建設業許可証明書に有効期限はある? 更新の方法は?

一定規模以上の建設工事を請け負う場合、受注者が事前に建設業法に基づいて取得するのが「建設業許可」ですが、その許可の内容を証明する書類として、建設業許可証明書があります。
建設業許可証明書は、公共工事の受注や元請業者から仕事を受ける際に、許可の有効性や内容を証明できるものですが、最新の建設業許可証明書の提出を要求される例が多くみられます。
このため、「建設業許可証明書に有効期限があるのか?建設業許可証明書の内容を最新のものに保つには、どのような点に注意すればよいのか?」など疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回の記事では、建設業許可の基本的な知識から建設業許可証明書の有効期限や更新方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1 建設業許可とは
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に、建設業法に基づき国土交通大臣または都道府県知事から受ける許可をいいます。初めに、この建設業許可の基本について整理していきましょう。
1-1 建設業許可とは
一定規模以上の建設工事を請け負う場合、受注者は事前に建設業法に基づく許可を取得しなくてはなりません。この許可を「建設業許可」といいます。
建設業の許可が必要であるにもかかわらず、許可を得ないで工事を請け負ってしまうと、建設業法違反として行政処分の対象になってしまいます。
建設業の許可が必要な業種は、次の29業種です。
区分 | 業種 |
---|---|
一式工事2業種 | 土木一式工事、建築一式工事 |
専門工事27業種 | 大工工事、左官工事、とび・土木工事、石工事、屋根工事、電気工事管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事解体工事 |
(注)一式工事とは、専門工事を複数組み合わせた総合的な工事をいいます。
建設業許可を受ける必要がある業種は上表のとおりですが、上表の業種に該当しても、以下のとおり「軽微な工事」を行う場合は許可が不要となります。
○建設業許可が不要な軽微な工事
①建築一式工事
・工事1件の請負金額が1,500万円未満の工事
・延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
②建築一式工事以外の建設工事
・工事1件の請負金額が500万円未満の工事
(注)金額は、材料費込みの税込金額です。
また、建設業許可には、特定建設業許可と一般建設業許可の2種類の区分があります。
特定建設業許可は、工事の発注者から直接工事を請け負う者が、元請として1件の工事につき下請代金合計額4,000万円以上(建築工事一式の場合は、1件の工事につき下請代金合計額6,000万円以上)で下請に出す場合に受けなければならない許可です。
この場合、請負金額が4,000万円以上でも、元請業者が自社で工事を施工する場合は、特定建設業許可の対象にはなりません。
この特定建設業許可に該当しない建設業を行う場合は、一般建設業の許可を取得することになります(軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いて)。
下請業者として建設工事を請け負う場合は、請負金額がいくらであっても特定建設業許可をとる必要はありません。
また、下請業者が孫請業者に再下請に出す場合でも、請負金額にかかわらず、特定建設業許可は必要ありません。
このように、特定建設業許可と一般建設業許可は、元請業者として下請業者に出す発注金額で区分されます。
さらに、建設業許可には、大臣許可と知事許可という区分もあります。建設業者の事業所・営業所が複数の都道府県にある場合は国土交通大臣の許可が、1つの都道府県のみにある場合は都道府県知事の許可が必要となります。なお、大臣許可、知事許可のどちらも、営業区域や建設工事の施工区域について制限はありません。
建設工事を発注する場合、発注者は、受注者がその建設工事をミスや手抜きなく適切に行うことができる一定の施工能力があることを確認する必要があります。
業者が建設業許可を得るには、経営業務管理責任者や専任技術者を置くこと、財産的基礎または金銭的信用を有していることなどの要件があることから、建設業許可を取得していることが一定の工事施工能力があることの判断材料となります。
このため、建設業許可は、工事発注前に発注者側が受注者の工事施工能力を確認できる重要な判断基準となっているのです。
このように、建設業許可が受注者の工事施工能力の判断材料になっていることから、仮に、建設業許可が不要な500万円未満の軽微な工事の場合でも、元請業者が許可の有無を下請業者選定の判断基準としている例が多くみられます。
軽微な工事であるか否かにかかわらず、業界では、建設業許可の取得が工事請負の実質的な要件になっている現状があるのです。このことから、中小零細工事業者をも含めた業界では、許可が必要な工事を請け負うかどうかは別として、営業を継続する上で建設業許可は必要不可欠の資格であるいえます。
1-2 建設業許可の有効期限は5年間
建設業許可の有効期限は5年間です。
その根拠は、建設業法第3条3項で次のように定められているからです。
○建設業法第3条第3項
第1項の許可(建設業許可)は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う
建設業許可は、許可された日から5年目の許可日に対応する日の前日で有効期間が満了します。この有効期間満了日が、土曜日・日曜日・祝日であっても、満了日が翌日に延ばされることはありません。また、許可の有効期限が切れるまでに更新手続きを行わないと、許可の効力はなくなってしまいます。
1-3 有効期限満了の30日前までに更新申請が必要
建設業許可は、有効期限が満了する30日前までに更新申請を行わないといけません。その根拠は建設業法施行規則第5条で、次のように定められています。
○建設業法施行規則第5条
法第3条第3項の規定により、許可の更新を受けようとする者は、有効期間満了の日前30日までに許可申請書を提出しなければならない。
したがって、建設業許可の有効期間満了後も引き続き建設業を営もうとする場合は、有効期間が満了する日の30日前までに、当初許可を受けたときと同様の手続きで更新申請を行う必要があります。
それでは、うっかりして許可の有効期間満了日の30日前までに更新申請を行うのを忘れていた場合は、どうなるでしょうか。このような場合は、すぐに諦めてしまうのではなく、窓口となる行政庁に相談することが先決です。行政庁によっては、30日を切っていても更新申請を受けてくれるなど柔軟に対応してくれるところもあるため、気がついた時点ですぐに連絡をとるようにしましょう。
また、このように有効期間満了の30日前よりも遅れて更新申請書を提出した場合、許可の有効期間満了日までに更新の手続きが間に合わない可能性があります。そのような場合に、建設業許可の効力が一旦途切れてしまうかというと、これも建設業法に規定があります。
○建設業法第3条第4項
前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(許可の有効期間)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する
すなわち、このようなケースにおいて、許可の有効期間満了日までに更新申請に対する処分が間に合わないときは、前からの許可は、許可の有効期間満了後も更新申請に対する処分がされるまでの間は有効とされています。したがって、このような場合でも、許可の有効期間満了後から更新申請に対する処分がされるまでの間営業や工事を続けて行うことができます。
なお、更新申請の提出はいつからできるかについてですが、その時期は次のようになっています。
①大臣許可
有効期間が満了する日の3か月前から30日前まで
②知事許可
有効期間が満了する日の2か月前から30日前まで
1-4 更新手続きの注意点
建設業許可の更新手続きをスムーズに進めるには、過去5年間(前回の更新からの期間)の事業年度終了変更届や役員変更届などがきちんと提出されていることが必要です。特に、事業年度終了変更届は、事業年度終了後定められた期間内に提出しなければいけません。
これらの届を提出していなければ、建設業許可の更新手続きが円滑に行えないばかりでなく、最悪の場合は更新そのものを行うことができなくなる可能性があります。
2 建設業許可証明書とは
建設業許可証明書は、建設業許可の内容を証明する書類です。ここでは、建設業許可証明書と建設業許可通知書・建設業許可票の違いなどについてみていきましょう。
2-1 建設業許可証明書とは
建設業許可証明書は、発行日時点における建設業許可の内容を証明する書類です。この建設業許可証明書には、以下の項目が記載されています。
- ①主たる営業所の所在地
- ②商号または名称
- ③代表者名
- ④発行年月日
- ⑤許可年月日
- ⑥許可番号
- ⑦許可された建設業の種類
以下は、東京都知事許可の証明書の例です。
建設業許可証明書をみれば、発行日時点での建設業許可の内容がどのようになっているかを判断することができます。そのため、新たな契約を結ぶ際に、あるいは取引を継続するために、取引先から建設業許可証明書の提出を求められるケースが多くみられます。
なお、発行日が新しい建設業許可証明書は、その内容も許可業者の最新の営業実態を反映しているとされていますが、100%最新の内容が記載されているとは断言できません。その理由は、建設業許可証明書の発行申請日と発行日とのタイムラグによるものです。
証明書の発行申請日と発行日に手続き上の時間的なズレがあるため、その間に生じた許可業者の変更事項は反映されないことになります。
このことから、厳密に表現すると、建設業許可証明書は、証明書の発行申請日時点の内容が記載された書類であるといえるでしょう。
2-2 建設業許可証明書は建設業許可通知書・建設業許可票と異なる
建設業許可証明書と似ているものに、建設業許可通知書があります。建設業許可通知書は、建設業許可申請を提出した後に、許可する旨が記載された文書です。すなわち、建設業許可の新規申請・更新申請・業種追加申請を行った場合に発行されるものです。
この建設業許可通知書には、以下の項目が記載されています。
- ①許可年月日
- ②商号・名称
- ③代表者名
- ④許可番号
- ⑤許可の有効期間
- ⑥建設業の種類
以下は、岩手県知事許可の通知書の例です。
建設業許可通知書は、建設業を営もうとする人が建設業法に基づき許可の申請を行い、それに対して国土交通大臣または都道府県知事が許可を与える旨を通知する文書です。建設業許可通知書には、許可日時点の建設業許可の内容が記載されていますが、その後許可の内容に変更があっても再交付されないため、通知書と営業実態とが食い違うことになります。
このため、建設業許可通知書は、あくまでも、建設業の許可を受けた時点における内容について確認ができる文書ということになります。したがって、取引先の最新の建設業許可の内容を知りたい場合は、建設業許可通知書ではなく、建設業許可証明書を提出してもらいます。
建設業許可証明書であれば、現時点における最新の建設業許可の内容が把握できるからです。
また、建設業許可証明書と間違えやすいものに、建設業許可票があります。建設業許可票は、建設業の許可がされていることを確認できる看板です。建設業許可票は、営業所・事業所・建設現場において、誰もが見える場所に掲示することになっています。
建設業許可票は、以下の項目が記載されています。
○店舗設置の建設業許可票
- ①一般建設業または特定建設業の別
- ②許可年月日
- ③許可番号
- ④建設業の種類
- ⑤商号または名称
- ⑥代表者名
建設業許可票は、そのサイズが決められており、店舗設置のものは「縦35センチ以上・横40センチ以上」、建設現場のものは「縦25センチ以上・横35センチ以上」となっています。
建設業許可票は材質や色が規制されておらず、記載事項やサイズを守れば、自分で作っても専門業者に制作してもらってもかまいません。
許可の更新で許可番号が変わった、あるいは記載事項に変更があったなどの際は、建設業許可票を作り直し、常に最新の状況がわかるようにしておく必要があります。なお、建設業許可票を所定の場所に掲示しない場合は罰則の適用もあるため、注意が必要です。
2-3 令和2年度からの建設業許可証明書の運用
建設業許可証明書は、建設業許可の内容を証明する書類です。
建設業法第3条第4項では、建設業許可の更新申請があった場合に、許可の有効期間の満了日までに更新申請に対する処分がされないときは、更新申請に対する処分がされるまでの間、従前の許可が効力を有すると規定されています。
建設業許可証明書の本来の目的は、そのような更新申請に対する処分が間に合わない場合に、許可の有効期間満了後から更新申請に対する処分がされるまでの間、建設業許可の有効性を証明することでした。
しかし、昨今では、建設工事許可証明書が、公共工事の発注時の要請や元請業者からの要求により、許可の有効性や最新の許可内容を証明するために利用される例が多くを占めており、証明書の当初の利用目的と乖離してきた実態があります。
また、国では現在、建設業の許可情報について広く一般から検索できる「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を整備しており、常時建設業の許可情報を確認することが可能になっています。
このため、建設業許可証明書の本来目的および建設業許可情報の提供状況を踏まえ、令和2年度から国土交通省が発行する建設業許可証明書について、その運用方針が以下のように示されました。
- ①令和2年4月以降、国土交通省が発行する建設業許可証明書は、建設業法第3条第4項の効力を有していることを証明する場合に限ること
(上で説明した、更新申請に対する処分が間に合わない場合に、許可の有効期間満了後から更新申請に対する処分がされるまでの間、建設業許可の有効性を証明する場合に限るとの意味) - ②建設業許可証明書の請求は、原則として、1度の更新申請につき1回、発行部数は1枚のみとすること
- ③建設業許可証明書の請求期間は、更新申請の受付日から更新申請に対する処分がされるまでの間とすること
ただし、「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」により確認できない事項がある場合、許可証明書の使用目的が災害による許可証明書の紛失、海外建設工事の受注に必要な場合など特別な事情がある場合は、例外的に扱われるということです。
このように、国土交通大臣許可の建設業許可証明書は、令和2年度から取扱いが変更になっているため、注意が必要です。
3 建設業許可証明書の有効期限
建設業許可証明書には、法的な有効期限はありませんが、実務上の有効期限があります。ここでは、建設業許可証明書の有効期限についてみていきましょう。
3-1 建設業許可証明書に法的な有効期限はない
建設業許可証明書には、証明書の有効期限が記載されていません。なぜなら、建設業許可証明書は、発行日時点における建設業許可の内容を証明する書類だからです。
すなわち、建設業許可証明書を要求する側は、そこに記載された内容が、あくまでも発行日時点でのものであるということを認識した上で閲覧することが前提となっています。閲覧者は、証明書の発行日が数日前であれば、その内容がほぼ最新のものと捉え、逆に、発行日が数か月前であれば、最新の状況が反映されていない可能性があることを認識しているはずなのです。
そのようなことを前提としているため、発行日がいつであっても、建設業許可証明書そのものには有効期限切れという概念がないことになります。いいかえれば、建設業許可証明書に法的な有効期限はないのです。
3-2 建設業許可証明書に実務上の有効期限はある
建設業許可証明書に法的な有効期限はないと説明しましたが、実務上においては、有効期限が問題になってくる場合があります。
取引先からの「過日いただいた建設業許可証明書が古くなったため、発行日が○月○日以降の証明書を提出し直してください」などの要請が代表的な例です。取引先は、取引を継続するために、取引相手の建設業許可の最新の状況を把握する必要があります。そのため、最新の許可内容を証明できる書類の提出を求めてきます。
この場合、期間的にどの程度新しければよいかは、取引先の企業によって異なります。
「発行日が○月○日以降の証明書を提出してください」
「発行日が3か月以内の証明書をお願いします」
など、その期間は取引先によって様々ですが、最新の許可内容がわかる一般的な基準として、発行日が現在から遡って3か月以内とされる例が多くみられます。
建設業許可証明書は、発行日時点における建設業許可の内容を証明する書類であるため、どのように古くても法的に有効期限切れとはなりませんが、古い証明書ではその信憑性が十分ではなく、実務上役に立たなくなってしまいます。
このことから、建設業許可証明書には、その期限は企業によって様々ですが、実務上の有効期限があると解釈してよいでしょう。
4 建設業許可証明書の更新方法
これまでみてきたように、建設業許可証明書には、可能な限り最新の建設業許可の内容が反映されている必要があります。そのためには、どのような点に注意すればよいかについてみていきましょう。
4-1 新たな業種で許可をとると証明書の内容が変わる
建設業許可の対象業種は、29業種もあります。建設業を営む業者であれば、この29業種のうち複数の業種について許可をとるケースも多くあるはずです。複数の業種について許可をとる場合であっても、事業開始時点で複数業種の許可をもらう場合もあれば、事業展開をしながら次第に許可業種の数を増やしていくケースもあるでしょう。
その中で、後者の場合には、時系列的に許可業種が増えていくと、発行日時点ごとに許可業種の内容が変わってきます。したがって、事業を継続しながら新たな業種で許可をとると、それ以降は従前の証明書では最新の内容が証明されないことになります。その場合には、新たな業種を追加するごとに、新しい証明書によってその旨を証明することになります。
また、主たる営業所の所在地が変わる、商号の名称が新しくなるなどの変更もあり得ます。
建設業許可は、このような内容に変更が生じた場合は、速やかに届出ておくことが肝心です。それを届出しないでそのままにしておくと、届出済みの内容と証明申請者の実態とが食い違っているため、建設業許可証明書が円滑に発行されなくなってしまいます。
さらに、ある特定業種について、工事の施工能力があるにもかかわらず許可申請をしていなかったために、当該業種の工事を請け負うことができないこともあり得ます。この場合には、せっかく工事の施工能力があるにもかかわらず、許可をとっていないために建設業許可証明書にも記載されることはありません。
以上のように、必要なときに肝心の証明書が役に立たなければ、円滑な事業の継続に支障が生じてしまいます。
4-2 許可内容に変更が生じたら手続きをしておく
建設業許可証明書の更新方法は、営業実態の変化に応じた許可申請や届出をきちんと行うことによって、届出の内容を常に最新のものに更新しておくことです。
これまでみてきたように、新たな業種の請負を始める場合は、業種追加の申請を行って許可をとっておくことが肝心です。また、許可を取得した後、提出済みの許可申請書および添付書類の記載内容に変更が生じた場合は、定められた期間内に許可を受けた行政庁に変更届を提出しなければなりません。
この変更届の提出は、建設業の許可を受けた事業者に課せられた義務であるため、漏れなく手続きをしておく必要があります。変更届は、当初の許可申請に比べれば非常に簡単な手続きで済むため、期限内に着実に行っておくことが肝心です。
○変更届が必要な事項
変更が生じた事項 | 提出期限 |
---|---|
事業年度終了変更届 | 決算終了後4か月以内 |
商号・名称の変更 | 変更後30日以内 |
営業所の所在地の変更 | 変更後30日以内 |
従たる営業所の新設・廃止 | 変更後30日以内 |
主たる・従たる営業所の業種追加 | 変更後30日以内 |
主たる・従たる営業所の業種廃止 | 変更後30日以内 |
資本金額の変更 | 変更後30日以内 |
役員等の新任・退任・代表者の変更 | 変更後30日以内 |
支配人の変更・廃止 | 変更後30日以内 |
従たる営業所の代表者の新任・変更・退任 | 変更後2週間以内 |
経営業務の管理責任者の変更・追加・改姓・改名 | 変更後2週間以内 |
専任技術者の変更・追加・改姓・改名・削除 | 変更後2週間以内 |
国家資格者等・監理技術者の変更・追加・削除 | 変更後2週間以内 |
健康保険等の加入状況 | 変更後2週間以内 |
使用人数、建設業法施行令第3条の使用人の一覧表 | 変更後2週間以内 |
定款の変更 | 変更後2週間以内 |
廃業 | 変更後2週間以内 |
営業所の電話番号 | 変更後すみやかに |
上表の中で、「事業年度終了変更届」は、毎事業年度提出しなければならない届出です。ほとんどの企業では、事業年度が終了して3か月後には決算が確定するため、決算確定後から1か月の期間内に事業年度終了変更届を提出することになります。
事業年度終了変更届の添付書類は、所管行政庁によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。事業年度終了変更届は、うっかりと提出を忘れてしまう事業所もみられますが、提出しないと建設業法に基づく罰則の対象になってしまう可能性があります。
また、事業年度終了変更届を提出していないと、建設業許可の更新や業種追加の申請を受け付けてもらえなくなってしまうため、注意が必要です。
以上のように、建設業の許可を受けた事業者は、期限内に変更届をきちんと提出しておくことで、許可内容を最新のものに書き換えておくことができます。そうすることによって、必要なときに、営業実態を正確に反映した建設業許可証明書を発行してもらうことができるのです。
5 まとめ
建設業許可証明書は、発行日時点における建設業許可の内容を証明する書類です。したがって、建設業許可証明書を閲覧する人が、そこに記載された内容が発行日時点における情報であることを認識した上で閲覧することが前提となっています。そのため、建設業許可証明書の発行日がいつであるかにかかわらず、証明書自体の法的な有効期限はありませんし、証明書上にも有効期限の記載はありません。
しかし、建設業許可証明書は、企業間の実務において、主に公共工事や元請業者からの仕事を受注する際に、許可の有効性や許可内容を確かめるため頻繁に利用されています。また、その際には、許可の有効性や最新の許可内容を確認する目的で、期限を区切った新しい発行日の証明書を求めることが通例となっています。
それは、建設業許可証明書に有効期限の記載はないものの、発行日が古い証明書は記載内容の信憑性が完全ではなく、実務上の目的に沿うことが難しいという問題があるためです。
このことから、建設業許可証明書に法的な有効期限はないものの、実務上の有効期限があると解釈して差し支えないといえるでしょう。
建設業許可証明書の実質的な活用用途が、上記のように公共工事の発注や元請業者が仕事の発注を行う際の必須確認書類であることから、その内容は常に許可業者の営業実態を反映した最新のものにしておくことが求められます。
また、建設業法においても、許可業者の営業内容に変更が生じた場合は、定められた期限内に変更届を提出することが義務づけられています。
これらのことから、建設業許可証明書の更新は、営業内容に変更が生じた際に許可事業者が期限内にきちんと変更届を提出し、許可内容を最新のものに書き換えておくことで可能になります。