の許可を受ける上で必要な、500万円の資本金か自己資本について

建設業の許可を受ける上で必要な、500万円の資本金か自己資本について

建設業を法人や個人事業主が始める上では、一定の小規模な工事を除いて、都道府県(2つ以上の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣)の「建設業許可」が必要となります。一定の小規模な工事とは、以下の通りです。

  • ・建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
  • ・建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

ポイントは、「材料費・消費税も含め」という点です。純粋な工事費用であれば1,500万円や500万円は超えないケースであっても、材料費・10%の消費税が入ると、すぐに小規模工事の規模を超えてしまいます。そのため、建設業で規模を大きくしようとする場合は、建設業許可の取得が欠かせません。

また、大阪本社は、石工事・屋根工事・電気工事の許可を受けているが、兵庫支店では屋根工事・電気工事の免許しかないとします。その兵庫支店で、石工事・屋根工事・電気工事を伴う500万円以上の工事を受け、施行したとすると建設業法違反になります。そのため、工事を受注する営業所では、必ず該当する工事の免許を取得しておく必要があります。

2 そもそも建設業許可とは

そもそも建設業許可とは

建設業法第3条では、2つ以上の都道府県で建設業を営む場合は国土交通大臣許可、単独の都道府県で建設業を営む場合は都道府県知事の許可を「受けなければならない」としています。

例外として、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う」場合、つまり前述の小規模工事のみを行う場合のみであれば、建設業許可を取得しなくても良いとしています。ただ、実際問題として「軽微な建設工事」のみで営業を行うだけでは、規模を拡大していくことはかなり難しいです。そのため、大半の建設事業者が、建設業許可を取得することとなります。

建設業許可の大きな特徴として、下記の事項が挙げられます。

  • ・一般建設業と特定建設業の二種類が存在する
  • ・多くの建設業許可を取得する事業者は、条件がやさしい一般建設業からスタートする
  • ・建設業許可取得後も5年に1度の免許更新が必要
  • ・土木一式工事・建築一式工事の2つの一式工事のほか、27の専門工事が存在し、建設工事の種類ごとに許可を取得する必要がある
  • ・令和2年10月より、健康保険・年金保険。雇用保険(一部例外あり)の社会保険加入が必須条件となった
  • ・加入には、大きく「人的要件」と「財産要件」が問われ、役職員の業務歴等や、財産(一般建設業の場合は500万円の資本金か自己資本)を満たすことが必須になる

3 建設業許可で壁となるのは、従事者の職務経験・誠実性と自己資本

建設業許可で壁となるのは、従事者の職務経験・誠実性と自己資本

建設業許可を取得する上で、多くの法人・事業主にとってハードルとなるのは、「建設業許可取得に必要な人的要件を満たす人材確保」と「500万円の壁」となる、最低資本金の確保と言えます。

法人・事業主にとってハードル

まず、「人的要件」として求められる要件は次の通りです(東京都・令和2年10月改正以降の内容を元としております)。

要件 具体例
「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」に関する要件を満たすこと 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する必要があります。
・建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する
・建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準じる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた
者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する
・建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準じる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けていない)として経営業務の管理・責任者を補助する業務に従事した経験
建設業に関する経営体制を有し、下記の条件を2つとも満たす者を常勤で置く必要があります。
A 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当
・建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等または役員等に次ぐ職制
上の地位にある者としての経験を有する
・建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する
B Aを直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者
・その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき上記に掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認めた者
「専任技術者」に関する要件を満たすこと 許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関し、次に掲げるいずれかの要件に該当することが要されます。
・学校教育法による高校の指定学科卒業後5年以上、大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)指定学科卒業後3年以上の実務経験を有すること
・上記に掲げる者と同等以上の知識・技術・技能を有すると認められた者
許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関し要件を満たす専任技術者を置くこと 許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関し、資格区分を満たすことなど各種条件が求められます
「専任かつ常勤」の者が下記の条件を満たすこと ・営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいい、雇用契約等により事業主体と継続的な関係を有する
・休日その他勤務をしない日を除き通常の勤務時間中その営業所に勤務

建設業法第7条第3号および法第15条第1号では、「法人・役員等、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店長・営業所長等)が請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないこと」が問われます。

「不正な行為」とは、例えば、請負契約の締結または履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為を行うこと、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期等、請負契約に違反する行為を行うことを指します。

この、「不正な行為・不誠実な行為を行う恐れがある者」については、建設業以外で不正な行為を行ったケースでも該当する場合があります。一例として、建築士法・宅地建物取引業法等の規定により不正または不誠実な行為を行ったことをもって、免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者は、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者として取り扱われます。

過去建設業以外でも、建築・宅地建物取引業で免許取り消しを受けたケースも対象となるため、注意が必要です。

問題行為 要件
申請書への虚偽記載 許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載、もしくは重要な事実の記載が欠落していること
法人では法人の役員等、個人では本人、その他建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店長、営業所長等)が、次の要件に該当し、問題があるケース ・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(破産手続が終わり、免責が出た場合は復権し、役員になれる。また、個人再生・任意整理・特定調停の場合は該当しない)
・精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことがで
きない者
・不正の手段で許可または認可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
不正に該当する可能性があり、聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をし、届出から5年を経過しない者(先に廃業し、取消処分逃れを防ぐ)
・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき、
あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しな
い者
・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経
過しない者(執行猶予中の者は、執行猶予中に罪を犯さず、執行猶予が満了した時)
・建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員に
よる不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の
執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団
員でなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
必要とされる社会保険へ加入していること 健康保険・年金保険・雇用保険に役職員が加入している必要があります(一部例外のケースあり)また、業種追加・更新時にも社会保険への加入が義務とります(令和2年10月より改正されたので、現在登録している建設事業者も注意が必要)

このほか営業所の要件というのも存在します。建設業法3条および施行令第1条では、独立した事務所を、建設業許可を取得するそれぞれの都道府県に設置することを求めています。営業所は、請負契約の締結に関する手続き、例えば見積り・入札・契約等を行う事務所として、独立し、来客を迎えられる設備である必要があります。

こちらも細かいルールですが、重要なことですので、概要を押さえておきましょう。

要件 具体例
単なる登記上の本店は不可 本店として法人の登記があっても、その事務所が業務・契約を行うのにふさわしくない事務所であれば営業所として認められません
同じ法人でも、建設業と無関係な支店等は不可 建設業他幅広い業務を取り扱う会社の場合、支店が建設業事務所としての機能を有しない者である場合は、営業所として認められません
請求や入金等の事務作業のみを行う「事務センター」も認められない 事務作業のみを行い、各種契約を行うスペースがない施設も、事業所として認められません
現場事務所・事務連絡所、工事作業員の詰める工事事務所や作業所 工事現場の現場事務所や連絡所・詰所・作業場なども、事業所として認められません

ただし、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等「建設業にかかる営業に実質的に関与する事務所」である場合、上記の条件に該当しても営業所として認められるケースがあります。実際の判断は、実態に即して行われます。また、申請書で営業所の実態が明確に確認できないケースや、営業所として明確に機能しているかが疑わしい場合は、都道府県等の関係部署が立入調査を行うケースもあります。

また、営業所の必須条件として、下記の点が挙げられています。

ポイント 具体的には
営業所として業務が行えるか、業務実態があるか 外部から来客を迎え入れることができる入り口があり、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていることが必要です
独立性があるか ・電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有することが要されます(現在は、固定電話を備えない事務所も少なくないので注意)
・他法人または他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている必要があります
・個人の住宅にある場合には、居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれていることが要されます(独立した執務スペースがあること)
・本社と営業所が同一フロアである場合、明確に支店と分かるよう看板等を掲示し、営業形態も別とする必要があります
使用人・専任技術者の常勤 常勤役員等または建設業法施行令第3条の使用人および専任技術者が常勤していることが必要です
賃貸借物件の場合、「事務所使用可」の物件であること 自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいることが必要です(賃貸物件で、住居専用契約となっている物件は、原則として認められません)
看板などで、すぐ営業所であることがわかること 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かる表示があることは必須です

ここからは自己資本について一般建設業と特定建設業の違いを踏まえながら見ていきます。一般建設業と特定建設業は、下記の点が異なります。

違い 一般建設業 特定建設業
財産要件 自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金調達能力があることが要されます。もしくは、直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在も許可を有していることでも該当します 下記に全て該当し、倒産のおそれがないことが要されます
・欠損の額が資本金の20%を超えないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金が2,000万円以上あること
・自己資本が4,000万円以上あること

上記の通り、一般建設業は特定建設業と比べ、許可要件が緩和されています。特定建設業については、「資本金が2,000万円以上である」「自己資本が4,000万円以上である」という条件を両方満たす必要があり、非常に厳格です。

一般建設業では、500万円以上の自己資本か資金調達能力が必要とはいえ、特定建設業ほど厳しい要件ではありません。

4 一般建設業の500万円の壁を越える方法

一般建設業の500万円の壁を越える方法

これから建設業許可を取得しようとする事業者は、多くの場合、特定建設業ではなく一般建設業から始めるケースが大半です。まず、一般建設業の500万円の壁について、改めて基準を考えます。

  • ・自己資本(資本金)が500万円以上ある
  • ・500万円以上の資金調達が可能である

上記のうち、どちらかの要件を満たす必要があります。自己資本とは、「財産-借入」の額、つまり手持ちのお金等の財産から借金を差し引いた額、これが500万円以上であることが要されます。既に申告等を行っている事業者であればわかるかと思いますが、貸借対照表のうち、「純資産の部」がいわゆる財産です。そこから、金融機関等の借入、未払い等を差し引いて残る額が自己資本になります。

創業当初は、法人であれば資本金がそのまま資本の証明になります。創業年度より後に建設業許可申請を行ったり、許可の更新を行う場合は、許可申請を行う直前の事業年度の決算書で判断されますので、特に創業年度以降の新規申請や、部門の追加申請、更新の際は注意する必要があります。

また、現金500万円分が手元になくても、「物で出資する」という方法もあります。会社設立時に税理士など専門家の助言を得て、「自動車・重機・器具備品・PC」などで出資を行う「現物出資」を活用して、資本金の金額が500万円を超えるようにするという方法もあります。現物出資の場合、財産価額の評価などが複雑です。

また、現物出資額が500万円を超える場合、裁判所を経由し検査役を選任する必要があり、その過程で数十万の手数料がかかります。どれくらいの物を現物出資するかは、専門家と現物出資の物・金額評価をしっかり協議することが必要です。

それでは、自己資本が500万円に満たない場合は、どのようにすれば良いでしょうか。方法としては二つあります。

  • ・金融機関で、「500万円以上」の金額の記載がある預金残高証明書を取得すること
  • ・現金が500万円に満たない場合、不足部分に関し「融資可能証明書」を発行してもらうこと

なお、預金残高証明書・融資可能証明の有効期限は1ヶ月となっていますので、残高証明書取得後は、1ヶ月を過ぎる前に、早急に建設業許可取得の手続を行う必要があります。

5 日本政策金融公庫と「法人」というハコの活用

日本政策金融公庫と「法人」というハコの活用

これから創業をするという場合は、「日本政策金融公庫の創業融資制度」の活用がおすすめです。そして、個人事業でスタートするより、法人を設立し、融資を受けるのも良いでしょう。

借入というと、「返せなくなったらあらゆる物を売って返して破産」というイメージを持つ人もいます。しかし、ここ数年で、起業のリスクを減らし、法人の新陳代謝を活発にするために、「法人の借入であれば、個人保証が必要ない」「万一会社が破綻しても、個人が自己破産する必要がなく、財産を一定程度残せて、信用情報にも傷がつかない」という制度解説・既存制度の変更の方向性が進んでいます。

個人事業の場合、借主は個人です。つまり、個人が返せない→破産か個人再生で、財産と信用を失うということになります。

法人化した上でのハードル

一方、法人化した上で「代表取締役が保証人にならない」「経営再建が厳しい場合は、専門家の助力を得て、『経営者保証に関するガイドライン』を活用する」という2点を心がけることで、代表取締役自身へのダメージを通常の経営破綻より軽減し、再起もしやすくなります。

そのため、特に債務を借り入れる場合は、個人事業からスタートするより、最初のうちに法人という「ハコ」を設立してスタートすることを積極的におすすめします。個人事業の場合は、財産も債務も、あらゆる一つのハコに持っている状態です。これが、法人を設立する事で、「個人のハコ」と「法人のハコ」の2つに分けることができます。

投資の世界では、一つのかごに卵を盛るなと言う例えはよく使われます。事業も同じで、一見法人設立手続も要らず、ハードルが低いように見える個人事業は、「財産も借金も一緒になっている」ため、事業が破綻すれば個人そのものも破綻し、「無限責任」、つまり返しきるか破産するかの手段を取らざるを得ません。

これが法人の場合、「個人のハコ」と「法人のハコ」が明確に分かれます。それ故に、個人事業では許されていた、個人の財布と事業の財布を一緒にするようなことはできなくなりますが、一方で法人の事業が大きく傾いたり、破綻したとしても、代表者が個人保証をしていなかったり、個人保証をしていた場合でも「経営者保証に関するガイドライン」をうまく活用すれば、経営者個人に対する負担や信用毀損を抑えることができます。

もちろん、法人がダメになって個人は全く無傷で済むということはありません。しかし、経営者保証のガイドラインに沿った手続を行うことで、以下のように従来とは違う形で債務の整理を行うことができます。

  • ・法人と個人が明確に分離されている(会社の財産の公私混同がない)場合、経営者の個人保証を求めない
  • ・多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどが実現できる
  • ・民事再生・個人再生と異なり、保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除される
  • ・信用情報機関に事故情報が掲載されない(ブラックリストに載らない)ため、経営者として再起を図りやすくなる

なお、個人事業主でも、「経営者保証に関するガイドライン」を活用することは可能です。ただ、現実問題として、個人と個人事業は実質的に一体のケースが多いので、経営者保証に関するガイドラインがそのまま適用できるとは限りません。そのため、最初の時点から明確に個人と経営を分離する、「会社設立」の手法を取ることが望ましいでしょう。

日本政策金融公庫など、各種金融機関も「法人の代表者を始め、人的保証を要しない」という方向に動いています。日本政策金融公庫の新創業融資制度では、保証・保証人に関して「原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっております」としており、本人の連帯保証を極力求めない方向で制度が定められています。(ただし、経営者の連帯保証が必要になるケースもありえます)

国・金融機関全体として、第三者の連帯保証人だけでなく、経営者自身の連帯保証も減らす・なくすという方向に動いているということは、念頭に置きましょう。また、既に会社の借入などで連帯保証がある場合でも、経営者保証に関するガイドラインを活用すれば、破産等と違った形で、再起の余地を残し債務が整理できます。

6 建設業を立ち上げるなら、創業融資を受けるためにコツコツ貯めよう

建設業を立ち上げるなら、創業融資を受けるためにコツコツ貯めよう

建設業許可の取得には、財産要件として500万円以上の資産が必要であることは繰り返し触れました。ただ、500万円を一気に用意できるという人は、特に若い方であればかなり限られるでしょう。ただし、日本政策金融公庫の創業融資であれば、手元資金の10分の1から3分の1を用意することで、足りない部分の融資を受けることができます

日本政策金融公庫の新創業融資制度では、融資対象者を「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」としています。これを見ると、単純に手元に50万円があれば、500万円を融資してくれるように見えますが、実際は10分の1の手元資金のみだと審査が厳しくなります。融資可能額はケースバイケースですが、やはり5分の1~3分の1はあると安全です。

過去は、日本政策金融公庫から創業融資を受けるためには、5分の1以上の手元資金をコツコツとため、加えて公共料金の引き落とし漏れがないなど、お金をきちんと払い続けているかが厳しく問われていました。現在も、引き落とし漏れに関しては大きなマイナス要因です。加えて、大きなお金が突然入っているなどの、いわゆる「見せ金」と疑われる入金があるケースに関しては、現在でも厳しく見られます。

逆に、数年間~10年間などにわたり、きちんと天引き貯金なり、定期なり、何らかの形で貯金をしている場合は、大きなプラス要因として見られます。それだけ、コツコツ積み立てることができるから、変な無駄遣いもしないだろうし、借入もきちんと返すであろうと推測してもらえるからです。

そのため、「建設業を立ち上げたいけど500万円は難しい」という場合でも、毎月4万の貯金を2~3年きちんと行い、100万円以上を貯め、引き落とし漏れのないように節制すれば、創業融資を受け、会社設立を行い、建設事業者を創業できる可能性が高まります。

毎月4万の貯金は、人によっては大変に見えます。しかし、給与振り込み時に4万円を天引き、そしてカードを作っておらず自由に引き出すことのできない口座へ貯めることで、いやがおうにも残されたお金で生活する習慣がつきます。

他にも、公共料金については毎月の引き落とし漏れがないよう、通帳にできるだけお金が残るようにしていく習慣をつけることで、数年後、公庫融資を受ける際に大きなプラスとなります。加えて、建設業で開業するという人は、これまでの仕事も建設業関係の業務を行っているケースが多いため、日本政策金融公庫は「これまで従事した事業と同種の事業で創業すること」を大きくプラスに見てくれます。

日本政策金融公庫の融資を活用するためにも、ぜひ貯め癖と、引き落とし漏れを防ぐ癖をつける必要があります。

7 まとめ

「建設業許可における500万円というライン」というテーマが軸となっている当記事ですが、建設業許可取得には、500万円の自己資本だけでなく、様々な資金調達の方法や資本金に関する手法、各種要件など、複数の事項が絡みます

建設会社を設立し、事業を起こそうと考える上では、様々な手法・ヒントや手段を知っておく必要がありますが、個人だけで情報を知ることは率直に言って難しいと言えます。どんなに技術で優れた職人であっても、数字や法律・各種手引きを見ると、難しく感じる場合もあるでしょう。

そのようなときに頼れるのが、会社設立や建設業許可・会計に通じた税理士・行政書士です。税理士・行政書士は、難解な手続書類を作成してくれるだけでなく、「官公庁・金融業界の言葉をわかりやすく翻訳してくれる」存在でもあります。

また、財務諸表や資本の現物出資に関しても、個人が書籍を見よう見まねでやっても難しいですが、税理士がわかりやすく解説することにより、スムーズに理解することができます。税理士・行政書士は、職業柄建設業など様々な業種の方に対し、専門的なことを優しく伝えるのに慣れています。ですので、建設業の創業を検討し始めたら、税理士・行政書士に相談し、今が創業にふさわしい時期か、また今後備えておくべきことなどを聞いておくことは有用です。

建設業許可にせよ、会社設立・会計、その他事業にせよ、わからないところが多いのは当たり前で、むしろわかる方が珍しいと言えます。ぜひ「こういうことを聞いていいのかな」という内容でも、専門家にきちんと確認するなど、プロの力をしっかり活用することが大切です。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京