板金工事における建設業許可取得の流れとポイント

建設業を営業しようとする場合には、建設業許可が必要です。この建設業許可は、令和3年4月現在29種類あります。この29種類の中の一つが、板金工事業になります。板金工事業の許可があれば、金属建材の工事を行うことができます。
板金工事といえば、かつては家屋のブリキ製雨樋(あまどい)工事を主に取り扱っていました。しかし、家屋の中で利用される建材の変化に応じて、板金工事の内容も変化を続けています。現在は、ガルバリウム鋼板など耐久性に秀でた建材の工事なども手掛けています。
建設業の中ですすむオートメーション化の中で、まだまだ職人による工事技術が必要な工事の種類が板金工事業になります。建設業許可を取得することは簡単ではありません。許可取得に苦労することや、予想より大幅な時間や費用がかかることもあります。
そこで、今回の記事では板金工事業の建設業許可についてと取得の流れやポイントを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1 板金工事業と建設業許可
板金工事とは、金属の薄板などを加工して工作物へ取付や、工作物に金属製などの付属物を取付ける工事を言います。「板金加工取付け工事」や「建築板金工事」などで呼ばれる工事を行います。
具体的には、以下のような工事を行います。
●金属屋根
家屋の屋根部分を金属部分の工事を行います。以前の家屋は瓦屋根が多くありましたが、現在の家屋の大半は金属製となっています。また、板金工事で使用している金属もかつて主流だったトタン屋根から、成型ガルバリウム鋼板やガルバリウム瓦棒へとシフトしています。
陶器瓦やコロニアルの上に金属屋根の葺き替えや重ね葺などのリフォーム工事も多くなっています。
●金属サイディング
金属サイディングとは、新築やリフォームの際に利用される金属製の外壁材を張る工事になります。金属サイディングによる外張り工法は、工事が容易であるため採用の割合が増加しています。
●雨樋(金属製)
かつての板金工事の主流がブリキ製の雨樋工事でした。しかし、現在の雨樋は樹脂製品が使用されるようになり、板金工事の割合が減少しました。
●庇板金
雨樋同様に、かつては庇(ひさし)といえば板金工事の出番でした。しかし、雨樋と同じように工事の手軽さからガラス製などの多様な素材の後付け庇が主流となる傾向が進んでいます。その結果、板金工事の割合にも変化が出ています。
1−1 建設業許可が必要となる板金工事
板金工事は、軽微な建設工事を除いて、建設業許可が必要になります。
●軽微な建設工事
軽微な建設工事とは、以下に該当する小規模な工事を言います。軽微な工事を行う場合には、法律的には建設業許可を必要としません。軽微な建設工事は、建設一式工事かそうでないかで条件が異なります。
建築一式工事の場合 | 以下の2つが軽微な工事に該当します。
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建築一式工事以外の場合 | 工事1件の請負金額が、消費税込みで500万円未満の場合 |
なお、請負金額は契約を2つ以上に分割された請負工事になった場合には、その契約金額の合計額が該当します。また、材料が元請け業者など発注者からの支給がある場合には、その支給された材料費も含んで請負金額を算出します。
軽微な工事以外の板金工事には建設業許可が必要となります。そのため、法人や個人事業主として板金工事を中心に事業を展開していこうとするときには、板金工事の建設業許可を取得することが必須と言えます。
●許可要件
板金工事を含める建設業の許可を取得するためには、建設業法第7条に規定する4つの許可要件を満たすことと同法第8条の「欠格要件」に該当しないことが必要になります。そのため、この許可要件を正しく理解して、その要件を満たすことが必要です。
4つの許可要件とは以下になります。
- ①建設業に係る経営業務について管理を適正に実施できる能力を有する者がいること
- ②専任技術者を設置していること
- ③誠実性
- ④財産的基礎
一つずつの要件についてそれぞれポイントは以下になります。
①建設業に係る経営業務について管理を適正に実施できる能力を有する者がいること
本許可要件は、以下の2つを満たすことが必要です。
- ・経営業務について管理責任者などを設置すること(建設業法施行規則第7条第1号)
- ・適正な社会保険への加入(同法施行規則第7条第2号)
建設業の経営は、持続性が求められています。そのために、適正な経営が期待されます。適正な経営を実施するためには、充分な経営経験が必要とされています。また、建設業施行規則などの一部改正によって、建設業で働く人材確保ならびに人材の維持のために適正な社会保険への加入が要件に加わることとなりました。
経営業務の管理責任者については、以下の要件を満たすことが必要となります。
≪経営業務の管理責任者要件≫
建設業の許可を受けようとする際に法人の場合には常勤役員のうち1人が、個人の場合には本人もしくは支配人のいずれか1人が以下に該当しなければなりません。
- ・建設業で経営業務の管理責任者として5年以上の経験がある者
- ・建設業で経営業務の管理責任者に準ずる地位として5年以上の経験がある者(但し、経営業務を執行する権限について委任を受けた立場の者に限られます)
- ・建設業で経営業務の管理責任者に準ずる地位として経営業務の管理責任者の補佐業務について6年以上の経験がある者
- ・建設業の役員などで2年以上の経験があり、役員もしくは役員に次ぐ地位として5年以上経験がある者(但し、「財務」「労務」の管理もしくは業務運営を担当する者に限られます)に加えて、常勤役員などを直接的に補佐する者*を置く
- ・建設業の役員などで2年以上の経験があり、建設業以外の業種の役員などで5年以上の経験がある者に加えて、常勤役員などを直接的に補佐する者*を置く
*常勤役員などを直接的に補佐する者は、建設業者もしくは建設業を営む者において「財務」「労務」の管理もしくは業務運営を担当することについて5年以上の経験を有していることが必要です。
なお、上記経営業務の管理責任者要件に該当するかについて個別ケースの審査が行われます。詳細を確認したい場合には許可行政庁に問い合わせを行うことができます。
・適正な社会保険への加入(同法施行規則第7条第2号)
加入を求められる保険は、『健康保険』と『厚生年金保険』と『雇用保険』との3つがあります。
健康保険/厚生年金保険 | 適用事業所に該当する全ての営業所は、届出することが必要です。 |
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雇用保険 | 適用事業の事務所に該当する全ての営業所は、届出することが必要です。 |
②専任技術者を設置していること(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)
板金工事を含めて建設工事を行おうとする時には、請負契約の適切な締結と履行を行うことが求められます。事業を行おうとする建設業に係る専門的知識が必須です。この専門知識を有した者を専任技術者と言います。
また、契約に関わる業務(見積作成・入札・契約締結など)は各営業所で実施されます。そのため、営業所毎に必要とされる専門知識を有した者を常勤で設置することが求められます。常勤とは、毎日所定の時間に定められた職務・場所で従事していることを言います。但し、専任技術者にも休日を取得することはできます。一方で、他の営業所や他の業務との兼任することはできません。
専任技術者に求められる専門知識などの要件は、許可を受けようとする建設業が『一般建設業』*か『特定建設業』*であるかによって異なります。また、板金工事の場合には板金工事に係る専門知識・資格が必要です。
*詳細は、『2 板金工事業の建設業許可の流れ≪建設業許可の許可区分≫』にて後述します。
≪一般建設業における板金工事の専任技術者のための要件≫
以下の3つの要件のうちいずれかに該当することが求められます。
(1)以下のいずれかの資格を所持している
- ・1級建築施行管理技士*
- ・2級建築施工管理技士(仕上げ)
- ・以下の3つの技能士**
「工場板金」
「建築板金・板金***・板金工***」
「板金・打出し板金・板金工」 - ・登録建築板金基幹技能士
(2)指定された学科を卒業することに加えて定められた板金工事の実務経験がある
- ・指定学科は以下の2つになります。
建築学
機械工学 - ・指定学科を終了後に必要となる板金工事の実務経験は、最終学歴に応じて3年と5年に分かれます。
卒業後5年以上の実務経験が必要:中等教育ないしは高等教育の卒業の場合
卒業後3年以上の実務経験が必要:大学ないしは高等専門学校の卒業の場合
(3)板金工事業における10年以上の技術上の実務経験がある
板金工事業についての建設工事を実施した実務経験が10年以上ある場合には、資格や学歴がなくても必要とされる知識が充分習得されているとみることができます。
なお、一般建設業の板金工事の許可を取得する場合には、実務経験の内容は問われません。
*1級建築施工管理技士は、特定建設業の専任技術者の要件でもある国家資格となります。
**2級については、加えて3年の実務経験が必要となります。
***板金・板金工共に選択科目は『建築板金作業』となります。
≪特定建設業における板金工事の専任技術者のための要件≫
以下の2つの要件のうちいずれかに該当することが求められます。また、これ以外に国土交通大臣の特別の認定があった場合も特定建設業における板金工事の専任技術者になることができます。
- (1)1級建築施行管理技士の資格を所有する者
- (2)元請工事業者として、4,500万円以上の工事に関して2年以上指導監督的実務経験*がある者であること。それに加えて、一般建設業許可の専任技術者要件の(2)と(3)を満たしている者
*指導監督的実務経験とは、2つの要件を満たした経験を言います。一つ目は、発注者から直接請負いしていて、請負金額が4,500万円以上の工事に限定された許可をうけようとする業種についての建設工事における経験になります。もう一つが、建設工事の設計から施工までの全般について工事現場における現場監督や主任などの資格をもって工事の技術面を総合的に指導監督した経験になります。
③誠実性(建設業法第7条第3号)
請負契約の締結やその契約の履行においては、誠実性が求められます。もし、不正や不誠実な行為をする恐れが明らかな場合には、建設業の許可を取得することができません。
誠実性が必要なのは、許可の対象となる法人と個人事業主は当然として、法人の場合にはその役員についても対象となります。
④財産的基礎など
建設業を営む上では資金が必要です。具体的には営業活動を行うには人件費がかかります。また、建設工事を実施するためには労働者の確保や資材や必要な機器の購入などにまとまった資金が必要です。そのため、建設業を営み建設工事を実施するために十分な財産的基礎があるのかが許可要件となっています。
工事規模が異なる一般建設業と特定建設業では求められる財産的基礎も異なってきます。
≪一般建設業における財産的基礎≫
以下のいずれかに該当することが必要です。
- 自己資本が500万円以上あること
- 資金調達能力が500万円以上あること
- 許可申請を実施した時点から5年間許可を受けて継続的な営業実績があること
≪特定建設業における財産的基礎≫
以下の全てに該当することが必要です。
- 資本金が欠損額の20%より大きいこと
- 資金における流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上あり、自己資本が4,000万円以上であること
1−2 許可取得前の営業について
必要な許可を取得せず建設工事をした場合には、建設業法違反となります。さらに、違反した工事が請負工事*の場合、元請・下請けの両方が罰則の対象となります。罰則と合わせて監督官庁による行政処分を受けることもあります。
罰則は、建設業法違反として起訴され、刑事裁判手続きによって裁判所が違反者に罰則を科します。そのため、違反内容によって、罰則は異なってきます。しかし、無許可で工事を請け負った業者は、以下の罰則になります。
- ・3年以下の懲役
- ・300万円以下の罰金
- ・3日以上の営業停止
無許可で工事を行った事実が発覚した場合には、そこから5年間は建設業許可の承認を受けることができません。また、無許可の業者に工事を依頼した元請業者は、建設業者の不正行為などに対しる監督処分(建設業法第14条第6項)によって、7日以上の営業停止処分が科されます。このため、仕事を発注する元請業者は工事費如何に関わらず建設業許可を取得している業者への依頼をすることが一般的です。
●行政処分
無許可業者に依頼をした工事業者は、行政処分の対象となります。もし、無許可業者に工事を依頼することを繰り返した場合にはより重い行政処分が適用されます。
国土交通省のホームページには、建設業者の不正行為などに関する情報交換コラボレーションシステムがあります。このホームページでは、行政庁による監督処分の情報を検索することができます。監督処分を受けると、処分を受けた建設業者に関する基本情報(商号または名称/代表者氏名/営業所所在地など)と合わせて処分内容が掲載されます。
そのため、一度行政処分を受けると、建設業で再び事業を行うことは簡単ではありません。
具体的な行政処分は、以下の3つに分けられます。
指示処分 | 行政より違反状態を正すことについて指示命令を受けることを言います。 初めての違反事項や、同じ違反であっても軽い違反などがあった際に社内周知や研修実施などを通じて業務改善を指示命令されます。 例) 主任技術者の配置がされていない 過失による軽度な労災事故が発生した |
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営業停止処分 | 以下に該当する場合に、行政より営業行為の停止の命令を受けます。
なお、営業停止日数は、その内容によって停止日数も異なってきます。下記はその一例になります。 ≪主な営業停止事項と日数≫ 工事関係事故:3日以上 |
許可取消処分 | 行政による業務に必要な許可についての取り消し処分を言います。 許可取消が行われる要件は以下の5つになります。
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*欠格要件とは、建設業法第8条、同法第17条(準用)に定められています。破産者で復権を得ていない場合や禁錮以上の刑に処されてその刑の執行の終了ないしはその執行を受けることが無くなった日から5年以上経過していない場合などがあります。詳細は国土交通省ホームページ『許可の要件』で確認することができます。
また、行政処分を受ける前に、監督官庁による行政指導が行われることが一般的です。行政指導とは、指導や助言や勧告や立入検査などがあります。
2 板金工事業の建設業許可の流れ
板金工事業を営もうとする場合には、すでに新たに請け負う工事のめどがついている場合も多くあります。そのような場合に重要になるのは、いつ必要な建設業許可を取得できるかです。
工事には、納期があります。納期を守るためには着工予定通りに工事を開始する必要があります。工事を開始するためには建設業許可が必要となるため、請け負う工事のめどが立っている場合には逆算して建設業許可を受ける期限が必然的に設定されてきます。
建設業許可の流れと大まかな取得までに必要な項目や書類や日数を把握することで、申請のやり直しや滞留を防ぐことができます。また、かかる日数を逆算して申請する計画を立てることもできます。
●建設業許可申請から取得までにかかる期間
建設業の申請は、申請書類を適切に記入・提出できれば1ヶ月から3ヶ月程度で許可を受けることができます。しかし、必要な申請書類が揃わない場合や申請書類の内容に問題がある場合にはさらに時間が必要となります。
建設業の許可申請自体は、その内容と必要書類の量は他の許可申請と比較しても非常に量が多く複雑になっています。そのため、適切かつ短期間に許可を取得するためには事前の準備が必要になります。
また、建設業許可の取得までの期間は、その許可区分によって異なります。建設業の許可区分は2つあります。
≪建設業許可の許可区分≫
営業所の所在地による分類 | 知事免許:1つの都道府県でのみ営業を実施する場合 大臣免許:複数の都道府県に営業所を設置して営業を実施する場合* |
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下請契約の発注規模による分類 | 一般建設業の許可:発注者から直接請負う工事1件について、4,000万円(建築一式工事の場合には6,000万円)以上となる下請契約を締結しない場合 特定建設業の許可:上記の契約を締結する場合 |
*大臣免許は、本店所在地の地方整備局などの許可が必要です。
知事免許か大臣免許かによって、取得にかかる期間は異なっています。大臣許可には、各都道府県の整備局と地方整備局の2つの行政機関による許可承認プロセスになるためより時間が必要です。
具体的には、許可を受けようとする建設業の本店住所を管轄する各都道府県の県庁所在地の土木工事務所から整備局へ移転するまでの期間が約30日となっています。そこから、整備局での審査業務に約90日となっています*。
*詳細は国土交通省『国土交通大臣に係る建設業許可および建設業者としての地位の承継の認可の基準および標準処理期間について』で確認できます。
2−1 許可取得申請前の準備
建設業の申請は、専門家に依頼することもご自身で実施することも可能です。ご自身で実施することもできますが、申請手引きを読み解くことや都市整備局の窓口問い合わせなどへ事前相談をすることもできます。
●事前相談
事前相談をすることで、申請全体像や準備すべきものなどを理解することができます。なお、新規の申請の場合には事前相談を必須としている都道府県もあります。事前相談を実施せずに不備なく書類を申請することは新規申請では簡単ではありません。
事前相談時に確認することは、まず全体の流れになります。どの都道府県で申請しても以下の流れは概ね変わりません。
≪許可申請の流れ≫
- ・事前相談
- ・建設業許可申請書ならびに必要書類の準備
- ・同書類の提出
- ・監督行政庁の申請内容の審査ならびに許可決定
- ・通知書の受取
さらに、事前相談の前段階でホームページなどから申請書をダウンロードして作成の下書きと必要書類を用意しておくと相談がより的確になります。必要書類の中には、商業登記簿謄本のように発行から3ヶ月を過ぎると有効性を失う書類もあるので注意が必要です。
●行政書士など専門家への依頼の検討
窓口で事前相談を自身で実施して、そこから行政書士など専門家へ申請を任せるかを決定することも可能です。事前相談をして自分で申請することで必要な期限までに間に合わないと判断できるなら、専門家に依頼すべきです。但し、専門家に依頼することも時間と手間がかかることも考慮は必要です。
また、行政書士などに申請を依頼しようとすると、その費用は概ね10万円(知事免許)から15万円(大臣免許)になります。あくまで目安の金額ではありますが、相場観は抑えておく必要があります。あまりに相場と比較して上下がある場合には、質に問題が発生することも懸念しなければなりません。期限までに間に合わせるために専門家に依頼したいにもかかわらず、期限に間に合わない事態が発生することもありえます。
自身で申請書の下書きが書けて、具体的な修正点をアドバイスしてもらえるレベルであれば専門家への依頼は必要ないと判断することもできます。実際には、申請以外にも複数の処理すべきタスクに振り回される時期であるため、専門家に相談をして期限までに間に合わせることができると判断できるのであれば外部の専門家に依頼することは適切な判断とも言えます。
●申請書の作成
許可を受ける状況によって、必要書類は異なってきます。申請書などの必要書類のフォーマットや必要書類の一覧は、国土交通省ホームページの許可申請の手続きのページで確認できます。この書類一式は、令和3年1月1日から適用されている書類の一覧になります。また、申請書類作成ができる一般財団法人建設業情報管理センターのホームページからも作成とダウンロードが可能です。
申請書を作成する際に、申請内容が新規申請なのか、譲渡および譲受ならびに合併や分割なの区分の違いでも必要書類が異なってくるため注意が必要です。
建築業許可申請書に記載する内容は概ね以下になります。
- ①許可を受けようとする建設業(ここで“板金工事”を選択します。)
- ②申請時点において既に許可がある建設業
- ③商号または名称とフリガナ
- ④代表者もしくは個人氏名とフリガナ
- ⑤主たる営業所所在地情報
- ⑥資本金額または出資総額
- ⑦兼業の有無
- ⑧連絡先情報(担当者とその連絡先)
- ⑨許可換え*情報(許可換え区分と旧許可番号など)
*許可換えとは、建設業許可をだす監督行政庁が変更になるための許可申請になります。例えば、営業所がすべて同一の都道府県にあった板金工事の建設業者が他の都道府県に営業所を移動する場合や2つ以上の都道府県に営業所を開設しようとする場合が該当します。この場合には、改めて新たに管轄する行政庁での新規同様の申請が必要になります。
2−2 許可取得申請手続き
事前に申請書類を作成し、必要書類一覧の準備ができたら窓口で提出を行います。提出の際には、事前の予約ができる場合には予約を行うようにします。そのうえで、必要書類が間違いないかなどもう一度確認できる場合には確認します。
●不備や不足書類に留意する
前述のとおりになりますが、必要となるタイミングから逆算して提出などを行う場合が大半です。その際に、計画が狂うのは不備書類や不足書類が発生した場合です。できるだけ確認を依頼して、提出する前に不足・不備を発見できるようにします。
特に、経験が少ないご自身で実施する場合には、事前の確認をよほど丁寧に実施しなければ不足・不備は必ず発生すると思っていただいても間違いではありません。
また、提出に必要な部数を用意することも当たり前の事ではありますが、忘れる事無く確認しておきます。
●審査期間
提出完了後には、監督行政庁の審査期間が始まります。都道府県知事の許可で1ヶ月と大臣の許可で3ヶ月とされるこの期間は、特段申請者がすべきことはありません。しかし、いったん審査が開始されたのちに発生した訂正事項や追加提出書類などが発生した場合には申請者に依頼が来ます。
もし、この依頼が来たら即座に対応します。行政書士などの外部の専門家に依頼している場合には優先順位の調整が必要になります。必ず、具体的な指示と明確な期限を提示して依頼を行います。
●通知書の受取
審査が完了した後には、許可決定の通知が到着します。この許可決定通知を受け取ることで、建設業許可を取得したことになります。なお、通知書はあくまで審査完了結果を知らせることが目的の書類です。そのため、許可を第三者に証明することを目的とする書面にはなりません。
第三者に証明するためには、許可取得証明書を別途取得する必要があります。また、知らせるための書面になるので、一度紛失などしてしまうと再発行の手続きを依頼することができません。通知書自体は重要な書類になるため、受取後には保管することを忘れずに実施します。
3 まとめ
板金工事を業として建設業を実施しようとすると、建設業許可は必須です。
板金工事の建設業許可の取得の最初のポイントは、継続的に安定した経営を行うための“経営業務管理者”と板金工事において必要とされる専門知識を有した“専任技術者”を見つける点になります。
次のポイントは、これらの建設業許可要件を満たす準備をしながらも、建設業許可申請とその必要書類一覧を用意する点です。さらに、板金工事の建設業許可が必要となるタイミングから逆算して申請とその前準備をすることが3つ目のポイントです。
もし、申請に不安がある場合には行政書士などの板金工事の建設業許可申請の経験が豊富な行政書士などの専門家に依頼することも最後のポイントになります。
一つずつのポイントを着実に抑えていくことで、計画的通りに板金工事の建設業を開始することができます。それぞれのポイントを適切に理解し、準備を万全に実施し、予定通り板金工事の建設業許可を取得しましょう。