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建設業許可の注記表とは?書き方や作成時のポイントを紹介

一定規模の建設工事を請け負う場合、事業者は法律で定められた「建設業許可」を受けなくてはなりませんが、その申請時には財務諸表などの提出書類が多くあります。

その財務諸表には、貸借対照表や損益計算書とともに「注記表」も含まれますが、会計のことをよく知らない方の中には、それらの準備に不安を抱く経営者もいるのではないでしょうか。

今回の記事では、建設業許可申請にかかる財務諸表、特に「注記表」の内容およびその書き方について解説します。

申請時の提出書類の種類・内容、財務諸表全般の概要および注記表の内容・書き方や注意点など作成時のポイントを説明するので、建設業許可申請を始めて行う方、建設業許可申請書および添付書類の内容を知りたい方、財務諸表や注記表の内容および書き方を理解したい方はご参考ください。

1 建設業許可申請の概要

まず、建設業許可申請の必要性や内容、その際の添付書類や作成・手続、などについて簡単に説明しましょう。

1-1 建設業法が定める建設許可とは

建設業を営む場合、建設業法で規定されている「軽微な建設工事」以外を行うには建設業法第3条に基づく「建設業の許可」を受ける必要があり、その際には様々な書類の提出が求められています。

建設業法の目的の1つは、「手抜き工事、粗雑工事などの不良工事を防止するとともに、更に積極的に適正な施工を実現して、発注者の保護を図ること」です。

そして、そのために建設業者および建設業者団体に対する指導監督の制度が設けられており、建設業者に対して指導監督を行い、指導育成することが目指されているのです。

こうした法律の目的を背景として、軽微な建設工事以外の建設工事を行う場合には建設業の許可を受けねばならないこととなっています。なお、軽微な建設工事に該当する場合は許可を受ける必要はありません。

その軽微な建設工事の内容は以下の通りです。

●「軽微な工事」(許可がなくても実施可能な工事)

  1. ・建築一式工事以外の建設工事で1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
  2. ・建築一式工事で下記のいずれかに該当するもの
    1)1件の請負代金が1500万円未満の工事(消費税込み)
    2)請負代金の額に関係なく木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

*建設業の許可は、建設工事の種類ごと(業種別)に行われており、建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事のほか、27の専門工事を含む計29の種類に分類されいます。そして、その建設工事の種類ごとに許可を受けなくてはいけません。

なお、許可を出す主体は建設工事の事業者の営業所の所在により以下のように分けられます。

  1. 1)2つ以上の都道府県に営業所*がある場合:国土交通大臣許可
  2. 2)1つの都道府県のみに営業所*がある場合:知事許可

*建設工事自体は営業所の所在地に関わりなく、他府県でも行うことが可能

*営業所については規定の要件があり、満足しない場合は許可が受けられないこともあるため注意が必要です(許可の取得要件の1つ)。

また、建設業許可には2つの種類があり、下請契約の規模等により「一般建設業」「特定建設業」とに分けられています。具体的には、発注者からの直接請け負う工事1件につき、4000万円(建築工事業の場合は6000万円)以上となる下請契約であるか否か、の点による区分です。

特定建設業 発注者から直接請け負った1件の工事代金につて、4000万円(建築工事業の場合6000万円)以上となる下請契約を締結する場合
一般建設業 4000万円未満(建築一式は6000万円未満)
工事の全てを自分(自社)で施工する場合

以上のように、建設業を営む場合には特定の種類の建設業許可を受ける必要がある、軽微な建設工事の場合は不要である、という規定であることを認識して手続を行って下さい。

1-2 建設業許可申請と添付書類

ここでは建設業許可申請を行う場合に必要となる提出書類について説明しましょう。

建設業許可申請に伴い提出が要求される書類は下表の通りです。

様式番号 書類の名称 要○ 否×
法人 個人
第1号 建設業許可申請書
  役員等の一覧表 ×
  営業所一覧表(新規許可等)
  営業所一覧表(更新)
  収入印紙、証紙、登録免許税領収証書または許可手数料領収証書はり付
  専任技術者一覧表
第2号 工事経歴書
第4号 使用人数
第6号 誓約書
成年被後見人および被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書※1
成年被後見人または被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書※2
第7号 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書
第7号の2 常勤役員等および当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
  常勤役員等の略歴書
  常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
第7号の3 健康保険等の加入状況
第8号 専任技術者証明書(新規・変更)
技術検定合格証明書等の資格証明書
第9号 実務経験証明書(必要に応じて卒業証明書を添付)
第10号 指導監督的実務経験証明書
第11号 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表
第12号 許可申請者(法人の役員等・本人・法定代理人・法定代理人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書※3
第13号 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書
定款
第14号 株主(出資者)調書 ×
第15号 貸借対照表 ×
第16号 損益計算書・完成工事原価報告書 ×
第17号 株主資本等変動計算書 ×
第17号の2 注記表 ×
第17号の3 株主(出資者)調書 ※4 ×
第18号 貸借対照表 ×
第19号 貸借対照表 ×
登記事項証明書
第20号 営業の沿革
第20号の2 所属建設業者団体
納税証明書(納付すべき額および納付済額)
第20号の3 主要取引金融機関名

※1 「相談役」、「顧問」については、提出は不要です。

※2 「相談役」、「顧問」については、提出は不要です。

※3 「相談役」、「顧問」については、「賞罰」の欄への記載は不要です。

※4 附属明細表については特例有限会社を除く株式会社のうち、以下のいずれかに該当する者が提出します。ただし、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第24条に規定する有価証券報告書の提出会社の場合は、有価証券報告書の写しの提出により附属明細表の提出に代えることが可能です。

  1. ①資本金の額が1億円超であるもの
  2. ②最終事業年度にかかる貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であるもの

なお、許可の更新、業種を追加する場合や申請の内容により、省略可能または提出不要の書類や上記の書類以外にも記載内容の確認のため提示または提出を求められるケースもあるため、詳細は提出窓口にご確認ください。

以上のように建設業許可申請書をはじめとして、許可申請には多様な書類の提出が必要となります。各書類の記載要領や様式などは国土交通省や各都道府県(例:東京都)が発行している手引きなどで確認することが可能です(申請書類のダウンロードも可能)。

1-3 建設業許可申請書の作成と手続

建設業許可を受けるためには、建設業許可申請書等を作成の上、営業所を管轄する都道府県等に提出するという手続が必要になります。

1)建設業許可申請手続の主な流れ

建設業許可申請手続がどのような内容で進められるのかを簡単に紹介しましょう。ここでは東京都知事許可の申請手続を例にします。

ⅰ 許可要件を満たしているか確認(申請者側による要件確認)

⇒まず、申請する企業が建設業許可を受ける要件を満足しているか、について確認しなければなりません。

ⅱ 許可申請書および添付書類の準備・作成(申請者側)

⇒申請者が自身もしくは行政書士などに委託するなどにより許可申請書および添付書類を準備・作成します。申請に関する手引きなどが発行されているため、熟読すれば申請者自身で作成・用意することは可能ですが、少なからぬ時間がかかるため行政書士などに依頼するケースが一般的と言えるでしょう。

ⅲ (申請者が)都庁相談コーナーで予備審査を受ける

⇒東京都では、初めて申請する方は原則的に都庁内の相談コーナーで予備審査を受けることが要請されています。その主な目的は、申請書類が揃っているか、添付書類に不備がないか、などの確認です。

申請書等の不備等があれば、指摘に従って準備・修正する必要がありますが、問題がなければ窓口審査の希望日を予約することになります(予約はFAXやメールでも可能)。

ⅳ 窓口審査(国土交通大臣許可は「窓口形式審査」)

⇒予約日に都庁に出向き窓口審査を受けます。窓口審査では、申請者は申請書等を提出し、担当の審査官から申請書等の各々の内容について、要件を満足しているかなどの確認を受けます。予備審査とは格段にチェックレベルが高いため、不備等が指摘され受理されないケースも多いです。

ⅴ 申請手数料の納付

⇒窓口審査で問題がなく終了すれば、次は申請手数料の納付です。この納付により申請が受付られたことになります。そして、この時点以降に正式な審査が実施されることになるのです。

ⅵ 審査と審査期間

⇒申請手数料の納付による受付後、東京都知事許可の審査期間は約1カ月です(他の都道府県では2カ月ほどかかることもあります)。国土交通大臣許可の場合は、約3~4カ月(輸送等も含めて120日程度)かかることも珍しくありません。

2)申請ための準備期間

上記の都道府県や国交省の審査はお役所の仕事であるため、その期間の短縮を望むことはできないですが、予備審査までに至る書類の作成等の準備期間を短縮することは可能です。

申請者の申請にかかる準備は、書類の作成や手続をどのように行うかで決まってきます。具体的には、申請者自身が全部やる、第3者に委託し丸投げする、自身と第3者とで協力しながらやる、といった方法を取ることが可能です。

どれを選択するかは、費用やコストのほか、申請書類に関する知識の有無・程度などにより影響されますが、時間についても考慮しなければなりません。たとえば、申請書類や手続の知識に自信のない方が1人で行う場合、準備の完了までに2カ月程度かかることもあります(もっと長くなることもある)。

また、行政書士などの専門家に依頼しても、2週間程度かかることも多いです。もちろん建設業許可申請の手続を専門的に行っている行政書士ならもっと短いケースも見られます。ちなみに行政書士に依頼する場合、その費用(手数料)は様々ですが、10万円~20万円程度(証紙代等は別)が多いです。

このように建設業許可申請の手続をどのように行うか、誰に依頼するか、などで準備作業のためのコストとともに時間がかかる点を留意しておかねばなりません。特に時間については、建設業許可が下りるまでのリードタイムが「準備期間+審査期間」になる点を把握しておくことが重要です。

建設業許可の取得を前提として工事を請け負う場合、許可の取得が遅れれば、事業上の大きな問題になりかねないため、工事の開始に間に合うようにリードタイムを十分に確保できる時期から準備を進めましょう。

3)自分で申請する場合のポイント

申請者が主に自分で申請資料の準備・作成および手続を進める場合のポイントを簡単に説明します。

ⅰ 申請先の役所等へ相談

まず、やるべきことは、申請者の営業所を管轄する都道府県の担当窓口へ出向いて担当者に申請について相談することです。行政書士などに依頼せず主に自身で申請の準備をする旨を伝え、申請にかかる手引きなどを示してもらいながら作成のポイントなどを確認しましょう。

ⅱ 申請の手引き等の確認

各都道府県では建設業許可を受けるための「手引き」が用意されており、自分で準備する申請者は特にその内容を十分に確認しなければなりません。たとえば、東京都の手引きには、建設業許可の制度・申請、許可後に必要な手続、事業承継等にかかる認可の制度、などが示されています。

許可の申請に際して、手引き等については関係する箇所や役所の担当者が説明した部分などを熟読しておきましょう。

ⅲ 許可要件の確認

手引きについて特に優先的に確認することは、自身(自社)が建設業許可の要件(大きく4項目)を満足しているか、否か、についてです(「欠格要件」に該当しないことも含む)。要件内容をよく理解し、該当するか、しないかを的確に判断する必要があります。

なお、詳しい内容は省きますが、許可要件と欠格要件の主な内容は以下の通りです。

許可要件:

  1. ・適切な営業所の設置
  2. ・経営業務管理責任者の存在
  3. ・専任技術者の存在
  4. ・一定程度の財産的基礎の確保

欠格要件:該当しないこと

建設業法に基づき営業停止や許可の取り消し処分を受けてから一定期間経過していない場合等の営業活動に関する要件、禁錮刑以上の刑に処せられた人、法令により罰金刑以上の刑に処せられた人、または成年被後見人である人、などに該当しないことが挙げられます。

ⅳ 準備期間の算定と、申請の準備から許可を得るまでの期間の設定

自分で準備と手続を行う場合の時間を算定し、許可が下りるまでのスケジュールを立てます。いつまでに許可が必要か、その期日までの期間で想定される{準備期間+審査期間}で間に合うかどうか、などを検討し、間に合うように具体的な内容を検討し設定していきます。

とにかく許可が必要な時期までに取得するための対応方法を考え、その実施予定を組むことが重要です。

ⅴ 必要書類の準備

必要書類を迅速に用意できるように取組みます。取り寄せる資料や規定のフォーマットに記入する申請書などをできるだけ早く入手し、記入や作成などの作業を進めましょう。財務諸表などの特定の資料について分からない場合は税理士など専門家に確認することも必要です。

申請書類は提出先のWEBサイトからWord形式かexcel形式で入手できるケースが多いため、それを活用して入力するとよいでしょう。なお、証明書類などの中には他社に確認の印を押してもらうケースも発生し得るため、早めに相手方に依頼しておくことが重要です。

また、財務諸表類については注意が必要です。添付書類として、貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表、などが要求されますが、会計の知識がないと適切に用意できない可能性が生じます。そのため行政書士や税理士などに依頼することも必要です。

ⅵ 必要書類の準備の仕上げ

少なくなっていますが、必要書類・確認資料等で印が必要な個所の押印を確認し、押し忘れがないように注意しましょう。なお、提出等に関する日付の箇所には基本的には申請日の日付で記入しておきます。それが終われば、手引きなどに従って書類をまとめて紐やホチキスなどで綴じます。

なお、提出先によって提出する部数が異なる可能性がありますが、そこの指示に従って正本、副本、コピーを必要な分だけ用意しましょう。

ⅶ 予備審査および窓口審査へ

東京都の場合、必要書類が整ったら、まず予備審査を受け提出書類の不足や不備などを相談員に確認してもらわなければなりません(事前チェックサービスもある)。

申請に必要な書類が揃っていると認められる場合、予約票が渡されることになり、それをもって申請者が受付で(窓口)審査希望日時の予約を行います(メール・FAXで予約することも可能)。

窓口審査については、指定された日時に予約票を持参して、建設業課窓口を尋ね、審査を受けます。

以上の内容が、申請者が自ら許可申請の準備から申請までを行う場合の大まかな流れですが、かなりの労力と時間がかかる恐れがある点に注意しましょう。

2 建設業許可申請で必要となる決算書類

申請の準備等を主に自身で行う場合、上記の建設業許可申請に必要な書類の中でも決算書類関係についてはその内容をある程度理解しておかないと作業が捗りにくくなります。

具体的には、貸借対照表、損益計算書や個別注記表の内容をある程度理解できる会計知識(建設業簿記等)がないと決算書類の準備に苦労することになり得るため、早めに自分で対応するか否かを判断したほうが良いでしょう。

もちろん税理士等に教えてもらって作業を進めることなども可能ですが、時間がかかりそうな場合は行政書士等に大半の作業を依頼することも必要です。なお、ここでは会計知識がほとんどない方のために決算書類について簡単に説明しておきます。

2-1 決算書類とは

一般的に決算書と呼ばれる決算書類は、会社の財政状態、経営成績、株主の持ち分の変動などの情報が記載された書類のことです。決算書は一般的に使用される名称であって、法律上は「財務諸表」「計算書類」の名称が使用されており、以下のように定義されています。

両者の違いを確認しましょう。

●財務諸表

金融商品取引法で定められている決算書の名称が「財務諸表」で、含まれる資料は以下の通りです。

  1. •貸借対照表
  2. •損益計算書
  3. •キャッシュ・フロー計算書
  4. •株主資本等変動計算書
  5. •附属明細表

公開会社(株式を公開している株式会社)や一定額以上の有価証券を発行・募集する株式会社などの大会社が金融商品取引法の対象となります。

●計算書類

会社法で定められている決算書の名称が「計算書類」であり、それに含まれるものは以下の通りです。

  1. •貸借対照表
  2. •損益計算書
  3. •株主資本等変動計算書
  4. •個別注記表

会社法上では株式会社などが対象になります。

2-2 申請に必要な財務諸表等の主な内容

まず、各決算書の内容を簡単に説明しましょう。なお、建設業許可申請で要求される財務諸表(計算書類)は建設業簿記に基づいた専用の様式で作成されるため注意が必要です。

従って、税務申告用の決算書類をそのまま、建設業許可申請に利用することができないため、指定の申請用の様式(「3-2」参照)に書き替える必要があります。

●貸借対照表(申請には「様式第15号」を使用)

貸借対照表は、会社の資産の状態や使い道を示す「資産」と、資金の調達手段の内容を示す「負債・純資産」を一覧にした計算書類のことです。貸借対照表は一定時点における会社の財務状況を示す資料であるため、会社の財政状況や安定度を把握するのに役立ちます。

貸借対照表の構造上のルールとしては、「資産の部=負債の部+純資産の部」の関係が成立していなければなりません。その構造を図に示すと下表の通りです。

資産 負債
純資産

このように貸借対照表は構造上左右に分けられる形式で、様式としてもこの形式(勘定式)が利用されていますが、「資産→負債→純資産」の順に上から下へと並べられる形式(報告式)もあります(有価証券報告書等で採用)。なお、建設業許可申請書類の様式は報告式です。

また、建設業の会計は建設業簿記が採用されており、一般簿記(商業簿記等)と異なる勘定科目を使用するケースも多い点に注意しておく必要があります。たとえば、以下の科目です。

建設業簿記 一般簿記
完成工事未収金 売掛金
未成工事支出金 仕掛品(棚卸資産)
工事未払金 買掛金、未払金
未成工事受入金 前受金

つまり、表にある一般簿記で使用される科目について、許可申請の貸借対照表では建設業簿記の科目に変えなくてはなりません

●損益計算書(申請には「様式第16号」を使用)

損益計算書は、一定期間(会計期間)における企業の経営成績を、収益、費用、利益の3点で表現する決算書類です。英語では「Profit and Loss Statement」を略して、一般的にP/Lとも呼ばれます。

収益とは企業が一定期間に稼いだお金のこと、費用とは収益を得るのに必要な経費のこと、利益は収益から費用を差し引いた残額のことです。従って、損益計算書は、どれだけの費用をかけてどれほどの売上を稼ぎ、いくらの利益を残せる経営をしたかを示す成績書になります。

損益計算書の形式にも勘定式と報告式(上から下へ表示される形式)がありますが、一般的には報告式が採用されるケースが多いです。

勘定式

費用 収益
利益

報告式

+)収益
(-)費用
(=)利益

損益計算書に記載される利益は、「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期純利益」、「当期純利益」の5種類に分類され、各段階で「収益(該当する科目の合計)-費用(該当する科目の合計)」が行われ各利益が算定されます。

なお、建設業許可申請の様式は報告式です。また、建設業簿記では下表のような異なる科目が使用される点に注意しましょう。

建設業簿記 商業簿記等
完成工事高 売上高
完成工事原価 売上原価
完成工事総利益 売上総利益

●完成工事原価報告書(申請には「様式第16号」を使用)

完成工事原価報告書とは、事業年度中に完成した工事の原価を構成する、材料費、労務費、経費、外注費の内訳を示す決算書類のことです。なお、製造業の株式会社などは各事業年度に税務申告等を行うための決算書類として「製造原価報告書」を作成しますが、建設業許可申請にはそれを利用することはできません。

申請には、建設業法に定める様式第16号を使って作成し提出する必要があります。また、製造原価報告書と完成工事原価報告書とでは、経費処理の扱い等のルールが多少異なるため注意が必要です(未成工事にかかる原価の扱い)。

なお、完成工事原価報告書の作成上のポイントの1つとして、「完成工事原価」の金額は損益計算書のそれと一致させることが挙げられます。

●株主資本等変動計算書(申請には「様式第17号」を使用)

株主資本等変動計算書は、株主資本の変動の様子を一覧にまとめた資料(財務諸表の1つ)で、株主資本が増加(または減少)した原因や、その増加(または減少)したものが、どの項目に振り分けられているかを示す情報を整理したものです。

株主資本等変動計算書の構造は、「株主資本(資本剰余金、利益剰余金、自己株式)」と「株主資本以外(新株予約権等)」の項目の前期末残高に対して、当期中の変動を加味して当末残高を算定するという形式になっています。簡単に示すと下表の通りです。

  株主資本 株主資本以外
前期末残高    
当期中の変動(要因)    
当末残高    

株主資本等変動計算書の内容には、前期と当期の貸借対照表と損益計算書の内容が反映されるほか、新株の発行や剰余金の配当などが示されます。なお、建設業許可申請の場合は指定の様式を使用しなければなりません。

記入上のポイントとして、当期純利益の金額について損益計算書と株主資本等変動計算書の金額とが一致していることが挙げられます。

●附属明細表申請には「様式第17号の3」を使用)

附属明細書とは、株式会社が各事業年度に計算書類(貸借対照表、損益計算書等)と事業報告とともに作成しなければならない書類であり、計算書類の重要な事項について補足するために、内訳明細や期間中の変動状況等の内容を詳細に示す資料です。

一般的には、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の内容を補足する重要な事項や、以下の事項などが「附属明細書」に記載されます。

附属明細書に記載する事項

  1. ・有形固定資産および無形固定資産の明細
  2. ・引当金の明細
  3. ・販売費および一般管理費の明細
  4. ・その他の重要な事項

建設業許可申請の場合は、指定の様式(17号の3)で作成・提出しなければなりません。ただし、申請で附属明細書の提出が必要な企業は、資本金1億円超の株式会社や貸借対照表の負債の部の合計が200億円以上の会社です(該当者以外は添付不要)。

●個別注記表

個別注記表については「3」で詳細に説明します。

3 建設許可申請で必要となる「注記表」とは

ここでは会社法上および建設許可申請で必要となる注記表の内容について詳しく説明しましょう。

3-1 注記表の内容

注記表とは、会社法で規定されている決算書の1つで、貸借対照表や損益計算表についての情報の補足事項をまとめたものです。なお、会社法では、そのまとめたものを「個別注記表」として作成することを要請しています。

具体的な個別注記表の内容は、重要な会計方針に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記、などになっており、個別注記表は各計算書類に記載される注記を1つの書類で一覧表示するための計算書類と言えるでしょう。

貸借対照表や損益計算書などの内容は数値が主体で作成されていることから、会社の現在の経営方針や生じている事象などをその内容から読み取るのは困難であるため、個別注記表は決算書や会社の経営に関連する内容を補足するものとして作成が要請されているのです(利害関係者が取引、投資や融資の判断に活用できるように)。

具体的な個別注記表の記載事項は以下の通りです。

1.継続企業の前提に関する注記

⇒これは事業の継続が困難な場合に、その影響や対応の検討などの内容を示すための注記事項です。

2.重要な会計方針にかかる事項

⇒これは会計処理における、資産の評価、減価償却や引当金の計上などの方法の注記になります。

3.会計方針の変更に関する注記

会計方針を変更際の変更の内容や理由等についての注記です。

4.表示方法の変更に関する注記

表示方法を変更した場合の変更内容や理由の注記になります。

5.会計上の見積りの変更に関する注記

会計上の見積りの変更に関する内容や影響額の注記です。

6.誤謬(ごびゅう)の訂正に関する注記

過去に作成した決算書の誤りについて、その内容や累積的影響額などの注記になります。

7.貸借対照表等に関する注記

⇒貸借対照表上の、担保に供されている資産、資産項目別の引当金額、資産項目別の減価償却累計額、保証債務や手形遡及債務、関係会社や役員への金銭債権などに関する注記です。

8.損益計算書に関する注記

関係会社との営業取引または営業外取引の取引総額の注記になります。

9.株主資本等変動計算書に関する注記

発行済株式数、自己株式数、剰余金の配当等の株主資本に関連する内容の注記です。

10.税効果会計に関する注記

繰延税金資産または繰延税金負債の発生原因に関する注記になります。

11.リースにより使用する固定資産に関する注記

ファイナンス・リース取引のうち、契約終了後、所有権が移転しないリース資産を賃貸借契約で処理した場合などの注記です。

12.金融商品に関する注記

金融商品の状況や時価等に関する注記になります。

13.賃貸等不動産に関する注記

⇒事業用以外で家賃収入などを目的とした賃貸等不動産がある場合に、賃貸等不動産の概要、貸借対照表上の計上額・変動額や時価などについての注記です。

14.持分法損益等に関する注記

関連会社(株式の20%以上50%以下を親会社に所有されている会社)がある場合、その会社に対する投資金額等に関する注記になります。

15.関連当事者との取引に関する注記

親会社や子会社、グループ会社、主要株主や主要株主の近親者、役員などとの取引に関する注記です。

16.1株あたり情報に関する注記

1株あたりの純資産額や当期純利益の額等の注記になります。

17.重要な後発事象に関する注記

事業の譲受や譲渡、新株発行、子会社株式の売却、重大な損害、係争事件の発生など、重大な後発事象が生じる場合の注記です。

*後発事象:決算日以後に発生したもので、次期以降の決算書に重大な影響を及ぼす事象のこと

18.連結配当規制適用会社に関する注記

⇒当事業年度の末日が最終の事業年度の末日となり、その後連結配当規制適用会社となる際の注記になります。

*連結配当規制適用会社を簡単に説明すると、単体ベースの分配可能額よりも連結ベースの分配可能額の方が少ない場合に、分配可能額の算定を連結ベースで算定できる会社のことです。

18-2.収益認識に関する注記

収益の分解情報、収益を理解するための基礎となる情報、当期および翌期以降の収益の金額を理解するための情報に関する注記になります。

19.その他の注記

なお、上記の注記の記載については企業の状況によって異なります。たとえば、会計監査人設置会社の有価証券報告書提出会社の場合は上記の全ての注記が必要です。

会計監査人設置会社以外の公開会社の場合は、上記の1、5、14、18を除く全てを注記します。非公開会社の場合の注記は、2、3、4、6、9、18-2、19、です。なお、建設業許可申請の注記表の内容は上記と多少異なります。

3-2 建設許可の「財務諸表(法人用)注記表 様式第17号の2」

建設業許可にかかる申請書および添付書類(合格証書等の既存書類を添付する場合は除く)、並びに届出書類に関しては、建設業法施行規則で様式が規定されており、注記表についても同様です。

その規定の様式である「財務諸表(法人用)注記表 様式第17号の2」の内容は次のような形式になっています。

様式第十七号の二(第四条、第十条、第十九条の四関係)

 

注   記   表     

 

自 平成・令和  年  月  日

至 平成・令和  年  月  日

 

(会社名)

 

1 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況
2 重要な会計方針
  1. (1)資産の評価基準および評価方法
  2. (2)固定資産の減価償却の方法
  3. (3)引当金の計上基準
  4. (4)収益および費用の計上基準
  5. (5)消費税および地方消費税に相当する額の会計処理の方法
  6. (6)その他貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表作成のための基本となる重要な事項

3 会計方針の変更
4 表示方法の変更
5 会計上の見積りの変更
6 誤謬の訂正
7 貸借対照表関係
  1. (1)担保に供している資産および担保付債務
    • ①担保に供している資産の内容およびその金額
    • ②担保にかかる債務の金額
  2. (2)保証債務、手形遡求債務、重要な係争事件にかかる損害賠償義務等の内容および金額
  3. (3)関係会社に対する短期金銭債権および長期金銭債権並びに短期金銭債務および長期金銭債務
  4. (4)取締役、監査役および執行役との間の取引による取締役、監査役および執行役に対する金銭債権および金銭債務
  5. (5)親会社株式の各表示区分別の金額
  6. (6)工事損失引当金に対応する未成工事支出金の金額
8 損益計算書関係
  1. (1)工事進行基準による完成工事高
  2. (2)売上高のうち関係会社に対する部分
  3. (3)売上原価のうち関係会社からの仕入高
  4. (4)売上原価のうち工事損失引当金繰入額
  5. (5)関係会社との営業取引以外の取引高
  6. (6)研究開発費の総額(会計監査人を設置している会社に限る)
9 株主資本等変動計算書関係
  1. (1)事業年度末日における発行済株式の種類および数
  2. (2)事業年度末日における自己株式の種類および数
  3. (3)剰余金の配当
  4. (4)事業年度末において発行している新株予約権の目的となる株式の種類および数
10 税効果会計
11 リースにより使用する固定資産
12 金融商品関係
  1. (1)金融商品の状況
  2. (2)金融商品の時価等
13 賃貸等不動産関係
  1. (1)賃貸等不動産の状況
  2. (2)賃貸等不動産の時価
14 関連当事者との取引

取引の内容

種 類 会社等の名称または氏名 議決権の所有
(被所有)割合
関係内容 科 目 期末残高
(千円)
           

ただし、会計監査人を設置している会社は以下の様式により記載する。

(1)取引の内容
種 類 会社等の名称または氏名 議決権の所有
(被所有)割合
関係内容 取引の内容 取引金額 科目 期末残高
(千円)
               
(2)取引条件および取引条件の決定方針
(3)取引条件の変更の内容および変更が貸借対照表、損益計算書に与える影響の内容
15 一株当たり情報
  1. (1)一株当たりの純資産額
  2. (2)一株当たりの当期純利益または当期純損失
16 重要な後発事象
17 連結配当規制適用の有無
18 その他

4 建設業許可申請の注記表の記載の仕方と記入例

ここでは注記表の記載要領を紹介し、その記入例や書き方を確認していきましょう。

4-1 注記表の記載要領

「財務諸表(法人用)注記表 様式第17号の2」で規定されている注記表の記載要領の内容は以下の通りです。

1)記載を要する注記項目

企業のタイプにより注記する項目が下表のように規定されています。

  株式会社 持株会社
会計監査人設置会社 会計監査人なし
公開会社 株式譲渡制限株式
1 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況 × × ×
3 会計方針の変更
4 表示方法の変更
5 会計上の見積りの変更 × × ×
6 誤謬の訂正
7 貸借対照表関係 × ×
8 損益計算書関係 × ×
9 株主資本等変動計算書関係 ×
10 税効果会計 × ×
11 リースにより使用する固定資産 × ×
12 金融商品関係 ×< ×
13 賃貸等不動産関係 × ×
9 株主資本等変動計算書関係 ×
14 関連当事者との取引 × ×
15 一株当たり情報 × ×
16 重要な後発事象 × ×
17 連結配当規制適用の有無 × × ×
18 その他

*○…記載要、×…記載不要

2)注記事項は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書の適当な場所に記載することが可能

上記の各財務諸表の適当な場所に注記事項を記載できますが、その場合は注記表の当該部分への記載は必要ありません。

3)記載する金額は千円単位

注15を除き千円単位の表示です。ただし、会社法第2条第6号に規定する大会社は、百万円単位(「千円」⇒「百万円」として記載)で表示できます。

4)注に掲げる事項で該当事項がない場合

この場合「該当なし」での記載が必要です。

5)貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書の特定の項目の関連注記

その特定項目について関連を明らかにして記載します。

6)注に掲げる事項の記載

注に掲げる事項の記載について、当該事項の番号に応じて各々以下に示す要領に基づき記載しなければなりません。

(注1=注記表の注1)事業年度の末日に、当該会社が将来にわたり事業を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在する場合で、当該事象または状況を解消し、または改善するための対応をしてもなおその前提に関する重要な不確実性が認識される場合(当該事業年度の末日後に当該重要な不確実性が認められなくなった場合を除く)は、次に掲げる事項を記載する必要があります。

  1. ①当該事象または状況が存在する旨およびその内容
  2. ②当該事象または状況を解消し、または改善するための対応策
  3. ③当該重要な不確実性が認められる旨およびその理由
  4. ④当該重要な不確実性の影響を貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および注記表に反映しているか否かの別

(注2)重要性の乏しい事項は、記載する必要はありません。

(4)については、完成工事高および完成工事原価の認識基準、決算日における工事進捗度を見積もるために用いた方法その他の収益および費用の計上基準について記載します。

(5)については、税抜方式および税込方式のうち貸借対照表および損益計算書の作成にあたり採用したものを記載します。ただし、経営状況分析申請書または経営規模等評価申請書に添付する場合は税抜方式です。

(注3)一般に公正妥当と認められる会計方針を他の一般に公正妥当と認められる会計方針に変更した場合は、次の事項の記載が必要です。ただし、重要性の乏しい事項は記載する必要はありません。

また、会計監査人設置会社以外の株式会社および持分会社については、④ロおよびハに掲げる事項の省略が可能です。

  1. ①当該会計方針の変更の内容
  2. ②当該会計方針の変更の理由
  3. ③会社計算規則第2条第3項第59号に規定する遡及適用(以下「遡及適用」)をした場合は、当該事業年度の期首における純資産額に対する影響額
  4. ④当該事業年度より前の事業年度の全部または一部について遡及適用しなかった場合は、次に掲げる事項(当該会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別しにくい場合は、ロに掲げる事項を除く)
    • イ 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および注記表の主な項目に対する影響額
    • ロ 当該事業年度より前の事業年度の全部または一部について遡及適用をしなかった理由並びに当該会計方針の変更の適用方法および適用開始時期
    • ハ 当該会計方針の変更が当該事業年度の翌事業年度以降の財産または損益に影響を及ぼす可能性がある場合で、当該影響に関する事項を注記することが適切である時は、当該事項

(注4)一般に公正妥当と認められる表示方法を他の一般に公正妥当と認められる表示方法に変更した場合、次の事項を記載します。ただし、重要性の乏しい事項の記載は不要です。

  1. ①当該表示方法の変更の内容
  2. ②当該表示方法の変更の理由

(注5)会計上の見積りの変更をした場合は、次の事項を記載します。ただし、重要性の乏しい事項の記載は不要です。

  1. ①当該会計上の見積りの変更の内容
  2. ②当該会計上の見積りの変更の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および注記表の項目に対する影響額
  3. ③当該会計上の見積りの変更が当該事業年度の翌事業年度以降の財産または損益に影響を及ぼす可能性がある場合は、当該影響に関する事項

(注6)会社計算規則第2条第3項第64号に規定する誤謬の訂正をした場合は次の事項を記載します。ただし、重要性の乏しい事項の記載は不要です。

  1. ①当該誤謬の内容
  2. ②当該事業年度の期首における純資産額に対する影響額

(注7)

  1. (1)担保に供している資産および担保にかかる債務は、勘定科目別に記載します。
  2. (2)保証債務、手形遡求債務、損害賠償義務等(負債の部に計上したものを除く)の種類別に総額の記載が必要です。
  3. (3)総額を記載。関係会社別の金額の記載は必要ありません。
  4. (4)総額を記載。取締役、監査役または執行役別の金額の記載は不要です。
  5. (5)貸借対照表に区分掲記している場合は、記載は必要ありません。
  6. (6)同一の工事契約に関する未成工事支出金と工事損失引当金を相殺せずに両建てで表示した場合は、その旨および当該未成工事支出金の金額のうち工事損失引当金に対応する金額を、未成工事支出金と工事損失引当金を相殺して表示した場合は、その旨および相殺表示した未成工事支出金の金額を記載します。

(注8)

  1. (1)工事進行基準を採用していない場合は、記載は不要です。
  2. (2)総額を記載。関係会社別の金額は記載する必要はありません。
  3. (3)総額を記載。関係会社別の金額の記載は不要です。
  4. (4)総額を記載。関係会社別の金額は記載する必要はありません。

(注9)

(3)事業年度中に実施した剰余金の配当(事業年度末日後に行う剰余金の配当のうち、剰余金の配当を受ける者を定めるための会社法第124条第1項に規定する基準日が事業年度中のものを含む)に関して、配当を実施した回ごとに、決議機関、配当総額、一株当たりの配当額、基準日および効力発生日について記載します。

(注10)繰延税金資産および繰延税金負債の発生原因を定性的に記載しなければなりません。

(注11)ファイナンス・リース取引(リース取引のうち、リース契約に基づく期間の中途において当該リース契約を解除することができないものまたはこれに準ずるもので、リース物件(当該リース契約により使用する物件をいう)の借主が、当該リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受でき、かつ、当該リース物件の使用によって生じる費用等を実質的に負担することとなるものをいう)の借主である株式会社が当該ファイナンス・リース取引について通常の売買取引に関する方法に基づいて会計処理をしていない重要な固定資産について、定性的に記載します。

「重要な固定資産」とは、リース資産全体に重要性があり、かつ、リース資産の中に基幹設備が含まれている場合の当該基幹設備のことです。リース資産全体の重要性の判断基準は、当期支払リース料の当期支払リース料と当期減価償却費との合計に対する割合は1割程度になります。ただし、資産の部に計上するものは、この限りではありません。

(注12)重要性が乏しいものは記載が不要です。

(注13)賃貸等不動産の総額に重要性が乏しい場合は、記載する必要はありません。

(注14)「関連当事者」とは、会社計算規則第112条第4項に定める者のことで、記載する場合は関連当事者ごとに記載します。関連当事者との取引には、会社と第三者との間の取引で当該会社と関連当事者との間の利益が相反するものが含まれます。

ただし、重要性の乏しい取引および関連当事者との取引のうち以下の取引については記載する必要はありません。

  1. ①一般競争入札による取引並びに預金利息および配当金の受取りその他取引の性質から判断して取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引
  2. ②取締役、会計参与、監査役または執行役に対する報酬等の給付
  3. ③その他、当該取引に関する条件について市場価格その他当該取引にかかる公正な価格を勘案して一般の取引の条件と同様のものを決定していることが明白な取引

なお、「種類」の欄には、会社計算規則第112条第4項各号に掲げる関連当事者の種類を記載します。

(注15)株式会社が当該事業年度または当該事業年度の末日後に株式の併合または株式の分割をした場合において、当該事業年度の期首に株式の併合または株式の分割をしたと仮定して(1)および(2)に掲げる額を算定した際は、その旨を追加して記載しなければなりません。

(注17)会社計算規則第158条第4号に規定する配当規制を適用する場合に、その旨を記載します。

(注18)注1から注17に掲げた事項のほか、貸借対照表、損益計算書および株主資本等変動計算書により会社の財産または損益の状態を正確に判断するために必要となる事項の記載が必要です。

4-2 注記表の記載例および書き方のポイント

ここでは注記表の記載例を示すとともに、その書き方のポイントを説明しましょう。

1)注記表の記載における重要点

書き方のポイントとしては、第一に記入が必要な項目を理解し確実に記入することが挙げられます(会計監査人設置会社、公開会社等の区分による記載項目の違い)。その次は先に示した記載要領の内容に沿って記入していくことです。

会社の種類ごとの必須項目については、たとえば、会計監査人設置会社は全ての注記項目についての記載が必要です。株式譲渡制限会社の場合は、注記の2「重要な会計方針」、3「会計方針の変更」、4「表示方法の変更」、6「誤謬の訂正」、9「株主資本等変動計算書関係」および18「その他」について記入しなければなりません(省略不可)。

このように自分の会社が記載しなければならない項目を確認し記入していきます。なお、記載すべき注記項目に該当する内容がない場合は「該当なし」で記入しなければなりません(全注記項目についての共通点)。

2)注記表の記載例

株式譲渡制限会社を想定した記載例を紹介しましょう。記載例として記入した内容は青色の文字で示しました。青色の文字で示しました。なお、記載内容ではなく、注意点として示す内容には記載するカ所(行)の1行下に赤色の文字(*)で記しています。

様式第十七号の二(第四条、第十条、第十九条の四関係)

 

注   記   表

 

自 令和2年 4月 1日

至 令和3年 3月31日

 

(会社名)株式会社○○建設

 

1 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況

*この項目は必須項目でないため何も記載しません。「該当なし」の記載も不要です(以下 同様)。

 

2 重要な会計方針

(1) 資産の評価基準及び評価方法

  ①有価証券 時価法、②販売用不動産 低価法

 

(2) 固定資産の減価償却の方法

  ①有形固定資産 建物は定額法、その他の資産は定率法

  ②無形固定資産 定額法

 

(3) 引当金の計上基準

  ①貸倒引当金(一括評価金銭債権) 法人税法で規定される法定繰入率

*個別に評価している場合は「個別に回収不能見込額を計上」などの記載になります。

 

  ②その他の債権 債権回収可能性

 

(4) 収益及び費用の計上基準

  完成工事高及び完成工事原価は、当期末までの進捗部分についての成果の確実性が認められる工事契約は工事進行基準。

その他の工事契約については工事完成基準。

*或は「工事完成基準。ただし、工期2年以上かつ請負代金1億円以上は工事進行基準」など、採用している基準を記載してください。

 

(5) 消費税及び地方消費税に相当する額の会計処理の方法

    税抜方式

 

(6) その他貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表作成のための基本となる重要な事項

    該当なし

 

3 会計方針の変更

    該当なし

 

4 表示方法の変更

    該当なし

 

5 会計上の見積りの変更

(記載不要)

 

6 誤謬の訂正

    該当なし

 

7 貸借対照表関係

(記載不要)

 

8 損益計算書関係

(記載不要)

9 株主資本等変動計算書関係

(1) 事業年度末日における発行済株式の種類及び数

    普通株式 1,000株

 

(2) 事業年度末日における自己株式の種類及び数

    該当なし

 

 

(3) 剰余金の配当

    ○月○日の定時株主総会 配当総額○○円、1株当たり配当金○○円、配当原資は利益剰余金

*実際に対象期間で行った剰余金の配当を記してください。

 

(4) 事業年度末において発行している新株予約権の目的となる株式の種類及び数

    該当なし

 

10 税効果会計

(記載不要)

 

11 リースにより使用する固定資産

(記載不要)

 

12 金融商品関係

(記載不要)

 

13 賃貸等不動産関係

(記載不要)

 

14 関連当事者との取引

(記載不要)

 

15 一株当たり情報

(記載不要)

 

16 重要な後発事象

(記載不要)

 

17 連結配当規制適用の有無

(記載不要)

 

18 その他

    該当なし

 

以上が株式譲渡制限会社に関する注記の記載例でした。もし企業が会計監査人設置会社の株式会社である場合は全ての注記項目に関して記載(「該当なし」を含む)することになります。

4-3 財務諸表・注記表の作成時の注意点

最後に建設業許可申請に必要な注記表(および財務諸表全般)の作成に関して特に重要な注意点を整理しておきましょう。

1)建設業財務諸表の作成全般について

まず、建設業許可申請に伴う書類については建設業法施行規則の別記様式に準じた建設業財務諸表で提出することを忘れないようにしましょう。株主総会や確定申告の際などに財務諸表の提出が求められますが、その際の書式で申請するのではなく、指定の書式で提出します。

ただし、指定の様式で作成する際には、基本的には確定申告等で作成した決算書に基づいて作成します。つまり、自社自身か税理士などにより作成した決算書の内容をもとに、指定の様式へ主に移し替えて完成させるのです(科目、単位等が若干変わる)。

なお、建設業財務諸表および許可申請用の財務諸表の金額の単位は一部を除き千円になっています。従って、各科目の数値は端数処理して書き写すという作業を要するケースが多いです。また、科目合計も同様に合計科目の数値は端数処理した記入が求められます。

以上のようにこの千円単位では、計算は1円単位で行われるが、表示については統一した端数処理が実施されるというルールになっているのです。もちろん千円単位で合計した数値と科目合計を千円単位で表示した数値との間で差額が生じるケースもあるため、その場合は影響の少ない科目で調整する方法が一般的に採用されています。

また、財務諸表間の以下のような同一科目の金額の「一致」については十分な確認が必要です。

  1. ・貸借対照表の「資産合計」と「負債・純資産合計」
  2. ・貸借対照表の「純資産の部」の各科目と株主資本等変動計算書の「当期末残高」の各科目
  3. ・損益計算書と株主資本等変動計算書の「当期純利益(当期純損失)」
  4. ・損益計算書の「完成工事原価」と完成工事原価報告書の「完成工事原価」
  5. ・損益計算書の「兼業事業売上原価」と兼業事業売上原価報告書の「兼業事業売上原価」(兼業事業売上原価がある場合)

上記のような項目で一致していな箇所が認められると、財務諸表の信頼性を損ねることになるため注意してください。

2)決算を一度も迎えていない法人等の書類

決算期が未到来の新設法人などが許可申請する場合、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表の提出は不要になります。貸借対照表は「開始貸借対照表」を作成し提出しなければなりません。その形式は下表の通りです。

 

開始貸借対照表

 

会社名 ○○建設株式会社

令和 ○年 ○月○日現在

 

(*会社設立日)

 

資産の部 会負債・資本の部
科目 金額 科目 金額
現金 10,000,000円 資本金 10,000,000円
合計 10,000,000円 合計 10,000,000円

(*単位は1円)

3)消費税の処理

免税事業者の場合を除き、消費税の処理に関しては、経営事項審査を受ける建設業者の場合は税抜処理で建設業財務諸表が作成されます。もし税務申告の決算書が税込処理で作成されている場合は、損益計算書、完成工事原価報告書を税抜処理した内容で変更・作成しなければなりません。ただし、消費税免税事業者は税込処理で記載します。

4)注記表の作成

提出する注記表の記載内容については、記載要領に従って記載していくことが重要です。具体的な作成は、確定申告等の決算書の「個別注記表」等に基づいて該当する項目を転記していくという方法になります。個別注記表が財務諸表に添付されていない場合、財務諸表を作成した税理士等に確認しましょう。

注記表の作成時において特に注意しておきたい点は、記載を必要とする項目、必要としない項目が会社の種類によって異なることです。

たとえば、株式会社の場合、会計監査人設置会社は全項目の記載が必要、会計監査人なしの公開会社は、「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況」、「会計上の見積りの変更」と「連結配当規制適用の有無」以外の項目の記載が必要になります。

他の会計監査人なしの譲渡制限会社や持分会社はさらに必須項目が少なくなるというのが特徴です。なお、必須項目に記入するべき内容がない場合は「該当なし」で記載することになっているため、何も記入していない未記載の状態にしないように注意しましょう。必須項目でない注記項目は未記載のままです。

最後に少し細か点になりますが、注記表7(2)の 「保証債務、手形遡求債務、重要な係争事件にかかる損害賠償義務等の内容および金額」の記載について、必須項目である場合に「受取手形割引高」および「受取手形裏書譲渡高」があればその内容を必ず記載します。たとえば、「○○○千円」と記載し、ない場合は「なし」で記載します。

5 まとめ

注記表は、会社法で要求される決算書の1つであり、建設業許可申請の提出書類の1つになっています。その申請の際には建設業法施行規則で定められた様式の注記表で提出する必要があり、確定申告等で作成した様式は認められていません

その注記表の作成では、確定申告等で作成したものをベースとして、記載要領に従って作成するという方法が取られます。ただし、簿記の知識があまりない場合には、簡単な作業とは言えないため行政書士等の専門家に作成を依頼する、支援してもらうといった方法も検討してみてください。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京