建設業における積算とは?どういう仕事内容?
建設業における積算とは、建設業特有の仕事です。建物や外構等は同じような工事でも、工程や材料等で金額が大きく変動します。そこで必要となるのが工事費用を算出する積算という仕事です。今回の記事では、建設業における積算の内容について、わかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1 建設業における積算
建設業の工事には、家の新築や駐車場用の舗装等の身近なものから、ビルや工場等の等のスケールの大きなもの、そして道路やダム等の私たちの暮らしの基盤となる社会のインフラに至るまでのものがあります。
そして、建設業はインフラ面に留まらず、地域の経済や雇用、安心・安全に深い関わりをもつ私たちに欠かすことのできない産業です。
建設業の工事費用は様々であり、小規模工事の場合は数万円前後、大規模工事になると数億円、数十億円を超えることがあります。また多くの業者や人が関わることから、建設業では一定水準以上の工事を行う場合には「建設業許可」という許可を取得することが義務付けられています。工事業者を選定する際、その業者の建設業許可の有無が一つの目安になります。
建設業はその規模や内容によって、法律(建設業法)上29種類に分類されています。29種類には例えば、ビル等を建築する「建築一式工事」、道路等を舗装する「舗装工事業」、冷暖房や給排水を設置する「管工事業」、また発電設備や照明設備を設置する「電気工事業」等があります。
中でも積算という仕事は建設業特有の仕事です。まずは建設業における積算の仕事内容について確認してみましょう。
1-1 積算の仕事内容
積算の仕事内容は、工事費用(原価)を算出することです。設計図や仕様書から、その工事に必要な材料や数量を積み上げていき、最終的に工事費用を算出します。また、材料だけでは工事費用を算出することはできないため、仕様書や工程から必要な人員や設備等を算出する必要があります。工事全体の流れのなかで積算は下記の位置づけとなります。
【工事全体の流れ】
- (1)発注者が工事のイメージを伝える。(見積もり依頼)
- (2)発注者のイメージを元に設計書を作成する。
- (3)設計書をもとに、工事費用を「積算」。
- (4)積算をもとに、諸経費や利益を加えた見積書を作成。発注者に提示。
- (5)見積もり条件があえば、契約。施工へ。
1-2 積算と見積もりの違い
見積もりも工事費用を提示するものですが、積算と見積もりの違いは、積算が工事に絶対発生する費用(原価)を算出するものに対して、見積もりは、積算で算出した工事費用に加え、一般管理費(諸経費)と利益を加算した金額となります。見積もりを作成するには、積算が必ず必要となります。
○見積もり額=積算額+一般管理費(諸経費)と利益
1-3 積算の必要性
積算は工事費用(原価)を算出するものです。積算をしなければ、見積もり額がどんぶり勘定となり、工事原価を下回る金額で工事を請け負う可能性もあります。その場合、工事を請ければ請けるほど、赤字が生まれます。また、工事原価を正確に算出していないため、本来必要な工事価格を遙かに超えた金額で発注者に提示する可能性もあります。その場合、行政機関の入札等の落札は難しいでしょうし、最悪ボッタクリ業者等と思われる可能性もあります。
また、過去に受注した同じ工事であっても、材料費の高騰や工事をする環境、天候等でも積算の元となる単価や数量が変わります。精度が高い積算をだすのであれば、毎回現場の環境や市場等を踏まえた積算をする必要があります。
2 積算の流れ
積算の大まかな流れとしては、材料や労働力がどの程度必要なのかという①数量設定。次に②単価設定。数量と単価を設定してしまえば、最終的に③工事原価の計算及び書類作成といった流れとなります。
【積算の手順】
- ①数量設定
- ②単価設定
- ③数量と単価から工事にかかる費用を算出、書類作成
2-1 数量設定
まずは、工事をする上で必要な労働力と必要な材料を洗い出します。設計図や仕様書等から考える必要があるため、数量設定をする際は設計図や仕様書を読み解く力や知識、経験等がどうしても必要になってきます。数量の基準としては、国土交通省が公表している「公共建築工事標準単価積算基準」等を参考にするのが一般的です。
○歩掛(ぶがかり)とは?
積算をしていると歩掛という単語がでてきます。この歩掛かりとは、作業ごとの難易度や人それぞれの熟練度を調整するもので、作業の手間を表したものです。材料であれば、数量と単価で材料費を計算することができますが、労務費は職種ごとの作業で難易度が違いますし、新人とベテランでは作業スピードも違います。これらのものを調整するのが歩掛です。
○工事費用(原価)を構成する要素
工事費用(原価)を構成する要素は下記の4つとなります。
- (1)材料費
工事で使用する材料や素材のことで、木材やセメント、鉄筋等といったものです。 - (2)労務費
人件費です。現場で工事に携わる従業員の賃金や諸手当の費用です。現場工事に直接的に関わらない事務員や営業などの賃金は、工事原価の労務費の中には含みません。 - (3)経費
光熱水費や、現場の従業員に加入させる保険、警備費用、通信費等といった材料費・労務費・外注費以外の費用となります。 - (4)外注費
自社ではなく、他の業者に委託した際に発生する費用です。他社企業へ職人の応援をお願いした場合等に発生する費用となります。
2-2 単価設定
数量設定が終われば、次は単価設定になります。単価設定の際は、一般財団法人建設物価調査会が出版している「月刊 建設物価」や一般財団法人経済調査会が出版している「月刊 積算資料」を参考にしましょう。
2-3 工事にかかる費用を算出
工事に必要な数量と単価が分かれば、「数量×単価」をそれぞれの項目ごとに算出し、最終的にそれらを合計すれば、工事費用を算出することができます。以上が積算の大まかな流れとなります。積算が終われば、その次は見積書の作成となります。見積額は積算した金額に諸経費や利益を合計した額となります。
2-4 積算ソフトの活用
積算はたくさんの知識と経験が必要になります。また積算をする際には時間もかかります。これらの人材や時間に余裕がない場合は、積算ソフトを活用するのも選択の一つです。積算ソフトは様々な種類がでており、会社にあった積算ソフトを選択しましょう。積算ソフトの正確さは年々良くなっており、費用は多少かかりますが、今後は積算ソフトの方が正確性において人間を越える日もくるでしょう。また、まず積算ソフトで積算し、その後、人間の手でより具体的な条件を加え、積算をするのも一つの手法です。
2-5 積算をするためのポイント
(1)具体的な施工計画を作成する
積算をより正確にするには、少しでも不確定な要素を取り除かなければなりません。施工計画の中に材料や工法だけでなく、安全管理や必要な仮設施設などの明記、廃棄物の処理方法といった詳細な部分まで記載して決めておけば、行き当たりばったりの工事ではなくなるため、突発的に発生する費用を取り除くことができます。具体的な施工計画を作成することで、より正確な積算ができるようになります。
(2)現場の環境を把握する
現場の環境によっても費用は大きく異なります。例えば雨が多い季節の工事や雨が多い地域であれば、工事ができる日は少なく、人員配置などが変わってくるため、費用も変わります。積算には現場の環境を把握することも重要です。
(3)市場価格の調査
材料や労働力の見積もりをする前に、市場価格を調査することが重要です。市場価格は、仕入れる場所や季節等によっても異なるため正確な調査が必要です。工事費用を抑えたい場合は複数の業者から複数見積もりを依頼するなどして、低価格化を実現させましょう。工事費用を抑えることができれば、公共工事の入札に対して落札機会が増加します。
(4)歩掛は状況に応じて変える
歩掛は国土交通省が「公共建築工事標準単価積算基準」「土木工事標準歩掛」を公表しており、これらは細かい条件を設定しているもので参考になるものの、実際の現場で本当に同じ条件になるとは限りません。公表されている歩掛はあくまで参考として、経験や知識等を応用して歩掛を設定すればより現場に即した正確な積算となります。
3 積算の仕事ってどんな人に向いているのか
次に積算の仕事がどんな人に向いているのかを見ていきましょう。
3-1 積算に必要とされるスキル
(1)建設業の全般的な知識がある
積算をするには設計図や仕様書等を読み解く力が必要となります。また、材料の相場の把握や工程や工法等の建設業の全般的な知識も必要となってきます。これらの知識を活用して、必要な労働力と材料等の洗い出しと単価設定をします。このスキルがあるとないとでは、積算の正確性も変わってきますし、積算に要する時間も変わってきます。
(2)意欲がある
建設業界の技術は常に進歩しています。そのため、過去の知識だけでは徐々に取り残されてしまいます。最新技術を常に学んでいれば、設計や仕様書の読み取りが正確になります。また、材料の相場も常に動きがありますので、その点も把握していれば、正確な工事費用を積算できますし、低価格化にも貢献ができます。以上のことから、建設業界の動きを常に学ぶ意欲は積算をする上で重要な要素といえます。
(3)計算力がある
数字で工事費用を説明することが積算の仕事です。金銭のことなので、間違いがあれば大きなトラブルを生みかねない仕事です。積算は常に細かい計算を行うため、数字が得意であることも必要となります。間違いのない計算を積み重ねることで、適切な工事費を算出することができます。
(4)コミュニケーション能力がある
積算はデスクワークだけのイメージがあるかもしれませんが、設計図や仕様書を読み解く上で、書類だけでは分からない部分もでてきます。また、工事は途中で変更することも多々あります。その際は現場の人や請負業者の方など、いろんな人と交渉する等してコミュニケーションをとる必要がでてきます。
3-2 積算の仕事にあったら有利になる資格は?
次に積算の仕事をする上で有利となる資格を紹介します。以下資格は積算をするために必須な資格ではありません。しかし、これらの資格をもつことで積算についてのスキルを証明するものとなりますので、昇進や昇級といったキャリアップにもつながる可能性があります。
○有利になる資格
- ・建築コスト管理士、建築積算士
これらの資格は、公益社団法人日本建築積算協会が認定している民間資格です。かつては、国土交通省が認定していた国家資格でしたが、行政改革の影響で現在は公益社団法人日本建築積算協会が認定しています。
○建築コスト管理士の試験
□受験資格
次のいずれかに該当するもの
- ・建築積算士を取得した後に更新登録を1回以上行った方
- ・建築関連業務を5年以上経験した方
- ・一級建築士に合格し登録した方
□試験時期
毎年度10月下旬頃
□試験内容
筆記試験(学科と短文記述)
○建築積算士の試験
□受験資格
受験年度の4月2日現在、満17歳以上のもの
□試験時期
一次試験は10月頃、二次試験は1月頃
□試験内容
筆記試験(学科と短文記述)
4 建設業の魅力ややりがいとは
建設業には他の業種ではなかなか見られないような魅力ややりがいがあるので、確認していきましょう。
4-1 社会から望まれる仕事である
建設業による道路、トンネル、そしてダムといったインフラ工事は、地域の安心・安全面に寄与し、またその工事を意識していないような人にも恩恵を与え得る地域への影響力が大きい工事です。
それらの工事は地形に影響を及ぼし、また地図をも書き換えてしまいます。これらのような規模の大きく公共性の高い工事は社会に対する貢献度も高いため、そのような工事に携われることが建設業の魅力となります。
さて、現代ではコンピューターやインターネットの登場によって、次々に新しい情報や商品、価値観が現れては消えています。その点、建設業の仕事は決してなくなることのない、いつの時代も社会から求められるものといえます。
また、近年著しい発展を遂げているAIにより、今後は存続が危ぶまれる業種や職種が出てくることが予想されます。
ですが、建設業においては工程の一部がAI化することがあるとしても、AIにより業界そのものの存続が危ぶまれるようなことは、その社会に対する影響力の高さから考えにくいといえます。また、建設業における人力の必要性がなくなることも、職人の技能や人との折衝が重要であることから考えにくいといえます。
まとめると、建設業という「ものづくり」産業の魅力の一つは、社会から望まれ皆の暮らしを豊かにするような建設物を造ることにあります。そして建設業は、今後も永く社会から求められる産業であることを期待できます。
4-2 大きな達成感がある
建設業はスケールの大きな産業です。建設業の中では比較的小規模となる舗装工事や家の改修工事等であっても、複数の人や会社が関わることがあります。
これがビルや工場の新築のような大規模工事の場合だと、設計に始まり、業者の選定を行い、工程の管理や役所や地元との折衝等を行う等の多くの工程を経て、関係者の数は数十人から数百人を超える規模にまで増えることになります。
大規模工事の場合は扱う金額も莫大な額です。時には数百億円を超える工事となる場合もあり、このスケールの大きさは他の業種ではなかなか見かけることはありません。
このようなスケールの大きな工事を、多くの会社と多くの人が同じ目的(工事)に向かって作業を行う訳ですから、完工したときの達成感もひとしおです。
4-3 実績やスキルが身につく
建設業は様々な経験や技能が必要とされる業種です。初めのうちは覚えることや身につけることの多さに面食らうかもしれませんが、経験を積むことで自信も実績も次第に身についてきます。
実績や身につけたスキルは更なる大きな仕事を任せられる礎となります。また、建設業では様々な分野の様々な立場の人に出会う機会があります。それらの人たちの協力を仰ぐための交渉で培うコミュニケーションスキルは、他の業界では得難いものです。
このコミュニケーションスキルや調整能力は、業界内での転職はもちろん、例え異業種に転職となった場合でも大いに役に立つでしょう。
また、スキルや技能が身についた後は独立して会社を設立する道が拓けます。ノウハウや技能、そしてコネクションを培うことで、自分の理想を実現するための会社を興す、これは建設業の大きな魅力です。
4-4 市場規模が大きい
建設工事において億単位のお金が動くことは珍しいことではありません。そのため、業界全体の市場規模も大きいものとなり、国土交通省の「建設総合統計」発表によると、2022年度の建設投資額は66兆9,900億円(政府投資(公共工事)22兆5,300億円、民間投資44兆4,600億円)の見通しです。
日本の基幹産業である自動車業界での国内市場規模は2020年と2021年を合計した額で約57兆円であることを考えると、建設業界の市場規模の大きさが分かります。
また大手建設企業では、実績や技能を積んでいくことで年収1,000万円超えとなることが十分可能です。このことからも建設業の市場規模の大きさが分かるといえるしょう。
5 建設業の課題と現状
社会の根底を支え、そして様々な面で社会に及ぼす影響力の大きい建設業ですが、直面している課題は少なくありません。その課題の一つは労働者(労働力)の減少です。
少子高齢化による生産可能な(就労可能な)人口層の減少は日本社会全体の課題ですが、建設業界においても労働力の需要と供給には大きなギャップが生じています。
また、建設業界では高齢化が顕著であり、国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状(平成28年度版)」によると、建設業の労働者は55歳以上が約34%で、29歳以下となると約11%です。
業界全体の高齢化と、高齢化の結果である業界からの引退者数の増加は今後ますます加速していくことが予想されます。現状でも人手不足であることに加えて、今後の見通しも芳しくないことから、何も手を打たないと事態は深刻化していく一方です。
建設業の抱える課題には他にも、建設業界特有といえる仕事上の構造問題があります。それは、人に仕事がつきやすいという問題です。
建設業では遵守すべき多くの法令や規則があるため、どうしても一つの会社に長く在籍する人や業界に長く携わっている人に大きな比重がのしかかります。
加えて、調整や管理等のタスクを一人でこなさないとならない局面が多いため、マニュアル化する時間が取れず、また人付き合いや業者との折衝等はその人の人となりや長年の付き合いが大事であるため、マニュアル化しにくいという構造となっています。その結果、仕事の属人化が進行していきます。
更に、建設業界では一日の労働時間が長く、そして休日も他業種と比較すると少ないことから、いわゆる「3K」、すなわち「きつい、汚い、危険」という業界が抱えるネガティブ体質となっています。
このままでは建設業のますますの高齢化や人離れが進むことになります。そこで国土交通省が主導となり、建設業に若者の関心を向け、諸々の問題を解消しようとする取り組みが進められています。
6 建設業界の展望
問題が山積みとなっている建設業界ですが、国土交通省が令和2年2月に策定した「建設現場で働く人々の誇り・魅力・やりがい検討委員会提言~建設現場でいきいきと活躍するために~」を軸に、現状を打破しようと発注者、元請け、下請け会社が一体となった取り組みが進められています。
この提言の中にある「誇り・魅力・やりがい」の3項目には、それぞれ目的やコンセプトがあります。すなわち誇りとは、社会に胸を張れるような建設業となること、やりがいとは建設業で従事する人が建設業で働くことで満足を得られるようにすることです。
そして魅力とは、上記のような誇りややりがいを建設業界で働く人々が持つことで、地域や一般市民に対して建設業界が魅力的であることをアピールすることです。
これらの誇り・魅力・やりがいを向上させるために、先の提言の中では建設業界のリブライディング、すなわち建設業界のイメージの再構築への進言もされています。
その進言とは、建設業に「働き方改革」、「生産性革命」、「使命感・チャレンジ」の3本柱を導入するというものです。働き方改革とは建設業だけではなく国内のあらゆる業種に対して、2024年までに「長時間労働の是正」等を行うとする政府主導の取り組みです。
建設業以外では既に(2020年4月までに)この取り組みがスタートしていますが、建設業においては2024年4月からのスタートとされています。
建設業だけスタートが遅いのは、建設業が他の業種に比べて平均して残業時間が30時間以上多いことや、休日が不足している(厚生労働省の2020年度の毎月勤労統計調査)という現状から、他の業種と足並みを揃えることが難しい、という実情があるからです。
建設業における長時間労働の是正を後押しすべく、国土交通省の「建設業働き方改革加速化プログラム」では、週休2日制の導入と適正な工期設定の推進を掲げています。具体的には、公共工事における週休2日制の大幅な拡大と、労働費の補正の導入等費用面の補正において実現を目指すとしています。
また、建設業には時間外労働の上限規制も2024年4月から適用される予定です。この上限規制によると、労働時間を原則として1日8時間、1週に40時間までとし、36協定を結んだ場合でも時間外労働は原則月45時間、年360時間までと設定しています。
そして、建設業に働き方改革を進めるため、関係省庁により「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」が設けられました。
このガイドラインでは、現場の実情を踏まえた受発注者双方の協力による適正化への推進と、必要に応じたコンサルタントの導入を進めています。
さらに建設業では、先述の「建設業働き方改革加速化プログラム」内で長時間労働の是正に加えて、2024年までに「給与・社会保険」、「生産性向上」に取り組むことを示しています。
当プログラムにおける給与・社会保険とは、適正な賃金水の確保と、建設キャリアアップシステムの稼働、そして技能や経験に応じた給与が支給されるように能力評価制度の策定を推進することです。
また、下請け業者を含めて発注者には社会保険への加入を要請し、未加入の場合には建設業の許可や更新を認めない仕組みを構築するとしています。
プログラムのもう一つの生産性向上とは、3本柱の一つである「生産性革命」に通じる、またはそれと相乗効果をもたらすような取り組みです。
具体的には、建設業には多くの申請手続きがあるため、その手続き労力を減らすために申請方法の電子化を進めるというものです。また、中小企業における積極的なIT化を促すために、公共工事の積算基準等の改善と技術者の配置要件の合理化、そして施工時期の平準化を進めるとしています。
さて、その3本柱に話しを戻して、改めて生産性革命ついて見ていきましょう。生産性革命では、2025年度までに生産性の2割向上という目標が掲げられています。
この目標を達成するために、ダムやトンネル、橋等の公共工事における測量時のドローンの活用や、施工・検査等の建設プロセスに3次元データを導入する等の新たな試みの導入が始まっています。
これらの取り組みで期待されるのは、若者や女性の建設業への興味や就労機会、そして建設業従事者の中でも特に高齢者に対して働きやすさを創出することです。
3本柱の3本目の使命感・チャレンジとは、建設業によって地域の経済、雇用、そして安全を「つくる・まもる」という使命感を持つという取り組みです。
建設業には、社会のインフラの建設という、暮らしの利便化だけではない安全や安心に関わる建設物を造るという使命があります。そのような建設業の必要性を社会に訴えることは未来を創るための重要なものです。
これら建設業の構造改革と、新しい技術の導入というチャレンジングは、働き方の改革や生産性の革命に繋がり、建設業の世代交代や次世代への継承へと繋げるものとなるでしょう。
7 まとめ
積算は工事費用を正確に知るために必要な作業です。積算のスキルが低ければ、会社に損失を与える可能性があり、責任も大きなものとなりますが、それ故に重要な仕事だといえます。積算を仕事としてする方は、やりがいも感じることでしょう。最近では積算ソフトも発達しているので、積極的な活用を検討してみてください。