【2021年版最新】建設業の平均年収は?年齢別・業種別に徹底解説!
私たちの生活インフラを支えるうえで必要不可欠なのが建設業です。建設業界はここ数年好景気が続いています。そんな好景気の建設業で働くとどのくらいの稼ぎになるのか、気になる方も多くいるはずです。今回は、建設業の平均年収を年齢別や業種別で紹介します。また、建設業で年収アップを目指すときにやっておくとよいことやおススメの資格なども紹介します。
1 建設業の平均年収
平均年収は、働く人ならだれもが気にする数値の一つです。国税庁が2020年(令和2年)9月に発表した民間給与実態統計調査によると、日本全体の平均給与は436万円になります。同資料で確認できる2010年の平均給与は406万円になっていて、11年間で7.5%増加しています。これは平均すると、年間約0.7%平均給与は増加していることになります。
また、前年と比較すると▲1.0%となっています。5年前と比較すると5.2%増加しています。後述する平均年収を上げる方法の一つになりますが、気になる正規雇用の平均年収もあわせて確認できます。
≪平均給与≫
2015年(平成26年) | 2019年(平成30年) | 2020年(令和元年) | |
---|---|---|---|
平均年収 | 415万円 | 441万円 | 436万円 |
(内 正規) | 478万円 | 504万円 | 503万円 |
〇業種別の平均年収と建設業の平均年収
前述の民間給与実態統計調査には、業種別の平均年収も掲載されています。それによると、建設業の平均年収は491万円になっています。これは、全業種の平均である436万円より12.6%高い数値です。また、建設業と収入の面で比較されることが多い製造業は513万円となっていて、建設業が▲4.3%となっています。
14業種でみると、『電気・ガス・熱供給・水道業』が最も高い平均年収で824万円です。次いで『金融業・保険業』が平均年収627万円となります。逆に最も低いのは『宿泊業・飲食サービス業』で260万円になります。次いで、『農林水産・鉱業』が297万円となっています。
日本全体の平均を上回っている業種は、建設業を含めて以下の5つの業種だけになるので、建設業の平均年収は日本全体から見た場合には高いと言えます。
- ✓電気、ガス、熱供給、水道業(824万円)
- ✓金融業、保険業(627万円)
- ✓情報通信業(599万円)
- ✓学術研究、専門・技術サービス業、教育・学習支援業(518万円)
- ✓製造業(513万円)
- ✓建設業(491万円)
1-1 建設業全体の平均年収のトレンド
建設業の建設ニーズは、安定かつ長期的な見込みが立っています。一方で、日本全体の少子高齢化と建設業の就業者の高齢化と新たな担い手不足の状況であり、建設業では就業者の確保にむけての取り組みを進めています。
〇建設業の働き手不足の状況
実際に建設業界の人手不足は、求人倍率に表れています。2020年2月以降の有効求人倍率は前年同月を9ヶ月連続で下回っている状況です。しかし、もともと有効求人倍率は6倍前後で新型コロナウイルス感染予防対策によって緊急事態宣言が出ていこうも5.7倍となっています。日本全体の有効求人倍率は令和2年10月時点で1.0倍*であることから考えると、建設業の有効求人倍率は高止まりしています。
また、業種別で見た場合にも建設・土木・測量技術者は他の業種と比較しても求人倍率が抜きんでて高い状況となっています。
*参照|厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年10月分)について」
〇建設業の働き手の年収推移
建設業の年間賃金総支給額*で比較すると、2012年以降建設業の男性労働者は2017年までの5年間で14%前後増加しています。同期間の全産業労働者の増加率4.2%と比較すると、建設業の支給水準が増加していることが分かります**。そして、2017年時点で建設業の男性生産労働者の年間賃金総支給額554万円が全産業男性労働者の総支給額552万円に追いつくことができました。
しかし、建設業男性全労働者の年間賃金総支給額は2017年時点でも445万円となっています。建設業の生産労働者同様に5年で14%以上の賃金は上昇していますが、まだ全産業男性労働者の年間賃金と比較すると約2割低い水準でした。
そのため、建設業の働き手が少なく求人倍率が高い状況に対応するために、固定的な給与や賃金を増加させている動きを取っていることが分かります。また、年齢と経験と資格を取得することで、工事品質やコスト削減に貢献しながら働き手のキャリアと年収などを計画できるようにした登録基幹技能者制度などの対応も進めています。
また、建設業の特徴として発注に繁忙期と閑散期とがあり仕事の忙しさに波が生まれやすい点があります。そのため、労働者の非正規雇用や日給制などを採用する原因となっていました。その結果、賃金が安定しないことに加えて、組織としての技能伝承や蓄積を阻害する一因になっていました。これらに対して、公共工事の施工時期を平準化するなどして建設現場の生産性を向上させることとあわせて労働者の正規雇用の促進を進めています**。
*年間賃金総支給額とは、固定的に支給する現金給与額の1年分と年間賞与などのその他特月給与額をあわせた金額です。
**参考|国土交通省『建設業における賃金等の状況について』
1-2 年齢別の平均賃金
令和元年の年齢別の建設業と製造業など業種別の平均月間賃金(千円)が、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で公表されています。以下は、建設業と製造業の年齢別の平均賃金になります。平均賃金でみると、製造業より建設業の方がどの年齢においても上回っています。
(単位:千円)
建設業 | 製造業 | |
---|---|---|
~19歳 | 188 | 183 |
20~24 | 221 | 203 |
25~29 | 260 | 238 |
30~34 | 301 | 271 |
35~39 | 327 | 307 |
40~44 | 362 | 337 |
45~49 | 402 | 370 |
50~54 | 435 | 406 |
55~59 | 424 | 410 |
60~64 | 347 | 277 |
65~69 | 285 | 244 |
70~ | 253 | 235 |
1-3 職種別の平均年収
同じ業界内でも、職種によって年収は異なってきます。専門性が高く、人材が確保しにくい職種ほど年収が上がっていくことになります。建設業は様々な職種があり、その職種ごとに専門的な技術を必要とする仕事があります。これらの仕事を技術職と言います。
建設業には大きく以下の4つの仕事があります。
- ①建築設計や測量や現場監督などの施工管理を実施する『技術職』
- ②工事現場の作業を中心とする仕事を実施する『建設・採掘職』
- ③販売を実施する『営業職』
- ④上記の職務の事務作業をカバーする『事務職』
今回は上記の中の、技術職と建設採掘職について仕事内容と平均年収を解説します。
①技術職
建設業の技術職の中で、代表的な建築士と測量士・土地家屋調査士と現場監督についてまとめます。
〇建築士
建物を建てる時に必要となるのが、建物の建築を行う基となる設計図であり、この設計図を作るのが建築士です。設計図を適切に作るためには、関連する法律や防災や安全性が確保できる構造など複数の要素を考慮した上で、建物を建てる依頼者の要望に沿った外観や内装や部屋のレイアウトも考える必要が出てきます。
考慮すべき安全性や建築基準法を遵守するために、一定規模以上の建物の建築設計ができる建築士になるには国家試験に合格して免許を取得する必要があり、建築士の資格には以下のように3つに区分されています。
・1級建築士
・2級建築士
・木造建築士
なお、建築士の資格試験については公益財団法人建築技術教育普及センターのホームページで確認できます。
住宅から大規模な建築物までどのような建物も設計することができる1級建築士の平均年収は650万円になります。一方で、戸建て住宅設計を対象として設計ができる2級建築士の平均年収470万円になります。木造建築物のみの専門性が高い設計ができる木造建築士の平均年収は350万円になります。
建築士としては、設計対象に制限がない1級建築士が最もニーズが高く、続いてニーズが高いのが木造建築の設計もできる2級建築士になります。木造建築士は、設計できる範囲が最も狭くなっているため、年収が少なくなっています。
〇測量士と土地家屋調査士
全ての建設工事において必須となる土地の位置や高さや長さや面積などを計り、図面作成をすることが測量士の仕事になります。測量士は、建設現場などでの測量計画策定と実際の計測作業を行うことが主な仕事になります。また、土木の測量や地図作成のための地図測量や土地の面積などを測る地積測量などの業務もあります。
測量機器やその方法は専門性が上がり複雑化する業務となってきたこともあり、最先端の技術を活用できる機械を操作できる専門性も求められています。
測量業務は誰が実施しても良いわけではなく、測量士が実施することが義務づけられています。そのため、測量法に基づいて測量士または測量士補を営業所ごとに設置することが義務になっています。また、測量士・測量士補は国家資格になります。測量士になるには、国家試験に合格するか測量に関する科目を納めたうえで実務経験を経ることで取得することができます*。
測量士補は国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で1年以上必要な専門知識と技能を修得して、測量の実務経験を2年以上あればなることができます。しかし、測量士補は測量業務を実施することはできますが、測量計画を自身で作成することができません。
測量士の平均年収は450万円前後になります。そのため、日本全体の平均や建設業界の中でも平均より少し下回る平均年収となっています。また、測量士補の平均年収は測量士のさらに下回る状況です。
*測量士に関わる試験や資格については、公益社団法人日本測量協会のホームページで確認ができます。
測量士と同類の国家資格でありながら、平均年収が500万~600万円のレンジと少し高くなるのが土地家屋調査士です。土地家屋調査士は、不動産表示の登記に必要な土地と家屋に関する調査と測量を実施する専門家になります。そのため、土地家屋調査士の役目は、不動産の物理的状況を適切に登記記録に反映するための調査と測量を行うことになります。
土地家屋調査士が重宝されるのは、不動産登記についてその申請手続きを所有者に代理で実施することができる点です。土地家屋調査士の使命は、不動産状況を正確に登記記録に反映させることであり、不動産取引の安全確保や国民の財産を明確にする公共性が高いものです。
土地家屋調査士になるには、国家試験である土地家屋調査士試験に合格することが求められます。試験の詳細など土地家屋調査士については日本土地家屋調査士会連合会のホームページで確認できます。
〇現場監督
建設工事において工事全体の品質や安全を確保しながら、予算と納期の計画にそった建設を取りまとめるのが現場監督です。現場監督は施工管理とも言われます。そのため、現場監督は、その建設現場において自ら現場で工事を行うことは原則行わずに、監理と指示を行うことを業務とします。そのため、建設現場のキーマンと言えます。
現場監督は、工事の規模によって1つの現場に複数の現場監督が設置されることも、逆に常駐することもない現場もあります。また、工事規模が大きくなると主任技術者や管理技術者の配置が義務付けられています。現場監督のキャリアを積んでいくことでこの主任技術者や管理技術者になることができます。
現場監督の平均年収は約460万円になります。現場監督の年収は、担当する工事規模によって異なってきます。そのため、常に大規模な工事を受注する大手建設会社の現場監督は年収が600万円台後半になり、小規模の建設会社の現場監督の平均年収は約440万円となっています。
一方で、現場監督の経験を積むことや国家試験に合格することでなれる主任技術者の平均年収は490万円になります。さらに管理技術者は平均年収が520万円になります。当然ではありますが、専門性が高くなっているため現場監督より年収が高くなっています。
②建設・採掘職
『建設・採掘職』とは、以下の5つの種類の建設業種からなる建設業種の総称になります。
- ・建設躯体工事職:とび職、鉄筋作業など
- ・建設職:大工、石工・タイル張従事者、左官、畳職、配管など
- ・電気工事職:送電線、気通信設備、配電線など
- ・土木工作業職:土木や鉄道線路工事など
- ・採掘職:採鉱や石切、砂利などの採掘工事など
〇建設躯体工事職
建設躯体工事職は、とび職や鉄筋工や型枠大工などが分類されていて、建物の骨組みを作り上げる役割を工事の中で担っています。建設躯体工事職の平均年収は約430万円となっています。
建設躯体工事職の技術労働者は継続的に不足している状況です。人手不足の解消のために、平均年収は増加傾向にあります。また、求人において運転免許などの一般的な資格は求められるものの建設業に係わる資格を必要とされることは少なく、広く人材確保のための求人が継続的に実施されています。
〇建設職
建設職は、大工に代表されるように実際に建設物を作る役割を担っています。そのため、手先が器用であるに越したことはありませんが、それ以上に肉体を活用する作業が多いため健康であることが重要になります。さらに、未経験でも開始することはできますが、見習い期間が数年必要になります。そのため、まったくの未経験者が建設職に転職する場合には20代から開始することが望まれます。
また、国家資格などが必ずしも必要なわけではありませんが、手掛ける建設物の出来上がりの大きさなどをイメージし、構造や材料や工事のやり方など複数の要素を考慮して柔軟な仕事を行うことが求められます。状況に応じた適切な判断をするためには、経験とセンスが必要となります。そのため、2級建築士やインテリアコーディネーターなどの資格を持った建設職人も増えています。
建設職の平均年収は約345万円となっていて、決して高くありません。具体的には、大工職人の年収についても10代から20代前半で200万円~250万円の平均年収になり、比較的低くなっています。その後、40代後半まで平均年収は増加していき450万円~500万円までになります。その後の年齢では穏やかに平均年収が減少していきます。
建設職の平均年収が低い要因は、出だしの年収が比較的低い上に40代後半に年収のピークを迎えその後下降していくことになる結果、全体の平均年収が下がる要因になっています。
〇電気工事職
パソコンやスマートフォンを通じてインターネットサービスが広く現代の社会に普及し、テレビやエアコンや街頭など電化製品も生活に欠かせないものです。これら全てに電気が必要であるため、電気は必要不可欠な社会インフラとなり、その安定的な電気の供給を支える工事が電気工事です。電気工事を二つに分けると『建設電気工事』と『鉄道電気工事』の二つに分けることができます。
『建設電気工事』は全ての建設物の屋内外の電気設備の設計と施工を行います。具体的には、変電設備などの配線や大型機器の制御回路の取り付けやメンテナンスなど専門的な工事から建物のコンセントや照明機器の取り付けなどの身近な工事も行います。
特に、新しい建設物を作る際には建物内の電気配線設計と施工、配電盤や各種電気設備の取り付けなど1からすべてを実施します。そのため、他の建設作業と協力・調整して施工を行うことが求められます。
『鉄道電気工事』は、日本の鉄道事業を支える仕事になります。電車自体を含め、踏切や信号システムなどは電気で動いているものが多数あります。そのため、電気を供給する発電所や変電所などの電気設備が適切に動くための工事や点検などの保守業務を行うのが鉄道電気工事を専門に行う業者になります。
電気工事士として仕事をするには、資格がないとできない範囲と資格がなくてもできる範囲の仕事のそれぞれがあります。以下は、電圧や最大電力によってその配線工事や電気設備工事を行うことができる代表的な資格になります。
資格 | できること |
---|---|
第二種電気工事士 | 電圧が600ボルト以下の電気工事(一般住宅や小規模の店舗や事務所など)が実施できます。電気工事士になりたてに取得すべき資格です。 |
第一種電気工事士 | 最大電力が500キロワット未満の電気工事(ビルや工場や大型店舗など)が実施できます。第一種電気工事士の資格を取得することで、電力会社などの電気事業用電気設備などを除けばほぼ全ての電気工事を実施することができます。 |
電気工事施工管理技士 | 施工計画ならびに施工図の作成と工程管理など施工管理を実施するための国家資格になります。電気工事における工事計画や施工図などの全体的な管理を行う役割を担います。電気工事施工管理は、1級と2級に資格が分かれています。 |
電気主任技術者 | 電気主任技術者は、配電設備や配線などの保安監督を行える資格になります。電気設備を設けている事業主は、工事や運用などのために電気主任技術者の選任が法令で定められています。電気主任技術者資格も第三種から第一種まで資格があります。 |
電気通信主任技術者 | 事業用電気通信設備の施行と維持と運用の監督者になることができる資格です。事業用の電気通信設備を施工する場合には、総務省令に定められた技術基準を満たす事が求められます。この基準を満たすために監督するのが電気通信主任技術者になり、通信機器やシステムのニーズが広がりを見せている現在はその需要が拡大しています。電気通信主任技術者の資格は、ネットワーク構築のための設備にで『伝送交換主任技術者』と『線路主任技術者』の2つに区分されます。 |
電気通信工事担任者 | 工事担任者はインターネットや光回線や電話回線などの末端設備などを接続するための工事を実施します。いわゆるLAN工事などを実施します。工事には資格が必要で、アナログ(AI種)3種類とDD種(デジタル種)3種類とAI・DD総合種の計7種類の資格があります。 |
電気工事士の平均年収は、400万円~500万円になります。電気工事士の年収は現場の規模やできる業務の内容などによって大きく異なってきます。現場規模が大きく、より専門的な知識や資格が必要な場合には年収も高くなっています。また、経験年数が年収に比例しているため、若いうちに電気工事士になることで安定的かつ継続的に年収を増やしていくことが目指せます。
〇土木工作業職
土木工工事とは、木材や石材や鉄材を使用して行う工事を言います。また、土木工工事に従事する人を土木工作業員と言います。具体的には、工事に必要な資材の運搬や堀削やアスファルトをはがすことやその後の整備などを行います。
土木工作業職の一般的な業務において資格は必要ありません。しかし、監督責任者になるには土木工施工管理技士などの資格を取得することが求められます。土木工施工管理技士は、国家資格になり、1級と2級の2種類の資格があります。取得には継続的な経験による専門的な知識と技術の習得が求められます。
土木工作業職の平均給与は約300万円となっているため、年収は低いと言えます。また給与についてはまだ日給制度が使われている場合もあり、休みがとりにくいもしくは休みを取ると手取りに影響がでる課題がありました。
一方で、土木工作業職はショベルカーや大型・大型特殊車両などの工事現場で活用する車両の免許を取得しておくと年収を上げることが可能です。また、国家資格の土木工施工管理技士資格*を取得することで現場監督者へキャリアアップをすることもでき、それにつれて年収が上げることもできます。また、前述の建設業の就業者不足を解消するため、働き方改革が促進されています。休日の取得や非正規雇用から正規雇用への変更の促進など、『きつい』『汚い』『危険』の3Kからの脱却を進めています。
*土木工施工管理技士資格の検定試験の詳細などは一般財団法人全国建設研修センターのホームページで確認ができます。
〇採掘職
地下や地表にて鉱物を採掘するのが採掘職になります。鉱石や石炭や天然ガスなどの地下資源を採掘する仕事になります。また、ダムやトンネルの安全点検や強化なども行います。特殊な仕事である点と、危険を伴う場合があることから採掘職の平均年収は約650万円~750万円と建設業界の中でも高収入です。
2 年収アップを目指すには
建設業で年収をアップさせるために必要なことを紹介します。建設業に関わらず、需要があって対応できる人材が少ない仕事は給与が高くなることを期待できます。また、近年は建設業もシステムや高性能な機器を活用した機械化が進んでいます。そのため、年収をアップさせるためだけではなく、自分の持っている経験や技術が陳腐化することや機械に代替されないように常にブラッシュアップさせていくことが必要になります。
年収アップを目指すためには、以下の3つの要素を考慮していくことが必要です。
- ①キャリア
- ②資格
- ③会社
以下それぞれについて詳細を解説します。
2-1 キャリア
キャリアとは、どのような立場や役割でどんな現場で働き方をしてきたかを示す歴史と言えます。キャリアは年収を決定する上で、最も重要な要素になります。一般的に、会社は利益を追求します。利益を上げられる社員の高収入化は益々進んでいきます。逆に会社の利益に貢献していないことを示すキャリアの場合には、30代以降では仕事を探すことも難しくなり、結果的に低収入化する要因になりえます。
建設業界でも、同じ職種や同じ資格を持ちながらも収入には幅が生まれます。高収入のキャリアを辿ることができれば、年収アップを目指すことができます。具体的には、役職がつくことで収入は上がります。役職がつくのは、若いうちは期待値もありますが、基本的にはそのキャリア・実績によって判断されます。
また、キャリアを磨くと重要な仕事に携わる機会が増えて、その結果よりキャリアは磨かれていく相乗効果があります。そのため、一つ一つの仕事を丁寧に行い成果に繋げてより良い仕事とその成果を得られるようにキャリアを磨くことは収入アップには欠かせない要素になります。
2-2 資格
資格を取得することは、確実に年収アップにつながる方法と言えます。特に、ニーズが高く取得が難しい資格ほど年収アップにつながりやすくなっています。また、資格手当や試験費用の補助など、資格取得の推奨のために資格取得制度の仕組みを持つ会社もあります。
資格を取得することは、必要な専門知識を習得していることの証明になります。特に建設現場においては、安全面や品質面に直結する正しい知識や技術を持つ人材が必要になります。そのため、建設業には前述のとおり多数の国家資格があります。
これらの国家資格を取得することは直接的にスキルアップと年収アップにつながっていくことが期待できます。年収は最終学歴に左右される面があります。しかし、社会人になってからの継続的な学習によって資格を取得していくことで、最終学歴によって生まれる年収差を埋めることができます。
2-3 会社
会社に勤める場合、どんな会社で働くかは年収に大きく影響します。建設業にはスーパーゼネコンと言われる日本の建設業を代表する誰もが知っている大企業もある一方、個人事業主のような一人親方の事業主もいます。
スーパーゼネコン(売上が年間1兆円以上)に勤める20代の平均年収は500万円弱あります。一方中小ゼネコンでは同じ20代でも約440万円と12%も異なってきます。稼ぐ力は、建設業界においては多くの場合会社の規模に比例しています。
長期的にみると、会社が利益を継続的に上げている会社であれば基本給などベースアップによって年収も上がっていくことが期待できます。一方で、利益が上がらないもしくは増減が激しい会社では継続的に年収が上がっていくことは期待しにくくなります。
会社によって残業代がどの程度稼げるかも異なってきます。建設業は残業代が月間10万円以上発生することも少なくありません。残業を禁止する会社であれば、残業代を稼ぐことはできません。また、最悪なのは実際に残業をしているにもかかわらず違法に残業代を支給しない会社です。
基本給も残業代も基本的にその源泉となるのは、事業による利益です。会社を選ぶ際には、正当な方法で利益を継続的かつ安定的に上げている会社を選ぶことが重要です。
3 まとめ
建設業の平均年収についてまとめました。建設業は今後も老朽化した社会インフラのメンテナンスや防災・減災対策、リニア新幹線の開通に向けた工事など底堅い需要が継続していくことが予想されています。そのため、建設業界自体は今後も安定した収益を維持していくとの見方もあります。
その中で、より多くの年収を得るためには、建設業の中のどんな職種で働くべきかを見極めたうえで、キャリア・資格・会社と言った年収アップの要素をしっかり押さえて、日々の仕事の成果を高めていくことが必要です。