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建設業許可が取消・剥奪になるケースとは

建設業を営む場合には建設業許可が必要です。建設業許可がなくても限られた小規模な工事を請け負うことはできますが、広く仕事を受注できるように“仕事の範囲を限定させない”ことや“許可を取得しているという信用”のために建設業を営む上で建設業許可はほぼ必須です。

しかし、建設業許可は、許可の取り消し・剥奪されてしまうことがあります。しかも、建設業許可が一旦取り消し・剥奪されてしまうとその時点から5年間は許可の再取得ができなくなってしまう場合があります。建設業許可がなくなると、実質的に建設業の営業ができなくなり、建設業としての事業の継続が危うくなります。

今回は、建設業許可が取り消しになってしまうケースと対応策としての建設業許可の再取得について解説するので、ぜひご参考ください。

1 建設業許可の取り消し

令和3年3月末の建設業許可業者は473,953業者で、前年同月比で1,479業者(+0.3%)と増加しました*。一方で、取り消しを含める行政処分を受けた事業者が登録されているデータベース『国土交通省のネガティブ情報検索サイト』で確認できる令和3年1月から11月末までに建設業許可が取り消しとなった事業者は192事業者となっています。

令和2年の1年間で建設業許可取り消し業者は96件になるので、現時点で前年度2倍以上建設業許可の取り消しが発生していることになります。それでも、建設業許可業者の中で取り消しになる業者の割合は0.04%と非常に低く、およそ2,500事業者に1事業者が取り消しとなっている割合です。

この確率だけを見ると非常に小さな確率に見えますが、前述のとおり建設業者は建設業許可がないと事業が継続できません。そのため、どの建設業者も建設業許可が継続できるように注意しながら事業をしている中でも取り消し業者が出ているとも考えられます。そう考えると、どの建設業者にも取り消しとなる可能性があるとも言えます。

*国土交通省『建設業許可業者数調査の結果について(概要)』より

1-1 取り消し許可の2パターン

建設業許可が取り消しになるパターンは、以下の2種類があります。

  1. ①不利益処分による許可取り消し
  2. ②届け出による許可取り消し

両方共に建設業許可が取り消しになる点に変わりはありません。しかし、不利益処分による許可の取り消しの場合には、取り消しから5年間新たな許可の取得ができなくなります。そのため、実質的に建設業を継続することができなくなります

一方で、届け出による許可取り消しの場合は、建設業許可要件を改めて満たすことができた時点で許可の再取得が可能です。建設業を継続するために、自主的に一時的に建設業許可を取り消しするためにある仕組みと言えます。

詳細は後述しますが、建設業許可の取り消し要件に該当した場合、速やかに届け出による許可取り消しを選択します。そうすれば、最低限の取り消し期間と影響で済ませることができます。

1-2 不利益処分による許可取り消し

建設業許可の基準の中で、建設業許可を取得できない要件が定められています(建設業法第8条)。この基準に該当する場合、建設業許可を出した国土交通大臣や都道府県知事などの許可を出している行政庁は、建設業許可を取り消しを行います。

そして、この建設業許可が継続できない要件は、大枠で以下の4つのケースに分けられます。

  1. ①拒否事由に該当する場合
  2. ②欠格事由に該当する場合
  3. ③建設業許可の基準に該当しなくなる場合
  4. ④建設業の重大な行政処分に該当する場合

①拒否事由

拒否事由は、許可申請時に提出している情報に虚偽がある、または重要な事実が記載されていない場合に該当します。これは、建設業許可申請時点はもちろんですが、建設業許可取得後に拒否事由に該当する事実が判明した場合も同様です。

拒否事由は、原則は故意に建設業許可取得の際に虚偽ないしは事実の不告知に基づくため、適切な申請をすることで拒否事由に該当することを心配する必要はありません。

②欠格事由に該当する場合

建設業許可を受けた法人の役員や個人事業主の事業主自体が建設業法で定められたその資格を失う事由(これを「欠格事由」という)に該当してしまった場合です。

③建設業許可の基準に該当しなくなる場合

建設業法では、建設業許可を得るために必要な基準を複数定めています。例えば、経営業務管理責任者や専任技術者の常勤などです。これらの建設業許可の基準を満たせなくなった場合を言います。

④建設業の重大な行政処分に該当する場合

建設業法に違反した場合、国土交通省や都道府県などの監督官庁より行政処分があります。その違反行為が重大かつ情状が重い場合などに出た指示処分に従わない場合などに営業停止処分となります。そして、その営業停止処分にも従わない場合に、建設業許可は取り消し・剥奪になります

1-3 届け出による許可取り消し

届け出による許可取り消しは、『手続き上の許可取り消し』と呼ばれています。手続き上と呼ばれる理由は、前述の建設業許可が継続できない要件に該当した場合に、自ら事務的に処理する取り消しになるためです。

簡単に言うと、建設業許可が継続できない要件に該当したので、自ら建設業の許可を自主的かつ事務的に取り消しすることです。この届け出による許可取り消しをすることで、建設業許可が維持できない状況下で建設業を営み続けることが発生しないようになります。

届け出による許可取り消しは、前述の建設業許可が継続できない要件の他に、以下のような場合にも実施します。

  1. ✓建設業許可を受けた日から1年以内での営業開始が無かった場合
  2. ✓建設業許可を受けながら、1年以上継続的に実質的に営業を実施していない場合
  3. ✓建設事業をやめる場合

●手続きのやり方

手続き上の許可取り消しは、建設業許可の継続ができなくなる要件が発生してから速やかに廃業届と届出書を国土交通大臣ないしは都道府県知事の許可行政庁に提出します。この廃業届の提出をもって、許可行政庁によって建設業許可の取り消し処分が実施されます

廃業届を提出することで手続き上の取り消し処分が成立し、取り消しから5年を待つことなく建設業許可申請を行うことができます

注意してほしいのは、廃業届のみ提出して届出書を提出しない場合です。廃業届を許可行政庁に提出すれば、実は建設業許可の取り消し処分はできます。しかし、それだけでは建設業許可を継続できなくなる要件が発生していることを報告しないことになり、『虚偽申請』に該当します。

虚偽申請は、6ヶ月以上の懲役または100万円以下の罰金が科され、この処分が科されてから5年間は建設業許可の申請ができなくなります

2 建設業許可の取り消しになる要件

建設業許可の取り消しになる要件の大分類は前述した通りです。その中で、申請時に虚偽などを行ったことに起因する拒否事由以外についてここで説明していきます

なお、下記で説明する以外としては国土交通大臣の許可から都道府県知事の許可への変更やその逆の変更などの“許可換え”や、許可を受けた日から1年以内に建設業の営業を開始していないまたは継続して1年以上営業を休止している場合などの場合にも取り消しの要件に該当します

建設業許可の取り消しになる該当事由については、建設業法第29条でまとめられています。

2-1 建設業許可基準を満たせなくなる

建設業許可を受けようとする場合に必要となるのが、資格要件です。この資格要件を満たしていることが認められなければ建設業許可を取得できません。そのため、この資格要件が建設業許可を継続するための基準となります。

具体的には、建設業許可基準は以下になります。

  1. ✓経営業務の管理責任者が常勤している
  2. ✓営業所毎に専任技術者を常勤している
  3. ✓請負契約を履行するに足りる財産的基礎を有している
  4. ✓契約履行に対する誠実性
  5. ✓欠格要件に該当しない(次章で詳細を説明します。)

この中で、許可が取り消しになる要件に該当することが多いのは、経営業務の管理責任者ならびに専任技術者が退職などの理由から不在ないしは常勤の体制が取れなくなるケースです。

経営業務の管理責任者も専任技術者も、詳細な条件が法律上定められています。そのため、退職などによって不在になることが分かっていてもすぐに補完することができないケースが発生してしまいます。

●財産的基礎

請負契約を履行するに足りる財産的基礎の有無は以下の基準が明確になっています。請負契約を結んだ工事を完遂するために必要となる財産的基礎を有しているかという判断になるため、請負工事の規模が異なる一般建設業と特定建設業ではその基準が異なります。

≪一般建設業の財産的基礎の基準≫

  1. ✓自己資本が500万円以上であること
  2. ✓資金調達力が500万円以上あること*
  3. ✓直前5年間で建設業許可を受けて継続した建設業としての営業実績があって、現在建設業許可を有していること

一般建設業は上記基準のいずれかに該当することが必要になります。そのため、概ね財産的基礎が認められないケースは少ないのが実態です。

*資金調達力の証明は、金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書などによって判断します。

一方で、請負工事の規模が大きくなる特定建設業の財産的基礎の基準は一般建設業より厳しくなっています

≪特定建設業の財産的基礎の基準≫

  1. ✓欠損金が資本金額の20%以下である
  2. ✓資産の流動比率が75 %以上である
  3. ✓資本金が2,000万円以上である
  4. ✓自己資本(純資産)が4 , 000万円以上

上記のいずれかに該当していることで財産的基礎を有していると認められます。

なお、財産的基礎を有しているかは建設業許可の申請時に証明が必要です。逆を言えば、申請時以外の時点で財産的基礎を有していないことを理由に建設業許可を取り消しされることはありません。

2-2 役員の欠格要件への該当

建設業許可の取り消しにおいて最も注意しなければいけないのは、欠格要件への該当です。廃業や営業をやめる場合を除くと、欠格要件に該当して許可が取り消しされるケースが最も多くなっています。

欠格要件に該当しないようにするためには、以下の2つのポイントを押さえることが必要です。

  1. ① 欠格要件の対象は誰か
  2. ② 欠格要件に該当することは何か

●欠格要件の対象は誰か

欠格要件の対象は、建設業許可を受けた対象が個人事業主と法人かで異なります。

≪欠格要件の対象≫

個人の場合

  1. ・個人事業主本人
  2. ・支配人
  3. ・支店長や営業所長などの令3条で定められた使用人

法人の場合

  1. ・代表や専務などの取締役(執行役員や監査役は対象となりません)
  2. ・顧問や相談役
  3. ・議決権を5%以上有する株主
  4. ・支店長や営業所長などの令3条で定められた使用人

注意したいのは、個人事業主と法人で共通している支店長や営業所長などが対象であることです。必ず適切な知識を身につけさせ、自身が欠格要件の対象者であることを理解させなければなりません。

また、法人における顧問や相談役や議決権を5%以上持つ株主については、会社の組織の管理・監督が行き届きにくい点があります。この点では、相手の素性を確認しておくことと常にコミュニケーションをとっておくことで問題をいち早く気づけるようにしておきます。

●欠格要件に該当する事由

欠格要件は、建設業法第8条ならびに第17条(準用)にまとめられています。

≪欠格要件≫

  1. ①破産者で復権を得ていない者。
  2. ②建設業許可を不正な方法で取得したことなどにより建設業の許可を取り消された日から
    5年を経過していない者。あるいは、許可の取り消しを回避することを目的に廃業届け出をした場合にはその届け出日から5年が経過していない者
  3. ③心身の機能障害によって建設業の適切な経営ができないとされる国都交通省令の定めに該当する者
  4. ④請け負った建設工事の施工が適切に実施できなかったことに起因して、公衆に危害が及ぶ恐れがあるまたは実際に危害が及んだ場合、もしくは請負契約の実行において不誠実な行為があった場合などで、監督行政から営業停止処分を命じられ、その停止期間が終了していない者
  5. ⑤禁錮刑以上の刑(死刑・懲役など)に処されて、その刑の執行の終了日または執行を受けることが無くなった日から5年以上経過していない者*
  6. ⑥以下に該当する法律違反による罰金刑に処されて、その執行の終了日もしくは執行を受けなくなった日から5年を経過していない者
    ―該当法律―
     ・建設業法
     ・建築基準法/景観法/宅地造成等規制法/都市計画法
     ・労働基準法/職業安定法/労働者派遣法の規定によって政令で定められている事項
     ・暴力団員による不当行為の防止等に関する法律
     ・障害(刑法第204条)、現場助勢(同法第206条)、暴行および凶器準備集合および集結(同法第208条と208条3号)、脅迫(同法第222条)、背任(同法第247条)の罪、暴力行為等処分に関する法律
  7. ⑦暴力団員または暴力団員ではなくなった日から5年を経過していない者
  8. ⑧暴力団員などが実質的に事業活動を支配している者

*執行猶予の取り扱い

執行猶予自体は、欠格要件に該当します。そのため、執行猶予期間中の者は、建設業の代表やその他重要な役職に就くことができません。もしくは、建設業許可の取り消し事由の対象となります。執行猶予は、交通法の違反(スピード違反や飲酒運転など)によって執行猶予になるケースもありますので、注意が必要です。

一方で、執行猶予期間が満了した時点で、刑の言い渡しは消滅します。そのため、執行猶予期間が満了していれば、その期間が終了した日から5年間などの経過を待つ必要はありません。

2-3 欠格事由で留意すべきこと

欠格事由の中で、最も多くなるのは罰金刑になります。建設業法を遵守することはもちろんですが、建設業許可申請時などに虚偽の財務諸表を提出してしまうなどによって建設業法違反で罰金刑に課せられることもあります。経理や財務などの適切な知識を身に着け、故意的でなくても誤りがない財務諸表の作成ができるよう留意が必要です

●刑法

建設業法以外で最も留意すべきは刑法です。具体的には、傷害や暴行、脅迫などの罪で罰金刑を受けることが欠格事由に該当してきます。しかし真面目な方であればあるほどあまり刑法を詳しく学ぶ機会もありません。一般的な日常生活を送っていれば、刑法に触れることがないと思っている方も多くいます。

しかし、知り合いなどと口論になり思わず相手に手が出てしまった。何度言っても素行が直らない部下の胸倉をつかんだなどの行為でも傷害罪や暴行罪に問われる可能性があります。

傷害罪は、人に暴力をふるってケガをさせたことで成立します。しかし、そのケガの程度は問われないので、打ち身や打撲と言った軽微な負傷でも成立します。また、暴行罪は暴力行為を行った時点で成立し、頭髪を引っ張ることや腕などの身体をつかむことや胸倉をつかむことでも成立します。

脅迫罪はつい口から出てしまった「殴るぞ」「家に帰らせない」などの生命や身体、自由などに対して害を加える言動によって成立する可能性があります。社内などでは日常的に威圧的な態度や暴力的な言動を行っていると、周囲の中には生命や身体の危険を感じる機会が増えてしまい、脅迫罪が成立する可能性が高まります。

●偽装請負(労働者派遣法・職業安定法)

偽装請負とは、実態が労働者の派遣や供給でありながら、形式上で業者間の請負契約や業務委託契約を締結していることをいいます。

具体的には、元請業者と下請け業者の間でAという現場の工事の請負契約を締結したとします。そして、Aの工事現場で働く下請業者のスタッフに対して元請業者のスタッフが直接的に作業命令をだしていることが偽装請負に該当します。

請負契約の場合には、元請会社や発注主にはいくら発注先の労働者であっても指揮命令権はありません。具体的な偽装請負の判断基準については厚生労働省『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』で確認できます。

偽装請負は、労働者派遣法による規制をかいくぐることになり、労働者雇用を不安定にさせる点や労災発生時の責任所在を不明確にする点などが問題になります。偽装請負を行っていると判断された場合には、労働者派遣法違反になり“1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金”に処される場合や、行政指導などの対象となります。

元請業者から仕事を受けることや、孫請け業者などに仕事を発注することが多い建設事業者は労働者派遣法についても充分な知識を身に着ける必要があります

●欠格事由の対象者の素性

欠格事由の対象者の素性についても留意が必要です。うっかり、素性調査などを行わずに採用した営業所長や顧問などが過去に建設業許可を取り消しになっていた人物でその日から5年が経過していなかったということも起こりえます。建設業で重要なポストに採用をする場合には、充分な素性調査を行うことが必要です。

具体的には、過去に罰金刑などの処罰を受けたことがないかを確認します。また、建設業許可の取り消しや営業停止処分を受けたことがないかも確認します。該当すれば、採用することはできますが、役員や顧問や営業所長などの重要なポストにつけることはできません。

上記の確認は、本来履歴書を提出させることです。履歴書にある処罰欄には、本来刑罰が科されたときにはその内容を罰として記載しなければなりません。しかし、実際には採用されたい人が履歴書の賞罰欄に罰を記載しないケースも想定できます。そのため、採用の面接を行い、処罰を受けたことがないかということを具体的にヒアリングするほうが賢明です。ヒアリングの結果で怪しいと思った場合には、身辺調査などを行います。

ここまで注意が必要なのは、役員などになる人物が会社に対して虚偽の説明を行うと建設業許可の申請にも虚偽が含まれることになるからです。そうなると、結果的に建設業許可を取得できないうえに、そこから5年間申請ができなくなります。

2-3 欠格事由に該当した場合の対応

建設業を営んでいる中で欠格事由に該当することは、あり得ないことではありません。特に事業規模が大きくなって営業所長などが多数いる場合などで、その中の1名がスピード違反などで罰金刑に課されてしまう可能性も十分にあります。

しかし、ここで重要になるのは、「欠格要件に1人が該当した場合に必ず建設業許可が取り消されるわけではない」ということです。欠格要件に該当する対象は、“個人”か“全体”かに分けられます。別れ方は以下になります。

≪欠格要件の該当対象≫

個人が対象 人に関する欠格要件
全体が対象 書類に関する欠格要件

罰金などの個人に起因する欠格要件に該当する場合には、その個人が役員になれなくなります。そのため、役員などから外すことで対応することで建設業許可の取り消しにはなりません。仮に、この欠格要件に該当する人物をそのまま役員とし続けていると建設業許可は取り消しになります。

一方で、全体が対象となるのは申請書などの書類が欠格要件に該当する場合です。具体的には建設業許可の申請の際に提出する書類に、許可申請時に提出している情報に虚偽がある、または重要な事実が記載されていない場合に該当します(拒否事由)

故意に虚偽や重要な事実を記載しないことは言語道断ではありますが、その経緯は考慮されない点には注意が必要です。前述のとおり、役員になる人物が故意もしくは忘れていて5年以内に処罰を受けていたことを会社側に伝えなかったなどが理由で、結果的に書類に重要な事実が記載されていなかった場合でも、不正な方法で建設業許可を取得しようとしたという判断になります。そして、申請時点における欠格要件対象者全員がそこから5年間建設業許可の申請ができなくなります

3 建設業許可の取り消しへの対応策

建設業許可の取り消しへの対応策としては、充分な知識を身に着け、許可が取り消しされる事由に該当しないようにすることが第一になります。業法を理解して、適切な企業経営ならびに事業や組織の運営を行うことは基本とも言えます。

もし、取り消し事由に該当する事象が発生した場合には、すぐ届け出による建設業許可の取り消しを行い、その後に取り消し事由に対して対応を行い、再度申請をする流れをとります。

一方で、不当な処分によって建設業許可が取り消しになる可能性もあります。その場合については、聴聞の機会を活用できます。

3-1 聴聞の機会

建設業許可を得て事業を行っていた建設業者に対して、行政から許可の取り消しが行われた場合、その建設業者にとっては不利益な事項に該当します。このような場合に、行政手続法では、命令を受けた側が行政に対して説明を求めることや意見を述べる機会を与えています。これを意見陳述の機会の付与の原則(行政手続法第13条)と言います。

意見陳述の機会は、『聴聞』と『弁明』の機会に分けられます。二つの差を簡単に言うと、許可の取り消しや特定した個人の資格や地位のはく奪などの重い不利益処分は聴聞の機会が与えられ、営業停止などの比較的軽い不利益処分には弁明の機会が与えられます。

もし、命令に対して不服がある場合には、聴聞や弁明の機会を活用します。ただし、公益上の理由から緊急的に不利益処分が必要な場合などは意見陳述の機会は必要ないともされています(行政手続法第13条2項)。

3-2 聴聞の手続き

聴聞の機会を活用する場合の簡単な流れを説明します。なお、総務省『聴聞手続き概要』も参考になります。

実際に建設業許可の取り消し命令が出された時などは冷静に対処できる状況ではないことが想定できます。混乱した中でもやるべきことが抜け漏れなく実施できるようにするため、大枠の流れを把握することは重要です。大枠の流れは『通知』『準備』『聴聞』に分けられます

●通知

実際に、建設業許可の取り消しなどの不利益処分が行われる場合には、行政処分を受ける事業者(名宛人と言います)へ行政機関から通知書面が送付されます。書面で通知される事項は以下になります。

≪通知事項≫

  1. ①不利益処分の内容
  2. ②不利益処分の根拠となる法令条項
  3. ③聴聞の期日と場所
  4. ④聴聞に関しての事務を所管する組織名称と所在地

また、聴聞期日に出頭して意見を述べることと証拠書類などが提出できること、もしくは出頭する代わりに陳述書と証拠書類などを提出できること。聴聞が終結するまでは、不利益処分の原因となる事実に対する証拠書類などの閲覧の要求ができることの説明も記載されています。

●準備

名宛人は、聴聞の期日までに証拠書類などを集めて、意見をまとめる必要があります。法律や専門知識が必要な場合もあるので、弁護士や行政書士などの代理人を立てることも認められています

まず、処分内容とその原因となる事実を確認することが先決です。証拠書類などは閲覧できますので、聴聞の事務を所管する組織に連絡を取り、閲覧方法や場所を確認します。なお、閲覧場所に行く際には、携帯のカメラなどで証拠書類などを保存する準備を忘れないようにします。

●聴聞

聴聞では、証拠書類などを示すことで取り消し処分に該当する原因がないことを主張します

実際に、聴聞の結果を受けて不利益処分が見直しされることは多くはありません。その後に訴訟などで処分の取り消しを求めるケースなどに発展する場合などには、行政庁の見解を確認することができる機会にもなります。

4 まとめ

建設業許可の取り消しについて理解が深まりましたでしょうか。取り消しには“処分”によるものと“届け出”によるものの2つがあります。処分は受動的な結果であり、届け出は能動的な取り消しと言えます。その上で、届け出を行った上での取り消しであれば、5年間などの期間の制限がなく、その取り消しになった原因を解決できれば建設業の再取得ができることが大きなポイントです。

そして、建設業許可の取り消しになる要件は、専任技術者の突然の退社などによる建設業許可が求める基準を満たせなくなった場合や役員の交通違反などで欠格要件に該当してしまうことなどがあります

まず、、取り消しになる要件に該当しないように日々注意と対策をとっておくことが第一、です。しかし、そのような状況になってしまった場合には原則は自ら届け出を行い、取り消しになった後に再取得ができるようにしておくことが重要です。

建設業に限らず、事業を継続させることは法人経営者の重要な責務と言えます。そのため、事業を継続させるために必須の建設業許可を取り消しにならないように最善の注意を払うことが求められます。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京