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建設廃棄物って何?どうやって処理する?

建設工事の際には、様々な「建設廃棄物」が排出されます。建設廃棄物は通常の一般廃棄物と異なり、安全・衛生・環境上の観点から、適切に収集・運搬・処分がなされる必要があります。建設廃棄物を排出する上では、「排出事業者に責任がある」という原則があるからこそ、法律等に則った適正な手続きを行っておく必要があります。

そこでこの記事では、建設廃棄物に関する基礎から、処理・必要な許可などに関する基本的なポイントを詳しく解説するので、ぜひご参考ください。

1 そもそも建設廃棄物とは?

そもそも建設廃棄物とは?

まず、建設廃棄物に触れる前に、建設工事で出た、いわゆる「ゴミ」全般である、建設副産物の定義を見てみましょう。

建設廃棄物と建設副産物は、名前が似ているため混同しやすいですが、具体的には“「建設副産物」とは、建設工事に伴い副次的に得られたすべての物品”と定義されています。

1-1 建設副産物とは

建設副産物とは何かについて、具体的に列挙してみましょう。

1. 工事現場外に搬出される建設発生土
2. コンクリート塊
3. アスファルト・コンクリート塊
4. 建設発生木材
5. 建設汚泥
6. 紙くず
7. 金属くず
8. ガラスくず・コンクリートくず(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものを除く。)および陶器くず
9. 上記の物が混合した、建設混合廃棄物

このように、建設によって出てくる、事業系廃棄物などとして普通に処理できる廃棄物全般をまとめて、「建設副産物」と定義しています。

また、出てきたゴミの中にも、建設発生土(土砂および専ら土地造成の目的となる土砂に準ずもの・港湾、 河川等の浚渫に伴って生ずる土砂その他これに類するもの)やスクラップ等他人に有償で売却できる有価物など、ゴミ以外として処理するのが望ましい物質もあります。このような物質は建設廃棄物に定義していません。

1-2 建設廃棄物の具体的な定義

では、建設廃棄物に分類されるのは、どのようなものでしょうか。

建設廃棄物の分類

大まかに分類すると、一般廃棄物として、

  • ●安定型産業廃棄物(コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊)
  • ●管理型産業廃棄物(建設汚泥、建設発生木材)
  • ●特別管理産業廃棄物

の三種類に分類できます。

大まかに言うと、一般的な処理が必要な「安定型産業廃棄物」に加え、処理に注意を要する「管理型産業廃棄物」、特に注意を払う必要がある、「特別管理産業廃棄物」に分類できると言えます。

1-3 建設廃棄物の分類

それでは、各産業廃棄物の具体例を例示します。

安定型産業廃棄物

がれき類 工作物の新築、改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片、その他これに類する不要物、コンクリート破片、アスファルト・コンクリート破片、レンガ破片
廃プラスチック類 廃発泡スチロール等梱包材、廃ビニール、合成ゴムくず、廃タイヤ、廃シート類、廃塩化ビニル管、廃塩化ビニル継手
ゴムくず 天然ゴムくず
金属くず(鉛を含まないもの) 鉄骨鉄筋くず、金属加工くず、足場パイプ、保安塀くず
ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものを除く) ガラスくず、コンクリートくず、タイル衛生陶磁器くず、耐火レンガくず(廃石膏ボードを除く)

上記のように、処理をする上では、適正な収集・運搬・廃棄が要されるけれども、取り扱いのプロセスにおいては、事業者としての一般的な注意義務を持って行えば良いという、比較的安全な物質が多いです。

管理型産業廃棄物

金属くず(鉛を含んだもの) 鉛管、鉛板、廃プリント基盤、鉛蓄電池の電極
木くず 工作物の新築、改築または除去に伴って生ずる木くず例として、型枠、足場材等、内装・建具工事等の残材、伐根・伐採材、木造解体材等
廃油 防水アスファルト(タールピッチ類)、アスファルト乳剤等の使用残さ
ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず 廃石膏ボード
汚泥 水を多く含み、泥状の物を指す。ダンプに積載できず、物質の上を人が歩けない

管理型産業廃棄物に関しては、安定型産業廃棄物よりも、処分に配慮を有する廃棄物が多いです。ただ処分しておしまい、という形でなく、リサイクルや環境に配慮した上で処理がなされる必要があります。

また、平成12年に建設リサイクル法が制定されてからは、コンクリート、鉄筋コンクリート、木材、アスファルトコンクリートに関しては、「特定建設資材廃棄物」と定義され、リサイクルが義務づけられています。

特別管理産業廃棄物

廃油 揮発油類、灯油類、軽油類
廃PCB等および廃PCB汚染物 トランス、コンデンサー、蛍光灯安定器
廃石綿等 飛散性アスベスト廃棄物

上記のリストにあるように、処理をする上で特別な注意を要する廃棄物が、特別管理産業廃棄物として定義されています。

廃油・廃PCBなど有害性が認識されている物質に加え、石綿(アスベスト)のように、長期間経ってから健康被害を及ぼす物質も、特別管理産業廃棄物と定義されています。特に注意を払って処理することが重要な物質です。

このように、産業廃棄物と一口に言っても、危険性・有害性などに応じ、産業廃棄物は三種類に分類されているのです。

1-4 建設廃棄物を適正に処理する責任

建設廃棄物を適正に処理する責任

以前は、建設の廃材を山にそのまま廃棄するなど、今のコンプライアンスの観点から見ると、極めて不適正な処理がなされる事例もありました。現在でも、不法投棄などのニュースが報じられるケースもあります。

しかし、現在そのような処理を行うことは許されません。廃棄を行った業者の処罰に加え、元請け事業者が主体・監督責任者として責任を問われるようになりました。

平成23年4月の廃棄物処理法の改正により、

  • ●元請事業者が廃棄物処理法における排出事業者となる
  • ●元請事業者によるマニフェスト(産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者名、取扱い上の注意事項などを記載した「産業廃棄物管理票」の発行と、マニフェストを添えた流通
  • ●元請事業者と処理業者との委託契約の締結

以上が明確になったことにより、廃棄物の不適正な処理があった場合、「あれは下請けの廃棄業者がやったことで、元請のうちには責任がありません」という言い逃れはできなくなりました。

環境保全の必要性もあり、必然的に廃棄物を「元請が責任を持って処理する」という姿勢が自治体より強く問われています。元請け・下請けとも、廃棄物処理法を遵守し、特に元請事業者は主体となっていく必要性が高まりました

2 建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理

建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理

建設工事等を行う上で、廃棄物の適正な処理が求められる背景には、

廃棄物の適正な処理が求められる背景

  • ●廃棄物の不法投棄の撲滅
  • ●再利用できる廃棄物のリサイクル
  • ●アスベストなど健康被害を及ぼす物質の存在

等が挙げられます。環境省の、建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理についてという処理指針や、東京都の、産業廃棄物適正処理ガイドブック概要版をひもときながら、廃棄物の処理について考えてみましょう。

2-1 なぜ廃棄物の適正処理が必要なのか

産業廃棄物を適正に処理することが大切な理由は、「環境の保全と、人々の健康被害の防止」という点に集約することができるでしょう。

一例として、アスベスト(石綿)被害は、廃棄物問題において重要な事項と言えます。厚生労働省では、アスベストに関するQ&Aとして、アスベスト被害の問題をまとめています。

アスベストは以前、建設において万能な素材として用いられてきました。それ故に、様々なところで使われてきたのですが、繊維が極めて細いという特性があり、「飛び散りやすく、吸い込みやすい」という特性がありました。

更に問題なのは、アスベストを扱った後に長い期間を経てから、生命に関わる病気が発症することです。

具体的に、アスベストがどのような病気を引き起こすのか、整理します。

石綿肺 肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つ。職業上、一般的にアスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こると言われている。潜伏期間は15~20年とされる。アスベストを扱う仕事を辞めた後でも、症状が進行する場合がある
肺がん 肺がんというと、主に喫煙が主要因となるイメージが強いが、アスベストも肺がんの主要な原因となり得る。石綿が肺がんを起こすメカニズムはまだ解明されているわけではないが、肺細胞に取り込まれたアスベスト繊維が極めて細いため、その物理的刺激により肺がんが発生するとも考えられている。アスベストばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間が推定され、吸引から発症までの潜伏期間が非常に長い。アスベストを扱う頻度が多いほど肺がんの発生が多いとされている
悪性中皮腫 潜伏期間が20~50年と、まさに相当な長い期間を経てからの発症になると言われている。肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓および大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍。中高年より、若い時期にアスベストを扱った方が、悪性中皮腫になりやすいとされている

このように、アスベストは、15年~50年と、極めて長い期間を経てから様々な病気を誘発する、サイレント・キラーのような存在と言えます。アスベストに対する防護体制など、相当な注意を持ってアスベストを扱わないといけません。

また、アスベストを処理する場合には、「石綿障害予防規則」に従い、アスベスト処理のプロセスで、除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じる必要があります。

アスベストは開発当初、「理想的な素材」と思われていました、しかし、上記のように長期間が経過してから重篤な健康被害が発生することがわかり、社会問題にもなり、アスベストが原因となる肺気腫などで命を落としたり、体調を崩す人も現れました。

アスベストは特に重篤な問題をはらむ素材でしたが、他の産業廃棄物においても、適正な処理を行わないと、作業従事者・廃棄事業者だけでなく、近隣住民や自然環境そのものに大きな被害を与える可能性があります。そのため、「廃棄物が適正に処理される」という事がとても重要なのです。

2-2 廃棄物の適正処理のプロセス

廃棄物を処理する上では、廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物に分別し、産業廃棄物においては、下記のプロセスを遵守して、処理をしていく必要があります。

産業廃棄物の適正処理ステップ

1 わける 上記の都(道府県の場合は、道府県が発行するガイドブック)産業廃棄物適正処理ガイドブック概要版や産業廃棄物適正処理ガイドブック本体をベースに、産業廃棄物と一般廃棄物を都道府県のガイドラインに従い分別する
2 都道府県の許可を受けた収集運搬業者と処分業者、それぞれに委託する まず、収集運搬業者と処分(中間処理)業者のそれぞれと、必ず書面で収集運搬委託契約・処分委託契約を締結する。基本的には都道府県がモデル契約書案を作成しているので、活用する。それぞれの契約書には、必ず、産業廃棄物収集運搬業・産業廃棄物処分業の許可証の写しも必要。また、許可されている産業廃棄物の種類を確認すること。契約終了後は、契約書を5年間保存する義務がある。また、収集運搬の許可に関しては、例えば東京都で積み込んだ荷物を山形県の処分場で処理する場合、東京都と山梨県の許可証があるかを確認することが必要。(途中に通過する都道府県の許可は不要)なお、法律で定められた処理基準に従った上で、排出事業者が自ら運搬・処分することも認められている
3 マニフェストの交付 産業廃棄物の処理を委託するためには、マニフェストという伝票を、排出事業者の責任で交付する必要がある。
プロセスとしては、
①マニフェスト交付
産業廃棄物の中身や数量等を確認。
必要事項を記入し、廃棄物を引渡すときにB~E票を許可業者に交付(A票を排出事業者の控えとして保存)。
②返送されたマニフェストの確認
収集運搬、中間処理および最終処分が終了すると、それぞれ
B2票、D票、E票が戻ってくる。
A票(控え)と突合し、指定した処理が行われたか等を確認
(電子マニフェスト利用時を除き、管理票交付等状況報告書の提出が義務付けられている)。
③伝票の保管(5年間)
4 最終処分の確認 排出事業者の責任で、
・返送されたマニフェストE票を確認し、最終処分が終了したことを確認
・虚偽記載があった場合、法定期間内に返送されない場合等には、措置内容等報告を行う
ことが必要とされる。
もし委託した業者が不法投棄などをした場合に、排出事業者の確認の懈怠があれば、措置命令といい、廃棄物の撤去費用の負担など、排出事業者に処理責任が発生する

このように、廃棄プロセス全体において、排出事業者が監督責任を負う仕組みとなっているので、最後の処理完了まで、排出事業者がプロセスを都度確認する必要があると言えます。

2-3 廃棄物適正処理の罰則など

廃棄物適正処理の罰則など

廃棄物の適正な処理がなされるよう、無許可業者への委託や廃棄物の不法投棄、その他コンプライアンスに反する事項に関しては、下記のような重い罰則が定められています。

5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科
  • ・無許可業者への委託禁止違反
  • ・無許可営業
  • ・措置命令違反
  • ・廃棄物の不法投棄、不法焼却
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこの併科
  • ・廃棄物の処理・保管基準に係るものの改善命令違反
  • ・委託基準違反
6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 マニフェストに関して、

  • ・不交付、未記載、虚偽記載、交付を受けずに運搬
  • ・5年間の保存義務に違反
  • ・受領時に適正措置を取らなかった場合
30万円以下の罰金
  • ・簿記載、保存違反
  • ・別管理産業廃棄物管理責任者設置義務違反
  • ・報告徴収違反、立入検査許否・妨害

上記のように、最大5年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が課される場合があるなど、不適切な廃棄物の処理に対する罰則は大きいです。特に廃棄物の不法投棄・焼却は重い罪に問われますし、無許可業者への委託は、委託した側・受託した側双方に重い罰則が科される事となってしまいます。

そのため、軽い気持ちで、廃棄物をどこかで焼却すればいい、山に埋めればいいなどと考えていると、極めて重い罰則の対象になる場合があります。廃棄物の処理に関して、規則に則った適正な方法で行うように心がけて下さい。

3 産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可申請・届出

産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可申請・届出

産業廃棄物に関しては、収集運搬や処分に関して、許可申請・届出が必要となります。

都道府県により仕組みが若干異なることも想定されますが、大きな枠組みとしては全国でさほど変わりはないと推定されますので、令和2年6月時点の東京都の手引きをベースに、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可申請・届出に関して流れを押さえていきましょう。

3-1 産業廃棄物収集運搬業許可申請

産業廃棄物収集運搬許可申請に関しては、各都道府県のホームページに手引がありますので、手引を参考にしながら手続きを行いましょう。

なお、東京都の場合は、新規許可申請の手数料が81,000円、更新許可申請の積み替え保管を除くケースが42,000円、積み替え保管を含むケースが73,000円かかります。

費用は申請当時に庁舎内の金融機関で納付するため、必ず現金が必要で、一度手数料を納付すると、不許可・申請取り下げの場合でも返還されないので注意が必要です。

①申請の流れ

全体の申請の流れとしては、下記の通りです。(東京都の場合)

講習会の受講 申請前に、事業者が講習会を受講する必要がある
申請書の作成 申請書を手引きに応じて作成
申請日時の予約 申請日が1~2ヶ月以上先になることがあるため、できるだけ早めに予約する
申請 形式審査後、手数料を納付
審査 一般的には、申請書受理後60日(更新申請に併せて優良認定を申請する場合は80日)かかり、補正がある場合、年末年始を挟む場合は更に時間がかかる。また、審査状況の問い合わせはできない
許可証の交付 窓口もしくは郵送で受け取る

②申請書類について

申請書類は、申請書類等は左側に2穴をあけ、以下「申請書類等の確認リスト」の順番に並べ、綴じひもで綴じるというルールがあります。

用紙を並べる順番まで決まっているという点で、非常に細かいですが、そのようなものだと割り切りましょう。また、法人と個人事業主で提出書類が異なるため、その点は注意が必要です。

番号 申請書類等 法人 個人
1 産業廃棄物収集運搬業許可申請書
2 変更事項確認書・新旧役員等対照表(新規の場合は不要)
3 事業計画概要
4 運搬車両の写真(カラー)
5 運搬容器等の写真(カラー)
6 事業の開始に要する資金の総額およびその資金の調達方法(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表を添付している場合は不要)
7 資産に関する調書
8 誓約書
9 定款の写し
10 法人の登記事項証明書
11 住民票抄本(申請者・役員等)
12 成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等(法務局の主要な局で取得できる)
13 政令使用人に関する証明書(当該使用人がいる場合)
14 申請者の許可証の写し新規許可申請の場合:他に産業廃棄物に係る許可(他道府県市のものを含む。)を有する場合は、当該許可証更新許可申請の場合:更新する許可に係る都道府県許可証
財政能力に関する書類(設立直後の法人で1回目の決算が確定していない場合は、№15~№19までの書類は不要で、それらに代えて、会社法第435条または第617条に規定する貸借対照表(開始貸借対照表)を提出
15 貸借対照表(直近3年分)
16 損益計算書(直近3年分)
17 株主資本等変動計算書(直近3年分)
18 個別注記表(直近3年分)
19 法人税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
20 所得税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
21 経理的基礎を有することの説明書(p.29)および記載者の資格証明書、または返済不要な負債の額およびその負債が返済不要であることが分かる書類(任意書式・該当者のみ)
22 講習会修了証の写し
23 車両を使用する場合は、自動車検査証の写し(使用する全車両)(各種条件があり、詳細は手引きを確認)
24 船舶を使用する場合は、船舶の使用権原を証明する書類(使用する全船舶、各種条件があり、詳細は手引きを確認)
25 委任状

以上のように、必要な書類だけでも膨大な量になります。特に、住民票抄本・成年後見人として登記されていない事の書類は、早めに必要な人全員が取得した方が良いと言えます。

また、産業廃棄物収集運搬許可申請だけでなく、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請、産業廃棄物処分業許可申請、特別管理産業廃棄物処分業許可申請など、産廃処分業・建設業の手続き代行については、行政書士事務所でも受けているので、行政書士に相談・依頼するというのも良いかと思います。

また、産業廃棄物収集運搬許可申請、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請、産業廃棄物処分業許可申請、特別管理産業廃棄物処分業許可申請の4種は、必要書類が重複する部分も多いので、複数を同時に行うことで、1つ1つそれぞれ代行手続きを依頼するよりも、手間・代行料などのコスト削減が計れる可能性があります。

また、自社や自分で申請を行う場合であっても、更新許可申請と変更許可申請、産業廃棄物処分業許可申請と特別管理産業廃棄物処分業許可申請等、複数の申請を同時に行う場合は、共通する書類を省略できる制度、廃棄物の処理および清掃に関する法律施行規則に規定する書類を全て提出して受けた許可証を提出することにより、添付書類を一部省略できる制度もありますので、制度に該当する場合は活用することをお勧めします。

③申請上の注意点

欠格要件 申請者や役員・政令使用人等が欠格要件に該当すると判明したときは不許可となり、許可後に判明した場合は、許可が取り消される。欠格要件としては、主に下記のケースが挙げられます。

  • ・心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
  • ・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(言い換えると、破産手続が終結し、免責許可が出た場合は復権扱いとなり、役員にも再度就任できる)
  • ・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(執行猶予が付与された場合は、その翌日から)
  • ・その他業務に関わる罪状で、5年を経過しない者など、産業廃棄物処理業務に関し問題がある場合や未成年者等

このような場合には、産業廃棄物処理業者として不適格とみなされ、欠格要件に該当し、経営者・役員などのポジションで業務に携わることができなくなる。
なお、現在の個人・役員が万一欠格要件に該当するに至った日から2週間以内に届け出なかった場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることがあるため、注意が必要

財政能力を満たすか 事業を的確にかつ継続して行うことのできる経理的基礎を有することが必要とされる。具体的には、法人税の未納がない、債務超過でないなど。ただし、状況によっては追加書類を添付することで、問題がある点でも、説明が十分になされれば、問題ないとみなされるケースもある

財務面で問題なく経営されている会社であれば、特に心配する必要はないでしょう。

3-2 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請

特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請は、下記のような流れとなります。

①許可申請の流れ

講習会の受講 申請前に修了すること
申請書の作成 後述の申請書類を順番通りに用意
申請日時の予約 1~2ヶ月先になることもあるため、余裕を持って予約
申請 申請書に単純な記載ミスなどの形式審査をしたあと、申請手数料を現金納付
審査 申請書受理後60日(更新申請に併せて優良認定を申請する場合は80日)
許可証交付 郵送か窓口での交付。不許可の場合は不許可決定通知を送付

手数料は、新規許可申請が81,000円、更新許可申請で積み替え保管を除くケースが43,000円、積み替え保管を含むケースが74,000円です。

②申請書類の作成

産業廃棄物許可申請同様、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請書も、左側に2穴をあけ、順番に並べ、綴じひもで綴じる必要があります。

番号 申請書類等 法人 個人
1 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請書
2 変更事項確認書・新旧役員等対照表(新規の場合は不要)
3 事業計画概要
4 運搬車両の写真(カラー)
5 運搬容器等の写真(カラー)
6 事業の開始に要する資金の総額およびその資金の調達方法(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表を添付している場合は不要)
7 資産に関する調書(個人用)
8 誓約書
9 定款の写し
10 法人の登記事項証明書
11 住民票抄本(申請者・役員等)
12 成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
13 政令使用人に関する証明書(当該使用人がいる場合)
14 申請者の許可証の写し新規許可申請の場合:他に産業廃棄物に係る許可(他道府県市のものを含む。)を有する場合は、当該許可証更新許可申請の場合:更新する許可に係る都道府県許可証
財政能力に関する書類(設立直後の法人で1回目の決算が確定していない場合は、№15~№19までの書類は不要で、それらに代えて、会社法第435条または第617条に規定する貸借対照表(開始貸借対照表)を提出
15 貸借対照表(直近3年分)
16 損益計算書(直近3年分)
17 株主資本等変動計算書(直近3年分)
18 個別注記表(直近3年分)
19 法人税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
20 所得税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
21 経理的基礎を有することの説明書(p.29)および記載者の資格証明書、または返済不要な負債の額およびその負債が返済不要であることが分かる書類(任意書式・該当者のみ)
22 講習会修了証の写し
23 車両を使用する場合は、自動車検査証の写し(使用する全車両)(各種条件があり、詳細は手引きを確認)
24 保冷車であることの証明書(感染性産業廃棄物の収集運搬を申請する場合)
25 船舶を使用する場合は、船舶の使用権原を証明する書類(使用する全船舶、各種条件があり、詳細は手引きを確認)
26 委任状

③注意事項

産業廃棄物収集運搬業と基本的には同等です。ただし、飛散および悪臭が発散するおそれのある産業廃棄物については、収集運搬に適した容器または車両を使用して収集運搬を行う必要があり、詳しくは手引きを参考にして下さい。

3-3 産業廃棄物処分業許可申請

産業廃棄物処分業許可申請については、前述の手続きと申請フローが若干異なります。

①産業廃棄物処分業許可申請の流れ

講習会の受講 申請前に受講を完了していること
事前計画書作成 提出予約は1~2ヶ月の期間を見ておく
現地審査 計画書に基づく現地の検査で、施設の構造等を確認
申請書の作成 事前計画と並行して進める
審査日時の予約 1~2ヶ月先になることも
申請手続 形式審査後、現金で申請手数料を納付
審査 申請書受理後60 日(更新申請に併せて優良認定を申請する場合は 80 日)
許可証の交付 郵送か窓口で受け取り。不許可の場合は不許可決定通知書を送付

なお、申請手数料として、新規許可申請が100,000円、更新許可申請が94,000円かかります。

②産業廃棄物処分業許可申請の必要書類

他の手続きと同様、左側に2穴をあけ、順番に並べ、綴じひもで綴じる必要があります。

番号 申請書類 法人 個人
1 産業廃棄物処分業許可申請書
2 変更事項確認書・新旧役員等対照表(新規許可申請の場合は提出不要)
3 誓約書
4 事業の開始に要する資金の総額およびその資金の調達方法の書面もしくは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
5 資産に関する調書(個人用)
6 事業計画の概要
7 定款の写し
8 法人の登記事項証明書(申請日時点で、交付日から6ヶ月以内かつ最新のもの申請者か5%以上の株主または出資者(株主または出資者が法人の場合)が提出
9 申請者の住民票抄本(本籍記載・マイナンバー未記載であること、申請日時点で、交付日から6か月以内かつ最新のもの)
役員等(監査役・相談役・顧問含む)の住民票抄本(以下同文)
5%以上の株主または出資者(株主または出資者が個人の場合)の住民票抄本(以下同文)
政令使用人の住民票抄本(以下同文)
10 申請者が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等(申請日時点で、交付日から6か月以内かつ最新のもの)
役員等が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
5%以上の株主または出資者(株主または出資者が個人の場合)が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
政令使用人が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
11 政令使用人に関する証明書(当該使用人がいる場合)
12 申請者の許可証の写し新規許可申請の場合:他に産業廃棄物にかかる許可(他都道府県・市の物を含む)を有する場合は当該許可証更新許可申請の場合:更新する許可にかかる都道府県の許可証
財政能力に関する以下の書類(設立直後の法人で1回目の決算が確定していない場合は、№13~№17までの書類は不要だが、それらに代えて、会社法第435条または第617条に規定する貸借対照表(開始貸借対照表)を提出する必要あり
13 貸借対照表(直近3年分)
14 損益計算書(直近3年分)
15 株主資本等変動計算書(直近3年分)
16 個別注記表(直近3年分)
17 法人税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
18 所得税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)事業主としての所得がない場合は、「源泉徴収票の写し」(直近3年分)
19 経理的基礎を有することの説明書および記載者の資格証明書、または返済不要な負債の額およびその負債が返済不要であることが分かる書類(任意書式)
20 講習会修了証の写し
21 委任状

以上の通り、かなりボリュームのある手続きです。

3-4 特別管理産業廃棄物処分業許可申請

特別管理産業廃棄物処分業許可申請についても、申請の流れは産業廃棄物処分業と変わりません。

①特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請の流れ

講習会の受講 申請前に受講を完了していること
事前計画書作成 提出予約は1~2ヶ月の期間を見ておく
現地審査 計画書に基づく現地の検査で、施設の構造等を確認
申請書の作成 事前計画と並行して進める
審査日時の予約 1~2ヶ月先になることも
申請手続 形式審査後、現金で申請手数料を納付
審査 申請書受理後60 日(更新申請に併せて優良認定を申請する場合は 80 日)
許可証の交付 郵送か窓口で受け取り。不許可の場合は不許可決定通知書を送付

費用に関しては、新規許可申請が100,000円、更新許可申請は95,000円です。

②特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請の必要書類

番号 申請書類 法人 個人
1 特別管理産業廃棄物処分業許可申請書
2 変更事項確認書・新旧役員等対照表(新規許可申請の場合は提出不要)
3 誓約書
4 事業の開始に要する資金の総額およびその資金の調達方法の書面もしくは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
5 資産に関する調書(個人用)
6 事業計画の概要
7 定款の写し
8 法人の登記事項証明書(申請日時点で、交付日から6ヶ月以内かつ最新のもの申請者か5%以上の株主または出資者(株主または出資者が法人の場合)が提出
9 申請者の住民票抄本(本籍記載・マイナンバー未記載であること、申請日時点で、交付日から6か月以内かつ最新のもの)
役員等(監査役・相談役・顧問含む)の住民票抄本(以下同文)
5%以上の株主または出資者(株主または出資者が個人の場合)の住民票抄本(以下同文)
政令使用人の住民票抄本(以下同文)
10 申請者が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等(申請日時点で、交付日から6か月以内かつ最新のもの)
役員等が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
5%以上の株主または出資者(株主または出資者が個人の場合)が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
政令使用人が成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
11 政令使用人に関する証明書(当該使用人がいる場合)
12 申請者の許可証の写し新規許可申請の場合:他に産業廃棄物にかかる許可(他都道府県・市の物を含む)を有する場合は当該許可証更新許可申請の場合:更新する許可にかかる都道府県の許可証
財政能力に関する以下の書類(設立直後の法人で1回目の決算が確定していない場合は、№13~№17までの書類は不要だが、それらに代えて、会社法第435条または第617条に規定する貸借対照表(開始貸借対照表)を提出する必要あり
13 貸借対照表(直近3年分)
14 損益計算書(直近3年分)
15 株主資本等変動計算書(直近3年分)
16 個別注記表(直近3年分)
17 法人税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
18 所得税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)事業主としての所得がない場合は、「源泉徴収票の写し」(直近3年分)
19 経理的基礎を有することの説明書および記載者の資格証明書、または返済不要な負債の額およびその負債が返済不要であることが分かる書類(任意書式)
20 講習会修了証の写し
21 委任状

以上の通り、多くの書類が産業廃棄物処分業許可申請と重複しています。

ここで、手続きの流れはほとんど変わりないのに、どこが「特別」なのだろう、と思われた方もおられると思います。

実は、以前に述べた「特別管理廃棄物」の処理・運搬を行えるのが、「特別管理産業廃棄物収集運搬業」および「特別管理産業廃棄物処分業」なのです。

特別管理廃棄物には、取り扱う上で、特別管理産業廃棄物管理責任者を配置する必要がありますし、一般の廃棄物の処理・運搬業よりも、一段と厳密な廃棄物の管理が求められます。

3-5 産業廃棄物事業の手続きは、専門家に任せることが理想

産業廃棄物事業の手続きは、専門家に任せることが理想

ここまで紹介した産業廃棄物関連事業の手続きは、量もさることながら、書面の内容も極めて複雑です。

この手続きを自社だけで行おうとすると、時間・労力が相当かかりますし、万一申請が却下・不許可となった場合は、手続き費用が無駄になるばかりか、許可そのものが得られないので、産業廃棄物の処理・運搬等の事業が遂行できなくなってしまいます。

このリスクを考えると、手続き当初から、産業廃棄物関連に強い行政書士に相談し、自社の状況でも、問題なく産業廃棄物にかかる許可申請ができるかを確認し、できれば書類作成も代行してもらうことが望ましいと言えます。

行政書士の間でも、産業廃棄物関連の手続きは難しい手続きの一つという評判があるくらい、手続きに詳しい専門家の間でも、「産業廃棄物の手続き関連は、けして簡単ではない」という認識を持つ人が多いです。

ですので、一般の方が産廃関連の手続きを行うと言うことは、大変というのが率直な所でしょう。また、専門家の側としても、可能性がある案件は受ける一方、厳しい案件、可能性がない案件に関しては、率直にその旨を伝える可能性が高いと言えます。

専門家の側としても、手続きが受理される可能性が少しでもあるものに関しては全力を傾ける一方、どうやっても要件を満たすことができない案件については、率直に「これは無理です」と言わざるを得ませんし、元々無理な案件を請け負って通すことは、職業倫理上、行わないでしょう。

その点を踏まえると、最初の時点から、行政書士に産廃関連の手続きに関し相談し、書類作成・提出代理を依頼する事が望ましいと言えます。

3-6 新型コロナウイルスと産業廃棄物

新型コロナウイルスは、緊急事態宣言が全国的に解除された6月以降においても、社会に様々な影響を及ぼしています。産業廃棄物の処理に関しても、新型コロナウイルス対策を踏まえた、新しい取り組みが求められています。

廃棄物処理業における新型コロナウイルス 対策ガイドラインでは、

  • ・備品のうち、手や口が触れるようなもの(コップ、箸など)は、適切に洗浄消毒するなど特段の対応を図る。
  • ・廃棄物処理事業者が排出者として事務所等から排出する鼻水、唾液などが付いたごみはビニール袋に入れて密閉して縛り、マスクや手袋を着用して排出し、その後、石鹸と流水で手を洗う。
  • ・新型コロナウイルスの一般的な感染経路が飛沫感染および接触感染であって、新型インフルエンザと同様であることを踏まえれば、新型コロナウイルスに係る廃棄物の処理を行う場合でも、新型インフルエンザ対策と同様に通常のインフルエンザに係る廃棄物の処理と同様の方法により処理することが可能

としています。

また、新型コロナウイルスが付着している可能性のある廃棄物の収集運搬の際の対策として、

  • ・他の人と十分な距離をとるとともに、更衣室の窓やドアを開けるなどして可能な範囲でこまめに換気
  • ・複数人が手を触れる可能性がある場所、廃棄物または個人防護具の外面など、ウイルスが付着している可能性のある物に触れた場合は、手袋の表面や手にウイルスが付着している可能性があるため、手洗いや手指消毒をせずに目、鼻および口等の顔の粘膜に触れない
  • ・作業車両(運転席等の車内(ハンドル、シート、シートベルトおよびドアノブ等)を含む)、使用した個人防護具のうち繰り返し使う物および持ち歩いた携帯電話、スマートフォンおよびタブレット等を、0.05%次亜塩素酸ナトリウムや 70%の濃度のアルコールを用いて消毒する。

などの対策を提示しています。

また、新型コロナウイルスが付着している可能性のある廃棄物の処分の際は、

  • ・手袋、ゴーグル(またはフェイスシールドや保護眼鏡)およびマスク等の個人防護具を使用するとともに、長袖・長ズボンの作業着を着用
  • ・ソーシャルディスタンスの確保

を求めています。

加えて、医療器材等感染性廃棄物に関しては、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき適切な対応を求めるなど、より慎重な対応を求めています。

このように、新型コロナウイルスが産業廃棄物に携わる事業者に取って与えている影響は多大と言えます。

4 まとめ

建設廃棄物の基礎から、各種廃棄物の違い、処分プロセス、必要な許可等についてまとめてきました。全体を通して重要なのは、「国・自治体は以前よりも強く産業廃棄物の適正処理と環境保護を重視している」という観点です。

前にも述べたアスベストのように、当時は問題ないと考えられていた物質が大きな後遺障害を招いたり、不法投棄により、周囲の景観の破壊どころか、環境被害が生じるケースもあるため、今まで以上に「適切な建設廃棄物の処分」が求められていると言えます。

加えて、前述のとおり近年のコロナ渦で、廃棄物に対するこれまで以上の慎重な処分が求められています。それだけに、産業廃棄物処理に関する事業の重要さは高まっていると言えるでしょう。

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