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建設業の下請けで欠かせない廃棄物処理に関する許認可とは

建設工事では様々な廃棄物が発生しますが、その収集運搬をどのように行うかで悩む元請業者や下請業者もおられるのではないでしょうか。実際、産業廃棄物の処理を誤り罰則が適用されることも珍しくありません。

今回の記事では建設業の下請業で必要な廃棄物処理の許可とその申請手続きを詳しく解説します。建設工事での産業廃棄物の内容のほか、廃棄物の排出事業者とその下請業者、廃棄物を収集運搬する際の許可と申請手続の内容、申請手続の代行者などをご紹介していきます。

建設工事での産業廃棄物収集運搬業の許可を取得したい方、その許可申請手続の内容を知りたい方などはぜひ参考にしてください。

1 産業廃棄物とは

産業廃棄物とは

まず、産業廃棄物について簡単に説明していきましょう。産業廃棄物がどういうもので、一般廃棄物とどう違うかなどの点を確認していきます。

1-1 廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分かれる

廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分かれる

廃棄物は、事業者などが自社で使用しなくなったものや、他者に対価を得て売り払うことができなくなった固形状または液状のもののことで、産業廃棄物と一般廃棄物に分けられています

産業廃棄物は、建物の建設工事や製造工場での生産に伴って生じるなどの事業活動で発生した廃棄物のことです。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)では産業廃棄物の種類として、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類など20種類を規定しています。

なお、建設工事に伴って生じる廃棄物は「建設廃棄物」と呼ばれますが、工事からの排出物である産業廃棄物と現場事務所からの排出物である一般廃棄物の2つを含みます

建設廃棄物で産業廃棄物に該当するものは以下の通りです。

  • ・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず
  • ・紙くず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)
  • ・木くず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)
  • ・繊維くず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)
  • ・廃プラスチック類
  • ・がれき類
  • ・汚泥
  • ・廃油

そして、一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物のことで、主に「事業系一般廃棄物」と「家庭廃棄物」に分けられます。前者は事業活動に伴って発生する廃棄物で産業廃棄物以外のものが対象す。後者は一般家庭の日々の生活で発生する廃棄物が対象になります。

また、産業廃棄物と一般廃棄物のうち爆発性や毒性、感染性等の人間の健康や生活環境に被害をもたらす可能性のある廃棄物は「特別管理産業廃棄物」と「特別管理一般廃棄物」と規定され、通常の廃棄物以上の厳しい規制が適用されています。

*特別管理産業廃棄物は、廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物(廃PCB等、廃水銀等、廃石綿等 など)、ばいじん などになります。

1-2 産業廃棄物の処分とは?

産業廃棄物の処分とは?

建設工事で発生した産業廃棄物は排出源において排出・収集され、中間処理施設又は最終処分場に輸送され処分されます。なお、収集運搬される前に「分別」「保管」されることも少なくありません。

「中間処理」とは、焼却・破砕・中和等によって、減量化、安定化することを意味します。なお、特別管理産業廃棄物に関しては、無害化、安定化することで特別管理産業廃棄物に該当しないようすることを指します。中間処理施設は、こうした作業を行う場所に該当するわけです。

「最終処分」とは、埋立てることなどで廃棄物を自然界に還元していくことを意味します。最終処分場は、環境保全の観点から汚水の外部流出、地下水汚染、廃棄物の飛散・流出、ガス発生、そ(鼠)族昆虫の発生等を防止しつつ、所要量の廃棄物を安全に埋立処分する施設(それが可能な構造物)になります。

2 産業廃棄物の処理

産業廃棄物の処理

ここでは産業廃棄物の処理に関する基本的な決まりについて説明しましょう。なお、建設工事の元請業者や下請業者については、産業廃棄物の処分を業とするケースがほとんどないため主に収集運搬の扱いについて解説します。

2-1 産業廃棄物の処理の責任について

①排出事業者の責任

産業廃棄物を排出した事業者は、原則的に排出した産業廃棄物を自身の責任において処理することが義務付けられています。ただし、自身で処理できない場合は、産業廃棄物処理業の許可を有する処理業者に処理を委託することが可能です。

なお、建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理については、その工事の元請業者が排出事業者になると定められています。

排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際には廃棄物処理法で定められた「委託基準」に沿って行う必要があります。たとえば、この委託基準では、

  • ・排出事業者は委託先の産業廃棄物処理業者と互いの役割と責任を明確にする
  • 委託契約を締結する
  • ・契約の内容に従って産業廃棄物が適正に運搬、処分されたかの行程を産業廃棄物管理票(マニフェスト)を使用して確認する

などが義務付けられているのです。また、排出事業者は事業場で自身が排出した産業廃棄物が運搬されるまでの間、法定の「保管基準」に従って産業廃棄物の飛散や悪臭の発散がないように措置を講じなければなりません。

②排出事業者のタイプ

排出事業者には以下のようなタイプがあります。

1)通常の形態:発注者と元請業者が1対1

ある建設工事に関して1つの発注者が1つの建設業者(元請業者)に発注する形態です。そして、その元請業者が複数の下請業者へ解体工事、杭工事、設備工事、型枠工事などを依頼し、その1次下請業者がさらに2次下請業者へ各工事を依頼するような形態になります。

この場合の排出事業者は元請業者です。

2)分離発注の形態:発注者と元請業者が1対複数

ある建設工事に関して、1つの発注者が複数の建設業者(元請業者)に工事を分けて発注する形態です。たとえば、X社とY社の2社を元請業者として発注するような形態になります。この場合、X社とY社はともに元請業者となるため排出事業者です。

以上のように発注者から直接建設工事を請負った元請業者が排出事業者となります。

③産業廃棄物処理業者の責任

他者の産業廃棄物の収集・運搬や処分を行う際には、産業廃棄物処理業の許可が必要です。処理を行おう者は、処理を実施する場所等の都道府県知事・政令市長の許可を受けることが義務付けられています。また、産業廃棄物の処理を行う場合は、処理基準に従って処理しなければなりません。

排出事業者から産業廃棄物の処理を委託された場合、産業廃棄物処理業者は排出事業者の交付した産業廃棄物管理票に処理した日付や担当者等を記載して排出事業者に返送すること、処理した実績を正しく帳簿に記録することなどを実施していく義務があります。

2-2 廃棄物処理と建設工事について

廃棄物処理と建設工事について

建設工事と廃棄物処理について簡単に説明しておきましょう。

①建設工事

建設工事とは、土木建築に関する工事で、建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去を含み解体工事も含まれます。建設業法等で許可や登録などが必要となる工事のほか、小規模な維持修繕工事も建設工事の対象となります。

ただし、机の撤去や設備の部品交換など、客観的に工事と考えにくい作業は建設工事とはみなされません。建設業法では以下の作業などは建設工事に該当しないとされています。

測量、設計
施設・設備・危機等の保守や点検、消耗部品の交換
道路、公園・緑地、ビル等の清掃や管理
建築物・工作物の養生や洗浄
除草・草刈り、剪定・伐採
地質調査や埋蔵文化財の発掘・観測・測定を目的とする掘削
船舶や航空機などの動産の築造や設備機器の取付
自家用工作物の工事

以上のような仕事や工事等で発生する廃棄物は建設廃棄物(の産業廃棄物)でには該当しないことになります。

②建設工事における関係者の役割と責務

  1. 1)建設工事における排出事業者は元請業者です。
  2. 2)排出事業者は、産業廃棄物を自身で処理(保管、運搬、処分)する場合は、処理基準に従って行わねばなりません。
  3. 3)排出事業者は、産業廃棄物の処理を他者に委託する場合、処理業者と委託契約を結び、マニフェストを交付する必要があります。
  4. 4)発注者や下請業者などの関係者は、元請業者が処理責任を達成できるように、各々の立場に応じた責務を果さなければなりません。

以上の規則から、建設工事(解体工事などを含む)から発生した産業廃棄物に関して、元請業者が「排出事業者」として処理責任を負います。また、下請業者が産業廃棄物を運搬する場合は収集運搬業の許可を取得し、元請業者と委託契約を締結しなければなりません。

2-3 産業廃棄物の処理の許認可

建設工事で排出される建設廃材などは産業廃棄物に該当するためその処理は、環境衛生上の点から規制がかかり、処理業者は産業廃棄物処分業許可、或は産業廃棄物収集運搬業許可の取得が義務付けられています。

なお、産業廃棄物の処理を業として行うには、管轄する都道府県・政令市の許可を受ける必要があります。

産業廃棄物の処分業の許可は中間処理、埋立処分、海洋投入処分に分けられています。収集運搬業の許可の種類は、一時積卸し保管する「保管積替え」と「運搬のみ(積替え・保管を含まない)」の2つです。

また、収集運搬業の許可の場合、排出場所、処分場所、保管積替え場所が存在する都道府県への申請のほか、特定の市に行うケースもあります。

排出事業者は自身で廃棄物の処理ができるため許可の取得は不要、すなわち発生した廃棄物を自身で運搬する場合は収集運搬業の許可を必要としません。しかし、委託をする際の下請業者や孫請業者は「廃棄物処理業の許可業者」であることが求められます。

そして、下請業者は「排出事業者との処理委託契約」が締結される必要があり、されていない場合は廃棄物の処理を行うことができません。

3 許可なしに産業廃棄物を処理したらどうなる?

許可なしに産業廃棄物を処理したらどうなる?

産業廃棄物の処理や管理について、処理基準や委託基準等に違反した場合、罰則が排出事業者や処理業者に科される恐れが生じます。法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員が廃棄物処理法に違反する場合、刑事処分(罰則)の対象になり得るため注意が必要です。

3-1 廃棄物処理法違反の罰則

廃棄物処理法に違反した場合、以下のような罰則が適用されることになりかねません。

1)5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科(法第25条)の対象

・無許可営業(第1号)
・営業許可の不正取得(第2号)
・事業範囲の無許可変更(第3号) など

2)3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこの併科(法第26条)の対象

・委託基準違反、再委託禁止違反(第1号)
・施設改善命令、使用停止命令違反(第2号) など

3)2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこの併科(法第27条)の対象

・無確認輸出目的の予備(廃棄物の無確認輸出を行う目的で、その予備をしたとき)

4)1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(法第27条の2)の対象

・管理票交付義務違反、記載義務違反、虚偽記載(第1号)
・運搬業者管理票写し送付義務違反、記載義務違反、虚偽記載(第2号)
・管理票回付義務違反(第3号) など

5)1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金(法第28条)の対象

・情報処理センターに係る秘密保持義務違反(第1号)
・土地形質変更命令違反(第2号)

他にも罰金や過料などが科される罰則が定められています。

3-2 廃棄物処理法違反の例と罰則

産業廃棄物処理での具体的な違反内容とそれに対応する罰則の内容を説明しましょう。

①「委託基準違反」に関する違反例

・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に、許可品目に該当しない産業廃棄物を運搬させた(委託)した

・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に委託したが、契約終了日から5年の間委託契約書が保存できていなかった
罰則:上記2件ともに、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科」

・建設工事で生じた産業廃棄物を積込み積卸し場所となっている都道府県又は政令指定都市の許可を得ていない業者に運搬させた
罰則:「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科」

②「事業範囲の無許可変更」に関する違反例

・排出事業者から依頼され、廃棄物収集運搬業の許可の対象となっていない産業廃棄物を運搬した

・保管積替えの許可を得ていなかったが、自社(業者)敷地内で保管積替えを行った
罰則:上記2件とも、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科)」

③「名義貸しの禁止違反」に関する違反例

・産業廃棄物収集運搬業者であるA社が、B社に自己名義で収集運搬を行わせた
罰則:「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科)」

④管理票(マニフェスト)関連に関する違反例

・産業廃棄物を受け取る時にマニフェストの交付を受けなかった(マニフェスト交付義務違反)
罰則:「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」

・産業廃棄物収集運搬の許可を有する業者に、法令で定める規定の内容を記載せずにマニフェストを交付した(マニフェスト記載義務違反)
罰則:「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」

・運搬受託者が、依頼された産業廃棄物の処分受託者へ管理票を回付しなかった(運搬受託者管理票回付義務違反)
罰則:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

4 産業廃棄物処理業許可申請手続の流れとその内容

産業廃棄物処理業許可申請手続の流れとその内容

他者が排出する産業廃棄物の処理を業(収集運搬、中間処分、最終処分)として行う場合、処理を実施する場所等の都道府県知事・政令市長の許可を受けることが義務付けられています。

4-1 産業廃棄物の収集運搬の許可を申請する行政機関とは?

産業廃棄物の収集運搬の許可を申請する役所としては、「積む場所」と「降ろす場所」の2箇所があり各々で許可を得る必要があります。たとえば、積む場所が東京都、おろす場所が千葉県の場合、2都県で産業廃棄物の収集運搬の許可を得なければなりません。

もし上記で積む場所に埼玉県が加われば、同県においても許可を受けなければならず合計3箇所になります。

4-2 産業廃棄物の収集運搬許可申請の流れと内容

産業廃棄物収集運搬許可申請の主な流れを説明しましょう。主に東京都の内容を例として紹介していきますが、手続の細かな内容は各都道府県で異なる点もあるため注意してください。

産業廃棄物の収集運搬許可申請の流れと内容

1)講習会の受講

東京都などでは産業廃棄物処理業の許可申請をする場合、「申請者が産業廃棄物の処理を的確に実施でき得る知識及び技能を有すること」を示す書類として、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が行う「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」の修了証(写し)を提出しなければなりません。

つまり、産業廃棄物処理業の許可申請に当たり、JWセンターの講習会に出席し修了する必要があるのです。そして、その修了証を東京都などの申請先の都道府県へ提出することが要求されています。

なお、新型コロナウイルス感染症の問題から2020年4月、5月のJWセンターの講習会が中止です。そうした状況から許可の申請日に講習会の修了証を提出できない場合は、申請時に誓約書を提出することになっています。ただし、許可証の交付は修了証の提出以降です。

許可申請にあたり講習会を修了する者として、以下の者が該当します。

(1)申請者が法人の場合

代表者又は産業廃棄物の処理に関する業務を行う役員もしくは業を行おうとする区域に所在する事業場の代表者

(2)申請者が個人の場合

当該者又は業を行おうとする区域に所在する事業場の代表者

2)申請書類の作成

産業廃棄物収集運搬業について新規申請する場合、産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引(申請書を含む)を東京都環境局ホームページなどよりダウンロードして申請書を作成します。

産業廃棄物収集運搬業のうち「積替え保管を含む許可」を申請する場合は、本申請書を提出する前に、「事前計画書(収集運搬業積替え保管施設用)」を提出するとともに、申請先の都道府県による現地審査を受けなければなりません。

そのため事前計画書の提出の必要がある場合は事前に「受付場所」(東京都環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課審査担当 等)で相談することになっています。

従って、事前計画書の提出の必要のある産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、事前計画書及び現地審査の合格の後になるのです。なお、「事前計画書」の提出も予約制になります。

*東京都への申請については、八王子市内に積替え保管施設をもつ場合は、八王子市長の許可が必要となっています。

・事前計画書の提出にあたり必要となる書類等

事前計画書の表紙
保管場所一覧
施設の案内図
用途地域を示す図面
施設の周辺図
積替え保管を行う産業廃棄物の一覧表
作業手順説明書
保管場所の図面及び容量計算
保管容器のカタログ等

などになります(都などの事前計画書を参照ください)

・申請方法

東京都においての申請は予約制です(各地域でご確認ください)。事前に申請受付場所に電話をして予約(午前9時から午後5時まで(ただし、正午から午後1時までを除く))の上、予約日時に窓口へ来庁しなければなりません。同時に2件以上の申請を行う場合は、予約時にその旨を伝えましょう。

なお、原則として郵送での受付は行われていません。ただし、新型コロナ問題により当面の間は予約されている方には郵送対応が行われています。予約していない場合は、まず電話での予約が必要です。*これらの点も各地域でご確認ください。

・申請受付時間

平日の午前9時から午前11時まで及び午後1時から午後4時までです(各地域による)。

*受付場所により、上記の時間の一部について受付を行っていない時間がある

・提出部数

東京都では正副で2部必要になります。副本は申請者の控えであり、正本の写しで問題ありません。

・受付場所(東京都の場合)

東京都環境局 資源循環推進部 産業廃棄物対策課 審査担当
〒163-8001 新宿区西新宿 2-8-1 都庁第二本庁舎19階北側
電話03-5388-3587(直通) FAX 03-5388-1381

東京都多摩環境事務所 廃棄物対策課 審査担当
〒190-0022 立川市錦町 4-6-3 東京都立川合同庁舎3階
電話 042-528-2693(直通) FAX 042-522-9511

・申請手数料(令和2年3月1日現在)

新規許可申請:81,000円
更新許可申請:
積替え保管を除く42,000円
積替え保管を含む73,000円

・許可書の交付

許可証は窓口又は郵送で交付されます。申請時に希望の受取方法を伝えておく必要があります。

・申請書類等の内容

申請者が法人か個人かにより必要書類が違うケースもあるため注意が必要です。主な種類としては以下のものになりますが、詳しい内容は「産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引」を参照してください。

産業廃棄物収集運搬業許可申請
事業計画の概要
運搬車両の写真(カラー)
運搬容器等の写真(カラー)
事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表を添付している場合は不要)
資産に関する調書(個人用)
誓約書
定款の写し(法人)
法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
住民票抄本
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表*各直近3カ年分
経理的基礎を有することの説明書及び記載者の資格証明書、又は返済不要な負債の額及びその負債が返済不要であることが分かる書類(任意書式)
納税証明書
講習会修了証の写し

など。

なお、複数の同時申請がある場合、一方の申請書については、共通する一定の書類の添付を省略することが可能です(手引書参照)。書類の添付を省略する場合は、省略した方の申請書に省略書類一覧表を添付する必要があります。

〇「経理的基礎を有することの説明書等の財政能力に関する書類」について

産業廃棄物収集運搬業の許可を受ける際、「事業を的確にかつ継続して行うことのできる経理的基礎を有すること」が申請者に求められています。

上記手引書のP10の「財政能力」にあるチェックフローで申請者の財政能力を確認し、必要な追加書類(以下のア又はイ)を提出しなければなりません(直近の納税額に未納がない、債務超過でないなどの場合は提出不要)。

ア:返済不要な負債の額及びその負債が返済不要であることが分かる書類(任意書式)
借入金及び支払利子の内訳書

イ:中小企業診断士、公認会計士又は税理士により作成された「経理的基礎を有することの説明書」、及びその書類を作成した中小企業診断士、公認会計士又は税理士の方の資格を証明する書類

3)申請日時の予約

申請日は1~2カ月以上先になることもあるため、余裕を持って予約することが重要です。

4)申請

東京都では原則として、来庁して申請書を提出し形式審査を受けた後、申請手数料を納付します。

5)審査

審査の標準処理期間(許可証交付までの期間)は申請書受理後60日(更新申請に併せて優良認定を申請する場合は80日)です。ただし、以下の期間は標準処理期間に含まれないため注意しましょう。

  • ・予約日から申請書が受理されるまでの日数
  • ・申請書受理後、補正に必要な書類等の追加に要する日数
  • ・土日祝日、年末年始(12/29~1/3)

6)許可証の交付もしくは、不許可決定通知書の送付

審査により許可もしくは不許可が決定され、許可証の交付もしくは不許可決定通知書が送付されます。

東京都での許可証の交付方法は、庁舎窓口か郵送での受取の2種類です。基本的に許可がおりた際に都庁からFAXが送信されます。その後、窓口での交付を希望する場合は窓口に取りに行かねばなりません。来庁の際には、FAXの「お知らせ文書」下部にある受領証(記名・申請書に使用した印鑑と同じ印鑑で押印したもの)を持参する必要があります。

郵送での交付を希望する場合、申請時に「レターパック510」を持参しなければなりません。

4-3 産業廃棄物処理業の許可に関する要件と欠格要件

①産業廃棄物処理業の許可に関する要件

廃棄物処理法は、産業廃棄物処理業の許可の付与に関して、以下の要件に適合することを求めています。

「その事業の用に供する施設および申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして、環境省令で定める基準に適合するものであること」

上記「環境省令で定める基準」の内容における収集運搬業に関する点は、以下の通りです。

  • ・「飛散・流出および悪臭の発散するおそれのない設備を有すること」
  • ・「積替施設を有する場合には、飛散・流出および地下に浸透し、ならびに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること」

なお、処分業では「対象とする廃棄物の処分に適する処理施設を有すること」といった基準が定められています。

ほかの要件としては、

などの「申請者の能力にかかる基準」を満足することが要求されているのです。

②欠格要件

廃棄物処理法の第14条第5項第2号イからへにおいて、産業廃棄物処理業の欠格要件が定められています。欠格要件は、産業廃棄物収集運搬業や処理業を行なう者が同事業を適正に実施できるかどうかを判定するための条件等であり、欠格要件に該当する場合は許可の取り消しの対象となるのです。

1)第14条第5項第2号の欠格要件

  1. イ 第7条第5項第4号イからチ*までのいずれかに該当する者
  2. ロ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)
  3. ハ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
  4. ニ 法人でその役員又は政令で定める使用人(※1)のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
  5. ホ 個人で、政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
  6. へ 暴力団員等がその事業活動を支配する者

詳しくは条文を参照ください。

※1 「役員」には、監査役、相談役、顧問も含まれる
*参考:法第7条第5項第4号イロハ

  1. イ 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
  2. ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

なお、上記には記載していないですが、「チ」までが対象となります(条文を参照ください)。

2)欠格要件に該当した場合の影響と処置

既に許可を取得している状態で欠格要件に該当した場合、その許可は取り消されることになります。許可を取得する前の場合は、許可の申請は却下され取得できません。

なお、既に許可を取得している者(個人、法人)や、許可を取得している法人の役員等が欠格要件に該当した場合は、該当したことを届け出る手続をしなければなりません。

つまり、この届出は義務です。もし欠格要件に該当するに至った日から2週間以内に届け出ない場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。

4-4 産業廃棄物収集運搬業の許可取得後の義務

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した後、取得者には以下の義務が課せられます。

1)処理基準の遵守

産業廃棄物処理業者は、産業廃棄物処理基準(法第14条第12項)に従って産業廃棄物の収集運搬をしなければなりません。

たとえば、産業廃棄物の収集又は運搬に当たっては、「産業廃棄物が飛散し、及び流出しないようにする」「収集又は運搬に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講ずる」ことなどが求められています。

また、「産業廃棄物の収集又は運搬のための施設を設置する場合には、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないように必要な措置を講ずること」なども必要です。

ほかには「運搬車(船舶を含む。以下、同じ。)を用いて産業廃棄物の収集又は運搬を行う場合には、環境省令で定めるところにより、次に示す産業廃棄物収集運搬車に係る表示、書面の備付けをすること」なども要求されています。

2)再委託の禁止

「産業廃棄物の処理を再委託する場合の基準(法第14条第16項)」等に従って行わない再委託は、重大な違法行為に該当する恐れがあります。

法第14条第16項の内容:
a あらかじめ事業者に対し、再委託業者及び当該再委託が委託基準に適合していることを明らかにした上で書面(環境省令で定める事項が記載されたものに限る)による事業者の承諾を受けることが必要です。

b 再委託しようとする相手が、他人の産業廃棄物の運搬又は処分を業として行うことができる者であって、委託しようとする産業廃棄物の運搬又は処分がその事業の範囲に含まれる者に委託しなければなりません。

など。

3)帳簿の記載及び保存

処理業者は帳簿を用意して、産業廃棄物の各種類に対して以下の記載事項に従って処理の状況を記載する義務があります。また、帳簿も遵守事項に従って管理しなければなりません。

・産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物処理業者の帳簿の記載事項

収集又は運搬について

  1. (1)収集又は運搬の年月日
  2. (2)交付された管理票ごとの管理票交付者の氏名又は名称、交付年月日及び交付番号
  3. (3)受入先ごとの受入量
  4. (4)運搬方法及び運搬先ごとの運搬量
  5. (5)積替え又は保管を行う場合には、積替え又は保管の場所ごとの搬出量

・遵守事項

  1. (1)事業場ごとに備えること
  2. (2)「収集又は運搬」については、管理票を交付又は回付された日から10日以内に記載すること
  3. (3)「運搬の委託」については産業廃棄物の引渡しまでに記載すること
  4. (4)前2と3以外については、前月中における当該事項について、毎月末までに記載すること
  5. (5)1年ごとに閉鎖すること
  6. (6)閉鎖後5年間事業場ごとに保存すること

4)委託基準の遵守

事業者が産業廃棄物の処理を他者に委託する場合、法に定められた基準を守り運搬について収集運搬業者に委託する必要があります(処分等は処分業者に)。主な委託基準は以下の通りです(法第12条第5項~第7項、法第12条の2第5項~第7項)

  1. (1)処理を委託する相手は処理業の許可を保有する(または規則第8条の2の8及び第8条の3に定める)者である(令第6条の2第1号、第2号)
  2. (2)委託する業者は、委託しようとする産業廃棄物の処理が事業の範囲に含まれる(令第6条の2第1号、第2号)
  3. (3)委託契約は書面で行う(令第6条の2第4号)
  4. (4)特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合、委託する者に対して事前に特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状、荷姿、取り扱い上の注意事項を書面で通知する(令第6条の6第1号、規則第8条の16第1号、第2号)
  5. (5)契約書及び契約書に添付された書類を契約終了日から5年間保存する(令第6条の2第5号、規則第8条の4の3)
  6. (6)収集運搬の委託は収集運搬業の許可を保有する者と、中間処理(再生を含む)または最終処分の委託は処分業の許可を保有する者と、各々2者間で契約する(法第12条第5項)

*以上、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)HPより引用

5)産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の運用

管理票制度は、排出事業者が、収集運搬業者・処分業者に委託した産業廃棄物の処理状況を把握し、不法投棄の防止など、適正な処理を確保するために実施する制度です。

産業廃棄物を委託する場合には「紙マニフェスト」又は「電子マニフェスト」のいずれかを選択し、使用する必要があります。排出事業者、収集運搬業者、処分業者は、各々返却されたマニフェストを5年間保存する義務があります。

詳しくは、各都道府県の「収集運搬業(積替え又は保管を含まない)の許可の手引き」などの説明書を参照してください。

6)欠格要件該当届の提出

客観的にみて明らかに欠格要件(特定欠格要件)に該当したと判断される場合、2週間以内に行政庁に届け出なければなりません。違反した場合は、罰則が適用されるケースもあるため注意しましょう。詳しくは各行政庁にお尋ねください。

特定欠格要件:
法第14条第5項第2号イ(第7条第5項第4号チに係るものを除く)又第14条第5甲第2号ハからホまで(第7条第5項第4号チ又は第14条第5項第2号ロ(暴力団員等)に係るものを除く)の欠格要件になります。

7)廃棄物処理業者等による委託者への通知義務

産業廃棄物処理業者等は、産業廃棄物の処理を適正に行うことが困難となり、又は困難となる恐れがある一定の事由が生じた際、遅滞なくその旨を当該処理の委託者(排出事業者など)全てに対し通知する義務があります。

また、通知は、該当事由が生じた日から10日以内に、当該事由が生じた年月日及び当該事由の内容を明らかにした書面又は電子ファイルを当該委託者に送付することが求められています。当該通知をした場合、当該通知の日から5年間、当該通知の写しを書面又は電子ファイルで保存しなければなりません。

8)更新許可の申請や変更許可の提出

産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可を受けた者は原則として、5年間の経過によって許可の効力がなくなります。そのため以降も事業を継続しようとする場合は、許可の有効年月日までに更新の申請を行わねばなりません。手続は許可の有効年月日の3カ月前から受付可能です。

産業廃棄物処理業の許可内容に変更が生じた場合、それについて届出や変更許可申請が必要になります。詳しくは「変更届・廃止届」の手引書を参照してください。

なお、施設に関する変更届出は、事前に「事前計画書」の提出が必要になるため、受付先などで確認しましょう。

5 産業廃棄物の収集運搬許可申請手続は誰に依頼すればいい?

産業廃棄物の収集運搬許可申請手続は誰に依頼すればいい?

これまで産業廃棄物の収集運搬許可申請手続に関する内容を確認してきましたが、申請内容を把握して必要書類を適切に用意し作成・準備していくのは簡単とは言えないでしょう。

そのためこの申請手続を行政書士などの専門家に代行してもらうケースが多く見られます。ここでは申請手続を代行してもらうことに関する内容を説明します。

5-1 産業廃棄物の収集運搬許可申請手続の代行

産業廃棄物の収集運搬許可申請手続の代行を業として行っているのは主に行政書士や行政書士等が経営する事業者です。申請手続は収集運搬業務を始めようとする者が行うものですが、行政への申請手続でもあるため行政書士が報酬を得て代行するケースが少なくありません。

つまり、申請者は行政書士等に代行の手数料を支払って、申請手続を進めてもらえるわけです。代行の内容としては、許可申請に必要な書類の準備、作成、役所への提出などになります。

申請者にとっては手数料という費用負担が生じますが、自身で行った場合の申請にかかる時間や手間を考えると決して高いコストともいえません。特に許可を得る必要となる時期が決まっている、できるだけ短期間に許可を得らなければならない、などの場合は専門家に任せる方が無難です。

手続の内容や財務情報など各種の提出書類などを正確に把握したり、準備したりするのは容易ではありません。提出書類などは各申請者によって異なり、誤った書類の提出や不備があると審査が遅れることになります。

また、内容が不十分な資料などがあれば詳細な資料が求められさらに時間と費用が必要となるケースも生じてしまうのです。こうした申請にかかわるトラブルを回避するためには代行を依頼することは有効といえるでしょう。

なお、新規の申請時だけでなく、許可内容の変更や更新についてもその届出・申請の代行を行政書士等に依頼できます。

5-2 許可申請を代行してもらう場合のメリット・デメリット

①メリット

  • ・申請者が自分で手続内容を詳しく把握し、必要書類を漏らさず準備して提出するという手間がなくなる
  • ・上記の点にかかる時間が不要となり、経営や業務に専念できる
  • ・誤った申請や書類の不備などの心配がなく迅速な許可証の交付が期待できる
  • ・代行者に新規申請後のフォローもしてもらえば(無料サポートを受けられる場合もある)、変更や更新も適切に実施できるため、許可の取り消しなど無用なトラブルが回避できる
  • ・許可申請手続のほか産業廃棄物収集運搬業に関する様々な情報の提供が期待できる

②デメリット

・代行手数料がかかる:
代行手数料の値段は、地域、各代行者、手続の内容、対応時間 などにより異なりますが、一般的な代行者の受諾額としては10万円~20万円程度です。安いケースでは10万円未満も少なくありません。

5-3 産業廃棄物収集運搬業申請手続の代行を依頼する場合の注意点

申請手続の代行を依頼する場合には以下の点を特に注意しましょう。

①産業廃棄物収集運搬業申請手続を得意とする行政書士に依頼する

申請手続の代行を依頼する場合、その相手は産業廃棄物収集運搬業申請手続の経験が豊富である、専門としている などの行政書士を選ぶべきです。

官庁への各種申請・届出の代行業務は行政書士資格の独占業務であり、行政書士の資格を有する者であれば報酬を得てその代行業務ができます。そして、その代行業務の対象の1つが産業廃棄物収集運搬業申請手続ですが、この申請手続を得意としていない行政書士も存在しているのです。

官庁への各種申請・届出の種類は数多くあるため、行政書士が専門的に対応できるその種類はそれほど多くありません。そのため、産業廃棄物収集運搬業申請手続について詳しくない行政書士に依頼した場合、手数料が高くつき時間も余計にかかる恐れがあります。

②行政書士でない者の手続の代行は注意する

申請等手続を行政書士以外の者に有料もしくは反復して委任する場合などは、行政書士法に抵触する可能性が生じる恐れがあります。罰金などが科されないように注意しましょう。

6 まとめ

建設工事で発生する産業廃棄物の処置は元請業者が排出事業者としてその責任を担いますが、その収集運搬については下請業者に依頼されるケースが多いです。そして、その収集運搬を下請業者が行う場合は都道府県から許可を得なければなりません。

その許可申請手続は事業者が行いますが、手続や必要書類の内容などを理解して準備するのが容易でないため一定の時間や手間がかかります。そのため早めの準備が不可欠となるのです。許可証の交付を急ぐ場合などは産業廃棄物収集運搬の許可申請手続を得意とする行政書士に代行を依頼することも検討してください。

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