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建設業許可を本店と支店で分けるにはどうする? 手続き方法も解説

通常、建設業許可は企業全体で取得するものとの認識があります。すなわち、ある業種の建設業許可を取得すれば、本店および各支店で当該業種の工事請負契約を結べるようになると思われています。

一方、建設業許可の業種を本店と支店で分ける方法もあります。建設業許可の業種を本店と支店で分けるのは、限られた技術者で対応できるメリットがあるからですが、同時に注意すべき点も存在します。

この記事では、建設業許可を本店と支店で分ける方法やその際の注意点について解説しています。建設業に携わる方は、ぜひ参考にしてください。

1 建設業許可とは

はじめに、建設業許可の基本を整理してみましょう。

 1-1 建設業許可の基本

「建設業許可」は、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に国土交通大臣または都道府県知事から受ける許可をいいます。建設業許可が必要となる一定規模以上の建設工事は、以下の通りです。

①建築一式工事

  1. ・工事1件の請負金額が1,500万円以上の工事
  2. ・延べ面積が150㎡以上の木造住宅工事

②建築一式工事以外の建設工事

  1. ・工事1件の請負金額が500万円以上の工事

(注)金額は、材料費込みの税込金額です。

なお、工事1件の請負金額が500万円未満の工事など上記に該当しない建設工事は、「軽微な工事」として建設業許可を受ける必要はありません。建設業許可の対象となる工事および業種は、次の通りです。

工事区分 業種
土木一式工事
建築一式工事
〇2業種
土木工事業、建築工事業
専門工事 〇27業種
大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業、熱絶縁工事業、電気通信工事業、造園工事業、さく井工事業、建具工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業、解体工事業

(注)一式工事は、専門工事を複数組み合わせた総合的な工事をいいます。

建設業許可の対象となる工事は、一式工事では「土木一式工事」「建築一式工事」の2工事とされ、対応する業種は、土木工事業と建築工事業の2業種です。また、専門工事は「大工工事」以下の27工事とされ、対応する業種は大工工事業以下の27業種です。

 1-2 建設業許可の要件

建設業許可を受けるには、以下の通り、建設業法で定められた要件を満たす必要があります。

  1. ①経営業務の管理責任者を置くこと
  2. ②適切な社会保険に加入していること
  3. ③営業所ごとに専任技術者を置くこと
  4. ④請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  5. ⑤請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していること
  6. ⑥欠格要件に該当しないこと

①経営業務の管理責任者を置くこと

建設業許可を取得するには、「経営業務の管理責任者」を主たる営業所に配置しなければなりません。経営業務の管理責任者とは、営業所において営業取引上対外的に責任を有する地位にあり、建設業の経営業務について総合的な管理・執行の経験を持つ者をいいます。

経営業務の管理責任者となるには、法人の場合は常勤役員のうち1人が、個人の場合は本人または支配人のうち1人が、建設業法の定める要件に該当することが必要とされています。

②適切な社会保険に加入していること

建設業許可を取得するには、社会保険や雇用保険に適切に加入していることが必要です。
すなわち、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法に定められた適用事業所に該当するすべての営業所について、適正に届出がされていなければいけません。

③営業所ごとに専任技術者を置くこと

建設業許可を取得するには、営業所ごとに、許可を受けようとする業種にかかる一定の資格や経験を持つ技術者を専任で置くことが必要です。

建設工事の請負に関する見積、入札、契約の締結などは各営業所で行われます。そのため、すべての営業所に専任技術者を置く必要があるのです。

この場合の「専任」とは、営業所に常勤して、専らその職務に従事することをいいます。

このため、次の人は原則として専任とは認められません。

  1. ・他の営業所で専任の職務に従事している者
  2. ・住所が勤務を要する営業所から著しく遠く、常識的に通勤不可能である者
  3. ・建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士など、他の法令により特定の事務所等において専任が必要とされる者
  4. ・他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者など、他の営業について専任に近い状態にあると認められる者

この「専任技術者」の要件は、一般建設業許可に比べて、特定建設業許可のほうが厳しくなっています。

【一般建設業許可における専任技術者の要件】

㋐一定の国家資格を有する者

㋑高等学校・中等教育学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後5年以上の実務経験がある者、または、大学・短大・高等専門学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後3年以上の実務経験がある者

㋒許可を受けようとする建設業の建設工事に関して10年以上の実務経験がある者

㋓・国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識・技術または技能を持っていると認定した者

【特定建設業許可における専任技術者の要件】

㋐一定の国家資格を有する者

㋑一般建設業のいずれかの専任技術者の要件を満たしている者で、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負金額が政令で定める金額(4,500万円)以上であるものについて、2年以上の指導監督的な実務経験がある者

㋓国土交通大臣が上記の者と同等以上の能力を持っていると認定した者

【参考:一般建設業許可と特定建設業許可】

元請として1件の工事について下請代金合計額4,000万円以上(建築工事一式の場合は、1件の工事につき下請代金合計額6,000万円以上)で下請に出す場合は、特定建設業の許可を受ける必要があります。

上記の要件に該当しないときは、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合に該当しないかぎり、一般建設業の許可を受ければよいとされています。

④請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと

建設業の許可を受けようとする者は、誠実性の基準を満たす必要があります。

「誠実性の基準」は、以下の通りです。

㋐法人の場合

法人・法人の役員・政令で定める法人の使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと

㋑個人の場合

本人・支配人・政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと

⑤請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していること

建設業の許可を受けるには、建設業の請負契約を履行できる財産的な基礎または金銭的な信用を持っていることが求められます。

この「⑤請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していること」の要件は、一般建設業許可に比べ、特定建設業許可のほうが厳しくなっています。

【一般建設業許可における財産的基礎の要件】

一般建設業許可では、次のいずれかに該当することが求められます。

㋐自己資本の額が500万円以上であること

㋑500万円以上の資金を調達する能力を有すること

㋒許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること

【特定建設業許可における財産的基礎の要件】

特定建設業許可を得るには、以下のすべてに該当することが求められます。

㋐欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと

㋑流動比率が75%以上であること

㋒資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

⑥欠格要件に該当しないこと

建設業の許可を受けようとする者が、以下のように建設業法の定める欠格要件に該当する場合は、許可を受けることができません。

㋐許可申請書や添付書類の重要な事項について、虚偽の記載がある、または重要な事実の記載が欠けている場合

㋑破産手続開始の決定を受けて復権していない者、営業停止を命ぜられその停止の期間が経過しない者などは欠格要件に該当します(その他にも欠格要件があります)。

2 建設業法における営業所とは

次に、建設業法における営業所とはどのようなものかについてみていきましょう。

 2-1 営業所と本・支店

建設業法における「営業所」は、「本店または支店、もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所」をいいます。

ただし、常時建設工事の請負契約を締結する事務所でなくても、他の営業所に対し請負契約にかかる指導監督を行うなど建設業にかかる営業に実質的に関与する場合は、営業所に該当します。

このため、常時建設工事の請負契約を締結する事務所ではなく、また、建設業にかかる営業に実質的に関与する事務所でもない場合は、建設業法上の営業所に該当しません。

【建設業法上の営業所に該当しないもの】

  1. ①人事・経理業務などしか行わない事務所
  2. ②工事現場事務所
  3. ③作業員休憩所
  4. ④資材置場
  5. ⑤工事用車両車庫など

一般的に、企業の営業所と本店・支店は同じ意味に解釈します。すなわち、企業の本・支店は、営業所と同一と認識されています。

しかし、上でみたように、建設業法における営業所は、①常時建設工事の請負契約を締結する事務所、または、②他の営業所に対し請負契約にかかる指導監督を行うなど、建設業にかかる営業に実質的に関与する事務所をいいます。

したがって、登記上は企業の本店であっても、上記①または②に該当しないものは、建設業法上の営業所とはみなされません(本店は、他の営業所に対し請負契約にかかる指導監督を行っているケースが多いです)。

 2-2 営業所の要件

建設業法上、営業所と認められるには、次のような要件を満たすことが必要です。

①「主たる営業所」は、必ず設置する

主たる営業所は、建設業を営む他の営業所を指揮監督、統括する権限を持つ営業所をいいます。建設業許可を取得する場合は、この主たる営業所を必ず設置しなければならないとされています。

このため、企業に営業所が1か所しかない場合は、そこが主たる営業所となります(通常、本店が主たる営業所になるケースが多いです)。

一方、「従たる営業所」は、主たる営業所以外のすべての営業所をいいます。従たる営業所は、必ずしも設置しなくてもよく、複数設置することも可能です。

②営業所としての外観・実体を備えている

建設法上の営業所と認められるには、営業所としての外観・実体を備えていることが必要です。この要件の内容は、建設業許可を申請する行政庁(国・都道府県)によって若干異なっています。

【例:埼玉県の営業所の要件】

  1. ㋐外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実態的な業務を行っていること
  2. ㋑電話、机、各種事務台帳等を備えていること
  3. ㋒契約の締結ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他法人又は他の個人事業主とは間仕切り等で明確に区分されているなど独立性が保たれていること
  4. ㋓営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(住居専用契約は、原則として、認められません。))。
  5. ㋔看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かるように表示してあること
  6. ㋕経営業務の管理責任者又は建設業法施行令第3条に規定する使用人(建設工事の請負契約締結等の権限を付与された者)が常勤していること
  7. ㋖専任技術者が常勤していること

なお、建設業許可申請の受付後に、営業所の要件を満たしているかについて、立入調査が行われることがあります。

 2-3 建設業許可は営業所ごとに分けることができる

建設業許可は、営業所ごとに分けて取得することが可能です。例えば、以下の通り、ある企業の本店は建築工事業、A支店は水道工事業、B支店は内装工事業としての許可を取得することができます。

  1. ①建築工事業の新規許可申請を行い、主たる営業所として本店を登録
  2. ②次に、水道工事業の業種追加申請を行い、従たる営業所としてA支店を登録
  3. ③次に、内装工事業の業種追加申請を行い、従たる営業所としてB支店を登録

このように、本店で建築工事業、A支店で水道工事業、B支店で内装工事業の営業を行うことができます(請負契約を締結することができます)。

営業所ごとに建設業許可を分けるメリットは、限られた技術者で対応ができることです。建設業許可を取得するには、営業所に常勤の専任技術者を配置しなければなりません。最も良い方法は、企業全体で全29業種の建設業許可を受けておき、すべての営業所に全29業種に携わることができる専任技術者を配置することです。そうすることで、すべての営業所で、あらゆる業種の工事請負契約を締結することができます。

しかし、この方法は、経費面や労力面からみて非現実的です。建設業許可の各業種に携わることができる専任技術者の要件は厳格に定められており、技術者の母数も無尽蔵ではないため、人材の確保に相当な労力を要します。また、営業所専任にするためには大量な雇用が必要であるため、大きな人件費がかかります。

このような理由から、すべての営業所に全29業種に携わることができる専任技術者を配置することは困難です。

さらに、全29業種でなくても、特定の1~2の業種でさえ、その専任技術者をすべての営業所に専属で配置するのが難しい企業も多く見られます。

このため、各企業では、自社の事業内容に応じて、必要最小限の専任技術者を確保し配置しているのが実情です。

上の例で、①本店は建築工事業、②A支店は水道工事業、③B支店は内装工事業としての許可を取得していますが、この場合は、①本店は建築工事業の専任技術者、②A支店は水道工事業の専任技術者、③B支店は内装工事業の専任技術者の配置が義務付けられているのです。

このため、この企業では、建築工事の請負契約は本店で、水道工事の請負契約はA支店で、内装工事の請負契約はB支店で締結しなければならない制限はありますが、それぞれの分野の専任技術者を1名ずつの合計3名と必要最小限に抑えることが可能となります。

この場合、すべての本支店を3業種の営業所として届け出れば、3業種の専任技術者をすべての本支店に配置しなければならなくなり、3業種×3か所=9名の専任技術者が必要となります。

上記のように本支店で建設業許可を分ける方法でも、企業全体としては、建築工事、水道工事、内装工事の3分野の工事をすべて請け負うことができるメリットもあります。

このように、本店および支店が、建設業法上の営業所としての要件を満たしている場合には、本店と支店で許可業種を分けることが可能となります。

3 本店と支店で建設業許可を分ける方法

次に、本店と支店で建設業許可を分ける方法や手続きについて見ていきましょう。

 3-1 本店と支店で建設業許可を分けないケース

支店を本店と同一県内に新設し、本店と同じ業種で営業する場合です。

【例】

A社は、「建築工事業」の許可を取得しており、神奈川県内の本店1か所で営業しています。この度、本店と同じ神奈川県内に支店を新設することになり、新設する支店での営業業種は本店と同じ「建築工事業」です。

●必要な準備

①支店を従たる営業所とする

支店を新設して建設業許可を取得するには、上で説明したように、新設する支店の外観・実体が、建設業法における営業所としての要件を満たす必要があります。特に、「令3条の使用人」、および営業予定の業種である建築工事に携わることができる「専任技術者」を配置することも、営業所としての要件となります。

②令3条の使用人の配置

令3条の使用人は、建設業法施行令第3条に規定されている使用人です。令3条の使用人は、建設工事の見積り、入札参加など建設工事の請負契約の締結や契約の履行にあたり、一定の権限を有すると判断される者をいいます。

具体的には、支店長や営業所長などの役職にある人が該当します。個人の場合は、支配人登記された支配人がそれに当たります。

③専任技術者(建築工事業)の配置

専任技術者は、許可を取得する予定の業種に携わることができる人材でなければなりません。例えば、その営業所で営業予定の業種が建築工事業の場合は建築工事の専任技術者、水道工事業の場合は水道工事の専任技術者を配置する必要があります。

また、営業所に配置する専任技術者は常勤でなければなりません。したがって、他の営業所との兼務や物理的に常勤が難しい人は、専任技術者として認められません。

この例では、本店に建築工事の専任技術者がいますが、新設する営業所にも専属で建築工事の専任技術者を配置する必要があります。

●必要な手続き

①変更届出書の提出

この例の場合は、新設する支店の営業業種である「建築工事業」の許可は、すでに会社で取得済みですが、新設営業所の業種追加手続きが必要となります。この新設営業所の業種追加手続きは、既存の許可業種(建築工事業)を追加するもので、変更届出書を提出して行います。

この例では、「営業所新設」手続き、および「新設営業所の業種追加」手続きの2つを行うことになります。書類の提出先は、新設する支店が本店と同じ神奈川県内であるため、神奈川県知事となります。

●提出先

神奈川県庁本庁または土木事務所の建設業担当課

●提出書類

  1. ・変更届出書(従たる営業所の新設)
  2. ・変更届出書(従たる営業所の業種追加)
  3. ・その他添付書類あり

●提出期限

  1. ・変更届出書(従たる営業所の新設)
    従たる営業所を新設してから30日以内
  2. ・変更届出書(従たる営業所の業種追加)
    従たる営業所の業種追加を行ってから30日以内

 3-2 本店と支店で建設業許可を分けるケース1

次は、支店を本店と同一県内に新設し、本店と異なる業種で営業する場合です。

【例2】

B社は、「建築工事業」の許可を取得しており、神奈川県内の本店1か所で営業しています。この度、本店と同じ神奈川県内に支店を新設することになりました。新設する支店では、本店と異なり「水道工事業」の営業を行う予定です。

●必要な準備

①支店を従たる営業所とする

令3条の使用人の配置、専任技術者(水道工事業)の配置を含む

●必要な手続き

①業種追加申請書の提出

新設する支店では、これまで会社が許可を受けていない「水道工事業」の営業を行う予定であることから、「業種追加」申請が必要となります。「業種追加」申請は、これまで許可を受けていない業種の追加であるため、建設業許可申請書を提出して行います。この業種追加申請では、新設する支店を営業所として届け出ます。

●提出先

神奈川県庁本庁または土木事務所の建設業担当課

●提出書類

  1. ・建設業許可申請書(業種追加)
  2. ・その他添付書類あり
②変更届出書の提出

支店を新設する場合には、支店を設置後30日以内に変更届出書を提出することが必要です。

●提出書類

  1. ・変更届出書(従たる営業所の新設)
  2. ・その他添付書類あり

 3-3 本店と支店で建設業許可を分けるケース2

次も、本店と支店で建設業許可を分けるケースですが、支店を別の県に新設し本店と異なる業種で営業する例です。

【例3】

C社は、「建築工事業」の許可を取得しており、神奈川県内の本店1か所で営業しています。この度、東京都内に支店を新設することになり、新設する支店では、本店と異なり「水道工事業」の営業を行う予定です。

●必要な準備

①支店を従たる営業所とする

令3条の使用人の配置、専任技術者(水道工事業)の配置を含む

●必要な手続き

①許可換え新規申請書の提出

新設する支店は、神奈川県内の本店と異なり、東京都内に設置されます。

営業所が複数の都道府県にまたがる場合は、都道府県知事ではなく国土交通大臣の許可を受けることになります。この手続きを「許可換え新規」申請といいます。

建設業許可申請書は、主たる営業所の所在地を管轄する国土交通省地方整備局に提出することになっています

●提出先

関東地方整備局建設業許可担当窓口

●提出書類

  1. ・建設業許可申請書(許可換え新規)
  2. ・その他添付書類あり

なお、神奈川県知事許可から国土交通大臣許可に変更した場合は、神奈川県に届出が必要です。

 3-4 本店と支店で建設業許可を分けるケース3

次も、本店と支店で建設業許可を分けるケースですが、既存の支店が本店と異なる業種で営業する例です。

【例】

D社は、「建設工事業」の許可を取得しており、神奈川県内に本店および支店1か所を持ち営業しています。この度、従来からの「建設工事業」に加え、「水道工事業」の営業を始める予定です。

●必要な準備

①支店を従たる営業所とする

この場合は、既存の営業所として建築工事業の営業を行っていることから、建設業法上の営業所としての外観や「令3条の使用人」の配置はクリアしています。しかし、水道工事に携わることができる「専任技術者」がいないため、新たに配置する必要があります。

●必要な手続き

①業種追加申請書の提出

新設する支店では、これまで会社が許可を受けていない「水道工事業」の営業を行う予定であることから、「業種追加」申請が必要となります

●提出先

神奈川県庁本庁または土木事務所の建設業担当課

●提出書類

  1. ・建設業許可申請書(業種追加)
  2. ・その他添付書類あり

なお、それぞれの申請書様式や添付書類等については、各行政庁で異なる場合があるため、事前に所轄行政庁に直接確認してください。

4 本店と支店で建設業許可を分ける場合の注意点

次に、本店と支店で建設業許可を分ける場合の注意点についてみていきましょう。

 4-1 一般建設業許可と特定建設業許可は重複できない

営業所が異なっても、同一の個人または法人が、同じ業種の一般建設業許可と特定建設業許可を受けることはできません。

例をあげると、A社が水道工事業(一般)の建設業許可を受け本店で営業している場合に、営業所を新設して水道工事業(特定)の営業を行おうとしても、このような業種追加申請は許可されません。

この場合、どうしても水道工事業(特定)として営業したいのであれば、従前の水道工事業(一般)を廃業し、あらためて水道工事業(特定)の申請を行うことになります。

 4-2 請け負えない工事が生じる

建設業許可を取得していない業種については、「軽微な工事」を除いては、建設工事を請け負うことができません。逆に言えば、建設業許可を取得していない業種は、「軽微な工事」だけ請け負うことが可能です。

【参考】

上記の通り、「軽微な工事」とは、①建築一式工事の場合、「工事1件の請負金額が1,500万円未満の工事」「延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事」、②建築一式工事以外の建設工事の場合、「工事1件の請負金額が500万円未満の工事」をいいます。

しかし、建設業許可を取得している業種については、この「軽微な工事」であっても、当該業種の営業所として届け出ている本店・支店でなければ、請け負うことはできません。

当該業種の営業所として届け出ていない本店・支店では、「軽微な工事」を請け負うことができなくなります。

【例】

建設業許可を取得していない企業Aは、本店およびB支店で、建築工事および水道工事の「軽微な工事」を請け負い、毎年相当な売上げを上げています。この度、企業Aは、建築工事業および水道工事業の2つの許可を取得し、①本店を建築工事業の営業所、②B支店を水道工事業の営業所として、分けて届出を行いました。

2つの許可の取得後、①本店は請負金額の制限なく「軽微な工事」を含む建築工事業全般を請け負うことが可能、②B支店は請負金額の制限なく「軽微な工事」を含む水道工事業全般を請け負うことが可能となります。

しかし、①水道工事業の営業所として届出をしていない本店は、「軽微な工事」を含む水道工事業全般を請け負うことができなくなる、②建築工事業の営業所として届出をしていないB支店は、「軽微な工事」を含む建築工事業全般を請け負うことができなくなるとなってしまいます。

すなわち、従来、本店および支店の両方で、建築工事および水道工事両方の「軽微な工事」を請け負うことができたのが、片方ずつしか請け負えなくなります。その結果、「軽微な工事」の受注が減り、企業A全体の売上げが落ちる可能性も否定できません。

5 まとめ

建設業許可は、本店と支店で業種を分けて取得することが可能です。建設業許可を本店と支店で分けるメリットは、営業所への常勤が義務付けられている専任技術者について、限られた人数で対応できることです。

建設業許可を本店と支店で分けることで、必要となる専任技術者の絶対数を抑えることが可能となります。そうすることで、専任技術者の確保に要する労力や人件費を必要最小限に抑えながら、企業全体として各分野の工事を請け負うことができるのです。

建設業許可を本店と支店で分ける際に注意すべきは、①一般建設業許可と特定建設業許可は、同一企業で重複できない、②建設業許可を取得している業種にかかる「軽微な工事」は、当該業種の営業所として届け出ている本店・支店でなければ、請け負うことはできないことが挙げられます。

建設業許可を本店と支店で分ける検討をされている業者の方は、これらの点を念頭に置くことが大切です。

建設業許可申請が全国一律76,000円!KiND行政書士事務所:東京