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建設業の許可票って何?どうやって掲示する?

人々が暮らす住居、労働者が働く事務所・工場等の建物や施設などが適切に建設されるように建設業法では、一定の建設工事を行う建設業者に対して建設業許可を受けることを義務付けています。その建設業許可を受けていることを示すものが許可票です。

今回はこの建設業の許可票が法的および実務的にどのような目的や意義を有し、いつ、どのように掲示されるか、などについて詳しく解説します。建設業許可の概要、許可票の内容や掲示の仕方、許可票となる看板のタイプ、手配から設置・取扱等までの注意点などを知りたい方は、参考にしてみてください。

1 建設業の許可票の概要とその必要性

まず、建設業許可票の意味、なぜ必要になるかの理由や設置の意義・目的、などを建設業許可との関係を確認してみましょう。

1-1 建設業の許可票とは

建設業法は建設工事の適正な施工の確保、発注者・下請建設業者の保護、などを目的とする法律ですが、その第40条で「標識の表示」について下記のように定めています。

⇒建設業者は、その店舗および建設工事(発注者から直接請け負ったもの*1)の各現場に、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一*2の区分による建設業の名称、一般建設業または特定建設業の別、その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない、としているのです。

*1 以前は下請業者も許可票の表示が義務付けられていましたが、改正され現在では必要ありません。ただし、元請業者は下請業者について明らかにする必要があるため、「施工体系図」で下請負人に関する記載事項を追加することが義務付けられました。

*2 別表第一では、土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、などの29種類の工事が定められています。

そのため、上記に該当する工事を請け負う場合、建設業許可を受けて建設工事を行う必要があり、その際には営業所や工事現場(元請けのみで下請けは除く)に許可票(標識)を掲示しなければなりません

なお、許可票の掲示意義としては、以下のような内容が期待されています。

  1. 1)建設工事の施工が建設業法による許可を受けた適法な業者によって行われていることを対外的に明らかにすること
  2. 2)建設工事は、工事現場が移動するほか、多数の建設業者が同時に施工に従事するため、安全施工、災害防止等の責任が曖昧になりやすいことから対外的にその責任主体を明確にすること

以上の内容から許可票を適正に掲示することは、法の要請に適正に応じる行為であり、行政のほか住民や取引先等などが用意に確認でき工事施工の信頼を確保しやすくなります

また、店舗用の許可票について見た目のよいオシャレなものを掲示すれば、ステークホルダー(利害関係者)に良い印象を与えるアピール材料としても利用できるでしょう。

なお、許可票は上記に該当する業者が自分で手配して確保し掲示するものであり、行政から提供されるものではありません。規定のルールに従った内容のものを自らが作成あるいは発注(一般的には業者に発注)して掲示しなければならない点に注意が必要です。

1-2 建設業許可の概要

建設業の許可票の掲示の必要性に直接的に関係する建設業許可の内容を国土交通省のサイト情報から簡単に紹介しておきましょう。

①建設業許可とは

建設工事の完成を請け負う業務を行う場合、その工事が公共工事か民間工事であるかに関係なく、建設業法第3条に基づいて建設業の許可を受ける義務があります。

なお、以下に示す「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、必ずしも建設業の許可を受けなくても構いません。

*「軽微な建設工事」:

  1. 1)建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
  2. 2)建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

(上記金額には取引に係る消費税および地方消費税を含む)

②建設業許可の区分

建設業許可は、下請契約の規模等により「一般建設業」と「特定建設業」の別に区分されます。この区分は、発注者から直接請け負う工事1件につき、4,000万円(建築工事業の場合6,000万円)以上となる下請契約を締結するか否かの内容に基づくものです。

発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,000万円(建築工事業の場合6,000万円)以上となる下請契約を締結する場合 特定建設業の許可が必要
上記以外 一般建設業の許可でOK

*発注者から直接請け負う請負金額は一般・特定を問わず制限はありません。

*発注者から直接請け負った1件の工事が比較的規模の大きな工事であっても、その大半を自社で直接施工するなど、常時、下請契約の総額が4,000万円未満であれば、一般建設業の許可でも問題ありません。

*上記の下請代金の制限は、発注者から直接請け負う建設工事(建設業者)に対するものであるため、下請負人として工事を施工する場合は、上記の制限は適用されないです。

2 建設業許可票の設置や掲示の方法

ここで許可票の設置・掲示の仕方について説明します。掲示等に関する法令(表示の制限)、看板にする場合の仕様、掲示の時期や場所と具体的な掲示例などを紹介しましょう。

2-1 許可票の掲示に関する法令および様式

建設業の許可票の掲示については、建設業法施行規則第25条の「標識の記載事項および様式」により以下のように規定されています。

第1項

建設業法第40条の規定により建設業者が掲げる標識の記載事項は、店舗については以下の第一号から第四号までに掲げる事項、建設工事の現場については第一号から第五号までに掲げる事項とされています。

  1. 一 一般建設業または特定建設業の別
  2. 二 許可年月日、許可番号および許可を受けた建設業
  3. 三 商号または名称
  4. 四 代表者の氏名
  5. 五 主任技術者または監理技術者の氏名

(*店舗の場合、許可番号は5年ごとの更新による新たな番号が対象です)

第2項

法第40条の規定により建設業者の掲げる標識は、店舗についは別記様式第28号、建設工事の現場については別記様式第29号によるとされており、その内容は下図の通りです。

●様式28号「建設業の許可を受けた建設業者が標識を店舗に掲げる場合」

建設業の許可票
商号または名称  
代表者の氏名  
一般建設業または特定建設業の別 許可を受けた建設業 許可番号 許可年月日
    国土交通大臣
許可(  )第   号
知事
 
    国土交通大臣
許可(  )第   号
知事
 
    国土交通大臣
許可(  )第   号
知事
 
この店舗で営業している建設業      

*サイズ:縦35㎝以上、横40㎝以上

  1. 記載要領
    ・「国土交通大臣・知事」については不要なものは消すこと

●様式29号「建設業の許可を受けた建設業者が標識を建設工場の現場に掲げる場合」

建設業の許可票
商号または名称  
代表者の氏名  
主任技術者の氏名   専任の有無    
  資格名 資格者証交付番号    
一般建設業または特定建設業の別  
許可を受けた建設業  
許可番号 国土交通大臣
許可(  )第○○号
知事
許可年月日  

*:縦25㎝以上、横35㎝以上

*記載要領については「2-5」の掲示例を参照してください。

2-2 許可票の表示制限

建設業法第40条の2では「表示の制限」が規定されています。具体的には、「建設業者は当該建設業について、許可を受けていないにもかかわらず、その許可を受けた建設業者であると誤認される恐れがある表示はしてはならない」と制限を設けているのです。

なお、誤認させる表示は以下のような内容が対象になります。

・建設業の許可を全く受けていない者が、一般建設業または特定建設業の許可を受けているかのように表示すること

・一般建設業の許可を受けていない者が、特定建設業の許可を受けているかのように表示すること

・一般建設業または特定建設業の許可を受けている者が、その許可建設業以外の業種の建設業について許可を受けているかのように表示すること

なお、許可業者であった場合でも、許可の有効期限が過ぎた後や、廃業の届出の提出後には、従前から掲示していた許可票の掲示を止めなければならない、記載事項を直ぐに修正しなければならないことを注意しておきましょう。

2-3 許可票の材質(看板)

許可票をどのような材料・材質で作るべきかについての規定は定められていません。ただし、店舗や工事現場などの設置する場所や内容の変更の可能性・時期などを考慮した材料等で制作することが望まれます

材料としては、アルミやステンレスなどの金属のほか、アクリルなどのプラスチック等が基板としてよく利用されていますが、紙の材料でも問題ありません。ただし、耐久性などを考慮する必要があるほか、見栄えやコスト等も踏まえて検討することが重要です。

特に工事現場に設置する許可票は太陽光や雨風に曝される厳しい環境に設置されることが多く、また長期間の掲示となるため、劣化や色の変色などを考慮した材料の選定が求められます。

加えて建設業許可の更新や主任技術者の変更などで許可票の内容を修正する必要が生じるケースも少なくありません。そのため修正の頻度(可能性)、修正に対する容易性、コストなどを考慮して選定することが必要になります。

2-4 許可票の掲示時期と掲示場所

許可票を掲示するタイミングや場所について説明しましょう。

①許可票の掲示の時期

許可票の掲示の時期については特に法律で「いつまでに掲示せよ!」というような規定はありません。一般的には許可票の掲示義務が生じた後速やかに掲示することが望ましいと考えられています。

例えば、建設業許可の通知が店舗に届けば、それをもって許可票を業者に発注し納入され次第適切な場所に設置する、という手順が適切と言えるでしょう。工事現場に設置する許可票については工事が始まる前のできるだけ早い時期に設置するのがよいと考えられています。

なお、掲示の時期の規定はないものの、掲示を後回しにして掲示しなかった場合は罰則が適用されかねないため注意が必要です。

②許可票の掲示場所

建設業法第40条の規定では、建設業者は店舗や建設工事(元請けのみ)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に許可票を掲示しなければならないとされています。

その「公衆の見やすい場所」とは、特に建物内の場所での掲示を意味するのではなく、一般的には事務所等が面する道路などから第三者が見て許可票の記載内容が簡単に認識できる場所(主に建物の外側等)と考えられています。

店舗の場合、通常、室内ではなく外壁の見やすい場所に、工事現場の場合は現場の入り口付近の壁面等に掲示するといったケースが多く、道路などから見てわかりやすい場所に掲示されています。

なお、都道府県の各許可行政庁によって解釈が異なるケースがあるため注意が必要です。例えば、「建設業許可票を建設業の営業所内に掲出しなければなりません」としている都道府県があります。

この「営業所内」が具体的にどの部分・範囲なのか不明である場合に、公衆から見やすいとは言いにくい事務所内に掲示すれば違法になりかねません。そうした場合には担当行政庁に内容を確認して許可票を設置するようにしましょう。

また、店舗の場合、建設業許可を受けている営業ごとに掲示することが求められています。例えば、神奈川県の横浜市の本社、鶴見と川崎の各支店の3箇所の営業所で神奈川県知事許可を取ったなら、各営業所でその許可内容にもとづいた許可票を掲示しなければなりません。なお、工事現場の場合は現場ごとの掲示が必要です。

2-5 工事現場の許可票の掲示例

栃木県真岡市の発注工事に対する許可票の掲示例を参考に現場に掲げる許可票の標識内容を説明しましょう。なお、掲示内容については、様式第29号(工事現場用)およびその「記載要領」の内容に基づき作成しますが、担当の各行政庁で許可票の掲示例や記載要領などがあればそれにそのため進めてください。

①主任技術者の場合:下請契約の請負金額4,000万円(建築一式工事 6,000万円)未満)

建設業の許可票
商号または名称 ○○建設株式会社
代表者の氏名 代表取締役 ○○○○
主任技術者の氏名   専任の有無 ○○○○  
  資格名 資格者証交付番号 2級○○○○管理技士  
一般建設業または特定建設業の別 一般建設業
許可を受けた建設業 ○○工事業、○○工事業
許可番号 国土交通大臣
許可(  )第○○号
知事
許可年月日 ○○年○○月○○日

* サイズ:縦25cm以上×横35cm以上

●記載要領

  1. 1)「主任技術者の氏名」の欄は、法第26条第2の規定に該当する場合には、「主任技術者の氏名」を「監理技術者の氏名」とし、その監理技術者の氏名を記載すること

⇒法第26条第2の規定によると、請負代金の額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる場合、「主任技術者」に代えて「監理技術者」を配置することになります。請負金額3,500万円(建築7,000万円)未満の場合は「主任技術者」で問題ありません。

  1. 2)「専任の有無」の欄は、法第26条第3項の規定に該当する場合に、「専任」と記載し、同項ただし書に該当する場合には、「非専任(監理技術者を補佐する者を配置)」と記載すること

⇒法第26条第3項の規定によると、公共性があり多数の者が利用する建物等の工事現場については主任技術者または監理技術者を各工事現場の「専任の者」であることが要求されています。

なお、「公共性のある重要な建設工事」は、工事一件の請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上になるような公共性のある工事を言います。そのため、この参考例は請負金額が3,500万円未満であるため、専任を要しません。

*簡単にまとめると、請負金額3,500万円(建築一式7,000万円)未満は「空欄」です。

  1. 3)「資格名」の欄は、当該主任技術者または監理技術者が法第7条第2号ハまたは法第15条第2号イに該当する者である場合に、その者が有する資格等を記載すること
  1. 4)「資格者証交付番号」の欄は、法第26条第5項に該当する場合に、当該監理技術者が有する監理技術者資格者証の交付番号を記載すること

⇒監理技術者の場合のみ番号を記載し、それ以外は空欄とします。

  1. 5)「許可を受けた建設業」の欄には、当該建設工事の現場で行っている建設工事に係る許可を受けた建設業を記載すること

⇒許可を受けているものから当該現場に必要なものだけを記載します。

  1. 6)「国土交通大臣 知事」については、不要のものを消すこと
  1. 7)「一般建設業または特定建設業の別」については、下請金額4,000万円(建築6,000万円)以上は「特定建設業」の記載が必要です。

⇒この参考例は「一般建設業」です。

  1. 8)「許可年月日」については、建設業許可通知に記載された許可の有効期間の開始の日を記載します。

②監理技術者の場合:下請契約の請負金額4,000万円(建築一式工事6,000万円)以上)

建設業の許可票
商号または名称 ○○建設株式会社
代表者の氏名 代表取締役 ○○○○
主任技術者の氏名   専任の有無 ○○○○ 専任
  資格名 資格者証交付番号 1級○○○○管理技士 第○○○号
一般建設業または特定建設業の別 特定建設業
許可を受けた建設業 ○○工事業、○○工事業
許可番号 国土交通大臣
許可(  )第○○号
知事
許可年月日 ○○年○○月○○日

* サイズ:縦25cm以上×横35cm以上

*記載要領の内容は上記①と同様です。以下に②の例の記載内容を簡単に説明します。

*1 「主任技術者の氏名」の欄については、請負代金の額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となるため、「主任技術者」に代えて「監理技術者」の配置になり、その監理技術者の氏名を記載します。

*2 「専任の有無」の欄は、請負代金の額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となるため(「工事一件の請負金額が3,500万円以上」をクリア)、「専任」の記載が適切です。

なお、特定建設業者が当該監理技術者の職務を補佐する者を配置できる場合は、「専任(監理技術者を補佐する者を配置)」などとして記載することも可能です。

簡単にまとめると、請負金額3,500万円(建築7,000万円)以上は「専任」と記載し、補佐する者を置いた場合は「専任(監理技術者を補佐する者を配置)」と記載できます

*3 「資格名」の欄は、当該主任技術者または監理技術者の者が有する資格等を記載します。

⇒土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業等の資格

*4 「資格者証交付番号」の欄は、監理技術者資格者証の交付番号の記載です。

*5 「一般建設業または特定建設業の別」は、下請金額4,000万円(建築6,000万円)以上に該当するため「特定建設業」になります。

*6 「許可を受けた建設業」は、許可を受けているものから当該現場に必要なものだけの記載です。

*7 「許可年月日」は、建設業許可通知に記載された許可の有効期間の開始の日を記載します。

*8 「国土交通大臣 知事」については、不要のものを消します。

3 建設業の許可票に関する注意点

最後に許可票を準備や使用する際などで特に注意しておきたい点を説明しましょう。

3-1 建設業許可の変更への対応

建設業許可を申請した際の記載内容に変更があった場合、直ちに変更の届出をする必要がありますが、これに伴い建設業許可票の内容も変更しなければなりません。

建設業許可の変更内容としては以下のような項目が挙げられます。

1)建設業許可の変更後2週間以内の手続を要する項目

  1. ・経営管理責任者の交替や氏名の変更⇒会社の代表者などで許可票の記載に関係する場合は変更
  2. ・専任技術者の交替や氏名の変更⇒許可票の記載に関係する場合は変更
  3. ・営業所代表者の交替や氏名の変更⇒許可票の記載に関係する場合は変更
  4. ・欠格要件に該当するようになった場合⇒建設業許可の取り消しとなれば許可票は撤去

2)変更後30日以内の手続を要する項目

  1. ・個人事業主が死亡した時⇒許可票の記載に関係する場合は変更
  2. ・法人が消滅や解散した時⇒許可票は撤去
  3. ・許可を受けている建設業を廃止した時⇒関係する建設業名を許可票より削除
  4. ・商号や名称を変更した時⇒関係する場合は変更
  5. ・営業所の所在地を変更した時⇒関係する場合は変更
  6. ・法人役員や個人事業主、支配人の氏名に変更があった時⇒関係する場合は変更
  7. ・営業所の新設をしたとき⇒当該営業所に許可票を掲示
  8. ・営業所の業種変更(追加・一部廃止)をした時⇒建設業に関係する場合は変更等
  9. ・営業所を廃止した時⇒当該営業所の許可票を撤去

3)変更後4カ月以内の手続を要する項目

  1. ・管理技術者の変更があった時⇒関係する場合は変更

3-2 制作・発注する許可票(看板)の仕様

許可票の表示内容以外の看板の材質、文字のフォントサイズや書体などについての規定がないため、店舗や工事現場といった設置場所や目的のほか、設置・掲示による効果なども考慮して制作・発注の仕様(内容)を決めるようにしましょう。

店舗の場合、行政、取引先関係者や通行人などが主にその許可票の内容を確認するため、内容の分かりやすさだけでなく見栄えの良さやPR効果なども求められます。そのため建設業界においては以前より看板が見た目の点で銀色や金色の金属製で制作されることが多く、許可票は「金看板」と呼ばれています。

もちろん派手過ぎたり豪華すぎたりすると、逆に良くない印象を持たれることもあるため適度な加減は必要ですが、デザイン性をよくすることで関係者に好感を持ってもらうことが可能です。

そのため、好印象を狙う場合には許可票制作の専門家に相談・依頼するのが望ましく、上記のような希望の効果や目的などを説明して発注するようにしましょう。

なお、以下のような点について検討しておくことが重要です。

●文字

一般的に許可票の看板に使用される文字は、角ゴシック体、丸ゴシック体、明朝体や楷書体などになります。

角ゴシック体:最もポピュラーな書体の1つで視認性に優れ読みやすい。男性っぽい、面白さや親近感などを与える

丸ゴシック体:柔らかい印象を与える親しみのある書体で、優しさやソフトなどの印象を与える

明朝体:日本語での代表的な書体の1つで、真面目、上品、洗練さ、端正さ、などの印象を与える

楷書体:人気の高い書体。明朝体よりも和風な印象を与え、伝統、古風のほか、安定感、優しさや親しみやすさなども感じられる

なお、許可票の制作業者によって扱える書体には限度もあるため、希望の書体があるかどうか事前に確認しましょう。

●タイプや材質

1)店舗用

許可票の看板にはいくつかのタイプや材質が用意されており、安価で短納期で入手できるものから高価で少し納期がかかるものまであります。

安価なものとしては、プラスチック板や金属板に印刷シートを貼ったタイプが多いです。ものによっては板面の光沢、質感などが悪く見栄えが良いと言えないものも見られます。

また、許可票の内容変更の場合、変更箇所をシールで変えるタイプだと、その修正でツギハギが生じ変更が増えるたびに見た目がどんどん悪くなっていくタイプも少なくないです。

安価なものは短納期で安く買える反面、将来の変更に伴う見た目の悪さなどを考慮して検討する必要があるでしょう。

高価なものとしては、以前はステンレス板などに直接文字を彫る(凹凸をつける)というエッチング処理で制作されることが多かったです。しかし、この方法は将来の変更に対応にできないという欠点があり現在は他のタイプのものが多く利用されています

例えば、金属板や金属複合板などに特殊印刷シートと対候性シートを貼り、端部は金属(アルミ等)の枠で囲むタイプなどが多いです。変更については印刷シートを一式変えるものや修正箇所をシールで対応するタイプなどがあり、前者の場合は見た目も悪くなりません(修正費用も数千円程度)。

なお、板の下地の色を選べるタイプが多く、ゴールド、シルバー、ホワイトのほか、ブラック、ローズ、ブルーや大理石風などを選べる商品もあります。また、下地板に厚めのアクリル板を使用してガラス板風にしたデザイン性に優れたタイプもあり、会社のイメージアップなども期待できます。

2)工事現場用

工事現場用は各工事現場に設置・掲示されるため、見た目よりは耐久性や見やすさなどが重視されたタイプが多く見られます

シンプルなタイプとしては、ポリプロピレンなどの樹脂板に法定の表示内容が印刷されていて、各項目については購入者が自分でマジックなどにより記入するタイプが多いです。最も安価で短納期で入手できるため重宝されている商品と言えるでしょう。

少し高価なタイプになると、事前に記入内容を連絡して、その内容で印刷してもらう商品(文字入れセット)もあります。値段的には数千円程度ですが、工事現場が多いと多少まとまった費用になるためその点を考慮しましょう。

3-3 許可票の発注・依頼先

先に確認した通り、許可票の仕様は様々であるため、発注者の希望・考えを依頼先にしっかり伝え、要望の商品が提供できるか否かを確認の上発注することが重要です。

許可票の制作者などの受注元が対応できる仕様には限りもあるため、業者によっては依頼者の希望に沿った商品を提供できないケースも少なくありません。もし依頼先が自社の希望の仕様で提供できない場合は、依頼を断念して他の業者を探すことも必要です。

制作業者等は多く存在するため、急がないのであれば他の業者を探して納得できる商品を購入するようにしましょう。

なお、特に注意しておきたい点は、建設業許可が下りたとたんに業者から電話やメールで許可票作成の営業をかけてくるケースです。積極的な営業活動と評価することもできますが、市場価格より高めの値段設定で発注を求めるケースもあり、安易に依頼すると損することになりかねません。

そのため、即座の発注は控えて、他の業者と比較した上で決定するのが無難です。また、希望やイメージと異なる商品の購入を避けるためにも安易な発注は控えるようにしましょう。

3-4 許可票の掲示に関する罰則

建設業法第55条の規定により、適法の許可票を掲示しない場合や、第3者に誤った認識を生じさせる許可票を掲示する場合は各々10万円以下の過料が科されます。具体的には法第55条で以下のような違法となる行為が規定されているため注意しましょう。

  1. 1)店舗および建設工事の各現場に、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めた事項を記載した標識を掲げない者

⇒許可票を掲示しない場合はもちろん、「公衆の見やすい場所に」掲示しない場合も罰則が適用される恐れがあります。

  1. 2)許可を受けていないのに、その許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をした者

⇒誤解を招くような表示についても罰則の対象となり得るため、不安のある場合などは事前に行政庁や行政書士などの専門家へ相談・確認しましょう。

4 まとめ

一定の建設工事を行うには建設業法で定められた建設業の許可を受ける義務があり、許可を受けた建設業者は店舗や工事現場に許可票を掲示しなければなりません。この許可票の掲示は法定看板として設置するものであり、法令に従った掲示が求められます。

許可票のサイズや表示内容は法令で定められている一方、看板の材料や色などの指定はありません。そのため手配する際には店舗用は見栄え・自己アピール等、工事現場用は見やすさ・耐久性等を考慮した設置などを考えて依頼してみてください。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京