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建設業許可の名義変更!方法と手順を詳しく紹介

建設業で商号や名称を変更する場合、建設業許可の名義変更も必要なケースがあります。また、建設業許可の名義を直接変更するわけではありませんが、建設業の事業を他者に引き継ぎ建設業許可を承継させることで、実質的に建設業許可の名義を変更できる方法があります。

そこで今回の記事では、建設業許可の名義変更のパターンや方法・手順を詳しく知りたい方向けに解説するので、参考にしてみてください。

1 名義変更のパターン

はじめに、建設業許可の名義変更にはどのようなパターンがあるか、整理してみましょう。

 1-1 商号・名称の変更

最も一般的な名義変更のパターンは、「商号・名称の変更」です。法人であっても個人であっても、商号・名称の変更は自由に認められています。

建設業許可は、法人・個人の別にかかわらず、許可の申請者が建設業法上の要件を満たしている場合に、その申請者に対して許可されるものなので、許可を与えた相手が変わってしまう場合、単純に名義変更はできなくなってしまいます

しかし、商号・名称の変更は、建設業の許可を与えた相手が変わってしまうわけではなく、単に名称が変わるだけのため、名義を書き換えることができるのです。そのため、商号・名称を変えることにより建設業許可の名義を変更できるのは、変更点が商号・名称のみで、他に変更箇所がないケースに限られます

 1-2 建設業許可の承継

次に、名義変更のパターンとしてあげられるのは、「建設業許可の承継」です。建設業許可の承継とは、建設業の事業を他の者が承継する場合に、定められた事前の手続きを行うことで、承継先は、承継元が持つ建設業許可を含む建設業法上の権利義務を引き継ぐことができることです。

建設業許可の承継には、以下の種類があります。

  1. ①個人の場合
    ・事業承継
    ・相続
  2. ②法人の場合
    ・事業譲渡
    ・合併
    ・分割

それでは、個別にみていきましょう。

①個人の場合

〇事業承継

事業承継は、個人で建設業を営んでいる場合に、その事業を自分の子供や徒弟などに譲渡することです。従来、事業を譲渡する事業主が建設業許可を取得していても、事業を譲渡された子供や徒弟は、あらためて建設業の許可を取り直す必要がありました。そのため、許可されるまでは、建設業許可が必要な工事を請け負うことができない空白期間が生まれ、事業者の負担となっていました。

しかし、2020年に建設業法が改正され、事前に認可の手続きを行えば、建設業許可を承継することができるようになり、空白期間もなくなりました。

【事業譲渡による許可の承継】建設業法第17条の2第1項

  1. 建設業者が許可に係る建設業の全部の譲渡を行う場合・・・(中略)・・・において、譲渡人及び譲受人が、あらかじめ当該譲渡及び譲受けについて、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、譲受人は、当該譲渡及び譲受けの日に、譲渡人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。

    一 譲渡人が国土交通大臣の許可を受けているとき 国土交通大臣
    二 譲渡人が都道府県知事の許可を受けているとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
    イ 譲受人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
    ロ 譲受人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。

〇相続

相続は、個人で建設業を営んでいる方が亡くなった場合に、その事業を子供や親族が引き継ぐことです。事業を引き継ぐ子供や親族が、被相続人の死亡後30日以内に建設業許可の承継を申請して認可を受ければ、そのまま許可を引き継ぐことができます。

【相続による許可の承継】建設業法第17条の3第1項

  1. 建設業者が死亡した場合において、当該建設業者の相続人が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするとき・・・(中略)・・・は、その相続人は、国土交通省令で定めるところにより、被相続人の死亡後30日以内に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。

    一 被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき 国土交通大臣
    二 被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
    イ 相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
    ロ 相続人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。

②法人の場合

〇事業譲渡

事業譲渡は、法人が他の法人に建設業務を譲渡することです。従来は、個人の場合と同じく、事業を譲渡しても譲渡元の法人が受けていた建設業許可は譲渡先法人が引き継ぐことが認められておらず、事業の譲渡先法人は、あらためて建設業の許可を受ける必要がありました。このため、事業の譲渡先法人は、建設業許可を受けるまでの間は、建設業許可が必要な工事を請け負うことができない空白期間がありました。

しかし、建設業法が改正されたことにより、事前認可の手続きを行うことで空白期間を解消できるようになったのです。

〇合併

法人の合併には、新設合併と吸収合併があります。新設合併は、すべての既存の法人を消滅させて、新たに設立する法人に権利義務を承継させる方法です。それに対し、吸収合併は、1つの法人を残して他方を消滅させ、消滅する法人の権利義務を存続する法人に承継させるものです。

このように、新設合併と吸収合併では方法が異なりますが、消滅する法人の権利義務を新設または存続法人が承継することは同じです。

従来は、これらの新設合併、吸収合併など法人の合併による権利義務の承継の際に、消滅する法人が受けていた建設業許可の承継は認められておらず、新設または存続法人は、あらためて建設業の許可を受ける必要がありました。

しかし、事業譲渡の場合と同じく、建設業法の改正により、事前認可を受けることで、消滅する法人の建設業許可を新設・存続する法人が承継できることになりました。

【合併による許可の承継】建設業法第17条の2第2項

  1. 2 建設業者である法人が合併により消滅することとなる場合・・・(中略)・・・において、合併消滅法人等が、あらかじめ当該合併について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、合併存続法人又は合併により設立される法人は、当該合併の日に、合併消滅法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。

    一 合併消滅法人(合併消滅法人が2以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣の許可を受けているとき 国土交通大臣
    二 合併消滅法人が2以上ある場合において、当該合併消滅法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき 国土交通大臣
    三 合併消滅法人が2以上ある場合において当該合併消滅法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は合併消滅法人が1である場合において当該合併消滅法人が都道府県知事の許可を受けているとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
    イ 合併存続法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
    ロ 合併存続法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。

〇分割

法人の分割には、新設分割と吸収分割があります。新設分割は、法人の権利義務の全部または一部を新たに設立する法人に承継させる方法です。

一方の吸収分割は、法人の権利義務の全部または一部を別の法人に承継させるものです。この場合、合併の場合と同じく事前認可の手続きを行うことにより、譲渡する法人の建設業許可を譲渡される法人が承継できます。

【分割による許可の承継】建設業法第17条の2第3項

  1. 3 建設業者である法人が分割により建設業の全部を承継させる場合・・・(中略)・・・において、分割被承継法人等が、あらかじめ当該分割について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、分割承継法人は、当該分割の日に、分割被承継法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
    一 分割被承継法人(分割被承継法人が2以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣の許可を受けているとき 国土交通大臣
    二 分割被承継法人が2以上ある場合において、当該分割被承継法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき 国土交通大臣
    三 分割被承継法人が2以上ある場合において当該分割被承継法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は分割被承継法人が1である場合において当該分割被承継法人が都道府県知事の許可を受けているとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
    イ 分割承継法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
    ロ 分割承継法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。

上記にあげた各パターンは、建設業許可の名義を直接変更するわけではありませんが、実質的に許可の名義変更と同じ効果が生じるパターンといえます。

2 建設業許可承継の要件

次に、建設業許可を承継するための要件についてみていきましょう。

 2-1 事前に認可を受ける

建設業許可を承継するには、事前に所管行政庁の認可を受けなければなりません。すなわち、承継の事実が発生する日以前に承継申請を完了する必要があり、承継の事実発生後に、遡って認可されることはないため、注意が必要です。

それでは、承継の事実発生予定日の何日前までに承継申請を完了すればよいかですが、具体的な期限は、所管行政庁により異なります。例えば、東京都では「承継予定日の閉庁日を含まない前日の2か月前から閉庁日を含まない25日前まで」となっています。また、埼玉県では、「遅くとも、承継の事実発生日の30日前まで」とされています。実際に認可申請を行う際は、事前に所管行政庁に確認しておくとよいでしょう。

また、相続については、建設業許可を受けていた被相続人の死亡後30日以内に申請を行うことが建設業法で明記されています。

 2-2 建設業の全部を承継先に承継させる

建設業許可を承継するには、承継元が営んでいた建設業の全部について承継先に引き継ぐことが必要です。承継元が営んでいた建設業の一部の業種だけを承継させることは認められていません。

例えば、承継元が土木工事業(特定)、建築工事業(一般)、造園工事業(一般)を営んでいる場合は、3業種すべてを承継先に承継させる必要があります。土木工事業(特定)を承継させずに、建築工事業(一般)、造園工事業(一般)だけを承継させることはできません。

なお、認可申請手続き前に一部の業種を廃業した上で、残りの業種をすべて承継させることは認められています。

上の例では、認可申請手続き前に土木工事業(特定)を廃業した上で、建築工事業(一般)、造園工事業(一般)を承継させることは問題ありません。

 2-3 同一業種で一般と特定が重ならない

建設業許可を承継するには、同一業種で一般と特定が重ならないよう注意する必要があります。

建設業許可では、同一の業者が同じ業種の一般建設業許可と特定建設業許可を受けることができません。例えば、A建設会社が、建築工事業(特定)と建築工事業(一般)の許可を受けることはできないのです。

このことから、

  1. ①承継元が一般建設業の許可を受けている業種について、承継先が特定建設業の許可を受けていないこと
  2. ②承継元が特定建設業の許可を受けている業種について、承継先が一般建設業の許可を受けていないこと

が必要です。

また、承継により同一業種で一般と特定が重なる場合は、承継元、承継先のどちらかが当該業種を廃業すれば承継が可能となります。

例えば、承継元が土木工事業(特定)および建築工事業(一般)、承継先が土木工事業(一般)および建築工事業(一般)を営んでいる場合に、事業を承継すると、承継先で土木工事業(特定)と土木工事業(一般)が重なってしまいます。このケースでは、認可申請前に、承継元の土木工事業(特定)または承継先の土木工事業(一般)のどちらかを廃業すれば、同一業種で特定と一般が重なることがなく承継が可能になります。

なお、この例では、建築工事業(一般)が承継元と承継先で営まれていますが、これは問題ありません。

 2-4 承継先が許可の要件を満たす

承継先の業者は、承継後に有するすべての業種について、建設業許可の要件を満たす必要があります。

【参考:建設業許可の要件】

建設業許可の要件は、次のとおりです。

  1. ①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力があること
    建設業において一定の経験を持つ者を配置し、適正な経営体制を確保することが必要です。
    「一定の経験を持つ者」は、「常勤役員1人」または「常勤役員1人+当該常勤役員等を直接補佐する者」とされます。また、社会保険に適切に加入していることが求められます。
  2. ②営業所に専任技術者を置くこと
    営業所ごとに、一定の要件を満たす専任技術者を置くことが必要です。一般建設業許可と特定建設業許可では、求められる専任技術者の要件が異なります。
  3. ③請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないこと
    請負契約の締結や履行における詐欺・脅迫・横領など法律に違反する行為、また、工事内容、工期、天災など不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為などの不正または不誠実な行為をするおそれがないことが求められます。
  4. ④一定の財産的基礎を有すること
    建設業の請負契約を履行できる財産的な基礎、または金銭的な信用を持っていることが求められます。一般建設業許可と特定建設業許可では、求められる財産的基礎の要件が異なります。

建設業許可の要件は、建設業法に定められています。

【一般建設業許可の基準】建設業法第7条

  1. ①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力がある者として、国土交通省令で定める基準に適合する者
  2. ②営業所ごとに、次のいずれかに該当する専任技術者を置くこと
    ・一定の国家資格を有する者
    ・高等学校・中等教育学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後5年以上の実務経験がある者、または、大学・短大・高等専門学校在学中に許可を受けようとする建設業の指定学科を修め、卒業後3年以上の実務経験がある者
    ・許可を受けようとする建設業の建設工事に関して10年以上の実務経験がある者
    ・国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識・技術または技能を持っていると認定した者
  3. ③法人・個人、その役員、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  4. ④請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと

【特定建設業許可の基準】建設業法第15条

  1. ①建設業にかかる経営業務の管理を適正に行う能力がある者として、国土交通省令で定める基準に適合する者
  2. ②営業所ごとに、次のいずれかに該当する専任技術者を置くこと
    ・一定の国家資格を有する者
    ・一般建設業のいずれかの専任技術者の要件を満たしている者で、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負金額が政令で定める金額(4,500万円)以上であるものについて、2年以上の指導監督的な実務経験がある者
    ・国土交通大臣が上記の者と同等以上の能力を持っていると認定した者
  3. ③法人・個人、その役員、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  4. ④発注者との請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること

(注1)上記条文中の赤字は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なる個所です。特定建設業許可の要件は、一般建設業許可の要件に比べ、厳しくなっています。

ここで、一般建設業許可と特定建設業許可の違いを説明しておきます。

【一般建設業許可と特定建設業許可】

元請として1件の工事について下請代金合計額4,000万円以上(建築工事一式の場合は、1件の工事につき下請代金合計額6,000万円以上)で下請に出す場合は、特定建設業の許可を受ける必要があります。

上記の要件に該当しないときは、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合に該当しないかぎり、一般建設業の許可を受ければよいことになります。

軽微な建設工事とは、

  1. ・建築一式工事では、
    ①工事1件の請負金額が1,500万円未満の工事
    ②延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
  2. ・建築一式工事以外の建設工事では、
    ①工事1件の請負金額が500万円未満の工事

をいい、軽微な建設工事のみを請け負う業者は、建設業許可は不要となります。

このように、建設業許可の要件は、建設業法で厳格に定められていますが、建設業許可の承継では、承継先の業者は、承継後に有するすべての業種について、建設業許可の要件を満たす必要があるのです。

ただし、承継の申請時点で、承継先が建設業許可を受けていなくても、事業譲渡等により承継元の役員や社員が承継先に移ることで建設業許可の要件を満たせれば、承継することは可能です。

また、承継日以降の専任技術者は、原則として、従前の者が引き続き常勤している必要があります。

(例:承継日以降の専任技術者)

  1. ・承継元A 建築工事業・内装工事業
  2. ・承継先B 建築工事業・水道工事業 の場合

承継日以降は、

  1. ・承継先B 建築工事業・内装工事業・水道工事業

となります。

承継日以降の専任技術者は、内装工事業はA、 水道工事業はBの専任技術者が常勤することが必要です。また、建築工事業は、建設業許可番号を継続する業者の専任技術者が常勤することとなります。

3 名義変更の方法と手順

次に、名義変更の方法と手順についてみていきましょう。

 3-1 商号・名称の変更

法人・個人の商号・名称を変更した場合は、変更した日から30日以内に所管行政庁に変更届出書を提出することになっています。この30日以内という制限は、建設業法第11条に定められています。

  1. ①届出書類  変更届出書 正本・副本各1部
  2. ②添付書類  履歴事項全部証明書
    定款(法人の場合)
  3. ③提出期限  変更の事実発生日から30日以内
  4. ④提出先   建設業許可の所管行政庁
  5. ⑤提出方法  持参または郵送

この変更届出書を提出すれば、新商号・新名称の業者が変更前の建設業許可を引き継ぐことができます。

 3-2 建設業許可の承継

建設業許可の承継による名義変更の手順は、次のとおりです。

資料出所:東京都 建設業許可申請変更の手引き

個人の事業承継、法人の事業譲渡・合併・分割により建設業許可を承継するには、承継の事実発生日の一定期間前(所管行政庁により異なる)までに所管行政庁に認可申請書を提出する必要があります。なお、相続の場合は、被相続人の死亡後30日以内に申請書を提出しなければなりません。

  1. ①届出書類 認可申請書 正本・副本各1部
  2. ②添付書類
      
    (譲受人が法人の場合)
    役員等の一覧表、営業所一覧表、専任技術者一覧表、工事経歴書など
    (譲受人が個人の場合)
    営業所一覧表、専任技術者一覧表、工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額など
    添付書類は上記以外にも多くあるため、提出先の行政庁に確認してください。
  3. ③提出期限 承継の事実発生日の一定期間前まで
    ただし、相続の場合は、建設業許可を受けていた被相続人の死亡後30日以内
  4. ④提出先  建設業許可の所管行政庁
  5. ⑤提出方法 持参
    建設業許可の承継申請書類は、ほとんどの行政庁で持参受付となっています(郵送不可)。中には、認可申請書提出前に事前相談のステップを設けているところもあります。事前相談の有無や郵送の可否などについては、事前に提出先の行政庁に確認してください。

認可申請書を提出したら、所管行政庁で審査が行われます。場合によっては、追加の資料を求められる、営業所の実態について実地調査をされるなどのケースもあるため、対応が必要です。なお、認可がされたら、所管行政庁から認可通知書が郵送されます。

なお、都道府県知事許可業者が、国土交通大臣による認可を受けた場合は、その後当該都道府県知事への報告が必要となります。

 3-3 名義変更書類の提出先

商号・名称の変更にかかる変更届、建設業許可の承継認可申請書の提出先(所管行政庁)は、以下により判断します。

  1. ①国土交通大臣に提出するケース
  2. ㋐建設業許可の承継元(被相続人)、承継先(相続人)のうち、1つの都道府県知事以外の許可を受けた建設業者がある
    (例)
    ・承継元(被相続人)が東京都知事、承継先(相続人)が千葉県知事の許可を受けている場合
    ・承継元(被相続人)が東京都知事、承継先(相続人)が国土交通大臣の許可を受けている場合
    または、
    ㋑建設業許可の承継により、承継先(相続人)の建設業を営む営業所が複数の都道府県にまたがる場合
    (例)
    ・承継元(被相続人)は大阪府知事許可を受けていたが、承継後の営業所が大阪府と兵庫県とに所在する場合

上記㋐、㋑のいずれかに該当する場合は、変更届または認可申請書は、主たる営業所の所在地を管轄する国土交通省各地方整備局(または北海道開発局)に提出します。

  1. ②都道府県知事に提出するケース
  2. ㋐建設業許可の承継元(被相続人)が、都道府県知事許可業者であるかつ、
  3. ㋑承継先(相続人)の建設業を営む営業所がすべて㋐と同じ都道府県内にある
    (例)
    ・承継元(被相続人)は愛知県知事許可を受けており、承継後の営業所もすべて愛知県内に収まる場合

上記㋐、㋑の両方の要件を満たす場合には、変更届または認可申請書は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県庁や土木事務所の建設業担当部署に提出します。書類の提出窓口や提出方法(持参・郵送など)は、各都道府県で異なるため、直接問い合わせてください。

ここで、国土交通大臣許可と都道府県知事許可の違いを説明しておきます。

【国土交通大臣許可と都道府県知事許可】

  1. 建設業で、
    ①営業所が複数の都道府県にある場合は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
    ②営業所が1つの都道府県だけにしかない場合は、その営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

国土交通大臣許可と都道府県知事許可の要件は、建設業法第3条に定められています。

  1. 〇建設業法第3条
    建設業を営もうとする者は、…(中略)…2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
    (例)
    ①営業所が、東京都内1か所と神奈川県内1か所の計2か所ある=営業所が複数の都道府県にあるため、国土交通大臣許可
    ②営業所が、大阪府内に5か所ある=営業所が一つの都道府県だけにしかないため、その営業所の所在地を管轄する大阪府知事許可

国土交通大臣許可が必要になるか、都道府県知事許可を受けなければならないかは、その業者の「営業所の所在」=「営業所が複数の都道府県にあるか否か」で決まり、営業所の数は関係ありません。

4 まとめ

建設業許可の名義変更には、商号や名称を変更するケースのほかに、建設業の事業を他者に引き継ぐことにより建設業許可を承継させる方法があります。後者の場合、建設業許可の名義を直接変更するわけではありませんが、建設業の事業を他者に引き継ぐことにより建設業許可を承継させ、結果的に許可の名義を変更できることになります。

従来は、事業を譲渡する事業主が建設業許可を取得していても、事業を引き継ぐ事業主があらためて建設業の許可を取り直す必要がありました。そのため、許可されるまでの間、建設業許可が必要な工事を請け負うことができない空白期間が生じ、事業者の負担となっていました。

しかし、2020年の建設業法改正により、建設業許可の承継ができるようになり、建設業者にとって事業の引継ぎ後に生じていた営業上の不利益が解消されることになったのです。

ただし、建設業許可を承継するには、上で説明した複数の要件を満たさなければならず、また、認可申請書類の提出先行政庁も間違えないようにする必要があります。さらに、申請先の行政庁は、国土交通省や各都道府県にわたっており、申請期限もそれぞれで異なっています

本記事では、建設業許可の承継の方法や手順をご紹介しましたが、事業譲渡などにより建設業許可の承継を検討されている方は、事前に申請先の行政庁に申請期限や提出書類などについて確認することが大切です。

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